おしらせ


2010/06/05

シュナイダーとイスコ 第3弾: Schneider-Kreuznach TELE-XENAR 150/5.5 テレクセナー


アメリカンバイクの似合う
レザーメタル調のデザインが魅力
Xenar(クセナー)はシュナイダー・クロイツナッハ社のテッサー型レンズ(3群4枚)につけられるブランド名だが、tele-xenar(テレクセナー)は代々テッサー型ではなく、4群5枚構成とのことだ(同社HPの「ビンテージレンズデータ」を参照)。今回入手した150mmのTele-xenarはシュナイダー社が1951年に製造した単焦点望遠レンズで、対応マウントにはM42用とEXAKTA用が存在する。鏡胴の材質には真鍮が用いられており、手に取るとズシリと重い。重量を量ってみたところ352gもあるのでビックリした。機構面での特徴は絞り羽根が何と19枚もあることと最小絞り値がF32まであること。大した拘りだが、こんなに羽根があったら重くなるのも当然だろう。当時のプロユースを意識したレンズと言えそうだ。
絞り機構にはカメラとの連動を一切行わないプリセットという方式が採用されている。絞り羽根はリングの回転に応じて無段階で開閉する。頑丈な造りと個性的な鏡胴のデザインが特徴のレンズだ。これに髑髏シールでも貼って使用したら撮影の楽しさが大きく膨らむ。


フィルター径:ネジ山なし, 重量(実測):352g, 絞り値:F5.5-F32, 絞り機構はプリセット, 最短撮影距離:2m, 光学系の構成は2群4枚Bis-telar型, 絞り羽根数:19枚, 本品はEXAKTAマウント用だがM42マウント用の品も存在する
Tele-Xenar F5.5の設計構成:Australian Photography Nov. 1967, P28-P32からのトレーススケッチである。2群4枚のBis-Telarタイプ(望遠基本タイプ)である。後玉の正パワーを弱めることでテレフォト性を稼ぎ光学系の長さを短縮させている


★入手の経緯
本品は2010年3月にeBayを介して米国サウスキャロライナの質屋から送料込みで総額100㌦程度で購入した。この業者はカメラ専門ではないためやや不安ではあったが、高価なレンズではないし、オークションの解説も詳しく丁寧だったので博打的に購入してみることにした。入札は13件と大して盛り上がらなかった。解説では前玉側から見るとレンズの端部に汚れがあるとのこと。届いた品を覗いてみると単に混入したホコリが溜まっているだけであった。古いレンズなのでホコリの混入が無いものは皆無。清掃するほどでもないし、この程度の事を気にしてはオールドレンズなんて買えません。

★テスト撮影
このレンズは鏡胴の格好の良さに惹かれ、それだけで購入してしまった。描写には全く期待していなかったのだが、使ってみたところかなり味わい深い撮影結果が得られることがわかった。発色は淡泊でコントラストは低いなど、いかにもモノクロ撮影の時代のレンズに共通する特徴が出ている。ところが色が薄くなり無駄な色が落ちたことにより白や黒の主張がグッと増し、何でもない物がよく使い込まれ手に馴染んだ物のように見えてしまうのだ。過去に取り上げたモノクロ時代のレンズとは何か一味違う印象を受ける。
シャープスは高く、絞り開放から甘さはない。中間階調が省略気味で、暗部が黒つぶれし明部が白飛びを起こしやすいなど階調変化に粘りがない。やや糸巻き状の歪みが出ている。以下作例。

F8 このレンズのデザインは私の頭の中でアメリカンバイクのイメージと重なる。テスト撮影でまずはバイクを撮ろうと決めていた。晴天下での撮影の場合には写真左のようにフレアが発生しシャドーが浮気味になるのでフードの装着、撮影結果に対するレベル補正は必須となる。左は無補正、右は補正後
F8 バイクをもう一枚パシャリ。強い直射日光の降り注ぐ晴天下。白飛びや黒つぶれはあるも、なかなかまともな描写ではないか
F5.5 「うお。いい味出してるな!」と、このレンズの描写力を見直してしまった一枚だ
F8 デジタルカメラにつけて撮っているのに、なんだかフィルムで撮っているような感覚を覚える
F11 バリッとした硬質でシャープな描写だ
F11 所持しているEXAKTA-EOSマウントアダプターがちゃんと無限遠点のピントを拾っているのかテストしてみた。数百メートル先の遠景を撮影している。合焦マークは点灯しているものの、やや甘いかな?
F8 最短撮影距離が2mなのでこの距離感で近接撮影領域になる。暗部がやや黒潰れ気味だが綺麗にとれている

★撮影機材
Tele-xenar 150/5.5 + MAMIYA 2眼レフ用被せ式フード(42mm内径)


Tele-Xenarは古いレンズの持ち味を充分に楽しむことができる一本だ。次回は髑髏のシールを貼ってお出かけしてみたい。

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