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2025/06/11

Setagaya Koki MAMIYA-SEKOR F.C. 58mm F1.7


こうした隠れた名玉を掘り起こし紹介できることこそ、ブログを執筆する醍醐味であり、冥利に尽きる瞬間です。ミドルレンジのレンズとして史上初めてF1.7という明るさに到達した本製品には、技術的に未成熟だった時代のレンズにしか持ちえない刹那的な輝きが存在します。このレンズに備わった独特の描写力は、今なお一部の熱狂的なファンの心を捉えて離しません。

1960年登場、時代を先取りした世田谷光機の大口径標準レンズ  part 1

Setagaya-koki MAMIYA-SEKOR F.C. 58mm F1.7 (EXAKTA mount)

開放F1.7の標準レンズが市場に数多く登場するのは、カラー写真が一般に普及し始めた1970年前後のことです。光学メーカー各社はこの時期、わずかでも明るいレンズを製品化することで市場競争における優位性を確保しようと、技術開発にしのぎを削っていました。

しかし驚くべきことに、そうした時代の到来を10年も先取りするかたちで、すでにF1.7の明るさを実現した製品が存在していました。それが、1960年に登場したSEKOR F.C. 58mm F1.7です。世田谷光機がマミヤの一眼レフカメラ向けにOEM供給したこのレンズは、モノクロ写真に最適化された旧来の設計理念のもとで開発されたものであり、時代の先端を行くスペックを備えながらも、描写には独特の柔らかさと味わいが宿っています。

描写傾向としては、やや軟調でソフトな印象ながらも、解像力に偏重した線の細い繊細な描写が得られ、古典的なモノクロ写真との相性は抜群です。焦点距離は一般的な標準レンズよりやや長めの58mm。これは当時の技術的制約により、50mmでは後玉が一眼レフのミラーと干渉してしまうため、十分なバックフォーカスを確保する必要から採用された仕様とされています。58mmという焦点距離は、標準レンズと呼べるギリギリの落としどころでした。

興味深いのは、焦点距離を長めに設定したことでレンズの口径が副次的に大きくなり、結果として本レンズは50mm換算でF1.47相当の明るさを実現しています。これはハイエンドクラスのレンズに匹敵する大きなボケ量を生み出す設計であり、思わず得をしたような気分になりますが、ここは技術の未成熟がもたらした予期せぬ贈り物として受け止めるべきでしょう。

1960年当時、日本の光学メーカーはまだコンピューターによる自動設計技術を導入する前の段階にあり、このレンズは手計算によって設計された最後の世代の製品と位置づけられます。また、酸化トリウムなどを含む高性能なガラス硝材が国内で使用可能になる以前の時代でもあり、焦点距離も口径比も限界ぎりぎりの設計の中で、あえて背伸びするように生み出されたこのレンズには、どこか人間的で、目を奪われるような不思議な魅力が宿っているのです。

 

Mamiya PRISMAT NP(1961年発売)とSEKOR F.C. 58mm F1.7

 

このレンズは、19601月に輸出専用の一眼レフカメラ MAMIYA PRISMAT CLP に搭載される交換レンズとして初登場しました。続いて、国内向けに発売された MAMIYA PRISMAT NP1961年)、その輸出モデルである Sears TOWER 37 シリーズ(同年)、さらに PRISMAT WP1962年)にも供給され、ラインナップを広げていきます。

その後、設計変更が施され、高屈折・低分散の酸化トリウムを混ぜたガラス硝材を用いた、いわゆる放射能レンズを採用した後期型が登場。これは1964年発売の MAMIYA PRISMAT CP 用交換レンズとして供給されました。後期型は描写性能の向上が図られており、光学的にも優れた完成度を誇ります。

レンズの光学設計は、下図に示すような46枚構成のオーソドックスなダブルガウスタイプです。開放F1.7を達成するために、前群には分厚い正レンズを配置し、屈折力を確保しています。一般的にこのクラスのレンズでは、貼り合わせ面を外して空気層を挿入する構成が採用されることが多いのですが、本レンズではすべて貼り合わせ構成となっており、設計思想の違いがうかがえます。

 

設計構成は4群6枚のオーソドックスなガウスタイプです。左が被写体側で右がカメラの側となります


アダプター選びにご注意を

本レンズのマウントはEXAKTA規格ですが、鏡胴には絞り制御をカメラ側からレンズへ伝達するためのアームが突出しており、これが物理的な干渉要因となるため、MAMIYA PRISMAT以外のEXAKTAマウントカメラには装着できません。

