ソフトな描写の中望遠レンズ

重量(実測)166g, 鏡胴の長さ: 8.5cm, フィルター径40.5cm, 絞り値: F4.5-F22, 最短撮影距離1.7m。カラーはシルバーと黒が存在する。Vコーティングが蒸着されている。プリセット絞りなのでマウント部を見ても絞り連動ピンが出ていない
★入手の経緯
本品は2010年1月にeBayを介し、ドイツの中古カメラ業者から購入した。入札締め切り時間の1日前に50㌦の値をつけていた品である。見た事も聞いた事もないレンズなので興味を持ち、100㌦以下で落札できるなら買いましょうと心に決めての入札であったが、翌日98㌦(約9000円)で落札できていた。送料込みでも1万円程度と安価である。本品の中古相場は100㌦前後だろう。私は最近になってようやくパソコンソフトを用いた自動スナイプ入札をはじめた。使用しているのはBayGenieと言う名の海外のフリーソフトである。締め切り時刻の数秒前にあらかじめ設定しておいた最大額で入札してくれるという優れものだ。これでスナイプ入札がだいぶ楽になったのは嬉しい事だが、正直なところどうも好きにはなれない。欲しい品は自分の手で競り落とすほうが幸せな気分になれる。
★実写テスト
ISCONAR100mmで遂に望遠デビューを果たし今回が2本目の望遠レンズである。このレンズの描写を一言でまとめると「ソフトな望遠」という言葉に尽きる。球面収差を残す光学設計のようで、開放絞りではシャープネスが低く、甘い描写になるのが特徴だ。近接撮影ならともかく遠方の撮影には絞って使うしかない。撮影結果のコントラストは低く、この時代の単層コーティングレンズらしい淡白な仕上がりになる。Bonotarに対する描写テストの結果をまとめると、
●コーティングが単層のため逆光に弱くフレアが出やすい。暗部の締りがなくなり、撮影画像のコントラストは明らかに低いのでフードは必須
●絞り開放では結像がソフトで解像感は不足気味になる。1段絞ってもまだ甘い。球面収差を残す設計のようだ。柔らかくゆるい描写を求めるならば、かえって好都合だ
●ボケ味は柔らかい
描写にはだいぶ特徴(癖)があり面白そうだ。
F4.5 半逆光では豪快にフレアが出る。なかなか個性的な描写だ
F4.5 ピントは中央よりやや右の花。絞り開放では解像感がちと足りない
F5.6 室内での作例。一段絞る程度では解像力は不足気味。光量があるなら、もう一段絞ったほうがよい
フィルター径は40.5mmなので汎用品のフィルターやフードが使用できる
望遠レンズの使用経験の無い私にはソフトな望遠というのがどうもうまく使いこなせない。近接撮影で何か面白い写真が撮れるような気もするが、今はアイデアが浮かばない。