おしらせ

 
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上野由日路x伊藤弘 オールドレンズ写真学校 写真展 vol.4
11月3-5日 場所は原宿 詳しくはこちら スタッフとして参加予定です。

オールドレンズ女子部
12月2日(土) 東京ドームシティ イルミネーション撮影散歩&お茶会 詳しくはこちら

TAIR-41Mのブログエントリーに写真を追加
Oo.ema.oOさんにオリンパスPENで撮影したタイ―ル41M(前記モデル)の写真を提供していただきました。

2009/06/20

オールドレンズでUVカットフィルターを試す

UV(紫外線)カットフィルターってどうなのよ?
誰に尋ねてもハッキリ教えてくれないので自分で試すことに
 世の中には光を効率よく吸収する物質がある。黒い色をした物質はその典型で、人の目に見える可視光を吸収し、熱など他のエネルギー形態に変換している。この類の物質を透明なガラスにくっつけておき、そこを通した光から紫外光のみを落とせばUVカットフィルターとなる。

紫外光や赤外光が写真画像に与える影響
 肉眼で見ることの出来る可視光とは、波長がおおよそ400nmから700nmあたりの光である。このうち波長が長い側の700nm付近になると光は赤に見え、逆に波長が短い側の400nm付近では紫色に見える。波長が可視光域の外側にでると、それが長い側であっても短い側であっても、人の目には見ることができなくなる。このうち可視光域よりも長い波長の光を赤外光、逆に短い光を紫外光とよぶ。銀塩フィルムやイメージセンサーには光の3原色である赤・緑・青を独立に取り込む3つの感光層が設けられている。このうち青い光を取り込む層はフィルムの素材である銀の性質が影響し、青色の光だけでなく、それに近い紫外光にも感光してしまう。紫外光が多い撮影条件の下では青の光成分のみが過多になり、出来上がる写真イメージは肉眼でみたものよりも、モヤがかかったようなヌケの悪い画質になってしまう。そこでUVカットフィルターの出番なわけだ。レンズに光が入る前段階で余分な光を落とし、イメージセンサやフィルムに可視光のみを送り込んでやる。こうすれば肉眼で見たものに近い画像が得られることになる。また、レンズ系内で起こる光の内面反射のうちの紫外光の成分は落とせるので、画質(コントラスト)の向上にもつながる。今のUVカットフィルターは大変よくできており、紫外光をほぼ完全に吸収しながら、同時に可視光はマルチコーティングの助けもかりて99%以上を透過させる。お見事としか言いようがない。
 一方、フィルムの場合、赤い光を取り込む層は赤外線に感光しないので写真を撮る場合には紫外光のみに注意を払い、赤外光は気にしなくてもよい。デジタルカメラのイメージセンサーの場合には若干性質が異なり、紫外光だけでなく赤外光にも感光してしまう。このためデジタルカメラには、はじめから赤外線をブロックする仕組み(赤外光を反射するダイクロイックミラーと赤外吸収ガラス)がローパスフィルターの中にビルトインされている。 
図 あるフィルターメーカーのカタログトに載っていた光の透過率曲線の見取り図。透過率は波長400nm付近でもっとダラダラ変化するのかと思っていたが立ち上がりがスパッと急なので驚いた。これならば、可視光への影響はほぼないと考えても良さそうだ紫外光はもともとガラスなどの媒質中で吸収されやすく、レンズ系のガラス内を通る際にも波長が350nmより短い紫外光は充分に吸収されフィルムやセンサには殆ど到達しない。したがって実際にフィルター自体が活躍するのは、主に波長が350nmから400nmの付近の紫外光に対してである
  
 UVカットフィルターはケンコーやマルミ光機などフィルターメーカーの各社から製品化されている。ところが、今のレンズはどれもはじめからガラス面にUVカット皮膜が蒸着されているため、わざわざフィルターメーカーの製品をつけても殆ど意味が無い[1]。実際、多くのWEBサイトではUVカットフィルターのテスト結果が示され、期待していたほど明確な効果が得られないことが指摘されている。このように存在意義の薄いフィルターだが、UVカット皮膜を持たないオールドレンズに対する効果は大きいはずである。
  
footnote[1]: 強い光源を撮る場合にはレンズの持つUVカット能力の補強にはなるかもしれない。またフィルター自身のガラス内面でおこる紫外光の反射の予防にはなるかもしれない(それなら、はじめからフィルターなんてつけなければよい言われれば、それまでだが・・・)。
  
