興和光器の写真用レンズ part 5
トイカメラ用に設計されたシングルエレメントのプロミナー
Kowa Opt. Works , PROMINAR 70mm F11 (Kowa KID)
1960年に興和光器製作所はベスト判と呼ばれる127フィルムを用いて撮影のできる初心者向けカメラのKOWA KIDを発売します。カメラの機能とデザインは如何にもトイカメラと言える至ってシンプルなもので、シャッターはB(バルブ開放)とS(1/50s単速)、露出計の受講窓はダミーの飾り、絞りはお天気マークの3段階です。レンズにはメニスカスタイプで1群1枚(単玉)のプロミナー70mm F11が固定装着されており、ピントリングが無く、深い被写界深度でパンフォーカス撮影するのが特調でした。トイカメラ用とは言えプロミナーはプロミナー。どんなふうに写るのか気になって仕方ありません。レンズはネジ3本でカメラに固定されていますので簡単に外れます。レンズをヘリコイドに取り付け、富士フィルムの中判デジタルカメラGFXにマウントして試写してみることにしました。
★入手の経緯
今回使用したレンズは2024年9月にヤフーオークションにて1500円+送料別で購入したKOWA KIDから取り出した個体です。カメラのコンディションはジャンクとの説明でしたが、シャッターは作動し撮影可能で、レンズも十分に綺麗な状態でした。レンズはネジ3本でカメラに据え付けられており、簡単に取り外せますし、元の状態に戻すことも容易です。取り外した後はステップダウンリングを取り付けてM42-M39ヘリコイド(12-17mm)に乗せ、ライカスクリューマウントに変換しました。
Prominar 70mm F11(Kowa KID) : 絞り 3段階, フィルター径 なし, 定格イメージフォーマットはベスト判127フィルム(4x4またた4x6.5フォーマット), レンズ構成は1群1枚のメニスカス単レンズ |
★撮影テスト
イメージフォーマットはベスト判127フィルムですので、中判デジタルカメラのFujifilm GFXシリーズで用いるのが相性の良い組み合わせです。像面湾曲の大きな性質に対応するため、KOWA KIDにはフィルムを湾曲させる機構がありましたが、デジタルカメラで使用する際にはこの点への配慮がないため、無限遠を撮影すると四隅でのピンボケを起こします。ただし、通常の中距離撮影では像面湾曲はそれほど気になりませんでした。開放での描写は柔らかくコントラストも低めの優しい写りですが、開放F値がF11と暗いためでしょうか、単玉にしてはスッキリとヌケの良い写りで、明らかにソフトフォーカスレンズの部類ではありません。色収差を補正していなめフリンジがそれなりに出ています。被写界深度が深くピントがどこに合っているのかわかりずらいものの、そのあたりをあまり気にしないで撮影に専念できる点が、初心者向けカメラに適していると考えられたのでしょう・・・、といいますか、そもそもカメラにはピントリングが無いのでしたね。
F11(開放)GFX100S(WB:日光, F.S CC) 初公開!私の自転車です |
F11(開放) GFX100S(WB:日光, F.S CC) |
1段絞り GFX100S(WB:日光, F.S CC) |
F11(開放) GFX100S(WB:日光、F.S CC) |
F11(開放) GFX100S(WB:日光, F.S CC) |
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