ただし、マウントアダプターを介せば、デジタルミラーレス機での使用は可能です。私自身は、Rayqual製のEXA-LMアダプターを用いて、まずレンズマウントをライカM規格に変換し、そこから各社ミラーレス機にブリッジ接続する方法を採用しています。ライカM規格に変換してしまえば、豊富なアダプターを経由して多様なミラーレス機に対応できるため、実用性は高いと言えるでしょう。

なお、一般的に流通している中国製のEXAKTA-LMアダプター(こちらのノンブランド品)では、絞り連動アームがアダプター側面に干渉してしまい、そのままでは装着できません。どうしてもこのアダプターを使用したい場合は、側面を物理的に削るなどの加工が必要になります。一方、K&F製のアダプターでは干渉が生じないため、比較的安心して使用できるようです。

 

MAMIYA-SEKOR 58mm F1.7(Prismat WP用): 絞り F1.7-F22,  フィルター径 52mm, 重量(実測) 320g, 最短撮影距離 0.5m,  絞り羽 9枚, EXAKTAマウント
 


レンズの中古相場

本レンズは、国内のネットオークションや中古カメラ店では、カメラ本体とセットで出品されることが多く見られます。取引価格は、ジャンク品でおおよそ5,000円前後、動作品であればコンディションに応じて1万円〜2万円程度が相場です。

レンズ単体でも一定数流通しており、未整備品であれば5,000円前後、状態の良い個体では1万円〜13,000円程度で取引されています。なお、このレンズには絞りリングのクリックストップが効かないという故障が比較的多く見受けられます。これは内部のストッパー用の棒芯が折損していることが原因で、構造上、修理は困難と考えられます。

このような個体に当たってしまった場合は、分解して絞り制御用のバネを取り外し、クリックストップのない状態で使用するという割り切った運用が現実的な対処法となります。

撮影テスト

予想どおり、本レンズは非常に美しい描写を見せてくれました。開放では画面中心部のみがシャープに描写され、周辺部にはごく薄いフレアがかかり、被写体の表面を柔らかく包み込むような質感が得られます。まさにオールドレンズならではの描写です。

とはいえ、ピント面の像は画面の四隅に至るまで緻密に解像されており、線の細い繊細な描写が印象的です。開放時にはフレアの影響でコントラストはやや控えめとなり、トーンは緩やかで滑らか。味わい深い描写を楽しむことができます。

ボケ味はやや硬めで、輪郭を残したザワつきのある後ボケが特徴的です。一方で前ボケはフレアに包まれ、非常に柔らかく溶けるような描写を見せます。全体として、解像力を優先した過剰補正気味の設計であることが、ボケの性質からも間接的に読み取れます。後のカラー時代のレンズではコントラスト重視の設計が主流となるため、ここまでの補正はあまり見られません。

また、近接撮影では背景にぐるぐるボケが現れることもあり、オールドレンズらしい個性を楽しめます。絞りの効きも良好で、絞り込むことで描写は一変し、キリッとしたメリハリのあるトーンと、すっきりとした解像感が得られます。

今回の撮影には、デジタル・フルサイズ機の Nikon Zf と、中判デジタル機の Fujifilm GFX100S を使用しました。いずれのボディでも、このレンズの持つ独特の描写特性を存分に引き出すことができました。 

  

 

 Fujifilm GFX100S 

このレンズは、富士フイルムの中判デジタル機 GFX シリーズでも使用可能です。GFXシリーズが採用する44×33mmの中判センサーは、レンズの設計定格より一回り大きなイメージフォーマットであるため、四隅にはっきりとした光量落ちが見られます。ただし、ケラレに至るほどではなく、実用上は問題のないレベルに収まっています。

また、像の流れも四隅に若干見られますが、これはフォーマットサイズの違いによるものであり、ある程度は避けられない現象です。それでも、通常の撮影用途においては十分に使用可能であり、オールドレンズならではの描写を中判センサーで楽しむことができます。

F1.7(開放) Fujifilm GFX100S (セピア, WB Auto) exp
F1.7(開放) Fujifilm GFX100S (セピア, WB Auto)








F1.7(開放) Fujifilm GFX100S (セピア, WB Auto) 

F1.7(開放) Fujifilm GFX100S (セピア, WB Auto) 

F1.7(開放) Fujifilm GFX100S (セピア, WB Auto)

F1.7(開放) Fujifilm GFX100S (セピア, WB Auto)


F1.7(開放) Fujifilm GFX100S (セピア, WB Auto)

F1.7(開放) Fujifilm GFX100S (セピア, WB Auto)





















  

Nikon Zf

 

F1.7(開放) Nikon ZF(WB 日陰)

