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2024/12/28

Kowa Co. LTD., KOWA 28mm F3.2 (KOWA SW)


興和光器の写真用レンズ part 6

「レンズはカメラの生命である!」

名機KOWA SWに搭載された至高の広角レンズ

KOWA 28mm F3.2 (KOWA SW)

コーワが会社のカラーを最も強く印象付けたカメラといえばやはり同社35mmカメラの初号機カロワイド(1955年発売)とカロワイドの長所を練り上げ1964年に登場した名機KOWA SW(スーパーワイド)ではないでしょうか広角レンジファインダー機であるという独自性、パンフォーカス撮影の利便性、軽くコンパクトな携帯性、流線形を基調とする美しいボディデザイン、0.5mまで寄れる最短撮影距離など、これらのモデルには数多くの長所がありましたが、中でも特にコーワが拘ったのは競合する他社製品の追従を許さない高性能なレンズを搭載したことでした。同社の広角機はこの点が高く評価され、プロ・アマチュアを問わずスナップシューターの幅広い層から支持されることとなります。カロワイドの登場から5年の歳月を経た1960年初頭、広角レンズファインダー機のブームは収まり、カメラ業界は一眼レフカメラ一辺倒となります。コーワもこの潮流の中でいったんはレンジファインダー機の開発から離れ、KOWAFLEXの開発と改良に傾倒してゆきます。どのメーカーも一眼レフを供給する中で同社が流れ着いたのは、激しい競合市場、血で血を洗うレッドオーシャンでした。各社消耗戦を繰り広げる渦中で新興カメラメーカーのコーワが取れる立ち位置といえば、中級機を他社より安い低価格で販売することくらいでした。レンズには定評のあるプロミナーとその後継のKOWA 50mmが付いており、世間はオリンピック景気に沸いていましたので、同社の一眼レフカメラはお買い得感の高いKOWA SEやKOWA SETなどを中心にそこそこ売れます。しかし、量産して沢山販売することが最も重視された時代でしたので、カメラの性能自然とありふれたものになってゆきます。この時代のコーワ製品には1950年代のような独自性はありません。KOWA SWの開発を率いた小澤秀雄氏はカメラの解説記事[2]の中で次のように述べています。

『最近のカメラはデザインは別として、強い個性がなくなりつつある。かつてはカメラといえば、それについているレンズの良否によって、ほとんど販売が左右されるほどであったが、レンズはカメラの生命であるという考え方はだんだんと薄くなり、全体のバランスによって判断されるようになってきた。(中略)これらのカメラに付いているレンズも平均以上の性能を持っているため、実用上なんら問題にする必要はないわけであるが、写真を少し心得ている人とかプロに近い人以上のレベルにある人から見れば、まったく食い足らないカメラということになる』。KOWA SWには直接関係のないカメラ業界の世情にまで言及していますが、何もかもを思うままに伝えようとする小澤氏の堂々とした文書からはKOWA SWに対する揺るぎない自信、開き直ったものだけが語ることのできる信念のようなものを感じ取ることができます。ここまで語るエンジニアは今となってはなかなかいないので、読み応えのある記事です。

コーワフレックスの供給開始から4年、コーワはカメラ事業の原点に立ち戻る一大決心のもと、カロワイドの特徴を練り上げた広角機KOWA SW(コーワ・スーパーワイド)を世に送り出します。一切の無駄な機能を省いた潔さと、美しいボディデザイン、カロワイドの長所を極限まで練り上げた強い個性がこのカメラにはありました。しかも、レンズ固定式レンジファインダー機では誰も作らなかった28mmのスーパーワイド・レンズがついており、内蔵ファインダーはレンズよりも多い7枚構成という拘りようです。コーワはこのファインダーのことをスペリオ式ファインダーと呼んでいました。時代は一眼レフカメラ全盛の1964年でしたが、この一見すれば時代に逆行するともとれる経営判断を今風に例えるのなら、スマートフォン全盛時代に機能を強化し長所を練り上げたガラパゴス携帯(フィーチャーフォン)で勝負をかけるようなものです。カメラの発売時期は不運なことにオリンピック後の不況と重なってしまい、ニッチなハイアマチュア向けに供給された製品ということもあり、販売台数は6000台程度と振るわない結果となります[4]。しかし、KOWA SWは同社の個性を強く印象付けた名機として、後世に長く語り継がれることとなるのです。

