おしらせ

 
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上野由日路x伊藤弘 オールドレンズ写真学校 写真展 vol.4
11月3-5日 場所は原宿 詳しくはこちら スタッフとして参加予定です。

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TAIR-41Mのブログエントリーに写真を追加
Oo.ema.oOさんにオリンパスPENで撮影したタイ―ル41M(前記モデル)の写真を提供していただきました。

2016/12/04

Meyer-Optik Görlitz Diaplan 100mm F3 (projector lens)




ダイアプランの原点
Meyer-Optik Görlitz DIAPLAN 100mm F3
メイヤー・オプティック(Meyer-Optik)のトリプレット型レンズに対する拘りは強く、同社の看板レンズであるトリオプラン(Trioplan)にはF2.8, F2.9, F3, F3.5, F4.5など口径比の異なる様々なモデルが供給されている。中でも口径比F3はポートレート用のスペシャルモデルに位置づけられた経緯があり、流通している個体数が少ないのもさる事ながら、明るさと画質のバランスが絶妙なため、マニアの間では別格扱いされている。このトリオプランから派生したプロジェクター用レンズのダイアプラン(Diaplan)にも実は口径比F3のモデルが供給されており、描写傾向に対する興味は増すばかりである。100mmF3は140mm F3.5などと共に戦前から供給されてきたダイアプランシリーズの最古のモデルである。ダイアプランはトリオプランよりも安価であることに加え、写真用に改造することでトリオプラン同等のバブルボケを出すことができるため、近年になって人気が急上昇している(参考文献[0])。本ブログでもダイアプラン80mm F2.8や後継モデルのペンタコンAV ( Pentacon AV)100mm F2.8など、関連するレンズをこれまで何本か取り上げてきた。
ダイアプラン100mm F3についてはシリアル番号の独自調査により戦前の1930年よりも前の時代に早くも登場していることが判明しており(参考資料[1])、本ブログで今回取り上げる1本もシリアル番号が19万番の1920年代に製造された個体である。EXAKTA用やLEICA用として3種のTrioplan(10cm F2.8/10.5cm F2.8/12cm F4.5)が登場したのは1936年であるから、Diaplan 100mm f3はこれらよりも前に登場していたことになる。このモデルの生産は戦後もしばらく続き、1950年代にはガラス面にコーティングが施された個体も市場供給されているが、1960年代初頭に口径比が少し明るいダイアプラン100mm F2.8が登場し姿を消している(参考資料[2][3])。なお、メイヤー・オプティックは1968年にペンタコン人民公社(VEB Pentacon)に吸収され、それまでのメイヤーブランドは1971年以降にペンタコンブランドへと置わっており(参考資料[4][5])、ダイアプラン100mm f2.8についても設計構成は同一のままペンタコンAV (Pentacon AV)100mm f2.8へと改称されている。

入手の経緯
ノンコートモデル
2016年11月にeBayを介してドイツのカメラ屋アルパ・フォトグラフィーからレンズヘッドに純正ヘリコイドがついた状態の品を99ユーロ+送料6.5ユーロの即決価格で落札した。オークションの記述は「完全に良好な状態の実用品である。ガラスはクリアでカビはない」とのこと。届いたレンズは後玉が汚れていたので、クリーニングし完全にクリアになった。レンズにはプロジェクター本体に固定するための筒(末端が58mmネジ)が付属していたので、ここにM58中華製ヘリコイドを据え付け、ヘリコイドのカメラ側を58-39mmステップアップリングとM39-M42変換リングで末端処理し、M42レンズとして使用できるようにした。
Diaplan 100mm F3(戦前製), 重量(実測)145g(側部の鏡胴固定ネジは含まず), 設計構成は3群3枚のトリプレット型, ノンコート, シリアル番号197099(製造は1920年代)

コーティング付きモデル
2016年11月にeBayを介して競買の末、レンズヘッドのみをエクサクラウスさんから74ユーロ+送料8.6ユーロで落札した。オークションの記述は「ナイスコンディション。ガラスはちょっとだけクリーニングが必要だろう」とのこと。届いたレンズは中玉にやや汚れとゴミがあったが、構造が単純なので簡単に分解でき、クリーニングしたところクリアになった。ステップアップリングを用いてM52中華製ヘリコイド(17-31mm)に搭載すればM42レンズとして使用できるが、今回はより高伸長なヘリコイド(36-90mm)に搭載しsony A7で使用している。
Diaplan 100mm F3(戦後製):重量(実測) 195g(側部の鏡胴固定ネジは含まず) , 設計構成は3群3枚のトリプレット型, ガラス面にコーティングあり,  シリアル番号2240762(1950年代に生産された製品個体

