写真家の李さん(左)に撮っていただいた写真です! |
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オールドレンズフェス2020 in 新宿マルイ本館:上野由日路
ダブルガウス型レンズの発展に大きな功績を残したトロニエ博士 ( A. W. Tronnier )。彼が晩年に設計したノクトン( Nokton )やウルトロン( Ultron )は高速レンズの分野でダブルガウスの存在意義を決定付ける礎となり、やがて訪れるダブルガウス時代の呼び水となった歴史的な銘玉とされています。
トロニエが光学技術者を志すようになったきっかけの一つはブラックホールの父ともいえる科学者で、天体物理学と天文学の分野に大きな功績を残したカール・シュヴァルツシルト(Karl Schwarzschild)博士の影響だったと考えられます。シュヴァルツシルト博士はトロニエの両親と深い親交があり、ゲッティンゲン大学で教鞭をとる傍ら、たびたび彼の自宅に両親のもとを訪れ、当時取り組んでいた光学現象や一般相対性理論の研究について熱弁をふるっていました。当時は物理学を中心とする科学技術が空前の絶頂期を迎え、量子論や相対性理論を生み出したドイツは科学技術大国として世界を牽引していました。誰もが科学の発展に明るい未来の到来を重ね描いていた時代で、その発展が優れた光学技術によって支えられているのは誰もが知るところでした。トロニエはシュヴァルツシルト博士の熱い視線の先に光学技術の発展に寄与したいという思いを重ねたのでしょう。記録による根拠はありませんがトロニエが12〜14歳の頃であろうと思われます。
シュヴァルツシルト博士はブラックホールの予言者として知られており、1916年に完成したアインシュタインの一般相対性理論を使いブラックホール解(シュヴァルツシルト解)を導きだした人物です。ノーベル賞級の物理学者でしたが、残念なことにブラックホール解の論文を発表し、直後に病気でなくなっています。
今から2年前の2018年、ブラックホールがはじめて撮影されました。シュヴァルツシルト博士の予言が世界中の天文台の電波観測で実証されたのです。
「トロニエの魔鏡:戦後編」はPART 3のUltronで開幕し、凹ULTRON、ULTRAGON、NOKTONを扱う予定です。