おしらせ


2013/01/22

GOERZ BERLIN, Doppel-Anastigmat DAGOR 90mm F6.8 and 120mm F6.8
ゲルツ ドッペル・アナスティグマート・シリーズIII(ダゴール)


まるで蒸気機関車の一部であるかのような2本の真鍮製レンズ。これらは1893年にドイツ帝国のGoerz(ゲルツ)社がDoppel Anastigmat Series III(ドッペル・アナスティグマート・シリーズIII)の名で世に送り出し記録的なヒット商品となったDagor(ダゴール)である。これまでに数十万本が生産され史上最も成功したレンズの一つと称えられている。Dagorの登場以来、写真用レンズの歴史は本格的なアナスティグマート時代に入っていった

アナスティグマート時代の幕開けを象徴する
ゲルツ社の傑作レンズ

難度の高い非点収差(アスチグマ/Astigma)を封じることで、ついにはサイデルの5収差全てに対する補正を実現した上級レンズのカテゴリーを昔はアナスティグマート(Anastigmat)と呼んでいた。現代のレンズも含め19世紀以降に登場した写真用レンズは、ほぼ全てがアナスティグマートである。この種のレンズとして黎明期に登場したものには1890年にCarl ZeissのRudolph(ルドルフ)が設計したProtar(プロター)や1893年に英国Cooke(クック)のTaylor(テイラー)が設計したTriplet(トリプレット)などがある。中でも特に高い人気を呼んだアナスティグマートが1893年に発売されたDAGOR(Doppel Anastigmat GOeRzの略)である。Dagorは登場後たちまち人気を博し、軍への納入を中心に4年間で3万本を売るという信じられない記録を打ち立てている。Goerz社はDagorのヒットで急成長を遂げ、1889年に僅か25名だった従業員の数は1901年に1000名、1914年には3000名にまで増え、第一次世界大戦中には12000名を突破している。レンズを設計したのは古いデンマーク貴族出身で27歳の数学者Emil von Hoegh(エミール・フォン・フーフ)[1865--1915]と呼ばれる人物である。Hoeghは独学でレンズの設計法を身につけ1892年にサイデルの5収差を全て補正できる新型レンズ(Dagor)のアイデアを考案した。彼はこのアイデアをはじめ大会社のCarl Zeissに売り込んだが取り合ってもらえなかったので、今度は創業6年目にあたるGoerz(ゲルツ)社に売り込んだのだ。同社の創設者Carl Paul Goerz(カール・ポール・ゲルツ)がHoeghの試作レンズをテストしたところ高性能だったので、すぐにレンズの特許をとり[3]、Hoeghを少し前に死去した設計主任Carl Moserの後任に抜擢したのである。実績もない若いHoeghの隠れた才能を見抜いたGoerzの洞察力は非常に優れたものであった。当時のGoerz社は前任者のMoserが設計したリンカイオスコープの製作に取り組んでいた。しかし、リンカイオスコープは旧来からのラピット・レクチリニア型レンズのコピーであり、ダルマイヤー社、シュタインハイル社、フォクトレンダー社などが先行商品を世に送り出していたため、後発のGoerz社が優位にたてる要素には乏しかった。そんな矢先に訪れたMoserの死去、新型レンズのアイデアを携えやってきたHoeghの加入、Dagorの記録的なヒットなど運命的な出来事が立て続けに起こり、Goerz社は事業規模を急速に拡大、ドイツ最大級の光学機器メーカーにまで成長したのである。

参考資料
[1] A History of the Photographic Lens(写真レンズの歴史), Kingslake(キングスレーク) 著
[2] ハヤタ・カメララボ 今月の一枚2012年12月:ロール・テナックス ダゴール
[3] Dagorの米国特許: Patent DE 74437(1892), U.S.Patent 528155(1894) Emil Von Hoegh, Carl Paul Goerz
[4] レンズ設計のすべて 辻定彦著  電波新聞社


Dagorの光学系(1892 Emil Von Hoegh)をトレースしたもの。設計構成は2群6枚の対称型で、左半分が前群、右半分が後群(カメラ側)となる。空気と硝子の境界面を僅か4面しか持たないという特異な構成のため内面反射光の蓄積が起こりにくく、更にハロやコマなどが殆ど出ないこともあり、戦前のノンコートレンズとしては抜群の高いコントラスト性能を実現している

ドッペル・アナスティグマート
ドッペルとはドイツ語のダブルに相当する語である。Dagorのレンズ構成が上図のように中央の絞り羽を挟んで対称の構造を持つ事を意味している。この種の対称型レンズにはコマ収差(M成分)、倍率色収差、歪曲収差が自動的に消滅するというアドバンテージがある。コンピュータによる設計法の無かった時代では、この性質を利用することが有効な設計手段の一つであった。アナスティグマートの登場まで一世を風靡していたフォクトレンダー社のラピット・レクチリニアも対称構造をもつレンズであり、Dagorはこのレンズの発展型と考えられている。Hoeghが対称型レンズの開発に熱中していたことは彼がGoerz社在籍中に設計したHypergon(ハイパーゴン)Doppel Anastigmat Series IB(Celorの原型)などのレンズ構成からも明らかである。
Kingslakeの著書にはDagorの設計手順の一部始終が掲載されており、Dagorが「サイデルの5収差」の全てを攻略したアナスティグマートであることを改めて確認することができる。設計法を要約すると、まず正負正の順に配置した3枚の貼り合わせレンズを用意し、その最外殻の曲率半径を非点収差が0になるように与える。次に内部の2枚の貼り合せ面の一つで球面収差を補正し、残る一つの面で像面湾曲を補正する。こうして出来る貼り合せレンズを2セット用意し絞り羽を挟んで対称に配置することで、残る収差(コマ収差、倍率色収差、歪曲収差)を自動消滅させるのである。収差表を見ると球面収差、軸上色収差、倍率色収差の補正効果は素晴らしく、非点収差、歪曲、コマ収差の補正レベルも良好である。中心解像力とコントラストが非常に高く、画角を広げても良好な画質が得られるなど、口径比が明るくできないことを除けば収差的には欠点のほぼない優秀なレンズであることがわかる(文献[4])。