KOWA SWに搭載されたレンズは広角用に新開発された4群6枚のクセノタール変形型です。この種のレンズ構成が広角レンズとしての適正を持っている事はよく知られていましたが、製品化された事例はCarl Zeiss Jena BIOMETAR 35mm F2.8, UC-HEXANON 35mm F2, W-NIKKOR 35mm F1.8など数例に限られており、28mmのスーパーワイドに限っては言うならば、本品か唯一無二の存在でした、。クセノタールの構成で広角レンズを設計する場合、画角特性を向上させる観点から後群のメニスカスを極めて薄く設計しなければならず、このレンズエレメントの生産に高いコストを要したためです[8]。難しい製造工程を伴う採算性の悪いレンズ構成ではありましたが、敢えてこの設計を採用することがKOWA SWというカメラの最大の魅力になっているのです。解説書[2]の中で小澤氏はKOWA 28mm F3.2を『レンズにうるさい人を満足させるために開発されたレンズ』『KOWA SWの開発で最も力を注いだ部分がこのレンズであった』と述べています。また、周辺の光量不足を解消しようとするとその影響でレンズの解像力が低下してしまうため、28mmもの広角レンズで全画面にわたり一様な画質を実現しようというのは、かなり困難なことであったとも述べています。開発にあたっては当時発売されていたあらゆるレンズ構成を徹底的に検討し何度も試作をおこなって研究したようで、結果としてクセノタール変形型が解像力と光量不足解消を高いレベルで両立できる、最も良い成績を示したのだそうです。実際にレンズを設計したのが誰なのか明確にわかる文献や資料はありませんが、小澤単独による詳細な解説がありますので、おそらく同氏による設計であることは間違いないでしょう。同氏は映写機用PROMINARの設計者でもありました。興和がカメラ事業から撤退した後は同社を離れ、1971年に株式会社ニデック(本社・愛知県)を創業します[3]。一流のエンジニアであるとともに一代で事業を築いた名実業家でもありました。

KOWA 28mm F3.2構成図。構成図はKowa SWの取扱説明書[7]からトレーススケッチしました。設計構成は4群6枚のクセノタール変形型で、3群目に用いられている極めて薄い大きなメニスカスユニットが目を引きます

[1] カメラレビュー クラシックカメラ専科 No.40

[2] 新型カメラの技術資料V「コーワSW」, 小沢(小澤)秀雄, 写真工業145号 1964年6月 

[3] 株式会社ニデック 50周年サイト:https://www.nidek.co.jp/50th

[4] こちらの「見よう見まねのブログ」でシリアル番号による調査結果が報告されています

[5] 写真工業 1964年8月号「コーワSWをテストする」

[6] クラシックカメラ専科  1992年12月25日 no.23 名レンズを探せ!!

[7] Kowa SW instruction manual

[8] 「KOWA SW技術資料 写真工業147号 1964年8月号

KOWA 28mm F3.2(KOWA SW用): 最短撮影距離 0.5m, フィルター径 49mm, SEIKO-SLVシャッター搭載, 絞り羽 5枚構成, 絞り F3.2-F16, 画角74°、コーティングはアンバー
 

レンズの入手と改造

レンズはKOWA SWに固定装着されていますので、まずは修理不能のジャンクカメラを探すことになります。カメラ自体は中古市場に数多く出回っています。ただし、レンズの状態のまともな故障品を探すとなると、簡単にはいきません。KOWA SWはクラシックカメラとしてかなり人気があり、動作品には中古市場で5万円~10万円程度もの値が付きます。一方で国内のネットオークションには動作保証のないジャンク品が流通しており取引額は2~3万円程度です。このあたりから故障したカメラを入手するのが狙い目でしょう。ただし、ジャンク品を入手する場合はコンディションによらず返品のできない「博打買い」になるので、失敗するとかなりの損失です。故障品を実店舗で見つけ、レンズコンディションを自分の目で確かめるのがもっとも合理的な買い方ではないでしょうか。入手難度の高いレンズです。

今回私が手に入れたレンズは2023年11月にメルカリに出品されていた故障したカメラからの摘出品です。カメラのファインダーにはカビ跡があり、シャッターも機能していませんでしてが、レンズのコンディションは思いのほか良く、拭き傷すらありません。絞りに面したレンズにクモリがありましたので、前・後群をユニットごと取り外しガラスを拭いてみたところ、完全に綺麗になりました。いろいろな部品を組み合わせて摘出したレンズをM52-M42ヘリコイド(10mm - 15.5mm)に換装し、カメラの側をソニーEマウントに変換しました。こうすることでソニーのフルサイズミラーレス機に加え、ニコンZマウント機でも使用できるようになります。なお、レンズはシャッターを内蔵したレンズシャッター方式なので、あらかじめシャッター羽をスタックさせておく必要があります。かなりテクニックを要する改造である上に、ガタを取るための特製ワッシャー(M48x50x0.1mm)を下の写真のように絞り冠と光学ユニットの接合部分に組み込む必要があります。ワッシャーはオーダーメイドで業者に工作してもらいました。専門の工房でなければ改造は難しいかもしれません。デジタルカメラでの写真がネットに皆無なのも、このためでしょう。

