おしらせ

2014/05/29

LZOS Jupiter-12 35mm F2.8 (L39)




大きく突き出た後玉が
レンズマニアたちの心をグラグラ揺さぶる
ロシア版ビオゴン:
Jupiter-12 35mm F2.8
Jupiter-12(ユピテル12/英語名はジュピター12)はロシアのKMZ(クラスノゴルスク機械工場)が1950年に発売したBiogonタイプの広角レンズである。巷ではZeissのLudwig Bertele (ベルテレ博士)が1936年に設計したContax版Biogon 35mmをそのままコピーしたレンズ(デットコピー)と誤って解釈されることが多いが、厳密にはBiogonの設計を簡略化した新開発のレンズであるBiogonの持つ線の太い描写、高いコントラスト、ヌケが良く色鮮やかな発色、穏やかで安定感のあるボケを受け継ぎ、Berteleが世に送り出したもう一つの名玉Sonnar(ゾナー)を彷彿とさせる描写設計である。BiogonはZeissのBerteleが1931年に設計したContax版Sonnarから発展したレンズである(下図)。Sonnarには画角を広げ過ぎると非点収差が急激に増大するという収差的な弱点があり、標準~中望遠には対応できるものの、広角レンズを実現するには基本設計に大幅な改良を施す必要があった。Sonnarの性質を維持しながら、同時にこのレンズの弱点を克服することがBiogonの開発に至ったBerteleの動機である。Berteleは研究を重ね、Sonnarの最後尾に巨大な後玉を据え付けるという新しい着想に辿りついたのである。
 

 
Sonnar(上段・左)からJupiter-12(下段・右)に至る光学設計の系譜。こうして並べ比べてみると、Jupiter-12は確かにBiogonをベースに造られたレンズであることがよくわかる。我々の良く知るContax版Sonnarは上段・左に示すようの前群側に3枚接合ユニットを持つ設計形態であるが、Jupiter-12やBiogonの大半のモデルでは、この部分がガウスタイプと同じ2枚接合ユニットへと簡略化されている。構成図出展:Biogonの構成図はBerteleが出願した一連の特許資料からトレースした。また、KMZ BK-35は文献[1]からのトレース、Jupiter-12はレンズ購入時に付属していたマニュアル資料からのトレースである

 
Jupiter-12は1950年にKMZ社が発売し、Leicaスクリュー互換のZorki(ゾルキー)用と旧Contaxマウント互換のKiev(キエフ)用の2種が市場供給された。初期のモデルはクローム鏡胴のみで1960年からはブラックカラーも登場している。1958年にはLZOS(ルトカリノ光学硝子工場/Lutkarinskij Zavod Opticheskogo Stekla)とArsenalがレンズの生産に参入し3社による生産体制となるが、3年後の1961年にKMZとARSENALは同レンズの生産から撤退、これ以降はLZOSによる単独生産となっている。現在の中古市場に流通しているレンズはLZOS製の製品個体が大半で、KMZ製はやや少なく、Arsenal製を目にすることは極稀である。市場にはZorki用とKiev用の2つのモデルが流通しており、1950年代~1970年代に生産されたクローム鏡胴のバージョンと1970年代~1980年代に生産された黒鏡胴バージョンの2種に大別できる。最後まで製造が続いたのはLZOS製の黒鏡胴バージョンである。私が市場に流通しているレンズのシリアル番号を片っ端から調査した感触によると、レンズの生産は少なくとも1991年まで続いていた。
なお、記録によるとJupiter-12にはBK-35 (Biogon Krasnogorsk 35/1947-1950年)という前身モデルが存在し、ZeissのBiogonをベースにドイツ産の硝材を用いて設計されたと記されている[1,2]。構成図をみるとBK-35の光学系は後群・第一レンズの曲率が妊婦のお腹のように大きく膨らんでおり、Biogon(1937)からJupiter-12へと移行する過渡的な設計形態になっていることがわかる。

参考文献・WEBサイト
[1] КАТАЛОГ фотообъективов завода № 393(ZenitのHPに掲載)
[2]SovietCams.comJupiter-12 )
[3] Marco Cavina’s wonderful HP: marcocavina.com