Doppel Anastigmat Series III 120mm F6.8(推奨イメージフォーマット 3.5x4.5 inch): 真鍮製バーレルレンズ, フィルター径 28mm, 絞り羽 10枚構成, 絞り値 F6.8-F32, 光学系は2群6枚, シリアル番号からレンズの製造は19世紀末(1896-1899年頃)となる。希少価値の高い初期のレンズだ。この頃のレンズにはまだDagorの名が刻まれていない。レンズ名がDagorに改称されたのは1904年からである。市販の部品をいろいろ組み合わせマウント部をM42ネジに変換している
Dagor 90mm F6.8(推奨イメージフォーマット 3x3 inch): ダイアルコンパー型シャッターを搭載, フィルター径 20mm前後, 絞り羽 10枚 , 絞り値F6.8-F32, 光学系は2群6枚, シリアル番号からレンズの製造年は1915-1918年頃(第一次世界大戦中)であることがわかる

製品ラインナップ
Dagorは1892年に開発され、翌1893年にDoppel Anastigmat Series IIIの名で登場している。発売当初は口径比がF7.7であったが、後に焦点距離12インチ以下のモデルが全てF6.8へと変更され、名称の方も1904年からDagorへと変更されている。レンズは軍への納入を中心に売れまくり、発売から4年で3万本、累計でも数十万本が出荷された。Dagorの設計は広角から超望遠まであらゆる焦点距離に対応できる万能性を備えており、1913年のGoerz社のカタログには焦点距離の異なる19もの製品ラインナップが掲載されている。このうち広角レンズの焦点距離1+5/8インチ(約4cm)、2+3/8インチ(約6cm)、3インチ(約7.5cm)、3+1/2インチ(約9cm)の4製品については主にステレオカメラ向けの製品として市場供給された。一般撮影用レンズとして大判カメラ向けに供給されたモデルは焦点距離4+3/4インチ(約12cm)、6インチ(約15cm)、7インチ(約18cm)、8+1/4インチ(約21cm)、9+1/2インチ(約24cm)、10+3/4インチ(約27cm)、12インチ(約30cm)、およ14インチ(約35cm) F7.7、16+1/2インチ(約42cm) F7.7、19インチ(約48cm) F7.7、24インチ(61cm) F7.7、30インチ(76cm) F7.7、35インチ(約89cm) F7.7の13種である。また、Kodak製等の小型カメラ向けに焦点距離5インチ(13cm)と6+1/2インチ(約16.5cm)の2種も供給されている。ただし、焦点距離が78mm、80mm、83mmなどカタログには掲載されていない個体も数多く出荷されていた。焦点距離の規格が不徹底なのは光学系を組み上げるまで焦点距離がどうなるか判らなかったからで、Goerz社はレンズを組み上げ一定の性能基準をクリアした製品ロットに対して改めて一本一本の焦点距離を計測し、その結果を製品のスペックとしてレンズに表記していたのだ。なお、ステレオカメラ向けに供給されていた先の広角の4製品も1921年にGoerz社がRoll-Tenaxと呼ばれるロールフィルム式の中判カメラを発売したことで、一般撮影用レンズとして供給されるようになった。

入手の経緯
焦点距離90mmのDagorは2012年11月にeBayを介して米国カリフォルニアの個人出品者「ブラックス2」から落札購入した。この売主は販売実績が2737件で落札者評価が100%、ニュートラルの評価すら無いという好成績者である。扱っている商品は殆どが写真機材であった。商品の解説は「4x4inchのボードに搭載されていた小さなダゴール。焦点距離は3と1/2インチで絞り値はF6.8である。グレートコンディションだ。硝子は完全にクリアで傷や拭き傷はない。シャッターはすべての速度で正常に作動しハングアップはない。ただし、若干スロースピードになる事はあるかもしれない。たまにしか市場に出てこないとてもナイスなレンズだ。商品がこの記述と異なる場合には受け取り後14日以内であれば完全返金する。」とのこと。商品は85ドルのスタートで売り出され、私を含め6人が入札した。最大価格を233ドルに設定し、自動入札ソフトでスナイプ入札したところ201ドル(送料込みの総額では218ドル)で私のものとなった。届いた品は外観・ガラスとも経年を考えると素晴しい状態であり、強い光を通すと極軽いスポット状のヤケが2~3個見られる程度であった。Dagorはプライスリーダーのカメラメイトが長焦点のものを250ドル(送料込み)で売りだしているので、このあたりが中古相場なのであろう。ただし、焦点距離90mmのモデルは珍品なので、この値段で入手できたのはラッキーである。
続いて焦点距離120mmのDagorは2012年11月にオールドレンズ愛好家のL51さんからお借りした。L51さんは当初私に浮き世離れした写りが楽しめる別系統のレンズをすすめていた。今回お借りしたDagorに対しては「良く写りすぎてガッカリするかもしれない(笑)」とのことである。所持されているレンズ同様に、写りに対する価値感も人並み外れた持ち主のようだ。
焦点距離120mmのDagorはフランジが長いのでヘリコイドにマクロエクステンションチューブを継ぎ足している
DAGOR 90mmのフード問題
今回入手した2本のDagorはガラス面にコーティングが敷設されていないノンコート仕様のレンズであり、撮影時にはフードの装着が必須となる。Dagor 120mmはフィルター径が28mmなのでステップアップリングを介して市販のフードが装着可能であるが、Dagor 90mmの方はフィルター径が20㎜前後の特殊径となっているため、市販のフードやレンズキャップはおろかステップアップリングすら装着できない。そこで、北方屋が880円で販売しているエルマー専用の特製マイクロメタルフード(フィルター径19mm)を使用することにした。下の矢印で示すようにハサミで細長く切った薄いポリエチレン板をフィルターのネジ切りの部分に鉢巻きのように巻き付け1mmの隙間を埋めるのである。ポリエチレン板の末端は瞬間強力接着剤で留めている。ここで用いたポリエチレン版は商品の包装に使われていたものである。ちなみにクリアフォルダーのポリエチレン素材では厚みが足りなかった。

