おしらせ

 
おしらせ

オールドレンズ女子部
12月2日(土) 東京ドームシティ イルミネーション撮影散歩&お茶会 詳しくはこちら

オールドレンズ写真学校12月ワークショップ
今月は12月17日(日)の予定です。まもなく正式な発表と申し込みの開始が始まります。

2009/07/20

Carl Zeiss Jena Flektogon 25mm/F4 & 20mm/F4 M42-mount
カールツァイス・イエナ フレクトゴン

こちらに改訂版があります
(2017年1月改定)




Flektogon 25mm/F4 (M42-Mount): 最短撮影距離:0.18m フィルター径: 77mm 重量:358g, 設計者はWolf Dannberg

Flektogon 20mm/F4(M42-mount): 短撮影距離: 0.16m フィルター径: 77mm 重量: 320g  

撮る楽しさを盛り上げてくれる

圧倒的な存在感が魅力

 フレクトゴンは旧東ドイツの名門カール・ツァイス・イエナ社によって製造された広角レンズのブランド名である。20㍉/F4, 25㍉/F4, 35㍉/F2.8の3種のラインナップが存在し、フレクトゴン広角3兄弟の愛称で親しまれている。今回テストする25㍉と20㍉のフレクトゴンはそれぞれ1959年と1961年に登場した。大きな前玉と太く短い鏡胴、お洒落なゼブラ柄のリングが外観の特徴である。両者は大きさやデザインがよく似ているため、一見して区別がつかないが、20㍉版のほうがピントリングの縦幅がやや長く前玉の鏡胴がやや短い。25㍉版は1967年に製造を終了している。一方、20㍉版は35㍉版とともに、ガラス面にマルチコーティングを施した黒い鏡胴としてモデルチェンジし、1976年から1981年まで製造が継続される。フルサイズセンサーを搭載したEOS5Dでも後玉がミラーに干渉することなく使用できるようだ。

フレクトゴン広角三兄弟。左から20㍉/F4, 35㍉/F2.8, 25㍉/F4。M42マウントの他にエグザクタマウントが存在する。中央の35㍉版は過去に本ブログでも取り上げた、レンズ名はラテン語の「曲がる、傾く」を意味するFlectoにギリシャ語の「角」を意味するGonを組み合わせたのが由来。


写真左:フレクトゴンの舌 右:25mm/F4の後玉

フレクトゴンはマクロレンズなみの近接撮影能力を持つのが特徴で、草花や虫をアップで撮影すると肉眼では見ることのできない凄い世界が撮れる。またパンフォーカス撮影にも向いており、近接から遠景に渡る構図において極めて深い被写界深度が得られる。鏡胴の迫力と存在感が撮影者のモチベーションを高揚させるオールドレンズ界の王者である。

入手の経緯
フレクトゴン20㍉/F4は現在もたくさん流通しており、中古店やオークションでの入手は容易だ。今回テストするレンズは2008年夏にeBayにてウクライナの中古カメラ業者から落札購入した。それまで270㌦程度の上限額を用意し何度か落札しようと試みたが、ことごとく失敗した。しかし、この時だけはどういうわけか入札数が少なく、価格が高騰しなかったのだ。新品同様(MINT状態)との触れ込みの品をたった202㌦+送料で手に入れることができた。届いた商品は文句のつけようがない極上品であり、美品の場合の国内相場は4万円程度なので本当にラッキーな買い物であった。デザインに迫力があるため重くてデカそうな印象を抱いていたが、実際に手にしてみるとそれほどでもなく、「あ~こんなもんか」という実感であった。重量320g強というのは、現代の20mm単焦点レンズが250-300gであることを考えると突出して重いというわけではないし、サイズも写真などで見ていたよりはだいぶ小さく感じた。発送元がポーランドになっていたが、たぶん業者が現地で商品を買い付け発送しているのだろう。
一方、フレクトゴン25mm/F4は2009年2月にドイツ版eBayにてスナイプ入札で落札した。ドイツ国内向けの商品であったため、入札者数は少なかった。入札の締切1分前に130ユーロの値を付けていたところに、「えいっ!」と250ユーロを投入したところ160ユーロ(約2万円)であっさり落札できてしまった。25㍉版はもともと製造数が少ない珍品のため20㍉版や35㍉版よりも高額で取引されている。eBayでの相場は350㌦以上、国内相場だと4万5千円はする高価なレンズである。じっくり腰をすえ何度もトライした甲斐があったと思われた。ところが届いた商品は後玉のコーティングにポツポツとした焼けつきがあった。古い品なので仕方ないがオークションの記述にはなかった。一瞬、返品も考えたが実写には影響が無い程度のため我慢することにした。