絞り冠の部分でレンズをヘリコイドにマウントしますが、そのままマウントすると光学ユニットのとの接続部にガタが出ます。内部の構造を調べた結果、絞り冠と光学ユニットの接合部分にワッシャーを組み込むことでガタを取り除くことができました。使用したワッシャーは内径48mm、外径50-52mm、厚み0.1mmのステンレス製です

 

撮影テスト

レンズにうるさい人を満足させるという強気の製品コンセプトを掲げ開発されたレンズですから、描写性能は間違いなく一級品です。広角クセノタールというレンズ構成も私には未知の領域でしたので、これは楽しみで仕方ありません。

レンズの開発に際し設計者らは3つの目標を掲げました[2,8]。1つ目は画像のコントラストの向上、2つ目は全画面一様でしかも高解像であること、3つ目は周辺光量を多くすることです[2,8]。1つ目の目標に対しては球面収差に加えコマ収差、色収差を十分な補正レベルにするとともに、低い空間周波数に対するレスポンスにも充分に配慮し、コントラストを標準レンズと同等以上にすることで達成しています。2つ目の目標は3つ目とトレードオフの関係になっています。すなわち、周辺光量を多くするために開口効率を大きくとると解像力が低下してしまいます[8]。このレンズではシャッターのレンズホルダー保持部に改良を施すことでケラレを防ぎ、開口効率60%以上を達成しているそうです。この数値は実用上光量不足を感じることのないレベルです。さらにクセノタール変形型が開口効率と解像力を高いレベルで両立できるレンズ構成であることを突き止め、周辺部の解像力が中心部の2/3以上を維持できるようにしています。技術資料を掲載した文献[8]では各種収差曲線が公開されており、歪みは中間画角で僅かに糸巻き型になったあと、隅で樽型に戻りますので、全体としてはよく補正されています。非点収差についても像面を平らに維持したまま大きく開くことはなく、良好な補正結果が得られています。たいへんまとまりの良い高性能なレンズであることがわかります。

レンズを現代のデジタルカメラに搭載し試写してみたところ、やはり優れた描写性能であることが確認できました。開放からスッキリとした描写でヌケがよく、フレアや滲みのないシャープな像で、そのぶんコントラストは高く、発色も濁りなどなく良好です。四隅まで像を緻密に描ききっており、全画面に渡り安定した画質が得られます。歪みが少ない点も素晴らしいと思います。周辺光量は当時のこのクラスのスーパーワイドレンズとしては群を抜く明るさで、もちろんレトロフォーカスレンズ(開口効率70〜90%)には一歩及びませんが、室内での撮影においても四隅の光量落ちが大きく目立つことはありませんでした。逆光では見た事のない変わったゴースト(レンズ構成図がそのまま写ったかのようなゴースト)が出ます。

モデル:姫宮らん

F3.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰)

F3.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰)






F3.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰)

F3.2(開放) Nikon Zf(BW)

F5.6   Nikon Zf(WB:日陰)

F3.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰)

F3.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰)

F3.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰) レンズ構成図がそのまま写ったようなゴーストです
F3.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰)










2023/03/16

Schneider Kreutznach XENOTAR 60mm F2.8

プラナーやアンジェニューがそうであるように、このクセノタールにも昔から絶対的な信頼を置くプロカメラマンや熱狂的なファンがいます。今回はやや変則的な焦点距離60mmの試作モデルを手に入れましたので、ファンの皆様には大変申し訳なく思いますが、美味しい役をいただこうと思います。このレンズはGFXなど中判デジタルセンサーを搭載したカメラとの相性が良さそうです。

やっぱり凄い。シュナイダーの旗艦レンズ

Schneider Kreutznach XENOTAR 60mm F2.8

前群にガウス、後群にトポゴンの構成を配し、奇跡的にも両レンズの長所を引き出すことに成功した優良混血児をXenotar / Biometar型レンズと呼びます。この型のレンズ構成は戦前からCarl Zeissによる特許が存在していましたが、製品化され広く知られるようになったのは戦後になってからです。他のレンズ構成では得がたい優れた性能を示したことから一気に流行りだし、東西ドイツをはじめ各国の光学機器メーカーがこぞって同型製品を開発しました。この種のレンズに備わった優れた画角特性(周辺画質)と解像力の高さは当時のダブルガウス型レンズの性能を凌ぎ、テッサーも遠く及ばないと称賛された程です。ピント部の優れた質感表現に加え、広角から望遠まであらゆる画角設計に対応できる万能性、マクロ撮影への優れた適性、一眼レフカメラにも適合するなど多くの長所が見出され、テッサー、ゾナー、ガウスなど優れた先輩達がしのぎを削る中で大きな存在感を誇示したのです。