北方屋のエルマー50mm専用マイクロメタルフード(フィルター径19mm)。矢印のようにポリエチレン板を細長く巻き末端を瞬間協力接着剤で留めている。このようにしてDagor 90mmのフィルター径(おそらく20mm径)にピタリとフィットさせることができる
フードを2段重ねにした状態での装着例(写真・左)と3段重ねにした装着例(写真・中央)。ホームセンターで買える椅子の脚ゴム(内径21mm)をキャップにしている(写真・右)
北方屋のフードは焦点距離50mmのエルマーに合うよう8mmの深さで設計されているため、焦点距離90mmのDagorに対しては丈が短すぎる。そこで、このフードを2段に重ねて使用することにした(写真・左)。ちなみに3段重ねでもケラレは発生しない(写真・中央)。デザインを重視し2段にするか、光学性能を追及し3段にするかは悩みどころである。レンズキャップについては市販品の中にサイズの合うものが見当たらないため、ここではホームセンターで買える椅子の脚ゴム(内径21mm)を流用している(写真・右)。

細長いフードを用いてハレーションをカットする
Dagorのような中・大判撮影用に設計されたレンズは35mm判レンズよりも広いイメージサークルを持っている。このためフルサイズセンサーやAPS-Cセンサーなど小さなイメージフォーマットを持つデジタル一眼カメラに装着して用いると、撮像センサーに収まりきらないイメージ光(イメージサークルの外周部)がミラーボックス内で乱反射し、さらに内面反射光となって光学系の内部に蓄積することでレンズ本体の描写力を損ねてしまう。戦前のノンコートレンズともなれば内面反射光の影響は甚大で、ミラーボックスやヘリコイドユニットの内壁から反射した光が画像の中央部に酷いフレア塊を生み出すこともある。また、コーティングのある戦後のレンズにおいてもイメージフォーマットの合わない規格外のレンズをアダプターを介して用いると、シャープネスを損ねる結果になる。フレアの発生はイメージサークルの大きな中判用レンズ、さらには大判用レンズになるほど深刻である。レンズ本来の描写性能を維持するには純正フードでは不十分であり、細長いフードを用いたりレンズのフィルター部にステップダウンリングを装着するなど不要光を遮断(つまりイメージサークルの周辺部をトリミング)するための徹底した対策をとらなければならない。ヘリコイドユニット等の内壁に黒色の植毛やフェルトを貼っても一定の効果が得られるようだ。今回テストした2種類のDagorの場合、焦点距離90mmの方はイメージサークルが小さくフレアの発生量は僅かであったが、焦点距離120mmのDagorにはかなり悩まされた。このレンズには初めフィルター径55mmの中望遠レンズ用メタルフードを装着し使用していたが、画像中央には見事なまでのフレア塊が発生し、撮影に全く集中できなかった。オーナーのL51さんに相談したところ、長い(深い)フードを用いているだけでは効果は弱く、細いフードを用いる事が重要であるとのアドバイスを得た。そこで、eBayを徘徊し市販で手に入る細長い望用遠フードを探してみた。ところがレンズに合った細長いフードとやらがどこを探しても無い。Dagor 120mmにはフィルター径28mm程度のフードが必要なのである。手に入らないならば自分で造るしかないとトイレに籠もって考えていたが、しばらくして良いアイデアを思い付いた。手にしていたのはトイレットペーパーの芯である。芯の内側をつや消しブラックでペイントし細長いフードが完成。レンズに装着し試写してみたところフレア塊の発生を完全に封じることができた。コントラストも明らか向上し、レンズ本来の性能を引き出すことができるようになったのだ。よし、これで撮ろう!。