参考資料
  • [0] レンズの時間 VOL.2 P43-P49 玄光社
  • [1] オークション取引歴の中にシリアル番号167XXXのDiaplan 100mm F3が見つかる。これは戦前の1930年よりも前の時代の製品である。
  • [2] 今回入手した1本はシリアル番号から1950年代後期に生産された個体である。ガラスにはコーティングが施されている。一方、オークションの取引歴には1952年製(シリアル番号130万番)のノンコートの個体もみつかる。メイヤーがコーティング蒸着装置を導入するのは1952年と遅かった。
  • [3] オークション取引歴の中には1960年代初頭に生産されたDiaplan 100mm F2.8(S/N: 2624XXX)がみつかる。参考資料[2]との前後関係から1960年前後にモデルチェンジが行われ、口径比がF3からF2.8に明るくなったものと判断できる。
  • [4]  オークション取引歴の中にDiaplan 100mm F2.8(S/N:6933XXX)が確認できるため、このモデルは少なくても1970年代初頭までは生産されていたと判断できる。1971年にMeyerブランドは全てPentaconブランドに置き換わっている。
  • [5] 東ドイツカメラの全貌(朝日ソノラマ)
M42マウントへの改造例
ダイアプランのレンズヘッドにはプロジェクター用のヘリコイドが付属していることが少なくないので、これを有効活用しM42マウントに改造する事例を示しておく。必要な部品はM52-M42ヘリコイドと、プロジェクター用ヘリコイドの末端を52mm径のネジにするために用いる52-62mmステップアップリングである。ステップアップリングは内側のネジ山をルーターで削り若干広げておく。これをプロジェクター用ヘリコイドの末端に被せ、側面からネジ留めすれば完成だ。無限遠のピントがほぼピタリと出ている。なお、今回はネジ留めではなくエポキシ接着で簡単に済ませた。ガッチリ接着してしまうと力ずくでも取り外すのは困難なので、3点留め位に手加減しておくのがよい。
レンズはダブルヘリコイド仕様になっているので普段はM52ヘリコイドを使い、マクロ撮影の時のみプロジェクター用ヘリコイドを繰り出して用いる。

撮影テスト
過去に本ブログで取り上げた口径比F2.8の後継モデルPentacon AV 100mmはピント部にややフレアが発生するソフトな描写傾向のレンズであったが、今回取り上げるDiaplan F3は、これよりもフレア量が少なくシャープな像が得られている。ただし、解像力は後継モデルの方が良い印象をうける。肝心のボケについては被写体の背後に強い光の集積をともなうハッキリとしたバブルボケを確認できた。コーティングつきモデルとコーティングなしモデルの画質的な差は階調描写性能のみで、コーティングのあるモデルの方がコントラストが良好で色乗りがよく、コーティングなしモデルの方が逆光撮影時にハレーションが出やすく、発色が淡白になる傾向がみられた。淡泊な描写を避けたいならばフードをしっかり装着し、デジカメのセッティングをビビットにすればよい。それ以外の解像力やボケ具合、フレア量などについて、両モデルはほぼ同等である。
コーティング付きモデル + sony A7(AWB): ボケの輪郭部に強が集まり、しっかりとしたバブルボケを形成している

コーティングつきモデル + sony A7(AWB):ピント部は四隅まで安定感のある描写で、滲みはPentacon AV 100mm F2.8に比べると少な目である
ノンコートモデル + sony A7(APS-C crop mode, WB:晴天): バブルの大きさを抑さえたい時にはAPS-Cモードに変え、引いてとるとよい
ノンコートモデル + sony A7(APS-C mode, AWB):こちらもマクロ域。バブルボケが大きくなりすぎるので、APS-Cモードの方がよい
ノンコートモデル + sony A7(APS-C mode, AWB): こういう被写体には軟調なノンコートレンズの描写がよく合う
コーティングつきモデル + sony A7(AWB): 背後の像がバブルボケを伴いながら崩壊している。たっ、楽しい!




コーティング付きモデル + sony A7(WB:晴天, クリエイティブスタイル Vivid): ノンコートレンズで彩度がほしいならデジカメの設定を変えればよい。この作例ではクリエイティブスタイルをノーマルからVIVIDに変更している

ノンコートモデル + sony A7(AWB): ノンコートレンズはもともとコーティング付きよりも軟調なので、長所を生かしハイキー気味に撮影するとライトトーンな写真になる。バブルボケの白さもアップ!













ノンコートモデル + sony A7(Full-frame mode, AWB): Diaplan 100mm F2.8との画質の差はフレア量であろう。モヤモヤとした滲みが苦手な人はDiaplan(Pentacon AV) 100mm F2.8よりもF3のモデルを選ぶ方がよいのかもしれない

6 件のコメント:

  1. プロジェクター用トリプレットの中でも、玉ボケの輪郭が最もシャープに思いますが。
    先輩がどこで聞きつけたのか、玉ボケレンズを欲しがって仕方がありません。(笑)

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    1. lense5151さん
      よく考えてみるとノンコートのバブルボケレンズって、
      あまり他には聞かないような気がします。
      貴重な1本かもしれませんね。先ほど、戦前のモデルを
      欲しいという人が現れました。

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    2. 確かに聞いたことがありませんね。欲しい人はいるでしょう。
      ノンコートのほうが色々な写りをより楽しめるかな?

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    3. 今しがた1952年製造のノンコートをもう一本、入手しました。
      ある文献によると、1952年までノンコートだったそうです。
      メイヤーは戦後もしばらくはノンコートを作っていたようですね。

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    4. それは楽しみですね。最後の年の製造ですか。

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    5. 最後の年です。
      F3のモデルは戦前からモデルチェンジしていませんので、
      戦後と戦前で写りに差がないというのは納得できます。

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