おしらせ


2020/12/02

イベント告知:オールドレンズフェスPREVIEW 2021

本日12月2日~1月4日までの約一か月間、新宿マルイ本館8階イベントスペースにて「オールドレンズフェス2021プレビューギャラリー」が開催されます。今回は写真展示を中心にしたイベントで、土日のみ「TORUO」さんによるレンズ販売が行われます。隣のスターバックスさんのカフェスペースも展示会場内にあり、お茶をしながらの鑑賞も可能です。






2020/11/25

MINOLTA AUTO/MC ROKKOR-PF 58mm F1.4



赤いコニカ緑のロッコール 

虹も飛びだすロッコーラー自慢の
高速レンズ
MINOLTA Auto/MC ROKKOR-PF 58mm F1.4(Minolta SR mount)
1960年代のROKKOR(ロッコール)ブランドにはミノルタが世界で初めて実用化したマルチコーティング(2層のアクロマチックコーティング)が施されており、ガラス面の反射光が緑に輝くことから「緑のロッコール」と呼ばれ親しまれてきました[1]。今年は10月にロッコールのみによるグループ写真展もあり、そろそろブームに火が付きそうな予感がしますので、代表的なレンズであるROKKOR-PF 58mm F1.4を取り上げ紹介したいと思います。この製品は数あるF1.4の大口径標準レンズの中で、いま最も安く手に入れることのできる穴場的なレンズです。安い理由は単によく売れたからで、ミノルタの一眼レフカメラに搭載するキットレンズとして大量に市場供給され、レンズは今も中古市場に豊富に流通しています。オールドレンズの今の値段は、かつての人気と反比例する変なところがあります。

ROKKOR-PFには1961年に登場したAUTO ROKKOR-PFと1966年に登場した後継のMC ROKKOR-PFの2つのモデルがあり、細かな仕様の変更まで考慮すると、AUTOには更に4種類、MCには2種類のバージョンが存在します[2]。2つのモデルは設計が異なるため、描写にも若干の差があります。AUTO ROKKOR-PFは前の記事で取り上げたヘキサノ(HEXANON AR 1.4/57)よりもコントラストに配慮した描写設計のため解像力は控えめですが、そのぶん開放でもフレアは少なく発色は鮮やかで、スッキリとヌケのよい写りが特徴です。バランスの取れた使いやすいレンズだと思います[4]。一方で後継モデルのMC ROKKOR-PFは、再設計による改良で像面湾曲が大幅に補正されるとともに、解像力が前モデルに比べ15%ほど向上しました。前モデルよりも強い過剰補正となり開放ではやや滲みが出ますが線の細い繊細な描写が持ち味となっています。この設計変更は解像力重視からコントラスト重視へと切り替わる時代の潮流と逆行しているかのようにも見えますが、AUTOから一層のマルチコート化が進み、コントラストが向上したことによる画質設定の見直し(微調整)だったと考えれば理解できます。ちなみにMCロッコールのMCはマルチコーティングではなく、メーターカプラーの略です[1]。

両モデルとも半逆光で撮影すると、オールドレンズ女子達の間で今ブームとなっている虹のゴーストが、細く大きな弧を描くように発生します。一芸のある面白いレンズではないでしょうか。

 
ロッコールのレンズ構成は、上図に示すようなガウスタイプを基本とする5群6枚の拡張ガウスタイプで、前群に空気間隔を設けることで中間絞りで膨らむ球面収差(輪帯球面収差)を抑え、解像力の維持とボケ味の改善に取り組んでいます。ただし、F1.4の明るさでこれを実現しているため、曲率の大きな屈折面からは大きな収差が発生しました。どうにも補正しきれない輪帯球面収差を抑え込む最後の手段として、球面収差の補正を過剰にかけますが、代償として開放ではフレアが生じコントラストが低下します。AUTOロッコールPFは過剰補正を緩め、フレアをある程度抑えることでコントラストを稼ぎながらも最低限の解像力を確保したバランス型の設計、MCロッコールPFはコーティング性能の更なる向上でコントラストを稼ぎながら、やや過激なセッティングにチャレンジ、ある程度のフレアを許容しつつ解像力をもう一歩底上げした過剰補正型の設計です[4]。