F1.7(開放) Nikon ZF(WB 日陰)
F1.7(開放) Nikon ZF(WB 日陰)
F1.7(開放) Nikon ZF(WB 日光)
F1.7(開放) Nikon ZF(WB 日光)
F1.7(開放) Nikon ZF(WB 日光)

F1.7(開放) Nikon ZF(WB 日光)

F1.7(開放) Nikon ZF(WB 日光)

F1.7(開放) Nikon ZF(WB 日光)












































 

 






このレンズを好むのは、マニア層の中でも決まってかなりの水準の人達に限られています。どうかこのまま広く知られることなく、隠れ名玉であり続けてほしいと願っています。


2020/09/18

TOPCON AM/RE TOPCOR 55mm F1.7 and MAMIYA-SEKOR CS 50mm F1.7

解像力(分解能)を重視したTOPCOR(トプコール)は線の細い繊細な描写を持ち味としています。これに対し、コントラストを重視したマミヤのSEKOR(セコール)は線の太い力強い描写で、スッキリとした透明感のある写りと高いコントラストが持ち味です。解像力とコントラストを高いレベルで両立させれば優れた質感表現を可能とするシャープなレンズになりますが、これらをレンズ設計で両立させるのは難しく、突き詰めるとトレードオフの関係になってしまいます。両者のどちらにどれだけの重みを置くのかは光学メーカーそれぞれの設計理念で決まりました。この設計理念こそがオールドレンズの性格、描写の味を決める決定要因の一つとなっているわけです。ベストな解の無い事がレンズの描写設計に多様性をもたらしているというのは、たいへん興味深いことだと思います。さて、今回とりあげる2本は全く異なる性格のレンズですので、これらの比較からも様々な事が学べそうです。

トプコールとセコール

対極的な設計理念でつくられた2本のレンズ

Topcon RE/AM TOPCOR 55mm F1.7 vs Mamiya SEKOR CS 50mm F1.7

TOPCOR 55mm F1.7はTOPCON(旧・東京光学)が設計し、下請けメーカーのシマ光学(後のシィーマ)がOEM生産した標準レンズです。TOPCONはこのモデルを最後にカメラ事業から撤退していますので、実質このレンズが復刻版を除く最後のトプコールとなりました。レンズはシマ光学が製造した一眼レフカメラのTOPCON RE200(1977年発売)/RE300 & RM300(1978年発売)とともに市場供給されています。これらのカメラには異なるマウント規格が採用されており、旧来からのエキザクタ・マウントを採用したRE TOPCOR (RE200/RE300用)と、ペンタックスKマウントを採用しガラス面にマルチコーティングが施されたAM TOPCOR (RM300用)があります。

AM TPCOR MC(左)とRE TOPCOR(右):デザインは同じだが、AM TOPCORはマルチコート化されている

レンズ構成は下図のような4群6枚のオーソドックスなガウスタイプで、前玉に肉厚レンズを配置して屈折力を稼ぐことでF1.7の明るさを実現しています。このレンズ構成で口径比をF1.7まで明るくしたレンズは大きく膨らんだ球面収差(輪耐球面収差)を過剰補正で抑え込む設計が多く、反動で開放ではフレアが多めに出ますが、芯のある緻密で繊細な開放描写を特徴とし、1~2段絞ったあたりで極めて高性能レンズへと化けるなどの長所もあります。本レンズにもこうした性質が備わっており、解像力を重視した設計理念を公言していた東京光学らしい味付けとなっています。ただし、レンズ設計の潮流は解像力からコントラストやヌケの良さを重視する時代へとシフトしていましたので、このレンズに対するカメラ雑誌の評価は酷いものでした[1]。古臭い前時代的な描写設計といった評価だったのでしょう。

近年、デジカメの高画素化とともに、この種の線の細い描写設計が再評価されるようになりました。これは本当に素晴らしいことだと思います。高コントラストで高解像、レンズの描写が画一化してしまった現代において、オールドレンズを使う人々は、こうした古い描写設計のレンズにも価値観を見出し、活路を拓こうとしているのです。 

続いてはMAMIYA SEKOR CSシリーズですが、このレンズはマミヤ光機(現マミヤ・デジタル・イメージング)が1978年に発売した一眼レフカメラのMAMIYA NC1000/ NC1000Sに搭載する交換レンズとして市場供給されました。マミヤの標準レンズと言えば1961年に登場したSEKOR FCが開放値F1.7で他社よりも早く登場しています。

