おしらせ


2023/01/22

YASHICA YASHINON-DX 32mm F1.7 converted to SONY E mount

フランジバック 28mm 鏡胴径50.5mm
ミラーレス機陣をはね退ける難攻不落のレンズ改造

Yashica YASHINON-DX 32mm F1.7 designed for YASHICA electro half

YASHICA electro HALFという、やや珍しいハーフサイズカメラの故障品を入手したので、分解してレンズヘッド部を救出しM42ヘリコイドに移植してデジタルミラーレス機で使おうとしたところ・・・久々に凍りました。フランジバックがとても短く何と28mm程しかありません。29mmならライカMにするところですが、まさかの28mmです。それなら最短の短い10-15mmあたりのM42ヘリコイドを用意し、1ミリ程度ヘリコイドの間口から沈胴させる奥の手をつかい、ミラーレス機で無限遠のフォーカスを拾えるようにするのが最後の手段なのですが、なんとレンズヘッドの鏡胴径が50.5mmもあり、ヘリコイドの間口に収まりません。ちなみにカメラに元々付いていたヘリコイドはマウント部の形状が複雑なため、光軸に対する垂直面を確保できずに流用できない事がわかっています。手も足も出ないというのはこの事で、ネットを広く探してみたものの、このレンズの改造に関する情報が全く無いワケを痛感したのでした。しばらく途方にくれ放置していると、eBayで最短が10mmで間口がM52の市販ヘリコイドを見つけ、再び改造に挑戦する勇気が湧いてきました。結果はギリギリ成功です。

eBayで購入したM52-M42ヘリコイド(10-15.5mm)。25ドル前後で購入しました。今回の改造を成功させた立役者です。ノギスで厚みを測ってみたところ、最短側は少し短めの9.6mmと、めちゃくちゃ薄い!。今回はコレと、M42-SONY Eスリムアダプターを用いてレンズの改造に当たります


さて、eBayからヘリコイドを入手したところで妙案が浮かび、一気に解決の道が拓けます。それは、52mm径のレンズ保護フィルターに付いているトリムリングを外し、レンズマウントの外周部の段差に据え付けるというもの。しかも、私の手に入れたトリムリングは下の写真のように外周部の段差に寸分狂わずにピタリとはまり、狙っていたかのようにネジ山だけが外側にはみ出すのです。これで、レンズヘッドをM52ヘリコイドの間口へと沈胴させながら装着することが可能となりました。試してみたところ1mm程度沈胴させたところで無限遠のフォーカスが拾えます。最後にヘリコイドのカメラ側をM42-SONY Eスリムアダプターで末端処理して完成。レンズをSONY Eマウントのカメラで使用できるようになりました。

左のようにレンズのマウント部にUV保護フィルターから取り出した外径52mmのトリムリングを据え付けます。鏡胴端に都合よくピタリとハマる段差があり、ここにジャストフィットしましたのでメタルロックでエポキシ固定します。トリムリングには色々な素材のものがありますが、樹脂製のものでは耐久性が足らないので、金属製のものを探すことをすすめます

完成したYASHICA YASHINON-DX 32mm F1.7(Yashica electro HALF用) : フィルター径 30mm, 設計構成 4群6枚ガウスタイプ, 絞り F1.7-F16, 絞り羽 5枚構成



難度の高いマウント改造のため、レンズをデジタルカメラで撮影した事例はネット上にも皆無のようです。ワクワク感が止まりません。

レンズの設計構成は4群6枚のガウスタイプで、ハーフサイズカメラに準拠したイメージサークルを持ちます。APS-C機で用いるのが最も相性の良い組み合わせです。フルサイズ機で用いると四隅に広めのダークコーナーが発生してしまいます。今回はSONY A7R2にて、APS-Cクロップモードにてレンズを使用することとしました。

撮影テスト

YASHINONブランドには優秀なモデルが多く、堅実な写りを期待することができます。開放では拡大表示で判別できる程度の微かな滲みと四隅の光量落ちが見られ、雰囲気重視の画作りができます。1段絞れば写真全面でシャープになり、スッキリとヌケの良い描写です。背後のボケは適度なざわつきがみられますが、極端に硬いわけではなく、ごく普通。ぐるぐるボケや放射ボケが目立つことはありません。逆光では虹のゴーストが出ます。

F4, SONY A7R2(APS-C mode, WB:日光) 思ったとおりの優秀なレンズです

F1.7(開放) SONY A7R2(APS-C mode, WB:日陰) 開放では細部に滲みがみられる雰囲気重視の画作りになります

F4 SONY A7R2(APS-C mode, WB:日陰)  絞ればこの通りキリッとうつります
F1.7(開放)開放でド逆光の中、今回もレオ様が登場です。臨場感がよくでています
F1.7(開放) SONY A7R2(WB:日光, APS-C mode) ぐるぐるボケは強く出たそしてもこんな程度までです

F1.7(開放) SONY A7R2(APS-C mode, WB: 日光) 開放では逆光で虹もよく出ます
F1.7(開放) SONY A7R2(APS-C mode, WB:日光)
F1.7(開放) SONY A7R2(APS-C mode, WB:日光)

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