滲みは控えめですが、それでも凄い
ブラック・ベロスティグマート
Wollensak Cine-Velostigmat 25mm(1inch) F1.9 C-mount
滲み系シネレンズの代表格として今や若者を中心に人気のCine-Velostigmat F1.5(シネ・ベロスティグマート)には、実は開放F値を1段抑えた兄弟(F1.9のモデル)が存在します。1段抑えたぶんだけ滲みや収差は控えめのはずですが、開放では依然として凄い描写です。F1.5が手に負えないと言う方には、こちらのモデルを試してみることをおすすします。
レンズは米国ニューヨーク州ロチェスターに拠点をかまえていたウォーレンサック社(WOLLENSAK)が1940年代から1950年代にかけて、ボレックスという16mmの映画用カメラに搭載する交換レンズとして市場供給しました。軟調で発色も淡いので、ふんわり、ボンヤリとした写真を狙うここぞという時に力を発揮し、オシャレな写真が撮れます。飛び道具としてポケットに入れておきたいアイテムの一つです。
レンズはCマウントのためアダプターを介して各社のミラーレス機にて使用することができます。イメージサークルはAPS-Cセンサーをギリギリでカバーできる広さがあり(ただし、四隅が少しだけケラれます)、マイクロフォーサーズ機で用いる場合には標準レンズ、APS-C機では広角レンズとなります。鏡胴がコンパクトで軽いため小型ミラーレス機でもバランスよく使用でき、旅ではこれ一本あれば一通りの撮影をこなすことができます。唯一の弱点は最短撮影距離が50cmと長めなところで、これを克服するには、Cマウントレンズ用のマクロエクステンションリングを手にいれておくとよいでしょう。最短撮影距離を18cmまで短縮でき、十分に寄れる万能なレンズとなります。
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Cine Velostigmat 1inch F1.9/F1.5の見取り図(Sketched by spiral)。左が被写体側で右がカメラの側です。構成は4群4枚でHugo Meyer社のKino Plasmat4枚玉バージョン[DE Pat.401630 (1924)]と同一構成です |
レンズの設計構成は上図に示すようなKino-Plasmatの4枚玉バージョン[DE Pat.401630 (1924)]で、一段明るいF1.5のモデルと同じ光学系を流用しています。下の写真のように前群を抑えるトリムリングの厚みを変えることでF1.9としてあります。コーティングのある個体とない個体が存在しており、今回私が手にした個体にはコーティングがありませんでした。コーティン付きよりも更に軟調な描写です。
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Cine Velostigmat 1inch F1.9(左)と 1inch F1.5(右)の前群を外したところ。両者は全く同一の光学系です。F1.9はトリムリング(レンズエレメントを固定するリング)の厚みで口径比を制限しています |
★レンズの市場価格
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Wollensak Cine Velostigmat 1inch F1.9: 重量(実測)100g, 絞り羽 9枚構成, 最短撮影距離 約50cm, 絞りF1.5-F16, 絞り F1.5-F16, Cマウント, 16mmシネマフォーマット, 設計構成は4群4枚のKinoplasmat型, コーティング付のモデルとノンコートのモデルがありノンコートモデルの流通が大半のようだ |
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