入手の経緯
本レンズは2013年8月にeBayを介しポーランドのレンズ専門セラーから110ドル+送料10ドルの即決価格で落札購入した。オークションの解説では「ガラスはMINTコンディション。ミラーレス機でテスト済だ。フォーカスリングと絞りリングの回転はスムーズで、絞り羽に油染みはない。硝子に傷、クリーニングマーク、クモリ、バルサム切れ等の問題はない。前後のキャップとケースが付属する」とのことである。届いた品は鏡胴に少し汚れがあり、前玉にクリーニングマークが1本あった。ホコリは経年相応で清掃が必要なほどでもない。この程度の相違は織り込み済みなので、私には十分な状態であった。eBayでの相場は状態の良い個体で100ドル前後である。未使用と思われるデットストック品が現在でも数多く流通しているので、焦らずにジックリと選び、良いものを手に入れるとよいであろう。なお、Arsenalの製造したモデル(1958-1961年生産)、KMZの製造した黒鏡胴モデル(1960-1961年生産)、および初期のKMZ BK-35(1947-1950年生産)は希少価値が高く、上記の相場価格は当てはまらない。最近はロシアやウクライナの一部のセラーがJupiter-12の名板のみをすげ替えたBK-35の模造品を売り出しているので、注意したほうがよい。ちなみに模造品のeBayでの相場は200~250ドル程度である。
Jupiter-12: 最短撮影 1m, フィルター径 40.5mm, 絞り羽 5枚, 重量(実測) 100g,  焦点距離 35.7mm,  絞り指標 F2.8-F22, 構成 4群6枚 (戦前のBiogon前期型), 63年製, メーカー LZOS(ルトカリノ光学硝子工場), 解像力 36 line/mm (中央) 18 line/mm (コーナー)。なお、レンズ名の由来はローマ神話の最高至上の神の名ユピテル
撮影テスト
Jupiter-12はコントラストが高く、鮮やかな発色とシャープな写りを特徴とするレンズである。解像力は平凡で線は太いものの、開放から滲みやフレア(収差由来)は少なく、スッキリとヌケのよい描写である。ただし、絞っても階調はなだらかで適度な軟らかさを維持している。ボケは四隅で半月状に崩れコマ収差の発生を確認できるが、中間画角までは整っており柔らかく拡散している。グルグルボケ、放射ボケ、2線ボケなどの乱れは検出できない。開放では発色が極僅かに温調気味になることもあるが、絞れば安定し概ねノーマルである。内面反射が少ないようで、逆光にはそこそこ耐え、ゴーストやグレア(内面反射光の蓄積に由来するハレーション)は出にくい。広角レンズには珍しい糸巻き状の歪曲がみられるものの通常の撮影で目立つことはない。全体的にみて、とても安定感のあるレンズといえるだろう。なお、フルサイズセンサーを搭載したミラーレス機(sony A7)で使用すると、画像の端の方にマゼンダ色の色被りが見られることがある。これはカラーシフトと呼ばれるデジタル・ミラーレス機に特有の現象で、バックフォーカスが短かいレンズや後玉径が小さいレンズを用いる際、センサー面に急角度で入射する光に対して赤外線カットフィルターの効きが弱くなるために起こる現象である。バックフォーカスが最も短くなる遠方撮影時において特に顕著になる傾向がある。一回り小さなAPS-Cセンサーのカメラでは目立つことはなく、銀塩フィルム機では全く問題にはならない。

Camera: sony A7
撮影: 伊豆大島(2014年5月3--5日)