撮影テスト
Dagorは中・大判撮影用に設計されたレンズであるからフルサイズセンサーの一眼レフカメラやミラーレス機で使用する場合には細長いフードを装着し、徹底したハレ切り対策を施しておく必要がある。不要光をきちんとカットしたDagorはコントラストやシャープネスが高く、発色も良好で、現代の写真撮影にも十分に通用する優れた描写性能を発揮する。
Dagorは「アナスティグマート」を明示し、ユーザーに対して全ての収差が高いレベルで補正されていることを約束したレンズである。実際にレンズを使用してみると開放からハロと色収差は完全に抑えられておりスッキリとしたヌケの良い像が得られる。コマや非点収差もよく抑えられており、フルサイズフォーマットのカメラによる不完全な評価ではあるが、画質は四隅まで均一で像面湾曲や歪曲も全く目立たない。解像力についても十分なレベルをクリアしている。ただし、キッチリと写りすぎるので線の細い描写までは期待しない方が良い。今回入手した2本のDagorはガラス面にコーティングのないノンコート仕様のレンズである。このため逆光には弱く、撮影条件がシビアになるとフレアが発生し、発色も淡く軟調気味の写りになるが、2群構成という特異な設計である事や空気境界面同士が離れている事が内面反射光の過度な蓄積を抑え、この時代のノンコートレンズとしては異例ともいえる高いコントラスト性能を実現している。後ボケはやや硬くザワザワと騒がしくなることがあり、近接撮影時には2線ボケの傾向がみられることもあるが、像は良く整っておりグルグルボケや放射ボケは見られない。発色は概ねノーマルである。露出をアンダー気味にして色濃度を上げると、赤だけが異様なほど引き立って見えることがある。口径比がF6.8とやや暗い事を除けば大きな欠点はなく、120年前に設計されたレンズとはとても思えない素晴らしい描写力である。
2本のレンズを比較すると階調描写については焦点距離90mmのDagorの方が安定感がありコントラストやシャープネスは高い。これに対し焦点距離120mmのDagorは90mmのモデルに比べると軟調気味で発色も淡く、逆光時になると癒し系の性格をおびることがある。描写力が撮影条件に左右されやすく、コンディションが悪いとハレーションが盛大に出たりシャープネスが急に落ちたりと階調描写には安定感がない。解像力については肉眼でわかるほどの差は見られず、120mmのモデルの方が大口径であるにも関わらず、90mmのモデルより劣るようなことは全くなかった。Dagorの光学設計は広角から超望遠まで幅広い焦点距離に対応できる万能性を有する。焦点距離の変化に対して収差の補正効果を高いレベルに維持することのできる優れた性質を持っているのであろう。ちなみにDagorは絞りに対する焦点移動がたいへん大きなレンズであることが知られている。開放でピントを合わせても、絞り込むとピントが外れてしまう時があるのだ。ジャスピンを狙う場合には絞ったままピントを合わせるのが無難なようである。

Dagor 90mm F6.8@F6.8(開放), AWB(フード無しでの撮影): フードを装着しないまま半逆光の厳しい条件で撮影したためフレアが出ているが、それでもシャドー部には驚くほど締まりがあり、とてもシャープなレンズであることがわかる。戦前のノンコートのレンズとは思えない優れた逆光耐性である。やや軸上色収差が出ているようだ


Dagor 90mm F6.8@F6.8(開放): 以下の作例ではきちんとフードを装着している。90mmのDagorは逆光にもある程度は耐える。この程度の光源ならば全く問題はない

Doppel Anastigmat Series III (Dagor) 120mm F6.8@F6.8(AWB): 続いて120mmのDagorである。光量の多い条件下で使用するとコントラストが低下しやすく軟調気味の描写になる

Dagor 90mm F6.8@F6.8, AWB:  これに対し90mmのDagorは階調描写に安定感があり、光量の多い条件下でもコントラストや発色は、そこそこ良好である
Dagor 90mm F6.8@F6.8, AWB: こちらも90mmだが、先の写真よりはもう少し軟調気味だ
Doppel Anastigmat Series III (Dagor) 120mm F6.8@F6.8(AWB):   再び120mmのDagorである。少しアンダー気味に撮影し色濃度を上げると赤の発色だけが妙なほどに引き立つ結果となる。この発色傾向はインターネット上のDagorの作例にもみられる
Doppel Anastigmat Series III (Dagor) 120mm F6.8@F6.8(AWB):  階調表現は120mmのDagorの方が明らかに軟らかく、オールドレンズらしい淡い発色傾向である




Doppel Anastigmat Series III (Dagor) 120mm F6.8@F6.8(AWB): 有名な雑司が谷鬼子母神堂にある駄菓子屋さんでのショッピング。綿菓子とラムネを手にニンマリご機嫌のご様子で、娘にはお気に入りの場所となった。後で知って驚いたのだが、娘の祖母はこのお堂の氏子なのだそうだ。つまりは氏子の血を引いていたのである

Doppel Anastigmat Series III (Dagor) 120mm F6.8@F6.8(AWB): この作例では太く短いフードを装着し撮影ている。画面中央部にモヤーッとしたフレアが出てしまった(この作例はまだましな方)。細長いフードの効力を知ったのはこの直後である

Doppel Anastigmat Series III (Dagor) 120mm F6.8@F6.8: このとおり後ボケはやや硬く、距離によっては2線ボケになることもある。この傾向は焦点距離90mmのDagorにもみられる




26 件のコメント:

  1. spiralさん、全く感服いたしました。
    いいかげんな講釈師を自負しておる自分にも、ここまでの講釈は書けません。(当たり前か?)

    それにしてもL51さんと言う人は.....、

    >所持されているレンズ同様に、写りに対する価値感も人並み外れた持ち主のようだ。

    ほんとうにそんな人なのでしょうか。
    なんとなく私のニックネーム、lense5151と似ているようなお名前ですが。(爆)

    これから困ったときにはトイレに入り込んで、トイレットペーパーを見つめながら考えることにしました。(笑)

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    1. L51さん、いやlense5151さんでした。

      Dagor 120mmやフードの件ではお世話になりました。課題としていたイメージサークルとシャープネスの関係も解決し、本当に勉強になりました。

      Dogmarの100mmを入手しましたので、celorとセットで第2弾を出す予定です。

      実は今日、交通事故に合いました。歩行中に車が突っ込んできたのです。大ケガをして救急車で運ばれましたが命には別状なしでした。不幸中の幸いです。車には気を付けましょう。

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    2. spiralさん、大丈夫ですか?
      レスを入れてくださるところを見ると、とりあえず五体安全と理解いたしました。

      ただし事故の影響が思わぬところに出てきて、これからのブログもちょっと違った雰囲気になり、古典鏡玉にも入り込みそうですね。(笑)
      とりあえずDogmar、celorの対決、楽しみにしています。

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  2. いや、なんというか,,,。
    いつもながら、くいいるように読んでしまった。
    レンズも素晴らしいですが、構成も素晴らしいです。

    いやー、面白かった!

