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オールドレンズ写真学校ワークショップ
9月3日(日)場所はアクアパーク品川 申込制:定員15名(現在キャンセル待ちとのこと) 詳しくはこちら スタッフとして参加予定です。

オールドレンズxポートレート写真展2
9月16日(土)―9月18日(月・祝)場所は学芸大前 こちらも関連ワークショップですので、お知らせいたします。詳しくはこちら

オールドレンズ写真学校ワークショップ
9月23日(土)場所は巾着田 申込制:定員15名(既に申込が続々と入っているそうです。最近、定員オーバーが多いので申込はお早めに) 詳しくはこちら スタッフとして参加予定です。


2015/11/11

Wollensak Dumont CRO Oscillo-Raptar 50mmF1.5*


米国生まれのUFOレンズ Part 2
Wollensak Oscillo-Raptar 50mm F1.5
Wollensak(ウォーレンサック)社のOscillo(オシロ)シリーズはオシロスコープの波形を記録する用途のために開発された産業用レンズである。Oscillo-RaptarとOscillo-Amatonの2種のモデルが知られており、軍や大学の研究機関に数多く納入されていた。いずれもカメラ用の民生品とは桁違いの製造コストで造られたプライムレンズなので飛び抜けて高い描写性能を期待することができるわけで、実際に私がこれまで試写したOscillo-Raptar 50mm F1.9とOscillo-Amaton 75mm F1.9は開放から解像力が非常に高くシャープでヌケの良いレンズであった。このOscilloシリーズにF1.5のモデルがあることを知ったのはごく最近になってからである。幸運にも手に入れる機会が廻ってきたので軽くレポートしたい。
レンズを使用してみると、近接域では解像力がずば抜けて高く開放からシャープでスッキリとヌケのよい写りであるのに対し、ポートレート域以上の遠方になると人物を綺麗に撮るのに適した柔らかい描写傾向に変わる。これは恐らくレンズがオシロスコープの波形を記録することを想定し近接域で最高の画質が得られるよう設計されているからで、遠方は専門外のためであろう。背後のボケは柔らかく綺麗だし発色も良いので、産業用としておくにはもったいないレンズだ。

Wollensak Optical Company
Wollensak(ウォーレンサック)社は1972年まで存在していた米国ロチェスターの総合映像機器メーカーだ。大判カメラ用レンズ、シネマ用レンズ、プロジェクター用レンズに加え、工業用、軍事用、核実験記録用にレンズを供給していた。他にもテープレコーダーや双眼鏡の製造で知られる。古くはボシュロム社で絞り機構付きシャッターを設計していた機械工のAndrew Wollensakが、Union Brewing Companyの元社長S.Rauberの支援を得て1899年に創業したRauber and Wallensak社を起源としている。その2年後にRauberが死去したため、社名をWallensak Optical Companyへと変更した。翌1902年にはカメラ用シャッターに加えレンズの生産も開始、1905年にはRochester Lens Companyを買収するなど事業を拡大していった。会社としての最盛期は1950年代で、この頃の従業員数は千人を超えた。ベル研究所が発明したプリズム回転式ハイスピードカメラの原理を採用し1秒間に10000フレームの撮影を実現したWollensak FASTAXはハイスピードカメラの草分け的存在として人々の記憶に残る映像アーカイブを数多く残している。同社は後にリビア・カメラ社や3M社など幾つかのメーカーに買収され、1972年に企業活動を停止している。Wollensak社が生産したレンズのブランド名にはAmaton, Optar, Raptar, Verito, Velostigmatなどがあり、米国のムービーカメラブランドには同社のVelostigmatが多く採用された。また、OptarはGraflex社の報道用カメラSpeedGraphicに供給され報道写真の分野で活躍している。Veritoはソフトフォーカスレンズとして古くから有名で、日本にも小西本店が大正時代から輸入していた。Raptarは同社の最上級ブランドに位置付けられており、軍や研究所に納入された産業用レンズや映画用レンズに多く見られる。
絞り羽根 15枚, フィルター径 50.5mm, 絞り F1.5-F8, Alphaxシャッター(-1/100), 設計構成 ダブルガウス



入手の経緯
レンズは2015年8月にeBayを介し米国のカメラ機器を専門に売買しているセラーから落札購入した。商品の解説は「50mm F1.5のオシロ・ラプター。カビ、クモリはなくとても良い状態」とのこと。14日以内の返品対応を宣言していたので思い切って入札した。万が一の場合にもヤフオクとは違いeBayはセラーとバイヤーの間に入り、返金に至るまで強力にサポートしてくれる。商品は300ドルで売り出され3人が入札したが、私が自動入札ソフトを使いスナイプ入札の末415ドルで落札した。配送料は30ドルである。3年ほど前まではeBayでも100ドル程度で購入できるレンズであったが、最近になって改造品が出回るようになり値段も500ドル程度するようになってしまった。

後玉側の鏡胴径は50mm前後である。テープを巻き52mm-M42ヘリコイドチューブ(25-55mm)にスポッとフィットさせミラーレス機で使用することにした。バックフォーカスの関係でEOSなどの一眼レフカメラで用いるのは無理