Auto Rokkor-PF 1.4/58(前期型):重量(実測)316g, 絞り羽 8枚構成, 絞り F1.4-F16, フィルター径 55mm, 最短撮影距離 0.6m, MINOLTA SRマウント, 5群6枚(拡張ガウス型), 1961年登場

Auto Rokkor-PF 1.4/58(後期型):重量(実測)258g, 絞り羽 8枚構成, 絞り F1.4-F16, フィルター径 55mm, 最短撮影距離 0.6m, MINOLTA SRマウント, 5群6枚(拡張ガウス型), 1965年登場
MC Rokkor-PF 1.4/58(前期型):重量(実測)276g,  絞り羽 6枚構成, 絞り F1.4-F16, フィルター径 55mm, 最短撮影距離 0.6m, MINOLTA SRマウント, 5群6枚(拡張ガウス型),1966年登場
MC Rokkor-PF 1.4/58(後期型):重量(実測)284g,  絞り羽 6枚構成, 絞り F1.4-F16, フィルター径 55mm, 最短撮影距離 0.6m, MINOLTA SRマウント, 5群6枚(拡張ガウス型), 1968年登場


 
Auto Rokkor-PF 1.4/58はMINOLTAの一眼レフカメラSR-1/SR-2/SR-3シリーズに搭載するキットレンズとして1961年に登場しました[1]。初期のモデルはフィルター枠の周りがシルバーカラーでしたが、1962年のマイナーチェンジでこの部分がブラックに代わり、1965年のマイナーチェンジではローレット部が長く鏡胴径が一回り小さくなったコンパクトな後期型に変わっています[2]。1966年に登場した一眼レフカメラのSRT-101から新設計で後継モデルのMC ROKKOR-PF 1.4/58が供給されます[3]。MC ROKKOR-PFにも前期・後期モデルがあり、設計は若干異なるようです。ピントリングの指かけ部分(ギザギザの部分)の面が平坦な形状のものが前期モデル、アーチ状に丸く窪んでいるものが後期モデルです。
 
参考文献・資料
[1] アサヒカメラ ニューフェース診断室:ミノルタの軌跡(2001年)
[2]「出品者のひとりごと」MINOLTA(ミノルタ)AUTO RKKOR-PF
[3]「出品者のひとりごと」 MINOTA(ミノルタ)MC ROKKOR-PF
[4] レンズテスト 第1集 中川治平, 深堀和良 クラシックカメラ選書(朝日ソノラマ)

レンズとアダプターの入手
レンズは現在も中古市場に大量に流通しており、値段もこなれています。2020年11月時点のヤフオクでの相場はコンディションによりますが、AUTOが4000円~8000円(送料別)、MCが5000円〜9000円辺りで、MCの方が流通量が少ない分だけ高めのようです。中古店での価格は両モデルとも、もう少し高めの設定でしょう。ただし、発売から50年以上の歳月が経っているため、オーバーホールされないままの来ている場合には、後玉のコーティングがカビに侵食されていたり、ヘリコイドの回転が重くグリスの交換が必要など、コンディション的に厳しい状況にあります。状態の良い個体やオーバーホールされた個体は、それなりの値段になると考えた方がよさそうです。
マウントアダプターはミノルタSRマウント(MD/MC)のものを選びます。ただし、ライカMに変換するMD-LMアダプターには思わぬ落とし穴がありますので注意してください。eBayやヤフオクなどで手に入るこの種の廉価アダプター(中国製のノンブランド)は軒並みフランジバック調整幅が規定の15.7mmより0.3mm長い16.0mmですので、無限がでません(2019年1月に確認し2020年11月にも再確認。改善する気はないみたいです)。さらに、これをベースにリブランドされた製品(NEWYI、YIYO)もやはり16.0mmのため無限が出ません(2020年11月時点)。同じリブランドのFOTOFOXは無限が出ましたので検査・調整されているようです。AMAZONで購入できるK&F ConceptのMD-LMアダプター(中国製)については調整幅15.6mmで無限が出ました。もちろんRayqual(日本製)やKipon(中国製)などの老舗高級ブランドであれば、全く問題はありません。
 