このレンズに対しては「設計はBIOMETARと一緒でしょ?」という言い分もありますが、実際の所は硝材の構成まで含め、全く同じということはありません。両レンズの設計は構成配置こそ同じですが、下図のようにXENOTARは前玉と後ろ玉の曲率がきつく、正エレメントの厚みもBIOMETARより薄めで、全体に丸みがあり、背丈も低く、ダルマさんみたいな形状です。気のせいもあるかと思いますが母親のトポゴンに近い形態で、BIOMETARとは異なる別物であるような印象をうけます。設計の基礎となったガウスタイプとトポゴンタイプの交配(折衷)において、トポゴンの形質を強く受け継いでいるのでしょうか?

トポゴンに備わった画角特性の優位性とガウスタイプの持つ優れた描写性能の美味しいところを鷲掴みし、写真の四隅まで力強い描写性能を実現したのが、このレンズの特徴です。

BIOMETAR(左)とXENOTAR(右)の構成図:上が被写体側で下がカメラの側

XenotarはドイツのSchneider社が中・大判カメラ用レンズとして1951年から35年以上もの長期に渡り生産していた主力製品で、ドイツ語ではクセノタール、英語ではクセノターと読みます。レンズ名の由来は原子番号54のキセノン原子、あるいはこの原子の語源となったギリシャ語の「未知の」を意味するXenosと言われています。Rolleiflex用に加え、Linhof-Technika用やSpeed Graphic用にSynchro-Compur/Pronter SVSシャッターモデルなどを生産、少なくとも9種類(75mm F3.5、80mm F2.8、80mmF2、100mm F2.8、100mm F4、105mm F2.8、135mm F3.5、150mm F2.8、210mm F2.8)が市場供給されました。今回ご紹介する60mm F2.8はシュナイダー社の台帳[1]に掲載があり、同社が1953年1月に4本のみ試作したうちの1本です。試作品はこの焦点距離以外にも、50mmF2.8が4本(1951年)40mmF2.8が5本(1952年)、85mm F2.8が3本(1955年)、105mm F3が4本(1957年)存在するようです。また、台帳には無い95mm F4の実物をeBayで確認したことがあり、台帳も完全ではないようです。レンズを設計したのは戦後のSchneider社で設計主任の座についたギュンター・クレムト(Günther Klemt)です。Xenotar F2.8とF3.5の特許をそれぞれ1952年と1954年に西ドイツで出願し、翌年には米国でも出願しています[2]。クレムトは他にも同社でSuper Angulonを設計(1957年)、また公式な資料は見つかりませんがKodak Retina用に開発された戦後型のXenonシリーズ(Xenon/Curtar Xenon/Longer Xenon)も彼が手がけたと言われていますが本当かな???[3]。

 
参考文献
[1] Großes Fabrikationsbuch, Schneider-Kreuznach band I-II, Hartmut Thiele 2008
[2] US Pat.2683398 / US Pat.2831395)
[3] A Lens Collector's Vade Mecum参照
Schneider XENOTAR 60mm F2.8: レンズは後からコンパーシャッターに搭載しました。購入時は未使用の状態で、前後群のレンズユニットがアーカイブ用に用意された特殊な鏡胴に収められていました。後玉のもの凄い湾曲が目を引きます


入手の経緯

レンズは2016年にドイツ版eBayにて個人の出品者から落札しました。「良好なコンディション」との触れ込みで、絞りの無い特殊な鏡胴に前群と後群が据え付けられた状態で売られていました。前・後群が16mm間隔であることや、取り付け部のネジ径がコンパー00番と同一の22.5mmでしたので、別途用意したシャッターユニットに据え付けた上でM42 to M39直進ヘリコイド(17-31mm)に搭載し、ライカL(L39)マウントレンズとして使用することにしました。レンズは試作品ですので、市場での決まった相場はありません。ちなみに、量産モデルの80mm F2.8はeBayにて現在10万円前後の値段で取引されています。

撮影テスト

ピント部の緻密な質感表現といい、なだらかなトーン描写といい、改めて評価の高いレンズであることを再確認しました。スッキリとしていてヌケが良く、被写体がそこに居るかのような臨場感や空気感の伝わってくる描写です。ボケはやや硬めでゴワゴワとしており、僅かに四隅が流れることがあります。今回の個体は逆光で円を描くような物凄いゴーストが出ました。避けたい場合にはフードを付ける必要があります。撮影にはレンズの性能を最大限に引き出すため、中判デジタルセンサー(44X33mm)を搭載したGFX100Sを用いました。全て開放絞りでの撮影結果です。

