おしらせ

2026/01/02

Sida GmbH, Turf EXTRA Anastigmat 7cm F3.5


シーダ社のフォールディングカメラ用レンズ

Sida GmbH, Turf EXTRA Anastigmat 7cm F3.5

大晦日の我が家の大掃除で、もう一本珍しいレンズが姿を現しました。その名も「Turf EXTRA Anastigmat 7cm F3.5」。一般にはあまり知られていないレンズですが、調べてみると、1939年にドイツのSida GmbH(シーダ社)が発売した中判フォールディングカメラ「Turf EXTRA」に標準搭載されていたものだと判明しました。シーダ社は1934年にフリッツ・カフタンスキーという人物によりベルリンで設立されたカメラメーカーです[2]。

Turf EXTRAは、4.5×6cm判のフィルムを使用する中判カメラで、ベークライト製の流線形ボディとストリームラインを特徴とする、当時としては先鋭的なデザインでした。技術的挑戦とモダンスタイルの融合を体現したこのカメラは当時の工業製品の最前線を走る特筆すべき存在の一つです。

レンズのバリエーションは 1938年に登場した初期モデル「Turf」用にTurf Anastigmat 7cm F3.5およびF4.5が市場供給されており、翌年の「Turf EXTRA」では、Turf EXTRA Anastigmat 7cm F3.5F3.8F4.5が供給されています。レンズの設計はいずれも3群3枚のシンプルなトリプレットで、前玉回転式のフォーカス機構を備えています。


 

 

デジタルカメラでの使用例

上の写真のように、シャッターのマウント部に25mm-M39アダプターリング(下段・右)とM39-M42アダプターリング(下段・左)を装着し、M42直進ヘリコイド25-55mm(上段・左)にのせればM42レンズとして使用することが可能です。レンズ本体にもヘリコイドがありますので、これでダブルヘリコイド仕様となります。レンズ側のヘリコイドを操作すると前・後群の間隔が変化し、それに伴って描写も変わります。遠距離側では過剰補正、近距離側では補正不足となり、ボケ味やコントラストを意図的に変化させることができます。こうした“可変描写”を楽しめるレンズは使いこなし甲斐があります。


参考情報

[1] FEX: FOTOFEX CAMERA; Fritz KAFTANSKI  

[2] Camera Wiki: SIDA GmbH 

 

入手の経緯

このレンズは、ずいぶん前にチェコのフォトホビーから7080ドルほどで入手したものです。状態の良い美品との触れ込みで、何かのついでに同封していただいた記憶があります。本命の購入品に気を取られていたせいか、そのまま存在を忘れ、我が家の棚の奥でタイムカプセルのように長らく眠っていました。

eBayでは時折見かけるものの、流通量は少なく、特にカメラとのセットではそれなりの価格が付くと思います。そうした中で、レンズ単体で手に入れられたのは、今思えばなかなかの幸運だったと思います。

Turf Extra Anastigmat 7cm F3.5: 絞り F3.5-F32, フィルターネジなし, 絞り羽 10枚, 重量(実測)58g, 設計構成 3群3枚トリプレット, フォーカス機構 前玉回転式


 

 

撮影テスト

ピント面はトリプレットらしい高い密度感を備えつつ、戦後型のトリプレットよりも柔らかく繊細な描写で、非常に魅力的です。背後のボケは硬質でざわつきがあり、明確に過剰補正寄りの設計であることがうかがえます。撮影距離によっては非点収差由来のグルグルボケが現れ、荒々しさと繊細さが同居する、まさにオールドレンズらしい個性を存分に味わえる一本です。コントラストは控えめで発色も淡泊ですが、トーンは柔らかく、階調の移ろいを丁寧にすくい上げます。

逆光では太陽光が画面に直接入ると一気に白飛びするため、木々や建造物で光源を隠すなど、フレーミングにひと工夫が求められます。 

F3.5(開放) Fujifilm GFX100S(WB: 日陰)

F3.5(開放) Fujifilm GFX100S(WB: 日陰)

F3.5(開放) Fujifilm GFX100S(WB: 日陰)

F3.5(開放) Fujifilm GFX100S(WB: 日陰)
F5.6  Fujifilm GFX100S(WB:日光)










2026/01/01

RICOH COLOR RIKENON 35mm F2.8


ミノックスもどきの国産カメラから摘出した

ミノタールもどきの広角テッサー

RICOH COLOR RIKENON 35mm F2.8(Converted to Leica L39)

大晦日に家で大掃除をしていたら、コンパクトカメラのRICOH FF-1が出てきました。シャッターの切れないジャンク品です。家族が紅白歌合戦を見ている間に内蔵レンズを取り出し、デジカメで使えるよう改造してみました。搭載されているCOLOR RIKENON 35mm F2.8は広角レンズとしては珍しいテッサータイプで、しかもイメージサークルはフルサイズセンサーを余裕でカバーする設計です[1,2]。これは試さずにはいられません。直進ヘリコイドに換装し、ライカL39マウントにしました。

このカメラ自体は数年前、ヤフオクで何か別の機材を落札した際にオマケとして付いてきたものです。外観がドイツのMINOX 35EL(レンズはColor-minotar)に酷似していると指摘された歴史がありますが、実際にはRICOH側の設計・試作の方が早かったため、単なる偶然の一致として落ち着いたという経緯があります。こういう一致はKONICA EYEとロシアのMicron 1などにも見られますが、どうして似てしまうのか不思議でなりません。

レンズのCOLOR RIKENONは前玉回転式のフォーカス機構を採用し、絞りはシャッター羽根が兼用するというコストダウン方式て作られたモデルでした[2]。カメラから取り外すと絞りの制御はできなくなるため、開放固定での運用となります。また、外部ヘリコイドに載せるとダブルヘリコイド構成になります。

L39マウントへの改造方法は至って単純で、冒頭の写真のようにM32-M42変換リングを鏡胴に嵌めエポキシ接着剤で固定、そのままM42-M39直進ヘリコイド(10-15mm)にマウントするだけです。翌日に元旦の北鎌倉を撮ってきました。

[1] RICOH FF-1 instruction manual
[2] RICOH公式ホームページ フィルムカメラ全機種リスト

 

撮影テスト

コントラストは良好で、中央部のシャープネスも十分に確保されています。一方で四隅の描写はやや甘く、総じて解像力・シャープネスともに中庸といった印象です。本来、中間階調の豊かさを前提としたフィルム用途のレンズであるため、デジタル環境では中間調の情報量がもう一段欲しく、トーンの拾い方に物足りなさを感じる場面もあります。

周辺部の最外縁では像面湾曲が大きく、ピントの甘さが目立ちます。背景ボケはややザワつきがあり、硬質な表情を見せる傾向です。発色はカラーフィルム時代のレンズらしくニュートラルで癖がなく、扱いやすい色再現といえます。屋内ではわずかに光量落ちが気になることもありました。逆光耐性は良好で、ゴーストやフレアが目立つことはありません。

総じて、可もなく不可もなく、中庸な描写を示すレンズという印象です。フィルム写真のほうがこのレンズには合っていると思います。

F2.8(開放) Nikon Zf


F2.8(開放) Nikon Zf
F2.8(開放) Nikon Zf


F2.8(開放) Nikon Zf


F2.8(開放) Nikon Zf 

F2.8(開放) Nikon Zf
F2.8(開放) Nikon Zf

F2.8(開放) Nikon Zf
F2.8(開放) Nikon Zf



















F2.8(開放) Nikon Zf