試写テスト
フレクトゴンの前評判をまとめると・・・

●優れた近接撮影能力を持ち、最短撮影距離は20㍉版で15cm, 25mm版で20cmとマクロレンズ並みである。花や虫を撮るのが楽しそうだ。
●被写界深度がたいへん深く、パンフォーカス撮影に向いている。
●画像中央だけでなく周辺部まできっちりシャープに写り、独特のヌケの良さと透明感のある発色が得られる。
●周辺画像の歪みや光量の低下がたいへん少ない。
●モノコート仕様のため逆光に弱く、コントラストが低下する。


かなり優秀なレンズのようである。

flektogon 20mm/F4:  最小絞りf22による撮影結果。手前の花と遠景の両方が被写界深度内に収まっている。本レンズならではの構図だ
フレクトゴン25(左)と20(右)を同じ撮影条件で比較した。両者は発色やコントラストなど画作りが大変よく似ている。光の多い状況下だが暗部は浮き上がることなく安定しておりコントラストは悪くない。近接から遠方まで大変シャープな結像が得られている。周辺部の歪みも少ない。絞り値はf16。サンプルは無修正・無加工

左は25mm、右は20mm。奥の電灯や紫色の発砲スチロールの色具合など、両レンズの発色はたいへん良く似ている。f8


flektogon 25mm:梅干の赤をきちんと再現できた。f8

flektogon 20mm: やはり25mm版と発色が似ている f8
flektogon 25mm/F4: 紫は若干淡いが、水色、ピンク、緑色はほぼ見た目どおりの発色である。ボケも綺麗。周辺光量の低下も無い。さすがツアィスだ。 f5.6

             flektogon 20mm: f5.6でボケを強調した

               flektogon 20mm: F16で今度はパンフォーカス気味にした
flektogon 20mm: F8

広角レンズは設計上あまりボケてくれないので、ある意味において表現力の乏しいレンズと評されることがある。しかし、フレクトゴンの多才ぶりを知ると、そんなことはどうでもよくなってしまう。フレクトゴンは広い景色を守備範囲とし、小さな虫に大接近し、パンフォーカス撮影をこなす。さまざまな撮影シーンで高い能力を発揮する楽しいレンズなのだ!  

撮影環境: Calr Zeiss Flektogon 25mm & 20mm + EOS Kiss x3 + HAKUBA wide metal Hood


フレクトゴンを持ってスナップ撮影をしていたら、あるとき道行く人に訪ねられた。


What's this? Is this a camera?

No, this is the FLEKTOGON.


6 件のコメント:

  1. はじめまして
    ブログ拝見させて頂きました。
    非常に参考になる内容で楽しませていただいております。
    ありがとうございます。
    小生もこのフレクトゴンに惚れ込み、SPIRALさんのブログにたどり着きました。
    今まで使い込まれたフレクトゴン35mmと20mmのゼブラを購入し、本日25mmをイーベイUKで落札。はたして届くのだろうか。。。ちなみに($299(約2万6千円+送料=はたしていくらに???)
    (遅くなりました小生愛用機はPENTAX K-7で、昨年12月にデジイチデビューの超初心者です)
    超初心者ですが、レンズ沼のはまり具合はなかなかなもので。。。
    話は変わりますが、M42 35mm コンピューター の会社で仕事をしています。あのブログを見て初めて知りました。
    これからも楽しく拝見させていただきます。
    長々と失礼しました。

    返信削除
  2. こんばんは。只今バリ島から投稿しています♪

    >小生もこのフレクトゴンに惚れ込み
    FLEKTOGONは世界中の写真家に愛され続け、今も絶大な人気を誇る銘玉と言われていますので、20,25,35を3本とも揃えてしまいたくなるお気持ちは、たいへんよくわかります(^o^)。25mmのフレクトゴンは珍品で、なかなか出回っていないので、手に入れるのに苦労なさったのではないでしょうか。安定感と存在感のあるいいレンズですよね?