撮影テスト
Oscilo-Raptarは近接撮影時に最高の画質がえられるようチューンされたレンズである。近距離では開放からシャープでヌケが良く中央部は解像力も素晴らしい。花や虫などを撮影するマクロ撮影のシーンで「出番到来!待っていました」とばかりに質感をキッチリと出すことができる。一方、中距離から遠距離になるとモヤモヤとしたフレア(コマ収差由来)が発生し、人物の撮影に適した柔らかくシルキーな描写へと変化する。工業用レンズとは言えポートレート撮影にも十分に通用する描写である。ただし、少し絞れば遠方でもシャープで高コントラストな描写となり、F2.8まで絞れば良像域は写真の四隅まで広がる。背後のボケは近接域のみならずポートレート域においても柔らかく綺麗に拡散している。グルグルボケは若干でるが目立たないレベルである。発色は鮮やかで特に赤系統がコッテリとした色になる。なかなか使い手のあるレンズである。
機材: Sony A7+M42-E Camera mount +M52-M42 Helicoid tube
F2.8, Sony A7(AWB): あらら。ピント部はとても高解像だ。赤の発色が高彩度である

上の写真のピント部を拡大したもの


F5.6, Sony A7(AWB):  背後のボケは柔らかく綺麗。参考までにこちらには開放での作例を提示する
F1.5(開放), Sony A7(AWB): 続いて開放。中央は高解像である。近接撮影ではスッキリしたヌケの良い描写である。ピント部を拡大表示した写真を下に示す

上の写真の中央を拡大したもの。うーん。開放なのに凄い描写力だ




F1.5(開放), Sony A7(AWB): ポートレート域では開放時に若干のコマが発生し柔らかい写りとなる。ただし、少し絞ればコマは消えシャープに写るようになる










F2.8 Sony A7(AWB): ピントは中央の蓮の花。コマフレアを避けるためF2.8まで絞っている。参考までに開放での作例もこちらに提示する




F2.8, Sony A7(AWB):  開放での作例をこちらに示す


UFOレンズ part 1 Oscillo-Amaton 75mm F1.9の過去の記事はこちら

6 件のコメント:

  1. 4×5のポートレート用に長めのレンズを探していたところ、RAPTAR 210mm F4.5を見つけ、こちらとLarge Format Photography Forumで調べると、「産業用、最高級品」、「F11まで絞るとシャープ」と高評価でしたので、早速、購入(3万円以下でした)。スポットメーターで露出を測り、ISO400のHP5plusを「実効感度200・2/3」とし、F5.6とF11で撮影。フィルム現像はD-76で20℃、9分30秒。比較のために使ったHomocentric 155mm F4.5やTele-Xenar 250mm F5.5と比較しても、なかなかの好結果でした。入手したRAPTARの唯一の難点はちょっと重いことですが、レンズに関するこちらの記述は大いに役立ち、Homocentricに続いて的確でした。

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    1. コメントありがとうございました。本当に重たいレンズですよね。

      近接での画質を極めたレンズは遠方での画質に妥協を抱えるということが、このレンズのおかげでわかりました。逆に言えば万能レンズはバランスをとったということなのでしょうね。言われてみればマクロ撮影に専用レンズが用いられるのも、うなずけます。

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  2. おお、いつのまにか、見ていなかったら。
    このレンズ、私も持っていましてかなり昔、ノクトの岡村さんをかなり困らせた記憶があります。某滲みレンズと某深川のと三本ならべた所、一本だけコーティングが違って、それだけモノコートの可能性も感じました。しかしこのシリーズ、出処はどこなんでしょう。じつは私、RAPTAR 2 1/2(63.5mm)F5.6というレンズブロックを持っていていまビルドアップして貰っている所なのですが、情報が全然出てきません。Wollensakは、というかアメリカはドイツと違って台帳なんかも残ってないし、調べるのに苦労します。

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    1. こんにちは

      > しかしこのシリーズ、出処はどこなんでしょう。

      とおっしゃいますと?
      「WOLLENSAKが製造したわけではない」とおっしゃているように聞こえるのですが
      事実でしょうか?

      > 1/2(63.5mm)F5.6というレンズブロックを持っていていまビルドアップして
      > 貰っている所なのですが、情報が全然出てきません。

      口径比だけでみれば、F5.6はRaptarの望遠レンズによくありますし、
      カタログにも出てきます。
      しかし、焦点距離63.5mmというのは、VadaMacumにも記載がありませんし
      聞いたことがありません。とても中途半端な焦点距離ですね。

      > Wollensakは・・・
      > 調べるのに苦労します。


      Wollensakの情報はカタログから集めるのが手っ取り早いと思います。
      http://www.cameraeccentric.com/info.html

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  3. あ、すみません。「出処」は「ebayに放出している団体、または個人」です。出る時アカウントが違う事もあるのですがだいたい、同じ様な状況での写真撮影をされている気がして。使い回しの可能性もありますが。

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    1. そうでしたか。私のレンズはebayの個人セラーからかいました。
      α7が出たお陰で、以前は工房レベルでないと難しかったレンズの改造が
      今は簡単にできるようになりましたよね。
      コメントありがとうございました。

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