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オールドレンズ女子部
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オールドレンズ写真学校12月ワークショップ
今月は12月17日(日)の予定です。まもなく正式な発表と申し込みの開始が始まります。

2009/06/20

オールドレンズでUVカットフィルターを試す

UV(紫外線)カットフィルターってどうなのよ?
誰に尋ねてもハッキリ教えてくれないので自分で試すことに
 世の中には光を効率よく吸収する物質がある。黒い色をした物質はその典型で、人の目に見える可視光を吸収し、熱など他のエネルギー形態に変換している。この類の物質を透明なガラスにくっつけておき、そこを通した光から紫外光のみを落とせばUVカットフィルターとなる。

紫外光や赤外光が写真画像に与える影響
 肉眼で見ることの出来る可視光とは、波長がおおよそ400nmから700nmあたりの光である。このうち波長が長い側の700nm付近になると光は赤に見え、逆に波長が短い側の400nm付近では紫色に見える。波長が可視光域の外側にでると、それが長い側であっても短い側であっても、人の目には見ることができなくなる。このうち可視光域よりも長い波長の光を赤外光、逆に短い光を紫外光とよぶ。銀塩フィルムやイメージセンサーには光の3原色である赤・緑・青を独立に取り込む3つの感光層が設けられている。このうち青い光を取り込む層はフィルムの素材である銀の性質が影響し、青色の光だけでなく、それに近い紫外光にも感光してしまう。紫外光が多い撮影条件の下では青の光成分のみが過多になり、出来上がる写真イメージは肉眼でみたものよりも、モヤがかかったようなヌケの悪い画質になってしまう。そこでUVカットフィルターの出番なわけだ。レンズに光が入る前段階で余分な光を落とし、イメージセンサやフィルムに可視光のみを送り込んでやる。こうすれば肉眼で見たものに近い画像が得られることになる。また、レンズ系内で起こる光の内面反射のうちの紫外光の成分は落とせるので、画質(コントラスト)の向上にもつながる。今のUVカットフィルターは大変よくできており、紫外光をほぼ完全に吸収しながら、同時に可視光はマルチコーティングの助けもかりて99%以上を透過させる。お見事としか言いようがない。
 一方、フィルムの場合、赤い光を取り込む層は赤外線に感光しないので写真を撮る場合には紫外光のみに注意を払い、赤外光は気にしなくてもよい。デジタルカメラのイメージセンサーの場合には若干性質が異なり、紫外光だけでなく赤外光にも感光してしまう。このためデジタルカメラには、はじめから赤外線をブロックする仕組み(赤外光を反射するダイクロイックミラーと赤外吸収ガラス)がローパスフィルターの中にビルトインされている。 
図 あるフィルターメーカーのカタログトに載っていた光の透過率曲線の見取り図。透過率は波長400nm付近でもっとダラダラ変化するのかと思っていたが立ち上がりがスパッと急なので驚いた。これならば、可視光への影響はほぼないと考えても良さそうだ紫外光はもともとガラスなどの媒質中で吸収されやすく、レンズ系のガラス内を通る際にも波長が350nmより短い紫外光は充分に吸収されフィルムやセンサには殆ど到達しない。したがって実際にフィルター自体が活躍するのは、主に波長が350nmから400nmの付近の紫外光に対してである
  
 UVカットフィルターはケンコーやマルミ光機などフィルターメーカーの各社から製品化されている。ところが、今のレンズはどれもはじめからガラス面にUVカット皮膜が蒸着されているため、わざわざフィルターメーカーの製品をつけても殆ど意味が無い[1]。実際、多くのWEBサイトではUVカットフィルターのテスト結果が示され、期待していたほど明確な効果が得られないことが指摘されている。このように存在意義の薄いフィルターだが、UVカット皮膜を持たないオールドレンズに対する効果は大きいはずである。
  
footnote[1]: 強い光源を撮る場合にはレンズの持つUVカット能力の補強にはなるかもしれない。またフィルター自身のガラス内面でおこる紫外光の反射の予防にはなるかもしれない(それなら、はじめからフィルターなんてつけなければよい言われれば、それまでだが・・・)。
  
フィルターのテスト
 今回入手したのはケンコーから発売された最新のフィルターZeta UV L41である。この製品は波長410nm以下の光を吸収し、99.4%以上の可視光を透過させるかなり高性能なUVカットフィルターである。これをオールドレンズの前玉に装着すれば、フィルムやイメージセンサが紫外光に感光するのを防げるし、レンズ系内の光の反射も軽減できる。UVカット皮膜やマルチコーティングが施されていない古いレンズでは、この種のフィルターを付ければ画質は向上し、見た目に近い画像に変化するはず。では、いったい効果はどれほどか。以下のように紫外線の影響が大きくなる条件を狙いテストを行った。

(1)6~7月の正午、沖縄や九州、四国など南方の低緯度地域で撮影する。山の上などの高地もよい。
 
紫外線は大気層の浮遊物質などによって散乱されやすい。太陽が真上にあり太陽光が大気の層を通過する距離が短くなれば、地表には大量の紫外線が到達する。地球が太陽に近づく6月~7月が最も紫外線量が多い。今回は7月8日の午前11:30に熊本の水前寺公園で撮影を行った。
(2)なるべく晴天日を選ぶ
曇っていても紫外線は晴天日の60~80%近くが地表に届く。撮影日は薄っすら雲も出ていたが概ね青空の多い晴天日だった。

(3)水辺や空を入れて遠景を撮影する。
太陽からやって来る紫外線の照り返しを狙い水辺をチョイスする。約10%は反射するそうだ。また、空や遠景を入れることにより、紫外線の散乱光を多く取り込むことができる。今回は水前寺公園の中の水辺脇から遠くの遠景を空を入れて撮影した。
フレームを揃えるためにリミングしてしまったが、元々手前の植木の下に池があり照り返し光を入れている。写真・上はUVカットフィルターなし。写真は下はUVカットフィルター(Kenko Zeta UV L41)を使用。空の色にハッキリと違いがでており、UVフィルターを使用するほうが色が濃くでる。手前の芝生の色も明らかに濃くなっている。使用レンズはRodenstock Heligon 50/1.4 + EOS Kiss X3

空の部分の拡大表示を比較した。左はフィルター不使用。右はフィルター使用結果。そらの色の濃さに変化が見える。
緑の芝生の拡大表示を比較した。写真・上はフィルター不使用。写真・下はフィルター使用結果。芝生の色の濃さに変化が確認できる。

★まとめ
当初、UVカットフィルターにはかなり期待していた。オールドレンズを用いて様々な場所でテストを繰り返したが、ハッキリ言って効果は限定的だった。効果は出ているのだろうけれど肉眼では判断が付かないケースが殆どであるというのがより精確な評価なのだろう。上記のテストケースのように紫外線がレンズに多く入射するような条件が揃わない限り、フィルターをつけていても見た目の画質は向上しない。ノーマルフィルターで充分である。

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