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    1. 構成、確かに素晴らしいですね。3枚の張り合わせは技術的に難易度が高いのではと思っていましたが、情報通によるとそうでもないそうです。ドイツの研磨技術は当時既にメートル原器並みだったそうです。それからもうひとつ、情報通からの耳より情報ですが、DAGORは130mmが抜群に素晴らしいそうです。

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  3. はじめまして、spiralさん。
    spiralさんのblogに感化されてM42に手を出した身としては沼の底の泥の組成を垣間見たような気分です。

    しかし戦前のレンズにも関わらず非常にヌケの良い画が出てくるのですね。
    どことなくテッサー型の描写に似たものを感じます。

    何気にEOS 6Dを購入されたようで・・・
    オールドレンズ群との相性は如何なものでしょうか。
    今後も楽しみにしております。

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    1. 一条さん
      はじめまして。いつも訪れていただきありがとうございます。

      >テッサー型に似たものを

      なるほど、近い気がします。破綻のない無難な写りで、ダブルガウスのような暴れん坊とは対極的な感じがします。

      EOS 6Dとの相性ですが、5D1のパーツが流用されているだけのことはあって、古いチップのフォーカスエイドが問題なく作動します。後玉へのミラー干渉の度合いは5d1並みだそうです。絞ると露出オーバーになってしまう癖は昔から変わっていません。写りに関してはどうなのでしょう。これから知見を増やしていきたいです。

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    2. 一条さんはじめまして。ちょっと割り込んでお許しください。

      実は↓なのですが、

      >どことなくテッサー型の描写に似たものを感じます。

      私も全く同じような印象を持っています。それは当たり前によく写るレンズというだけではありません。
      このダゴールの描写を少し硬調にし、輪郭線のクッキリ感が加われば、ご指摘のようにまさしくテッサーだと思っています。

      Anastigmat類→Unar→Tessarと改良の経過をたどると、何となく血縁関係の深さを感じてなりません。
      (先入観があることも否定できませんが.....)
      もっともこの改良の経過の中のレンズたちには、ダゴールのように隅々まで問題なく写るものは多くなく、グルグル感が出たりするものもあります。

      このあたりのしっかりした講釈は、そのうちspiralさんが順を追って明らかにしてくれるものと期待しています

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    3. lense5151さん

      ブログの更新時のみ訪れる方のようです。書き込みがありましたらメールでご連絡いたしますので、気長にお待ちください。

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  4. spiral様
    はじめまして
    毎回毎回楽しく拝読させていただいております。
    初めてこちらのブログを訪れたのがちょうど1年位前、おかげでレンズが何十本も貯まってしまいました。
    レンズの研究をしていると、やはり先人達と同じようにどんどん深く、今回の様に1世紀以上も前のDagor等に行きつくのでしょうね。spiral様がどんどん遠くに行ってしまって、最終的には手の届かない所に行って仕舞うかのようです。

    さて、今回はちょっと質問です
    例のAngenieux 35mm F2.8のレンズ構成ですが
    spiral様は“テッサー型に前群側に凸レンズと凹レンズを1枚づつ加えた”との記述ですが
    国内外Webの記述では
    “後群エルノスター型に凹レンズを1枚加えた”との記述が散見されます。
    純粋なエルノスター型ではなく、発展型のエルノスターですが、、、

    また「写真レンズの基礎と発展」にはレトロフォーカスの非対称型は
    前群に負、後群に正と書かれ
    35mmにはハッキリ書かれてませんが
    1954年の28mm F3.5については、性能を大幅に改良した後群の新配列として
    トリプレットタイプの前に凸1枚追加で(正正負正)と記述があり
    さらに、1958年のニッコール28mm F3.5は
    トリプレットタイプの後ろに凸1枚追加で(正負正正)となっています。

    「写真レンズの歴史」を読めてないので分かりませんが
    キングズレーク著の方には明確な記述が有るのでしょうか?
    勉強不足ですみません、よろしくお願いいたします。

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    1. >さて、今回はちょっと質問です
      >例のAngenieux 35mm F2.8のレンズ構成ですが
      >spiral様は“テッサー型に前群側に凸レンズと凹レンズを1枚づつ加えた”との記述ですが
      >国内外Webの記述では
      >“後群エルノスター型に凹レンズを1枚加えた”との記述が散見されます。
      >純粋なエルノスター型ではなく、発展型のエルノスターですが、、、


      発展型のエルノスターで問題ないと思います。ただし、答えは一つである必用はありませんから、テッサーからの発展型をとなえることにも全く問題はありません。むしろ、こういう考え方がどこにも見当たりませんでしたので、敢えて発案させていただきました。自分でも良く気づいたなと思っています(笑)。ピエールはどう思っているのでしょうか。本人に尋ねたいです。


      >また「写真レンズの基礎と発展」にはレトロフォーカスの非対称型は
      >前群に負、後群に正と書かれ
      >35mmにはハッキリ書かれてませんが
      >1954年の28mm F3.5については、性能を大幅に改良した後群の新配列として
      >トリプレットタイプの前に凸1枚追加で(正正負正)と記述があり

      貴重なご指摘ありがとうございます。
      読み間違えた可能性がありますので後でもう一度よんでみます。
      間違っていたら訂正をかけときます。こういう間違いを指摘していただける
      方は少ないので助かります。今後も、疑問な箇所がありましたら、
      どしどし治しますので、お知らせいただけますと幸いです。

      削除
    2. お返事ありがとうございます
      もともと私も後群テッサー型と言うのはspiral様と同様な考えでした
      ただ、Angenieuxを調べていくうちにエルノスター型との記述が有ったもので、、、

      これは大変恐縮ですが、私の理論とか抜きのあくまで感覚的な素人考えです
      spiral様が心酔されるAngenieuxの独特な写りは
      もともとのピエール・アンジェニューの出発点がムービーカメラからの発想であったからなのではないでしょうか?