フィルターのテスト
 今回入手したのはケンコーから発売された最新のフィルターZeta UV L41である。この製品は波長410nm以下の光を吸収し、99.4%以上の可視光を透過させるかなり高性能なUVカットフィルターである。これをオールドレンズの前玉に装着すれば、フィルムやイメージセンサが紫外光に感光するのを防げるし、レンズ系内の光の反射も軽減できる。UVカット皮膜やマルチコーティングが施されていない古いレンズでは、この種のフィルターを付ければ画質は向上し、見た目に近い画像に変化するはず。では、いったい効果はどれほどか。以下のように紫外線の影響が大きくなる条件を狙いテストを行った。

(1)6~7月の正午、沖縄や九州、四国など南方の低緯度地域で撮影する。山の上などの高地もよい。
 
紫外線は大気層の浮遊物質などによって散乱されやすい。太陽が真上にあり太陽光が大気の層を通過する距離が短くなれば、地表には大量の紫外線が到達する。地球が太陽に近づく6月~7月が最も紫外線量が多い。今回は7月8日の午前11:30に熊本の水前寺公園で撮影を行った。
(2)なるべく晴天日を選ぶ
曇っていても紫外線は晴天日の60~80%近くが地表に届く。撮影日は薄っすら雲も出ていたが概ね青空の多い晴天日だった。

(3)水辺や空を入れて遠景を撮影する。
太陽からやって来る紫外線の照り返しを狙い水辺をチョイスする。約10%は反射するそうだ。また、空や遠景を入れることにより、紫外線の散乱光を多く取り込むことができる。今回は水前寺公園の中の水辺脇から遠くの遠景を空を入れて撮影した。
フレームを揃えるためにリミングしてしまったが、元々手前の植木の下に池があり照り返し光を入れている。写真・上はUVカットフィルターなし。写真は下はUVカットフィルター(Kenko Zeta UV L41)を使用。空の色にハッキリと違いがでており、UVフィルターを使用するほうが色が濃くでる。手前の芝生の色も明らかに濃くなっている。使用レンズはRodenstock Heligon 50/1.4 + EOS Kiss X3

空の部分の拡大表示を比較した。左はフィルター不使用。右はフィルター使用結果。そらの色の濃さに変化が見える。
緑の芝生の拡大表示を比較した。写真・上はフィルター不使用。写真・下はフィルター使用結果。芝生の色の濃さに変化が確認できる。

★まとめ
当初、UVカットフィルターにはかなり期待していた。オールドレンズを用いて様々な場所でテストを繰り返したが、ハッキリ言って効果は限定的だった。効果は出ているのだろうけれど肉眼では判断が付かないケースが殆どであるというのがより精確な評価なのだろう。上記のテストケースのように紫外線がレンズに多く入射するような条件が揃わない限り、フィルターをつけていても見た目の画質は向上しない。ノーマルフィルターで充分である。