MODEL: Hughさん親子

CAMERA:FUJIFILM GFX100S

F2.8(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光, FS: NN) トーンはオールドレンズのまま、ピント部の質感表現の緻密さは現代レンズにも引けを取らないと言ったところでしょうか


F2.8(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光, FS: NN) もはやヤバい性能であること確定です
F2.8(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光, FS: NN) 背後のボケは硬め

F2.8(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光, FS: NN)
F2.8(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光, FS: NN)

2023/03/15

MINOLTA MC TELE ROKKOR-PF 135mm F2.8

 

6枚構成で色収差を抑えた

高性能な望遠レンズ

MINOLTA MC TELE ROKKOR-PF 135mm F2.8

135mm F2.8の望遠レンズは設計構成の選択肢が多く、少ない構成枚数ですとトリプレット型(3枚)かエルノスター型(4枚)で製品化できます。高級レンズの部類になるとテレゾナー型(5枚)やクセノタール分離テレ型(5枚)などがあるのですが、今回のレンズは更に構成枚数の多い豪華な6枚玉で、文献[1]によるとクセノタール分離テレ型から派生したG2負正接合タイプと紹介されています(下図)。何のためにこんな豪華な構成にしたのでしょう。その答えが文献[1]にありました。望遠レンズでしばしば問題となる軸上色収差を効果的に抑えるためなのだそうです。このレンズならではのポイントを抑えつつ、どんな写りなのかをみてみましょう。

レンズは1965年に同社一眼レフカメラのSRシリーズ(SR-T101やNew SR-1など)に搭載する交換レンズとして発売されました。初期のモデルは今回ご紹介する個体のような金属鏡胴でしたが、翌66年から同社のレンズではゴムローレットのデザインが増えてゆき、1970年代の同社のカタログではこの135mm F2.8もゴムローレットのデザインとなっています[2,3]。

MINOLTA MC TELE ROKKOR-PF 135mm F2.8の設計構成(左が被写体側):5群6枚のクセノタール分離テレ型からの派生で、第2群(G2)に貼り合わせユニットを持つのが特徴です.上の図は文献[2]からのトレーススケッチ(見取り図)

焦点距離の長い(望遠比の小さい)レンズでは、球面収差の短波長成分が急激にオーバーコレクション(過剰補正)になる問題がありますが、通常の5枚玉までは色収差(軸上色収差)の増大を許容してまでこれを抑えようとします。一方、今回ご紹介するレンズは貼り合わせ色消しユニットで短波長成分の増大を抑えることができ、色収差を増大させることなく、収差設計が可能なのだそうです。レンズの設計枚数が増えると画質補正の補正自由度も増え、妥協のないレンズ設計ができるという一つの典型例です。ちなみに一段明るい同社上位モデルの135mm F2にも同じ構成が採用されています。

歪みの補正についてはクセノタール分離テレ型が得意とするところで、前後群の間隔を大きくとりながら、後群に配置した収斂性(しゅうれんせい)のある空気レンズを利用して、糸巻き状の歪みを効果的に補正しています[1]。シャープネスとコントラストが良好で歪みの少ない高性能なレンズのようです。優等生の困ったちゃんの予感が脳裏をかすめるのですが、どうしましょ。

参考文献

[1] レンズ設計のすべて 辻定彦著 第11章 P134-P137

[2] 「MINOLTA一眼レフ用交換レンズとアクセサリー」 ミノルタカメラ株式会社 1974年7月

[3] 1976年2月 MINOLTA ROKKOR LENSES カタログ

レンズには振り出し式のフードがついています。これが、かなり便利
 

入手の経緯

ヤフオク!でレンズやカメラの詰合せセットを購入した際に付いてきたのが、今回ご紹介するレンズです。ブログでは高性能で現代的なオールドレンズ(ある意味で立ち位置の中途半端なレンズ)を取り上げる機会は極力少なくしていますが、手に入れた個体の状態がかなり良かった事と望遠レンズをご紹介する機会が最近とても少なかったので、例外的に紹介することにしました。レンズは国内のネットオークションで2000円から3000円程度の安値で取引されています。もともとの小売価格を考えると、ちょっと可哀想な扱いです。

MINOLTA MC TELE ROKKOR-PF 135mm F2.8: 最短撮影距離1.5m, フィルター径 55mm, 重量(実測)525g, 絞り羽根 6枚構成, 絞り F2.8-F22, minolta SRマウント, フード内蔵, 設計構成5群6枚(XENOTAR分離テレ型からの派生)


 

撮影テスト

解像力は平凡ですが、やはり歪みが少ないうえ色収差(軸上色収差)は良好に補正されており、開放からスッキリとヌケが良く、コントラストで押すタイプの線の太い描写のレンズです。発色は良好で、逆光でも濁りは少なめです。オールドレンズとしての性格は薄いのですが、万人受けする現代的な描写なので、入門向けにはいいかもしれません。