      Skoparex 35mm F3.4の場合は
      最前面の凹(負メニカスレンズ)が1枚、そしてテッサー型の直前に正メニカスを1枚追加してるような構成です
      spiral様も
      「気のせいか妙に立体感があるようにも見える」
      「少し結像が硬いのはシャープなレンズである証拠だ」とおっしゃってます
      私の撮影の結果も同様な印象を持ちました
      この輪郭がシャープな異様な浮き立ち方に衝撃を受けました
      レンズ構成を見てテッサー型を起点として考えられているのかな?と思いました
      スチルカメラの発想(命題?)は、ハッキリ、シャキッと写したかった?

      一方Angenieuxの場合は
      「ピント合わせが困難な性質」「フワフワとした写り」は単に開発された年代の違いだけでしょうか?
      ただ単に収差を補正しきれなかっただけかも知れませんが、、、

      演者はちゃんと写っても背景がハッキリ移りすぎては困る
      とは言え、演者が背景に溶け込まなくてはならないと言った
      映像撮影現場からもたらされた意見を反映するムービーカメラ的な発想?

      最初から無理やりのF2.5と言うのも気になります
      1952年のF2.8だったFlektogonは1975年の改良でやっとF2.4に至ります
      AngenieuxのF2.5より25年も後です。
      なんとなくですが、ピエール・アンジェニューが意図的に
      収差を残したような気がします。

      実は私も欲しいんです、Angenieux、魔法にかかってみたい
      だけど、低予算なのでなかなか落札できません (T_T)

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    3. Angenieuxの配置について「写真レンズの基礎と発展」を再度読みました。
      P173の右カラムあたりの記述にレンズエレメントの入れ替えについての話があります。これは28mmF3.5と35mmF2.5のどちらにも当てはまる説明です。35mm F2.5は正負正正で最後尾の「正」は貼り合せの正ダブレットです。本では28mm F3.5(正負正正)の図とNikkor 28mm F3.5の比較を例にしていますが、文脈としては35mm F2.5にも当てはまりますので、過去の記事の内容はこのままで良しとさせてください。

      一つ教えていただきたいのですが、with no nameさんが海外のサイトで参照された「エルノスターの発展型」は28mm F3.5のAngenieuxの事では無いでしょうか。このレンズは確かに後群がトリプレットの前に凸を一枚追加したエルノスターです。エルノスターにはいろいろなバリエーションがありますので、35mm F2.5の後群のようなエルノスターがあったのかもしれません。この点についてご教示願えますと幸いです。

      2通目に対する返答も少々お待ちください。

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    4. いろいろありがとうございます。

      > これは大変恐縮ですが、私の理論とか抜きのあくまで
      > 感覚的な素人考えです
      > spiral様が心酔されるAngenieuxの独特な写りは
      > もともとのピエール・アンジェニューの出発点が
      > ムービーカメラからの
      > 発想であったからなのではないでしょうか?
      > ・・・・
      >演者はちゃんと写っても背景がハッキリ写りすぎては困る
      >とは言え、演者が背景に溶け込まなくてはならないと言った
      >映像撮影現場からもたらされた意見を反映する
      > ムービーカメラ的な発想?


      私はムービーに全く疎いのですが、Angenieuxの独特な写りは
      ムービー部門からの発想を根源としているというご意見なのですね。
      興味深いです。演者が背景に溶け込むには、どういった
      描写特性が必用になるのかを考えていましたが、
      なかなかAngenieuxの描写と結びつかずにいます。


      > 最初から無理やりのF2.5と言うのも気になります
      > 1952年のF2.8だったFlektogonは1975年の改良
      > でやっとF2.4に至ります
      > AngenieuxのF2.5より25年も後です。
      > なんとなくですが、ピエール・アンジェニューが意図的に
      > 収差を残したような気がします。

      収差が増すよう意図的に明るくしたというご意見ですが、このピエールの意図はムービーカメラからの発想とどう調和するのかがネタとして面白いところですね。何かこのご意見をサポートできる論理の展開があるとよいのですが直ぐに思いつきません(スミマセン)。


      > 実は私も欲しいんです、Angenieux、魔法にかかってみたい
      > だけど、低予算なのでなかなか落札できません (T_T)

      最近のAngenieuxには中国マネーが流れ込みますので値段が高く手が出さません。似たようなレンズが手頃な価格であればいいんですが、なかなかありませんよね。

      Wコムラーの35mm F2.5というAngenieuxモドキがあるそうですが、このレンズの写りは気になるところです。

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    5. お付き合いいただいて申し訳ないです

      なるほど、理解したような気がします
      3群3枚トリプレット型に1枚足すのと、トリプレット発展の3群4枚テッサー型に1枚足すのは
      すなわち同じエルノスター型と考えて良いわけですね!納得です。