タイトル「油断」, F8(上) /F8(下, APS-C crop-mode), sony A7(AWB): 上段の写真では左右の端部に若干のマゼンダ被りがみられる。これはバックフォーカスが短いレンズをフルサイズミラーレス機で用いる際に、赤外線カットフィルターの効きがセンサー周辺部で弱くなるために起こる現象である。APS-Cサイズにクロップした下段の写真では全く目立たなくなる
F2.8(開放), sony A7(AWB): 開放でもスッキリとヌケの良い写りである。後ボケは穏やかで柔らかく、四隅までよく整っている。グルグルボケや放射ボケは見られず2線ボケも検出できない
F4, sony A7(AWB): 滲みはまったく見られず発色はとても鮮やか。シャープなレンズだ
F5.6, Sony A7(AWB): 開放でのショットはこちら。いずれもコントラストは高く発色は鮮やかである。ただし、絞っても階調は適度に軟らかい

F11, Sony A7(AWB): フォーカスポイントを人物にとり、パンフォーカスで撮影している。遠方撮影で空が入ると、やはりマゼンダ被りが目立つようになる。本レンズの場合、後玉が大きく飛び出しているためか、この傾向は絞っても改善しない。四隅では若干の解像力不足を感じるが、引き伸ばさなければ判らない。伊豆大島にある火山灰の堆積でできた地層断面













F8, sony A7(AWB): マゼンダ被りや周辺光量落ちは遠方撮影時に特に顕著にあらわれる現象である。これくらいの撮影距離までなら全く目立たない。うちの娘・・・一体何がしたいのだ


BiogonとSonnarは言わば親戚関係にあるため、写りが似ているのはごく当たり前と考える方も多いかもしれない。しかし、Sonnarだった頃の形質は後群の第一レンズ(構成図の中に黄色く着色した部分)のみであり、もはや別設計のレンズと捉える方が妥当である。むしろ、興味深いのは設計の異なるBiogonとSonnarの写真描写に高い類似性がみられる点である。Berteleの発明した設計というだけで、どうしてここまで写りが似ているのだろうか。我々が目の当たりにしているのは写真レンズの描写に対し設計者ベルテレが貫いた揺るぎない理念なのかもしれない。ロシア版BiogonのJupiter-12にも、こうしたベルテレの描写理念が忠実に受け継がれているのである。

2014/04/16

Kilfitt Tele-Kilar 105mm F4 (converted M42)

ある日、ウィーンのカメラオークションにMECAFLEX(メカフレックス)という名の美しい一眼レフカメラが登場した。解説によるとカメラはモナコ公国のSEROA(セロア)社という聞き慣れないメーカーが1958年から1965年にかけて生産した製品とのことである。何が目にとまったのかというと、工芸品と言っても過言ではない見事なフォルムである(こちら写真を含む解説)。大きさは手のひらに収まる程度しかなく、本当に一眼レフカメラなのかと目を疑いたくなるようなコンパクトな造りであるが、搭載されていた専用レンズがこれまたデザイン的に素晴らしく、機能性と美しさを融合させた素晴らしい工業製品なのである一瞬にして心を奪われてしまった。早速調べてみたところ、レンズを設計したのはHeintz Kilfitt(ハインツ・キルフィット)であった。Kilfittはスパイカメラの名機Robotや世界初のマクロ撮影用レンズMakro Kilarを設計した人物として知られている。