F2.8(開放) SONY A7R2(WB:日光)



F5.6 SONY A7R2(WB:日光)


F5.6 SONY A7R2(WB:日光)




F2.8(開放) 開放からスッキリとヌケが良く、コントラストも良好。線の太めな現代的な味付けです

F5.6 SONY A7R2(WB:日光)





2016/11/21

Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8(M42/Exakta mount) 1st(silver), 2nd(zebla) and 3rd(black) Rev.2



1950年代初頭に登場した一眼レフカメラ用の広角レンズはテッサー(Tessar)やトリプレット(Triplet)など既存のレンズ構成をベースに、それら前方に近視補正用の眼鏡に相当する負のメニスカスレンズを配置する「レトロフォーカス化」と呼ばれる設計アプローチで作られた製品が一般的であった。既存のレンズ設計の助けを借りる必要があったのは、当初まだ複雑な構成のレンズを一から組み上げることが容易でなかったためで、これにはコンピュータによるレンズの自動設計法の登場を待たなければならなかった。自動設計法が実用化されるのは1960年代に入ってからの事である。ところが、レトロフォーカス化による当社のレンズはフレア(コマフレア)が多く発生する画質的には厳しいものばかりで、「一眼レフカメラは広角レンズに弱い」という印象が広まりつつあった。ただし、例外的に高い描写性能を発揮できた手本のようなレンズが存在したため、その後の広角レトロフォーカス型レンズの研究開発はこのレンズに追い付く事を一つの目標に、各社で急ピッチに進められた。 カールツァイス・イエナのフレクトゴン(Flektogon)35mm F2.8である。
フレクトゴンは、はじめから広角レンズとしての適正に富むビオメタール(Biometar)をベースに設計されており、フレアは少なく、ヌケの良いシャープな描写を実現できる当時唯一無二の存在であったため、絶大な人気を誇った。このレンズを模倣したロシアのMIR-1(D.S. Volosov, 1954年設計)がTair-11など他のレンズとともに、1958年のベルギー万博でグランプリを獲得したのは有名な話である。
1960年代に入るとNikkor-H 2.8cmF3.5を皮切りにフレアを有効に補正できるレンズが各社から次々と登場し、コンピュータによる自動設計法の普及にも後押しされ、フレクトゴンに対抗できるレンズがようやく登場するようになった。フレクトゴンの登場から8年後のことである。
ビオメタールから生まれた
ドイツ初の広角レトロフォーカス型レンズ
Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8
フレクトゴン35mmはカールツァイス・イエナ人民公社のレンズ設計士ハリー・ツェルナー(Harry Zöllner)とルドルフ・ソリッシ(Rudolf Sorisshi)がレンジファインダー機のコンタックス(Contax)用に供給されていた広角ビオメタール 2.8/35を一眼レフカメラに適合させるという方針で開発し、1952年に登場させたドイツ初の広角レトロフォーカス型レンズである。ツェルナーはビオメタールの他にテッサーF2.8の戦後型やパンコラー F1.8を設計した人物でもある。抜群の描写性能を発揮したため大人気となり、コンタックスSやプラクチカ、エキザクタ、プラクチナ、ヴェラ(Werra)、中判カメラのペンタコンシックスなどに搭載され、その後の広角レトロフォーカス型レンズの地位向上に大きく貢献した。
フレクトゴンの設計構成のルーツはAlvan G.クラークが設計し1889年に登場したダブルガウスである(下図)。クラークのダブルガウスからはツァイスのルドルフによる設計でプラナー(1897年~)が生み出され、1920年代に同社のメルテによる改良でビオター(Biotar)へと発展している。また、1930年代初頭にツァイスのリヒターが設計した超広角レンズのトポゴン(Topogon)もクラークのダブルガウスからの派生レンズである。明るく諸収差をバランスよく補正できる大口径レンズのビオターと、画角特性に優れた広角レンズのトポゴン。ビオターとトポゴンは戦後に手を組みビオメタールへと発展し、それをレトロフォーカス化したフレクトゴンを誕生させている。
フレクトゴンに至る光学系の系譜:プラナーを祖とするビオターは明るく諸収差をバランスよく補正でき、大口径レンズに適した構成であり、一方のトポゴンは画角特性に優れた広角レンズに適した構成であった。ビオメタールは、これらを前後群に配置した混血レンズとして登場し、両親のそれぞれの長所を比較的高い水準で受け継ぐことに成功した優れたレンズ構成であった。ビオメタールにはツァイス・イエナが中版一眼レフカメラのペンタッコン・シックス(Pentacon six)用に供給した80mm f2.8の標準レンズと120mm f2.8の中望遠レンズ、旧西独Zeiss Ikon社がコンタックス用Biogon 35mmを開発するまでの繋ぎとして、旧東独Zeissに供給を依頼し、ごく短期間のみ生産された広角ビオメタール 35mm f2.8が存在している。フレクトゴンはこの広角ビオメタールを一眼レフカメラに適合させるという方針で生み出された。ビオメタールの前方に負の大型メニスカスレンズ(下図の緑のエレメント)を配置し、バックフォーカスを稼ぐことで、一眼レフカメラ用レンズとしての適性を得ている。負のレンズを据え付けた分だけ光学系のバランスが良くなり、ビオメタールで若干みられたグルグルボケはフレクトゴンではすっかりと補正されている


