ロシア軍のTV誘導ミサイルKAB-500(出展:Wikimedia Commons; Author:Евгений Пурель; 写真はwikimedia commonsのライセンス規則に則り借用しています) |
KAB-500の弾頭部。ガラス内の下の方にTair-62Tが確認できます(出展:Wikimedia Commons; Author:Евгений Пурель; 写真はwikimedia commonsのライセンス規則に則り借用しています) |
Tair-62Tの構成図。GOIレンズカタログ[2]からのトレーススケッチ(見取り図) |
★参考文献
[1] TAIRの光学系特許:USSR Pat. 78122 Nov.(1944)
[2] Catalog Objectiv 1970 (GOI): A. F. Yakovlev Catalog, The objectives: photographic, movie,projection,reproduction, for the magnifying apparatuses Vol. 1, 1970
★入手の経緯・カメラへのマウント
レンズば2018年9月にeBayを通じてロシアのレンズ専門セラー(アンディさん)から21000円+送料の即決価格で購入しました。イーベイではこの方のみがレンズを出しているので、決まった相場はなく、彼の設定額が相場です。レンズのコンディションは「NEW オールドストック」とのことで、完璧なコンディションの個体が届きました。まぁ、オールドストックでない中古品が万が一あるとすれば、一度はミサイルに搭載されながらも発射されずに廃棄されたミサイルから出てきた個体なのでしょう。中古品が滅多に存在しないことは容易に想像ができます。
レンズにはヘリコイドがついていませんので、カメラにマウントするには改造が必要です。私はM52-M42ヘリコイド(25-55mm)のカメラ側をライカMマウントに改造し、これをレンズに装着してライカMレンズとして使用できるようにしました。マイクロフォーサーズ機で用いる場合、大きく突き出した後玉がカメラの内部(センサーハウスの土手)に干渉しますので、後玉先端部のレンズガードを少し削らないといけません。とても厄介な改造です。
重量(実測) 454g, 絞り羽 11枚, 絞り F2.5-F22, フィルター径 52mm, 構成は3群4枚のタイール型 |
★撮影テスト
レンズのイメージサークルは16mmシネマムービーに準拠していますので、マイクロフォーサーズ機で用いる場合、写真の四隅は本来は写らない領域です。四隅には光量落ちが出ますし、深く絞るとトンネル状のダークコーナーがあらわれ、ハッキリとケラれます。また、距離によっては背後にグルグルボケが出ますし、糸巻き状の歪みが生じ、真っ直ぐなものが曲がって見えます。マイクロフォーサーズ機では、こうした破綻を活かす方向で考える必要があります。もちろん、アスペクト比を変えたりセンサーサイズの小さいカメラを使えば、これらの破綻は回避できます。また、歪みや光量落ちは現像時にある程度補正できます。
レンズの描写は開放からスッキリとしていてヌケがよく、高解像で高コントラストです。ただし、トーンはなだらかで中間階調もよくでており、くもり日でも空の濃淡の微妙な変化までもしっかりと拾うことができます。発色は鮮やかでコンディションによっては気持ち悪いくらい鮮烈に写る事があります。ボケは前ボケも後ボケも均一に拡散し、バブルボケにはなりません。普通は前か後ろのどちらか一方が硬く、反対側は柔らかく写るのるのですが、このレンズの場合はいろいろな部分で普通のレンズの描写とは異なるようです。逆光には強く、ゴーストやハレーションはでません。
F?(少し絞っています) Olympus E-P3(AWB) |
F2.5(開放) Olympus E-P3(AWB) |
F2.5(開放) Olympus E-P3(AWB) |
F2.5(開放)Olympus E-P3(AWB) |
F2.5(開放)Olymus E-P3(AWB) |
F2.5(開放) Olympus E-P3(AWB) |