撮影テスト
AUTOとMCは同じ設計構成ですが、開放描写の味付けはやや異なります。AUTOの方は解像力こそ平凡ですが開放からフレアの少ないスッキリとしたヌケの良い描写で、反対にMCの方は緻密で繊細、滲みが入りますが高解像な描写です[4]。どちらのレンズもコントラストは良好で、開放から鮮やかな発色が得られます。ここはミノルタが拘ったところなのでしょう。逆光時はさすがに軟調ですが濁りはでませんので、トーンの軽い軟調気味の描写傾向を楽しむ事ができます。どちらのレンズも半段絞ればスッキリとした描写でコントラストや解像力は更に高く、シャープな像が得られます。ボケ味には癖があります。背後のボケ味は両レンズとも硬めでポートレート域ではワザワザと騒がしくなることがあり2線ボケも出ますが、両レンズとも近接撮影時には収差変動が起こり柔らかいボケ味に変化します。前ボケはMCの方がフレアを纏う妖しいボケ味になり、AUTOの方が素直です。両レンズともグルグルボケや放射ボケが顕著に出ることはありません。逆光時はゴーストやハレーションが出やすいので、避けたいならレンズフードは必須です。

虹のゴーストを出すには晴れた日に①絞りを開放に固定し、②レンズフードはつけず、③太陽を12時の方向に据え2時または10時の方向を向いて撮影すればよいだけです。綺麗な虹を出すにはベストな撮影角度がありますので、少し練習したほうがよいと思いますが、コツを掴めば思いどうりの虹が出せるようになります。フルサイズ機で用いると写真に虹以外にもゴーストの断片がゴチャゴチャと入ってしまいますので、虹をメインで撮る場合にはAPS-C機もしくはマイクロフォーサーズ機の方がよいと思います。

LENS: AUTO ROKKOR-PF 1.4/58
CAMERA: SONY A7R2
DATE: 2020/11/23

Auto Rokkor-PF: F1.4(開放) sony A7R2(APS-C mode, WB:日光)
Auto Rokkor-PF @ F1.4(開放) sony A7R2(WB:日光)
Auto Rokkor-PF @ F2 sony A7R2(WB:日光)
Auto Rokkor-PF @ F1.4(開放) sony A7R2(WB:日光)
Auto Rokkor-PF @F1.4(開放) sony A7R2(WB:日光)

Auto Rokkor-PF @F1.4(開放) sony A7R2(WB:日光)

Auto Rokkor-PF @F1.4(開放) sony A7R2(WB:日光)



Auto Rokkor-PF @F1.4(開放) sony A7R2(APS-C mode, WB:日光)

Auto Rokkor-PF @F1.4(開放) sony A7R2(WB:日光)

Auto Rokkor-PF @F5.6 sony A7R2(WB:日光)
 
未だ半日しか使っていないビギナーですが、これで私もロッコーラーの仲間入りでしょうか(笑)。写真は横浜イングリッシュガーデンで撮りました。
続いてMCロッコール(前期型)での写真です。先輩ロッコーラーでオールドレンズ女子部所属の写真家のどあ*さんにお写真を提供していただきました。MCロッコールの描写はやはり線が細く繊細な感じがします。ボンヤリとした前ボケや形を留めた硬めの後ろボケ、開放での滲みやフレア感などレンズの性質が上手に活かされており、どれも素晴らしいお写真です。虹も綺麗にでていますね。

Photographer: どあ*
Camera: Olympus PEN E-PL6
LENS: MC ROKKOR-PF 1.4/58(前期)
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最後にMCロッコール(後期型)の写真です。なかなか撮りに行く時間がないので、用意ができましたら公開します!