      私もムービーの経験は無いので、spiral様を納得させる様な裏付けは全く無いんですよ
      ただアニメーションはちょっとやった事があって。そのテクニックです。
      背景の絵をワザとぼかしつつ、主人公をハッキリ描く
      こうする事によって遠近感が出ます
      さらに、主人公の縁が浮き立ちすぎると完璧な合成映像みたいで不自然なので
      主人公の縁を少しぼかします
      こうすると、雰囲気良く自然に主人公が浮かび上がって見えるわけです。
      フォトショップの機能で、エフェクトでぼかしをかけたり
      選択範囲をぼかしたりと言った機能は、こんな時に使ったりします
      絵画の方のテクニックでは「ぼかす」と言う表現技法が、昔から何種類もあったようです。

      現代のCG映像は凄過ぎて、人間の目が追い付いていかなくなってます
      情報量が余りに多いと言う事です。
      テレビの地デジ化も映されちゃ困ることまで鮮明になるので
      出演する方はメイクに気を使うと聞きます。

      これは、現代の写真レンズにも当てはまりませんか?
      余りに写りすぎて、、、

      オールドレンズ愛好者は、ある程度写らない事に対する歓びを持って無いですか?
      収差等の味がないとガッカリする。
      過去にもspiral様はベス単等を勧められたりしています。
      ベス単は全ての世界を夢の中へ引っ張り込みますが
      Angenieuxは現実との境目がどこかにある、だから夢うつつなのでしょうねぇ~

      現代でもJ・J・エイブラムスは映画やドラマの作品で
      ワザとゴーストを入れたり、フレアを使って視覚効果を出しているのが有名です。

      レンズ屋と美術屋の送り出したいものは違ってて、、、
      だけど、もともとレンズ屋でないアンジェニューは美術屋のリクエストになるべく応えたかった
      印象派の絵画の発祥の地フランスであれば
      当時、ピエール・アンジェニューを取り巻く映画関係者の中にも
      芸術的な見地からそんな映像を求めた監督がいたかも知れません

      私は、ほとんどのオールドレンズ愛好者の方々と違って
      たったの1年しかカメラ歴がありません
      なので、こんなへんてこりんな突飛な妄想が生まれるんでしょうねぇ~


      Angenieux 35mm F2.5の記述の件は
      いろいろ検索してて何で引っかかったのか覚えてないんですが
      この2つはてっとり早く見つけられました。
      ↓ここはハッキリ「アンジェニュー/1950年」と記述されてます
      http://homepage2.nifty.com/MINOX/phase14.htm
      ↓ここはハッキリ記述してませんが、Angenieuxと同じレンズ構成にernostar記述してありますが
      これはAuto-Takumar 35mm F2.3(1958年)のレンズ構成です。F2.3も無理やりですね
      http://forum.mflenses.com/skoparex-3-4-35-t23110,start,15.html

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    6. 先ほど、別の方から、
      http://taunusreiter.de/Cameras/Biotar_en.html

      の late Ernostar f/2 type の事ではないでしょうか
      とのアドバイスをいただきました。Angenieux 35mmは
      まさにコレをレトロフォーカス化したブツのようですね。


      >背景の絵をワザとぼかしつつ、主人公をハッキリ描く
      >こうする事によって遠近感が出ます

      なるほど。これはよく耳にする方法です。

      >さらに、主人公の縁が浮き立ちすぎると完璧な合
      >成映像みたいで不自然なので主人公の縁を少しぼかします
      >こうすると、雰囲気良く自然に主人公が浮かび上がって
      >見えるわけです。

      これは知りませんでした。こういうボカしもあるのですね。
      よくある「合成絵のような写真」とは階調の連続性が
      不自然なために起こるのかと思っていましたが面白いです。

      >これは、現代の写真レンズにも当てはまりませんか?
      >余りに写りすぎて、、、

      同感です。印象的な作品を生み出すのに
      ここまでの情報量がはたして本当に必用なのだろうかと
      思うことがあります。

      作品を造るのにNikon D800のような圧倒的な画素数は
      必用有りません。しかし、一方でD800の圧倒的な画素数は
      多くの方から称賛が絶えない・・・何故?


      >オールドレンズ愛好者は、ある程度写らない事に対する
      >歓びを持って無いですか?
      >収差等の味がないとガッカリする。
      >過去にもspiral様はベス単等を勧められたりしています。
      >ベス単は全ての世界を夢の中へ引っ張り込みますが
      >Angenieuxは現実との境目がどこかにある、だから
      >夢うつつなのでしょうねぇ~

      >・・・

      >だけど、もともとレンズ屋でないアンジェニューは
      >美術屋のリクエストになるべく応えたかった
      >印象派の絵画の発祥の地フランスであれば
      >当時、ピエール・アンジェニューを取り巻く映画関係者の中にも
      >芸術的な見地からそんな映像を求めた監督がいたかも知れません

      まったく同感です。オールドレンズユーザーは
      写真の原点である「写実性」から脱出したいのかもしれません。
      ベス単の描写はある意味その究極形態の一つなのかもしれませんが、
      印象派の考え、あるいは印象主義みたいですね。

      >私は、ほとんどのオールドレンズ愛好者の方々と違って
      >たったの1年しかカメラ歴がありません
      >なので、こんなへんてこりんな突飛な妄想が生まれる
      >んでしょうねぇ~

      へんてこな妄想ではなく、結構ズバリの線を突いているの
      ではないでしょうか。あまり口に出す人はいませんで
      したので驚きですが。



      >↓ここはハッキリ記述してませんが、Angenieuxと同じ
      >レンズ構成にernostar記述してありますが
      >これはAuto-Takumar 35mm F2.3(1958年)の
      >レンズ構成です。F2.3も無理やりですね
      >http://forum.mflenses.com/skoparex-3-4-35-
      >t23110,start,15.html

      1枚目のトリプレットをレトロフォーカス化したものは
      シュタインハイルのクルミゴンやエンナのリサゴン 35mm、
      たぶんシュナイダーのラジオゴンもこんな構成です。

      4枚目はフレクトゴン35mmF2.8やMIR-1系統ですね。

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  5. 起承転結ではありませんが、話をまとめちゃいましょう

    レトロフォーカスの原理の特許を撮ったのが
    ハリウッド映画のカメラマンだった、ジョーゼフ・ベイリー・ウォーカーと言う事で
    映画の世界とつながりがあったピエール・アンジェニューは
    この辺からヒントを得たのでしょうか?