各モデルで若干異なる仕様
フレクトゴン35mmF2.8には鏡胴の素材にアルミ合金を採用した初期モデル、ゼブラ柄の2代目(一部に革巻き鏡胴)、黒鏡胴で1980年代後期まで製造された3代目のモデルが存在する。デザイン以外にも各モデルには絞り羽の構成枚数やコーティングの種類、最短撮影距離、絞りの制御機構若干の差がみられる。
絞り羽の構成枚数は初期モデルが9枚ともっとも多く、2代目が5枚に減り、3代目が6枚になっている。一般的に絞りの枚数が多い方が点光源のボケが真円に近い形状となり、自然なボケ味が得られるとされている。しかし、フレクトゴンの場合は5枚構成でも絞りを閉じたときの開口部が丸みを帯びた形状になるよう工夫されているので、実写による差違は大きくない。最短撮影距離は初期モデルのみ36cmで、2代目と3代目は18cmまで短縮されている。撮影距離18cmはこの手の広角レンズとしては非常に短く、準マクロ的な撮影が可能である。初期モデルには中玉にシアン系コーティングが用いられているのに対し、2代目と3代目には、この部分がマゼンダ系コーティングに置き換えられている。初代よりも2代目、3代目の方がコーティングの性能は高く、ゴーストやハレーションの抑制効果が僅かに高いぶんだけシャープネスやコントラストも若干高い。ただし、実写では初期モデルでもシャープネスはかなり高く、大きな差を感じることはなかった。目で見る限りでは2代目と3代目のコーティング色に差異は認められなかったので、両者の光学系は完全に同一であろう。1960年代になるとコンピュータによる自動設計法の助けを借りて各社レトロフォーカス型レンズの設計を刷新しているが、フレクトゴン35mm f2.8は初代からの設計構成を維持したまま、35年もの長期にわたり生産されていた。
フレクトゴンは「一眼レフカメラは広角レンズに不利」という既成概念を打ち砕き、レトロフォーカス型広角レンズの地位向上に貢献した歴史的にたいへん意義のあるレンズといえる。このレンズの存在がなければ、一眼レフカメラ全盛時代の到来はもっと遅かったのかもしれない。

入手の経緯
Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8(Silver model, 1st version) M42 mount
このレンズは2013年3月にeBayを経由しギリシャのM42レンズ専門業者フォトピック(スチール22)から入手した。商品の状態はMINT(美品)で「シリアル番号が照合する元箱がついている。ガラスはクリアで傷はない。完全動作する」とのこと。フォトピックは業界では有名な優良業者だ。自動入札ソフトで185ドルを設定し放置したところ167ドル+送料16ドルと手頃な値段で落札されていた。届いた品は僅かな拭き傷がみられる程度で、ガラスも鏡胴も良好な状態。ヘリコイドや絞りの開閉もスムーズであった。
重量(実測) 185g, 絞り羽 9枚構成, フィルター径 49mm, 最短撮影距離 0.36m -α, 絞り F2.8-F16(マニュアル),絞りの制御機構はプリセット, 構成 5群6枚レトロフォーカス型, レトロフォーカス型, M42マウント, フレクトゴンという名称はラテン語の「曲がる、傾く」を意味するFlectoにギリシャ語の「角」を意味するGonを組み合わせたものを由来としている

Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8(Zebla Model, 2nd version) M42 mount
このレンズも2013年8月にeBayを経由しギリシャのM42レンズ専門業者フォトピック(スチール22)から入手した。商品の状態はMINT(美品)で「ガラスはクリアで傷はない。完全動作する」とのこと。自動入札ソフトで225ドルを設定し放置したところ、205ドル+送料16ドルで落札できた。届いた品はガラス、鏡胴ともに完璧に近い素晴らしい状態で、ヘリコイドや絞りの開閉もスムーズであった。ほぼ未使用のオールドストック品であろう。

