おしらせ


試写記録:KMZ Helios-33 35mm F2












映画用レンズPO4-1の後継モデル
KMZ Helios-33  35mm F2
ロシアのシネマ用レンズで35mm F2と言えばPO4-1が良く知られていますが、製造期間が短かったため流通量が少なく、実際に探すとなるとなかなか見つかりません。個体数が少ないという事は値段も安くはありません。そこで、代わりとなるレンズとしてオススメしているのが今回紹介するHELIOS-33(ヘリオス33)です。このレンズはPO4-1の後継製品として、1971年に登場しました[1]Heliosと言えばどうしてもスチル撮影用のHelios 44を連想してしまう方が多く、プロフェッショナル向けに生産された本品としてはだいぶイメージダウンなわけですが、ロシアのガウスタイプにはプロ用であろうと民生品であろうと原則的にHELIOSの名が付与されるので、これは仕方のないことなのです。Helios-33にはAKSシリーズ用と、KONVAS KINOR用の2種類の個体が流通しています。
 
Helios-33の構成図:文献[1]に掲載されていたものからのトレーススケッチ(見取り図)です。左が前方、右がカメラの側となっており、設計構成は4群6枚の準対称ガウス型です

参考文献
[1] Catalog Objectibe 1971 (GOI)
[2] Catalog Objectiv 1970 (GOI): A. F. Yakovlev Catalog,  The objectives: photographic, movie,projection,reproduction, for the magnifying apparatuses  Vol. 1, 1970
 
SONY Eマウントへの改造例
「改造」と呼べるほど難度の高いものではありません。部品は全てネットオークションで手に入る市販品なので、あと必要なものは勇気だけ。プラモデルの組み立てと何ら違いはありません。今回改造で使用した部品は以下の通りです。
 


(1)37-28mmステップダウンリングをM37-M42ステップアップリングに装着し、レンズヘッドの土台をつくります。

(2)(1)で作った土台にレンズヘッドを装着します。ステップダウンリングの裏側からレンズヘッドを据え付けているため、手に入れるステップダウンリングはネジ山が奥まで届いているタイプのものを選ぶ必要があります。

(3)このままM42フォーカッシングヘリコイドにぶち込んで少し沈胴させます。カメラ側の末端をM42-sony Eスリムアダプターを用いてソニーEマウントに変換すれば完成。フランジ調整は(1)で合体させたステップダウンリングとステップアップリングのネジを少し緩めた状態で接着固定するか、あるいはスリムアダプターとヘリコイドの間に厚紙などから作ったワッシャー状のスペーサーを挟めばよいとおもいます。ワッシャー状のスペーサーは文具店やホームセンターで売っているコンパスカッターを用いれば簡単に作れます。
 

他のミラーレス機へのマウント変換も簡単にできるでしょう。
 
撮影テスト
このレンズは推奨イメージサークルがAPS-C相当(35mmシネマフォーマット)のため、フルサイズ機(SONY A7)で使用すると四隅が僅かにケラれます。これを緩和するには撮影フォーマットのアスペクト比を映画のビスタサイズに近い16:9へと変更するとよでしょう。シネマ用レンズをシネマ風に用いるという絶妙な選択なので、是非ともおススメしたい使い方です。
 開放ではピント部をコマフレアが覆い柔らかい描写傾向で、コントラストもやや低下気味になりますが、周辺部の収差と相まって雰囲気重視の画作りができます。一段以上絞ればフレアが消滅しスッキリとしたヌケの良い描写になりますが、絞り込んでも階調は依然として軟らかく、オールドレンズらしさが十分に漂った写真に仕上がります。中心部は解像力がありSONY A7R2での拡大表示にも耐えうる緻密な像が得られます。
 
F4 SONY A7R2(WB:日陰, Aspect Ratio:16:9)  開放ではこちらに示すように、背後のボケが更にざわついたいい感じになる
F5.6, SONY A7R2(WB:日陰, Aspect Ratio:16:9) 絞ればもちろんスッキリするが、階調が硬めに感じる
F2(開放) SONY A7R2(WB:日陰, Aspect Ratio:16:9) 開放ではピント部をフレアが覆い、柔らかい写真となる
F2(開放) SONY A7R2(WB:日陰, Aspect Ratio:16:9) 開放では四隅に収差を残存させた画作りができる

F4 SONY A7R2(WB:日陰, Aspect ratio 3:2) 


3 件のコメント:

  1. いつも楽しく拝見させていただいております。PO4-1、HELIOS-33、OKC8-35-1の3本を使っております。OKC8-35-1も、PO4-1の流れでしょうか。POシリーズの連載の次のLOMOシネマレンズの連載で言及していただけると嬉しいです。

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    1. こんばんは
      8-35-1はどこからの流れも汲んでいません。
      11-35-1も新規の構成です。

      1-35-1はpo56からの流れ、1-22-1はpo70からです。
      2-35-1はフレクトゴン型なのでmir-1からです。

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  2. 返信ありがとうございます。大変勉強になりました。8-31-1の描写がPO4-1と違う理由がわかりました。今後もロシアシネレンズをこちらのサイトで参考にさせていただきます。

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