時計職人のセンスで名声を築いた
ハインツ・キルフィットの望遠レンズ
Kilfitt Tele-Kilar 105mm F4
Heintz Kilfitt(1898–1973)はカメラとレンズの設計者として2足の草鞋(わらじ)で名声を築いたドイツ人技術者である。戦前の1930年代に手がけたRobot(ロボット)というカメラは流線形の美しいデザインもさることながら、少ない部品で効率よく動き、ゼンマイ仕掛けのスプリングモーターによる自動巻上げ機構を内蔵した革新的な製品であった。このカメラの精巧でコンパクトな造りと優れた機構には当時のLeitzも衝撃を受けたといわれている。おそらく彼が若い頃に時計職人として培ったセンスがこのような優れた製品を生み出すアイデアにつながったのであろう。彼はその後、1947年に欧州の小国リヒテンシュタインでKamerabau-Anstalt-Vaduz (KAV)という会社を立ち上げ、レンズや光学製品の生産に乗り出している。KAV社は1955年に世界初のマクロレンズMakro-Kilar 3.5/40を発売、1959年には米国Zoomar社と協力し世界初のスチルカメラ用ズームレンズZoomar 36-82mmをVoigtlanderブランドでOEM生産するなど、新興メーカーながらも著しい活躍をみせている。その後、会社をドイツのミュンヘンに移転し、社名もKAVからKilfittへと変更している。
同社の光学製品にはデザイン的に独特なものが多く、やはり流線形を基調とする他に類をみない外観が持ち味となっている。レンズとして独特なものはZoomar社との共同開発でKilfittが製造を担当したMacro Zoomar 50-125mm F4Zoomar 36-82mm F2.8、自社のみで生産したヒット作のMakro-Kilar 4cm F3.5/F2.8や同90mm F2.8Kilar 150mm F3.5Tele-kilar 300mm F5.6などがあり、いずれもスタイリッシュな製品である。今回紹介するTele-Kilar(テレ・キラー)105mm F4も素晴らしいデザインで、私の中では鏡胴の格好良さで3本の指に入るレンズだと思っている。この製品はKilfittがモナコ公国のSEROA(セロア)社に設計を売り込んで委託生産させたMecaflex(メカフレックス)という超小型一眼レフカメラの交換レンズで、カメラとともに1958年から1965年頃にかけて市場供給された。製造本数は200本程度と極めて少なく、コレクターズアイテムとなっている。
Tele-Kilarと同等の標準的なBis-Telarタイプ(望遠基本タイプ)の設計構成。構成は2群4枚で左が前方で右がカメラ側: Note that the above figure is NOT the optical construction of Tele-Kilar 105mm itself, but the typical Bis-Telar model corresponding approximately to this lens.
レンズの設計は2群4枚のBis-Telar(ビス・テラー)型で、シンプルな構成にもかかわらずアナスチグマートの要件を満たしている。この設計は1905年にドイツのEmil Busch(エミール・ブッシュ)社が発売した望遠レンズのBis-Telar(K.Martin設計)を始祖としている。前群と後群がそれぞれ正と負のパワーを持つレンズ群の組み合わせになっているため、ペッツバール和を抑えるのは容易で、像面湾曲と非点収差の同時補正が可能になっている。このためピント部は四隅まで均一な画質を保持でき、グルグルボケも抑えられている。ただし、望遠比(全長/焦点距離)が極端に小さいと後群の負のパワーが強くなりペッツバール和がマイナス方向に増大するので、この構成のまま焦点距離の極端に長いレンズが設計されることはあまりない。

入手の経緯
本品は2013年12月にebayを介しフランスの個人出品者から競売により落札購入した。商品の解説は「全て正常に動作する。鏡胴はとてもクリーンで経年劣化は軽く、保存状態は素晴らしい。傷やヘコミはない。光学系はクリーンでクリア、傷、クモリ、バルサム剥離はない。ごく僅かにホコリの混入がある程度である。フォーカスリングはスムーズ。オリジナルボックスが付いている」とのこと。オークションは150ドルでスタートし4人が入札、自動入札ソフトを使い最大入札額を490ドルに設定し放置したところ、翌日になって450ドル+送料30ドルで落札していた。届いた品は記述どうりの良好な状態でホコリの混入も殆ど見られず、デットストックに近い状態であった。製造本数が200本程度と極めてレアなため中古相場は不明だが、認知度か低い上にマウントが特殊なので、需要は少なく、市場に出て来れさえすれば入手の難易度は高くない。少し前に同等の品がイギリスのオンライン中古カメラ店に470ドルで出ていた。

フィルター径:35.5mm, 絞り羽: 10枚, 最短撮影距離: 1.5m, 構成:2群4枚(正負|負正)のBis-Telar型(望遠基本型), 単層コーティング, 絞り: F4- F32, MECAFLEX用,  ごく簡単な方法でマウント部にM37-M42ネジを嵌めM42マウントにコンバートしている。後玉が大きく飛び出しているので、一眼レフカメラで使用する場合にはミラーが後玉に干渉する恐れがある。ミラーがスイングバックするMinolta X-700ではミラー干渉はなかった