重量(実測) 225g, 絞り羽 5枚構成, フィルター径 49mm, 最短撮影距離 0.18m -α, 絞り F2.8-F22(マニュアル),絞りの制御機構は自動・手動両対応, 構成 5群6枚レトロフォーカス型, M42マウント


Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8(Black  Model,  3nd  version) Exakta mount
2016年9月にドイツの写真機材を専門とするアナログ・ラウンジから107ユーロ+送料8ユーロの即決価格で購入した。レンズは「良好なコンディションで使用感は少な目。クモリ、カビはない。絞りリングやヘリコイドリングはスムーズに回る」とのこと。このセラーはいつも、このような簡単な記述であり博打的な要素が多少あるが、同時配送に追加料金を取らないサービス精神がある。保有している在庫が多く、新品に近い綺麗なレンズを出すことも多い。今回は状態のいいレンズを手にすることができた。
重量(実測) 225g, 絞り羽 6枚構成, フィルター径 49mm, 最短撮影距離 0.18m -α, 絞り F2.8-F22, 絞りの制御は手動, 構成 5群6枚レトロフォーカス型, Exaktaマウント


特許資料:US2793565(May 28,1957/Filed April 1955)

撮影テスト
1950年代に設計された黎明期のレトロフォーカス型広角レンズは多くがフレア(コマ収差)の補正に課題を残しており、モヤモヤとしたソフトな描写傾向が当たり前のように見られる。一方でフレクトゴンの描写を見ると、フレアは開放から充分なレベルに抑えられており、ハイライト部を大きく拡大表示する場合のみ、僅かなレベルで薄っすらと表面を覆うフレアを確認することができる。画質的にはレトロフォーカス型レンズの設計水準が成熟期を迎える1960年代中期以降の製品と同等といってよいだろう。東独Zess Jenaの技術力はこの時代において、他国のメーカーより10年先を歩んでいたのである。コントラストは開放から良好で発色も良い。ただし、絞り込んでもカリカリとした鋭い階調描写になることはなく、適度な残存収差が軟らかくなだらかな階調描写を実現している。ボケはレトロフォーカス型レンズらしく四隅まで乱れずに安定しており、グルグルボケや放射ボケは全くみられず、2線ボケ傾向もない。広角レンズで時々問題となる色滲み(倍率色収差)はデジタル撮影の際に僅かにみられ、写真の端部で被写体の輪郭部が赤みがかるが、拡大表示でもしなければ目立つことはない。解像力はレトロフォーカス型レンズとしては四隅まで良好な水準を維持している。最短撮影距離が極めて短いのは、このレンズの大きな魅力である。特に2ndモデルと3rdモデルは18cmと極めて短く、準マクロレンズとしても使用できる。描写性能はもちろんのこと、ワイドからマクロまでをカバーでき、使い出のあるレンズである。
F8, 3rd black model+ sony A7(WB:日光): 絞っても階調は軟らかい。中間階調がよく出るレンズだからこそできる、繊細な描写表現。フレクトゴンはやっぱり凄いレンズだ

 
1st SILVER Model
 

F5.6(左), F4(右), 1st silver model + sony A7(AWB): オールドレンズ写真学校で評判だった組み写真。撮影距離に依らず描写性能には安定感があり、室内での撮影にはとても使いやすいレンズだ

F4, 1st silver model + sony A7(AWB): 


F2.8(開放), 1st silver model+sony A7(AWB): 初期のレトロフォーカス型レンズの中に口径比F2.8でここまでシャープに写るレンズは恐らく存在しないだろう





F4, 1st silver model+sony A7(AWB)
F3.5, 1st silver model +sony A7(AWB): 開放から半段絞るだけで、ここまでヌケがよくシャープに写る。開放ではこちらに示すように若干のコマフレアが肌を覆い線の細い描写である。解像力はレトロフォーカス型レンズとしては良好なレベルである
F3.5, 1st silver model +sony A7(AWB, +2/3EV):

上段F2.8(開放)/下段F3.5(半段絞った)。開放(上段)ではコマが覆うが、半段絞ればフレアは消失し(下段)、スッキリとヌケの良い描写になる。解像力はレトロフォーカス型レンズとしては四隅まで良好なレベルである






 
2nd ZEBLA Model
 
F4, sony A7(AWB): 最短撮影距離18cm。マクロ域であるが十分な画質だ


F5.6, sony A7(WB:晴天)


F4, sony A7(AWB)

F5.6, sony A7(AWB)



F3.5, sony A7(WB:晴天)



F2.8(開放), sony A7(WB:晴天)


F2.8(開放), sony A7(WB:晴天): レンズマニアのおじ様たちの幸せそうな笑顔が羨ましい!














 
3rd BLACK Model
 
F5.6, sony A7(WB: 日光)
F8、sony A7(WB:日光)

F5.6, sony A7(AWB)