おしらせ


MAMIYA-TOMINONのページに写真家・橘ゆうさんからご提供いただいた素晴らしいお写真を掲載しました!
大変感謝しています。是非御覧ください。こちらです。

2021/09/04

ポートレートモデル「めめ猫妖怪」さん:写真展の告知

とある日のポートレート撮影会から2枚どうぞ。ポートレートモデルの「めめ猫妖怪」さんです。使用したレンズはPiesker Berlin PICON 135mm F2.8とVoigtlander HELIAR 75mm F3.5で、カメラはFijifilm GFX100Sです。猫妖怪に変身する貴重なお姿をカメラは確かにとらえていました。

 

Piesker Berlin PICON 135mm F2.8 @F2.8(開放), Fujifilm GFX100S(AWB, NN, Color:-2)












  

 

このお方が「めめ猫妖怪」さんです。9月下旬に渋谷ルデコで「めめ猫展4」が開催されるとのことで、期日が近づいてきましたの告知を共有させていただきます。

さて、続いてはスイッチが入った後の猫妖怪さんの貴重なお姿です。

 

Voigtlander HELIAR 7.5cm F3.5 @ F3.5(開放) , Fujifilm GFX100S(AWB, NN, Color:-2)

2021/08/25

LOMO/GOMZ G-21 Ж-21, 28mm F2 Konvas OCT-18 mount

 

LOMOの映画用レンズ part 12

ガウスタイプに帰着した
ロシア製シネレンズ 28mm

LOMO/GOMZ Ж-21 (G-21) 28mm F2 (KONVAS OCT-18 mount)

LOMOのシネレンズには映画用に供給されたOKCシリーズと、映画用、産業用、軍需用に供給されたЖシリーズ(Gシリーズ)の2系統があります。両シリーズには鏡胴のつくりや画質基準に差があり、Gシリーズは中心解像力がOKCシリーズより高い値に設定されるなど、上位の製品に位置付けられていました。OKCシリーズの製造を担当したのは旧LNKINAP工場、Gシリーズは旧GOMZ(国営光学工場)で、両工場は統合されLOMOの一部となっています。ロシア製レンズの情報を統合的に扱ったGOIレンズカタログには映画用レンズやスチル用レンズ、プロジェクションレンズなどのテクニカルデータが網羅されていますが、Gシリーズについては一部のレンズに関する情報が収録されているのみで、入手できる情報は限られています。エビデンスのある情報をお持ちの方は、お知らせいただければ幸いです。
今回取り上げるのはロシア版アリフレックスの異名を持つ映画用カメラのKONVASに搭載する交換レンズとして、1980年代に供給されたЖ-21(G-21) 28mm F2です。レンズの設計は4群6枚のガウスタイプ(下図)で、それまでの焦点距離28mmのレンズとは比べものにならないほど軽量かつコンパクトに作られています。本体にヘリコイドを内蔵しているにも関わらず、重量はたったの75gしかありません。当時の焦点距離28mmのロシア製シネレンズと言えば設計はレトロフォーカスタイプが主流でOKC4-28-1やOKC7-28-1など大型で重量級のモデルばかりでしたので、G-21の登場はガウスタイプの設計に再び回帰することで、携帯性の向上、製造コストの圧縮を狙ったのでしょう。実はこのクラスのロシア製シネレンズには古くはPO13-1 28mm F2(1940年代に登場)とPO61 28mm F2.5(1950年代に登場)があり、もともとはガウスタイプの設計が主流で、コンパクトで軽量なレンズでした。
解像力(GOI基準)については中心が58 line/mm、エッジが35 line/mmと良好で、OKCシリーズの同等スペックの製品と比較しても全く遜色ありません。
 
Ж-21(G-21)の構成図: 左が前方で右がカメラの側。LOMOのテクニカルシートからのトレーススケッチ。設計構成は4群6枚のオーソドックスなガウスタイプ
   
入手の経緯 
2017年10月にebayを介してロシアのカメラ屋から落札購入しました。はじめ199ドル+送料15ドルの即決価格を提示していましたが、値切り交渉を受け付けていたので158ドルを提案したところ、私のものとなりました。オークションの記載は「レンズはエクセレントコンディション(写真を見てくれ)で、フォーカスリングと絞りリングはスムーズに動く。レンズに傷、クリーニングマーク、カビ、ホコリなどはない」とのこと。数は多くないもののeBayでの流通は安定しており、じっくり探せば150ドルあたりでも買えると思います。
 
LOMO/GOMZ Ж-21(G-21) :  KONVAS OCT-18マウント , 絞り羽根 6枚構成、絞り F2-F16、設計構成 4群6枚ガウスタイプ, 重量(カタログ値) 75g, 解像力 中心 58 line / mm, エッジ 35 line /mm。鏡胴にはレンズ名が記されていません














  
 
撮影テスト
光に敏感に反応するレンズのようで、開放で逆光撮影を行うとハレーション(ベーリンググレア)が多めに発生し、写真全体がモヤモヤとした光のベールに覆われるとともに、軟調気味の描写傾向となります。こういう効果を利用した作品作りを実践している人にG-21は最適なレンズなのだと思います。場の雰囲気を情緒的にとらえる事ができるのですが、日光の下では発色が濁る時がありますので使い方を選びます。中心部は開放から緻密に描写しフレアのないスッキリとした写りです。一方で四隅は開放で若干の滲みが入ります。F2.4まで絞ればフレア、ハレーションは共に消え、コントラストが向上するとともに発色は鮮やかになり、現代レンズのようなシャープな描写となります。イメージサークルはフルサーズセンサーをカバーすることができず、トンネルのように大きくケラレてしまいますが、APS-Cセンサーならば充分にカバーすることができ、光量落ちも全くありません。ポートレート域では背後に若干のグルグルボケが出ます。
 
F2(開放) Fujifilm X-T20(ISO1600): 光に敏感で光源が入るとボンヤリと写り、このレンズならではの軟調描写が得られます

F4 Fujifilm X-T20  絞ると急にパッキリとシャープに写る




F2.8, sony A7R2 (APS-C mode, WB:日光)

F2.8, sony A7R2 (APS-C mode, WB:日光)