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オールドレンズ女子部
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オールドレンズ写真学校12月ワークショップ
今月は12月17日(日)の予定です。まもなく正式な発表と申し込みの開始が始まります。

2010/10/08

Schneider-Kreuznach TELE-XENAR 135mm/F3.5 テレクセナー(M42)

ゾナー型からの発展として初めて5枚玉に移行した
名門シュナイダーの望遠レンズ

Tele-Xenar(135mm/F3.5)はドイツの名門光学機器メーカー、シュナイダー・クロイツナッハ社が1949年から1970年代まで製造した単焦点望遠レンズだ。Xenarと言えば本来は同社のテッサー型レンズ(3群4枚の光学系)を思い浮かべるが、本品はどういうわけだかテッサー型ではない。実は本レンズの前身が1940年に発売されたXenar 135mmで、こちらは確かに3群4枚であった。しかし、1949年に設計が変更され同社の望遠レンズが4群5枚構成になったのを機に、ブランド名もTele-Xenarとなったのだ。光学系は戦前から望遠レンズの傑作として名高いツァイス・ゾナー135mm(3群4枚)の発展型で、ゾナーの特徴を継承し第2群が2枚のレンズをはり合わせた構造になっている(下図)。構成枚数が1枚多い4群5枚構成となることで、ゾナー型レンズよりも収差のコントロールがより高度になった。一般に望遠レンズは球面収差などの単色5収差が発生しにくく、広角・大口径標準レンズに比べて高度な光学系を要する必要がないため、画質的には優位とされている。4枚玉以下のシンプルな設計が多いため、望遠レンズには古くからハイコントラストな画質を提供できる優れた製品が多くある。本レンズの設計がゾナータイプよりも1枚多い構成を採用した事にどんな意図があったのかはわからないが、追加する場所を後玉寄りにとることで光の内面反射の増加を最小限に抑え、ゾナーと同等の画質を実現していると考えられる。後年、本レンズによく似た設計をエナ社のTele-Ennalyt 135mm/F2.8や三協光機のコムラー135mm/F2.8などが採用しており、tele-xenarの設計開発に端を発するこの種の光学系の普及はゾナーからの発展形態の典型となっている。なお、1970年代に製造された後期型のSL-Tele Xenar 135mm/F3.5では光学系が更に改良され、2群目の貼り合わせが分離した5群5枚構成となっている。

光学系のスケッチ。左がTele-Xenar 135mmで右がSonnar 135mm
今回入手したTele-xenar(テレクセナー)135mm/F3.5はシュナイダー社のシリアル番号表から、同社が1968年~1970年頃に製造した個体である。光学系の設計自体は1949年の登場時と同一であるが何度かマイナーチェンジを繰り返しているため、コーティングやガラス硝材等は初期の物に比べいくらか改良されていると思われる。最短撮影距離が2mと長めであることは不満だが、無理の無い設計と高度な収差のコントロールにより、欠点の少ない安定した画質を実現している。鏡胴はシュナイダーらしい頑丈な造りで、お洒落なシルバーのラインや合皮を用いているなどデザインに個性がある。また、この時期のレンズとしては珍しくフードをレンズ本体のフィルター枠に対して逆さ付けすることができる。マウント部が通電する材質になっているため、PENTAXの銀塩カメラで使用する際にはフォーカスエイドが有効となり、合焦をランプの点灯と電子音で知らせてくれるようになる。同時期に発売された姉妹品として、28mm/F4と35mm/F2.8のCURTAGON、シフトレンズで35mm/F4のPA-CURTAGON、50mm/F1.9のXenon、50mm/F2.8のXenar、200mm/F5.5と360mm/F5.5のTele-Xenar、ズームレンズのVARIOGON 45-100mm/2.8とTele-Variogon 80-240mm/F4がある(詳しい仕様についてはシュナイダーのホームページ(こちら)の製品カタログPDFファイルを参照できる)。このうち、CURTAGON 35/2.8については過去に本ブログで取り上げた。
純正フードはレンズ本体のフィルター枠に逆さに付けることができるよう工夫されている。純正キャップにもネジ山が切られており、フードの上からねじ込んでとり付ける
戦後の写真用レンズは光の反射防止膜(コーティング)技術の進歩を背景に、テッサーやゾナーといった4枚玉のシンプルな設計が王道だった時代から脱し、より高度な光学設計を追求する時代へと移行していった。いち早く5枚玉による望遠レンズとして世に送り出されたTele-xenarは、こうした潮流の中において、先駆的な位置づけにあるレンズと言えるだろう。
焦点距離/開放絞り値:135mm/F3.5、光学系の構成:4群5枚、重量(実測):312g(純正フードまで含めると352g),フィルター径52mm, 最短撮影距離:2m, 対応マウントにはM42, EXAKTA, デッケル, ライカL39, ALPA, Rollei SL等がある
マウント部近くにはレリーズ穴があいており、絞り機構のA(オート)/M(マニュアル)スイッチもみられる。また、マウント部には絞り連動ピンがついている