2009/06/03

ENNA München Lithagon 35mm/F3.5(M42)
エナ・ミュンヘン リサゴン


小さくて軽くて、お洒落なレンズ!
メーカー名も素敵
エナ(ENNA)はドイツ・ミュンヘンの中堅光学機器メーカーである。この社名は創設者のAppelt博士が彼の娘アンネ(ANNE)の名前を反転し銘々してしまったことに由来する。エナにはENNALYTという名のレンズまであるくらいだから、相当な溺愛だったのではないか。リサゴンというレンズ名もどこか女性の名前を連想させるようで可愛らしさがある。本レンズはトリプレット型レンズをレトロフォーカス化した4群4枚という変わった光学系を持つレンズであり、軽くコンパクトな鏡胴に3枚のゼブラリングを持つお洒落れで存在感のあるデザインが特徴である。バックフォーカスの長いレトロフォーカス型の設計としては、最も小粒なレンズの一つではないだろうか。絞りリングがヘリコイドリングと一緒に回転する特殊な構造のため、慣れるまでは少々扱いにくいのが難点だ。M42マウント用とエギザクタマウント用が流通している。後玉が飛び出しているので、EOS 5Dのミラーには干渉するようだ(海外のWEB談)。製造時期は不明だが、WEB上で調べる限り1960年代のようである。
フィルター径:52mm 重量:141g 絞り羽数:8枚 焦点距離/開放絞: 35mm/F3.5 最短撮影距離:50cm 光学系は4群4枚でトリプレットをレトロフォーカス化した構成

入手の経緯M42マウント用の場合、相場は国内のショップでは2万円から3万円位で売られている。エグザクタマウントからM42マウントへの改造品が多く流通し、80~100㌦くらいで売られていることがある。本品は2009年2月に本場ドイツ版のeBayにて150ドルで落札した。相場が100~130㌦くらいなので送料や関税までいれると少々割高な気がしたが、"新品に近い"という触れ込みから、状態はかなり良さそうに思えたので即決価格で落札したわけだ。しかし、届いた商品はフィルター取り付け部の塗装に僅かに擦れがあった。ガラス面と他の部分は美品レベル。まぁeBayなのでこんなもんでしょう。



小さなMZ-3との組み合わせがよく似合う
試写テスト
屋外での撮影の場合、フードをつけても暗部が明るく浮き上がりコントラストが弱くなる。発色は目に見えて淡いし、白とびを起こしやすく明部の諧調表現に粘りがない。開放では距離によって2線ボケが出る事がある。避けたいならば1段絞ったほうが無難だ。本品は間違いなく癖玉であるが、高い画質補正能力を持った一眼デジカメが普及した今、このレンズの良さをもう一度見直してもよい。

まずは露出補正無しでの試写結果 Without adjusting exposure逆光でもないのに暗部が明るく浮いてしまった。コントラストはかなり低めになる傾向だ。明部には美しいハロが出ている。 (F3.5露出無補正)

発色はだいぶ淡くなる。本来もっと青っぽく写るはずのアジサイが淡い水色になってしまった!(露出無補正)
      淡く写るため、本来赤いはずの車がオレンジ色に変色してしまう 


お地蔵様の顔や白い花などのハイライト部が白とびしている。明部の諧調表現に粘りがない
こちらは屋内での写真 。開放では2線ボケがでていた。近景を開放絞りで写す場合には1段絞ったほうが無難だろう。F5.6
撮影環境: Lithagon 35mm/F3.5 + EOS Kiss x3 + PETRI Metal Hood


次に露出を2~3段マイナス側に補正した場合のサンプル(横浜・浅間神社祭)                 暗部がだいぶ改善された

             発色はまだ淡く、赤はオレンジ色気味だ
もやっとしているのはフレアではなく煙がモコモコ出ているため。この焼鳥屋はいつもすごい
こちらはミドリガメすくいのできる変りダネの出店
こちらが本家の金魚すくい。他にもウナギつりがあった・・・。へんなお祭りだ
1段絞れば収差が減り、ボケも悪くない
おもちゃが流れてくるプール
アジサイの撮影にてリベンジ。カメラの設定で発色を濃いめにした。うん。今度はまぁまぁいい発色じゃないか!


青や赤の発色が本来よりも淡くなるのがこのレンズの癖といえる。この点についてはハレ切りや露出補正だけでは改善しきれなかったので、デジタルカメラの画質設定で色を濃くするなど工夫してみた。お洒落な上にレンズの持っている癖が把握しやすいので、これからクラシックレンズで撮影を始める人には学べる点が多く、オススメの一本といえる。


撮影環境: Lithagon 35mm/F3.5 + EOS Kiss x3 +CENTI EA55 メタルフード with step-up ring
CENTI EA55と銘打たれた年代物のメタルフード