撮影テスト
このレンズの設計は24x24mmのスクウェアフォーマットに最適化されており、十分な性能を発揮するには本来の母機であるMecaflexで用いるのが一番良い。一方、デジタル撮影で用いる場合の最良の選択は一回り大きなイメージフォーマット(36x24mm)のフルサイズ機にマウントするか、一回り小さなAPS-C機(24x16mm)にマウントするかのどちらかになる。堅実な写りを求めるならAPS-C機で使用するのが良いが、反対に収差を活かした撮影を楽しみたいならフルサイズ機で使用するのもよい。本Blogではフルサイズ機で撮影テストをおこなっており、レンズ本来の描写設計よりもボケ量と収差量がより大きなものになるので、あらかじめ断わっておく必要がある。

★テスト環境
デジタル撮影: SONY A7(AWB)
フィルム撮影: minolta X-700,  フィルム: efke KB100(クロアチア製ネガフィルム)

Tele-Kilar 105mmは線の太い写りを特徴としているレンズである。解像力は抑え気味で平凡であるが、代わりにハロやコマなどの滲みやフレア(収差由来)はキッチリと抑えられており、開放からヌケの良さが際立っている。逆光にはよく耐え、ゴーストやグレア(内面反射光由来のハレーション)は出にくいため、コントラストは良好で発色もよい。カラーバランスに癖はなくノーマルである。階調は軟らかく、なだらかに変化し、絞っても硬くはならない。望遠レンズに特有の糸巻き歪曲はよく補正されており、全く検出できないレベルである。2線ボケはほとんど見られず穏やかで柔らかいボケ味である。ただし、フルサイズ機で使用する場合には近接撮影時に背景にグルグルボケの発生がみられ、解像力も四隅では低下気味になる。本来は写らない領域なので、これはフェアな画質評価ではない。そこで、画像の側部を落とし定格の24x24mmスクウェアフォーマットでの画質を見てやると、グルグルボケは目立たなくなり解像力も良好である。APS-C機で用いれば本来の描写設計を取り戻し、かなり手堅く写るレンズであることがわかる。単純な構成のわりに優れた描写力を備えたレンズのようである。
このレンズは後玉が小さくバックフォーカスも比較的短いことからテレセン特性が厳しいようで、フルサイズフォーマットのデジタルカメラで撮影すると画像周辺部に顕著な光量落ちがみられる。光量落ちが特に著しいのは絞り開放で遠方を撮影する時である。ただし、絞れば改善し、近接撮影では気にならないレベルにおさまる。フィルム撮影(35mm判)の場合には全く検出できなかった。
APS-C機では手堅く写り、フルサイズ機にマウントすれば収差を引き出すことも可能。Tele-Kilarは一度で二度おいしい、とても楽しいレンズだと思う。
F11, 銀塩モノクロフィルム(efke KB100):  焦点距離が105mmともなれば望遠圧縮効果がはたらき、遠方の景色を大きく見せることができる。絞った時の解像力はなかなか秀逸なようで、浜辺で遊ぶ人の姿がはっきり識別できる。和尚も海かな?
F4(全開), sony A7(AWB): 続いてデジタル撮影だ。このレンズは最短撮影距離(1.5m)の付近でグルグルボケが顕著に発生するので、ポートレート撮影に収差を生かすにはもってこいのレンズである。グルグルが目立つのはレンズ本来の規格をこえる一回り大きな撮像面(フルサイズセンサー)で撮影しているためである。側部を落としスクウェアフォーマットにしてみると、ここまで目立つものではないことがわかる
F8, sony A7(AWB): コントラストは良好で発色はノーマル。よく写るレンズだ

F4(開放), sony A7(AWB): デジタルカメラで中遠景を撮影すると、開放では画像周辺部に光量落ちが目立ち始める。これはレンズのテレセン性が低いためである。深く絞れば改善する。開放でもヌケは良く、コントラストも十分に良い


F4(開放), 銀塩モノクロフィルム(efke KB100):  フィルム撮影の場合、周辺光量落ちは全くみられない。なんだか素敵なコロッケ屋だ