レンズ構成は口径比F1.7のレンズの典型と言える5群6枚の拡張ガウスタイプで、前群の張り合わせを外すことで球面収差の膨らみ(輪帯球面収差)をある程度まで効果的に補正できます。写真用レンズの解像力に関してMAMIYA設計部には銀塩カラーネガフィルムの記録密度(25線/mm)を下回らなければ十分だという理念がありましたので、解像力よりもコントラストやその他の補正を重視している点が同社のレンズ設計のカラーなのかもしれません[2]。このレンズもバランス重視の安定した描写で、現代のレンズに近い高性能な製品となっています。レンズ設計のカラーについては、今後マミヤのレンズをいろいろ試す中で検証してゆきたいと思います。

MAMIYAは頻繁にマウント規格を変更したカメラメーカーでもありました。このNC1000シリーズにも独特でマイナーなバヨネットマウントが採用されており、アダプターの入手には一苦労しました。

SEKOR CSを搭載したMAMIYA NC1000S(左)とAM TOPCORを搭載したTOPCON RM300(右)







参考文献・資料

[1] カメラ毎日別冊『カメラ・レンズ白書1979年版』毎日新聞社

[2] 朝日カメラ(別冊)「郷愁のアンティークカメラIII」レンズ雑学辞典 1993年12月: 小穴教授のXenotarの記事中に参考になる情報があります

[3] カメラレビュー別冊「クラシックカメラ専科」36号「マミヤのすべて」

[4] MAMIYA NC1000 Instructions (製品カタログ)

[5] TOPCON CLUB


入手の経緯

AM TOPCORは2020年3月にスペインのカメラ屋がeBayに一眼レフカメラのRE300とセットで出品していたものを入手しました。このカメラとレンズは海外への輸出用モデルでしたので、国内市場で見つけるのは困難です。購入価格は送料込みで15000円とややお高めの設定でしたが、カメラ・レンズともにオーバーホールされており、コンディションもMINT (美品)とのことでしたので迷わず購入しました。国内ではシングルコート版のRE TOPCORが流通しており、オークションでの相場はコンディションの良い個体(レンズ単体)で5000円~10000円程度です。

SEKOR CSは2020年3月にヤフオクにて一眼レフカメラのMAMIYA NC1000Sとセットで5000円で購入しました。カメラとレンズはともに綺麗な状態でしたが、レンズの方はヘリコイドがスリップするようなトルク感でグリス抜けの状態でした。ヤフオクでの相場はカメラとセットでも5000円程度、程度の良い個体でも10000円以内で買えます。アダプターの市販品が入手困難のため、あまり人気のない商品のようです。


撮影テスト

TOPCON AM TOPCOR MC 55mm F1.7:  開放では前ボケ側にフレアがたっぷりと発生する柔らかい描写傾向で、ハイライト周りも滲みが出ますが、直ぐにこれが計算された描写である事に気づかされます。ピント部は中央のみならず広い範囲まできっちり解像しており、繊細な画作りができます。驚いたのはコントラストで、これだけフレアが出ているのにも関わらずコントラストは依然良好で発色も鮮やかです。有名な同社のRE TOPCOR 58mm F1.4にも通じる描写理念をこのレンズからも感じることができます。ボケには安定感があり、背後のボケは四隅まで乱れる事はありません。一段絞るとフレアが劇的に消滅しスッキリとしたヌケのよい描写に変わります。絞りのよく効くレンズです。

AM TOPCOR @ F1.7(開放) sony A7R2(WB:日陰)コントラストは開放でも高く発色も鮮やかです

AM TOPCOR @ F1.7(開放) sony A7R2(WB:曇天)


AM TOPCOR @ F1.7(開放) sony A7R2(WB:曇天)
AM TOPCOR @ F1.7(開放) sony A7R2(WB:曇天)中心解像力は突出して高いレベルではありませんが、画面の広い範囲にわたり良好な解像力が出ています。一部を拡大した写真を下に示します
中央と上部の隅を拡大したもの。解像力は写真の広い範囲にわたり十分なレベルです


AM TOPCOR @ F1.7(開放) sony A7R2(WB:日陰)




説明を追加


AM TOPCOR @ F1.7(開放) sony A7R2(WB:日光)
AM TOPCOR @ F1.7(開放) sony A7R2(WB:日光)

AM TOPCOR @ F1.7(開放) sony A7R2(WB:日光)前ボケ側にフレアがたっぷり出ます。ピント部はやっぱり解像力があります
AM TOPCOR @ F1.7(開放) sony A7R2(WB:日光)一部を拡大したのが下の写真
上の写真を100%クロップで拡大した写真。フレアは出ていますが、十分に高い分解能で、解放から緻密な描写のレンズであることがわかります