    「収差をワザと残した」の話は別として

    「レンズはそれが造られた風土にあった描写特性を持つ」と言うのは
    作り手を取り巻く、文化や民族や時代背景等を総合した事を言ってるのかも知れませんね
    ドイツではなく、その時代フランスのピエール・アンジェニューであったから
    そのレンズが産まれたと、、、

    技術的にも、丁度そう言うレンズが産まれる宿命だったのかも知れません?

    お仕事お忙しいかも知れませんが
    これからも、ご活躍を期待しております。


    追伸
    先日、“ISCO-GOTTINGEN Berolina-Westromat 35mm F2.82”と言うのを落札しました
    どうやらこの「Berolina」が“Berogon 35mm F3.5”と何らか繋がりがあるようです。

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  6. >レトロフォーカスの原理の特許を
    >撮ったのがハリウッド映画のカメ
    >ラマンだった、ジョーゼフ・ベイ
    >リー・ウォーカーと言う事で
    >映画の世界とつながりがあった
    >ピエール・アンジェニューは
    >この辺からヒントを得たのでしょうか?

    なるほどジョーゼフ・ウォーカーと
    ピエールアンジェニューの直接的な
    つながりはわかりませんが、ありえるかもしれません。

    >ドイツではなく、その時代フランスのピ>エール・アンジェニューであったから
    >そのレンズが産まれたと、、、

    パリとい特別な場所であることが
    ANGENIEUXの製品の性格に深く関与
    している。そう信じたいのです。

    BerogonはISCO製という意見を海外の
    オークションで2回ほど目にすることが
    ありましたが証拠はありません。西ドイツ
    製であること以外に手がかりが
    ありません。

    何かわかりましたら、ご連絡いただけますと幸いです。ありがとうございました。


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  7. はじめまして 毎回楽しく拝読させていただいております。
     初めてこちらのブログを訪れたのはたまたま、西ドイツレンズを探している時にブログを見つけました。メインはニコンなんですが、今は逆のコンタックスをメインで使用している若僧です(26才)
     このブログを見てからレンズの見方がかわりました。M42でのCarlZeiss製レンズを購入しようと思っていますの、おすすめレンズを教えて下さい。あと、西と東のCarlZeissレンズは写りは変わるのですか???

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  8. ガラスの経年変化によるところもあるのですが、東は西よりも僅かに温調な色です。

    もう少し条件をいただけませんでしょうか。

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    1.  ありがとうございます。条件ですか? 今は、メインレンズがプラナー85mmF1,4MMを使用しています。シャープやコントラストが強いレンズと弱いレンズが知りたいのと自然は色を求めたいですね。我がまま言ってすみません。
       自分が気になったレンズがシュナイダーやカール・ツァイスイエナのパンコラー50mmF1,8です。 
       まだまだ、未熟ですが宜しくお願いします。

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    2. シャープネスとコントラストのたかいレンズでよいのでしたら、テッサーで十分かと思います。ご参考までに。

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  9. 久々に覗いてみたらDagorとはスゲー展開になってますね。(^^;)
    で、交通事故?spiralさんが?命に別状はなさそうですが大ケガとのこと。先ずはお見舞い申し上げます。m(_ _)m

    新型レンズのアイデアを携えやってきたHoeghの抜擢が社運を変えたんですね。
    それにしてもこのレンズのヌケの良さ波動でしょう。いつの間にかボディがEOS 6Dになってますが。(笑)

    あ、私の方は魔術師流「へなちょこ東京おのぼりさん日記」シリーズUP中です。(^^;)

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    返信
    1. 魔術師さん
      ごぶさたしております。相変わらず印象的な写真を連発していますね。ソフトの加工もとても素敵に仕上がっていますね。
      交通事故は完全なもらい事故でしたが、当たった瞬間に宙を舞い、前歯が折れました。全身打撲ですんだのは不幸中の幸いでした。車にはご注意くださいね。

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  10. なるほど、細長いフードですか、今度試してみようと思います。
    私のDagor(7インチF6.8、1914年製)はトイレットペーパーの芯よりも細身のバレルなので、自転車のフレームでもブッタ切って造ってみますか(笑)。
    ちなみに、レンズキャップはスプレー缶のキャップです。

    それにしてもDagorは100年前とは思えないような描写をしますね。所有するもう一つの古典レンズで同様に「史上最も成功したレンズ」でもあるTessar 150mm F4.5(1924年製)も溢れるフレアの中にきっちりとした結像を結んでくれますが、光を選ぶ点はどちらも共通して居ます。
    同世代(?)のTessarとDagorを撮り比べてみると仰るとおり、全体的な絵の結び方は似ていると思います。(Tessarの方がF値の分ボケが大きく、やや輪郭がハッキリしているかな?)
    個人的にはシャキッ!パキッ!としてコントラストの高い現代的な描写が好みなのですが、たまにこんなレンズを使うと「こんなんも悪くない」と癒される気がします。
    古典レンズの沼は、事によるとM42よりも深いかも、ですね。
    決して嵌まるまいぞ、浸かるまいぞ。

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    返信
    1. 〉それにしても…

      同感です。60mmのダゴールはもっとシャープな像を結んできれました。驚きです。コメントありがとうございました。

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