★入手の経緯
本品は2010年7月4日にeBayを介してギリシャの有名業者still22から送料込みの153㌦(13800円)で落札購入した。商品には箱と純正フードが付き、"MINT-" コンディション(殆ど新品)と紹介されていた。オークションではかなり競り合うのではないかと予想していたが、入札締め切り1分前になっても70㌦代と盛り上がりに欠けていた。締切20秒前に最高入札額180㌦でスナイプ入札したところジリジリと値が上がりはじめたが、最後は131㌦であっさりと落札できた。eBayでの相場は150-200㌦程度なので今回はお得なお買い物。届いた商品はピカピカの新品のような個体で、経年を考えれば奇跡的な保存状態であった。
★撮影テスト
過去にCURTAGONやXENONなどシュナイダーが製造したレンズを何本かテストしてきたが、どれも素晴らしい描写力を持ち、開放絞りでも画質の低下が少ない安定感のあるレンズばかりであった。シュナイダーのレンズには手堅い設計仕様のものが多く、あまり冒険をしないという企業イメージがある。本レンズも例外ではない。
Tele-Xenarのピント面は開放絞りでも球面収差や像面湾曲、非点収差が顕著化せず、画像端部まで均質でシャープな画質を実現している。ピントの山は大変つかみやすい。デジイチで使用する場合にはイメージセンサーが持つ高い解像力のためか、色収差(軸上色収差)を拾い、ハイライト部の輪郭が色づくことがある。この種の収差は結像を甘くする一因として厄介であるが、実際にレンズを使用した感覚としては充分にシャープで、ピント面の先鋭感は開放絞りからでも実用的なレベルである。アウトフォーカス部の結像は乱れることなく素直で良く整っており、2線ボケ等は検知できない。ボケ味(後ボケ)はとても滑らかで好印象だ。発色はあっさり、すっきりしており落ち着いた自然な仕上がりとなる。優れたレンズだ。
F5.6銀塩(FujiFilm PRO-400H):まずはフィルムによる銀塩撮影。ピント部はとてもシャープ
F3.5 digital(sony alpha  NEX-5): 開放絞りでもこのとおりにシャープ。発色は癖もなくごく自然で派手さはない
F5.6 digital(NEX-5): 背景のボケは滑らかで綺麗。近接撮影にしてはピント面の解像が高く、充分な画質だ。ちなみに被写体はいつものばぁちゃんで、彼女の自宅前の花を撮影していると、どこからともなく現れる。「あんた写真部なの?」と話しかけられて知り合った。撮影テストと掲載に好意的に応じてくれる貴重な人物
左F8 銀塩(UXi-200)  / 右F11 銀塩(UXi-200): こちらも銀塩フィルムでの撮影結果だ。落ち着いた自然な色が出ている。右の写真は左の飛行機の機内から撮影した雲海の様子。濃淡の微妙な変化を楽しめる

★使用機材
銀塩カメラでの撮影
PENTAX MZ-3 + Schneider Tele-Xenar 135mm/F3.5 + フィルム(efiniti UXi super 200)
デジタル一眼での撮影
Sony α NEX-5 + Schneider Tele-Xenar 135mm/F3.5

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