 
MAMIYA-SEKOR CS 50mm F1.7 :開放でも滲みは全く見られず、スッキリとしたヌケの良い描写と鮮やかな発色を特徴とする高コントラストなレンズです。解像力は控えめで、絞ればエッジの効いたカリカリ描写になります。現代レンズにも通じる味付けですので、オールドレンズユーザーには好みの分かれるところかと思います。発色は逆光時にクールトーンにコケる傾向があります。背後のボケは柔らかく素直で、ポートレート域でもザワザワすることはあまりありませんし、グルグルすることもありません。無理のない完全補正型レンズの優等生です。
SEKOR CS @ F1.7(開放) + SNY A7R2(WB:曇天) 開放でも滲みはなく、コントラストも良好で発色も鮮やかです。歪みもほぼありません



SEKOR CS @ F1.7(開放) + SNY A7R2(WB:曇天) 天候が崩れ気味で曇空でしたが、緑が鮮やかに写っています
SEKOR CS @ F1.7(開放) + SNY A7R2(WB:曇天)  バランスを重視した完全補正型のレンズのため、背後のボケは綺麗。背後の玉ボケも光の強度が均一です

SEKOR CS @ F1.7(開放) + SNY A7R2(WB:曇天) 

SEKOR CS @ F1.7(開放) + SNY A7R2(WB:曇天) ずーっと開放です




SEKOR CS @ F1.7(開放)+sony A7R2(AWB) 
 

SEKOR CS @ F1.7(開放) + SNY A7R2(WB:曇天) 逆光にもある程度耐えます
SEKOR CS @ F1.7(開放) + SNY A7R2(WB:曇天) 
SEKOR CS @ F1.7(開放) + SNY A7R2(WB:曇天) ボケの綺麗なレンズですね
SEKOR CS @ F1.7(開放)+sony A7R2(WB:日陰) 
SEKOR CS @ F1.7(開放)+sony A7R2(WB:日陰) 

SEKOR CS @ F8+sony A7R2(AWB) 深く絞るとちょっと逆光でちと回折気味になり、中央にややハレーションが出ます

SEKOR CS @ F8+sony A7R2(AWB)  絞るとカリカリ描写。なんだかジオラマみたい





両レンズの解像感(シャープネス)の比較
今回も木馬を使って両レンズのピント部の解像感(シャープネス)を比較しました。ポートレート域で人物を撮影する事を想定し、被写体までの撮影距離を1.5m程度に設定して撮影しています。マクロ用レンズではありませんから近接撮影で比較しても意味がありません。画質の評価には下の写真内の赤枠部を100%にクロップした拡大写真を用いました。高画素機として知られるSONY A7R2を使いましたので、画像の記録密度は一般的な銀塩カラーネガフィルムの4倍程度です。両レンズとも絞りは開放とし、シャッタースピード等の条件を固定して撮影しています。
AM Topcor @ F1.7(開放) SONY A7R2(WB:日陰)

コントラストが高ければ発色も鮮やかですし、スッキリとしたヌケの良い描写のレンズとなりますが、それだけではシャープな像にはなりません。今さら言うのも諄いのですが、高い解像力(分解能)とコントラストが両立した時に、はじめて解像感に富むシャープな像が得られます。
上の写真の一部を切り出したのが下の写真です。TOPCORほど解像力はありませんが、MAMIYAのカリカリ描写は見た目には十分な解像感を与えています。ただし、フィルムの記録密度を想定した解像力のため、例えば目の周りの質感に目を向るとトーンのつなぎ目が飛んでおり質感表現がベッタリとしているなど、既に分解能が限界に達しています。一方、TOPCORの解像力にはまだ余裕があり、もう一歩拡大しても緻密な質感表現を維持できそうです。コントラストも素晴らしいレベルです。
 
解像力はTOPCORの勝ち、コントラストは引き分け。TOPCORの方がトーンのつなぎ目がなく階調がよく出ており、細部までキッチリと描き切る解像感に富んだ像ですが、エッジの効いたSEKORの画も見た目には十分な解像感を与えます。SEKORは解像力がSONY A7R2の4240万画素を活かしきれずにサチっているようです。ただし、このように大きく拡大でもしない限り、両レンズのシャープネスに大きな差は見出せません。
評価は互角ですがトーナメント方式ですので、ジャッジしないといけません。フレアを容認しながらも解像力を重視したTOPCORでしたが、コントラストはMAMIYA CSと比べ遜色ありません。この点(踏ん張りどころ)は考慮すべきでしょう。TOPCORに軍配を挙げたいとおもいます。