    >小生愛用機はPENTAX K-7で、

    わたしも以前、PENTAXのデジイチを使っていましたが、PENTAX K-7はマウントアダプターとの相性も抜群ですので、M42マウントのレンズを使用する場合は理想的な母艦に思えます。Canonのように露出があばれることはありませんし、最初から電子的に合焦を知らせてくれますし・・・。(^^)/

    乱筆、誤字脱字もおおいのですが、これからもお楽しみくださいね♪♪

    返信削除
  3. tsukanet さんのコメント...
    tsukanetです
    小生てもとにハンガリーから25mm(¥30000送料込み)フレクトゴンが届きました。20mmと比較するとレンズに移りこむ蛍光灯の光が25mmは青くマルチコートっぽく、20ミリは黄色でノーマルなのでしょうか。

    Fリングを動かすとスカスカ感があり、以前100円ショップで購入した注射器でグリス(田宮のグリス)を注入しようとしましたが、隙間が無く針が入りませんでした。
    良く見るとネジもIリングに1つしかなく、抜き取ってみましたが思いのほか長いネジに驚きそれ以上触れません。

    どおにかグリスを補充する方法御存知でしょうか。

    取りとめも無いコメントで申し訳ございません。。。

    返信削除
  4. tsukanetさん

    > 小生てもとにハンガリーから25mm(¥30000送料込み
    >)フレクトゴンが届きました。

    興味深いリポートありがとうございました。
    フレクトゴンは20mmのゼブラのものでも最低350㌦はしますので、
    レアな25mmが30000円とは、かなりお買得だったのではないでしょうか。

    > 20mmと比較するとレンズに移りこむ蛍光灯の光が25mmは
    > 青くマルチコートっぽく、
    > 20ミリは黄色でノーマルなのでしょうか。


    tsukanetさんの25mmは青く光りましたか!

    私の場合、25mmは黄色く輝き、20mmのほうが
    青く光っています。tsukanetさんとは逆ですね。

    25mmのフレクトゴンは早い段階で製造中止となり
    姿を消した製品ですので、黄色いコーティングは古いタイプ、
    青(紫)のコーティングは新しいものかと思っていました。

    tsukanetさんのフレクトゴンは私の逆の関係ですので、
    そう単純ではないみたいですね。興味深いです。

    ちなみにシングルコーティングの個体にも
    青く光るコーティングのものがありますので、
    25mmの個体はMCではないそうです。


    > Fリングを動かすとスカスカ感があり、以前100円ショップで
    > 購入した注射器でグリス(田宮のグリス)を注入しようと
    > しましたが、隙間が無く針が入りませんでした。


    私も20mmを自分で分解清掃しようかと思った時がありました。
    以前、黒鏡胴の35mmMCフレクトゴンを分解したときは
    ドライバ一本で簡単にばらせたからです。
    しかし、20mmと25mmのゼブラ柄フレクトゴンは後期型の
    黒鏡胴MC版よりも分解が難しいとWEBに情報があり
    ましたので、この時は思いとどまりました。

    今年の春に20mmのフレクトゴンのオーバーホールを
    業者に依頼しました。

    中古の古い個体なので、埃がたまるとか、絞り羽根の開閉に
    粘りがでるなどいろいろあるかと思いますが、
    支障がなければこのまま使用し、
    定期メンテ時に業者の力で改善していくのが
    一番なのかと思います。

    クラシックレンズを愛用している方って、どれくらいの間隔で
    メンテやオーバーホールをなさっているのでしょうかね?

    書き込みありがとうございます。

    返信削除
  5. 私もFlektogonに魅了されて新旧5本を揃え、今はMC型の鏡胴に旧型のレンズを組み込んだ型を探しているところです。(私のFlektogonは20mmは25mm共に青のコーティングでした。コーティングにもバリエーションがあるのですね)あの前玉のインパクトと近接能力はたまりませんね。
    ゼブラのFlektogonの構造は同じゼブラのPancolar 50mmに似ていて、分解は想像ほど複雑でなかった記憶があります。(前玉を外すのには苦労しましたが)

    返信削除
    返信
    1. MC鏡胴に旧型の光学系をつっこんだ過渡期のモデルは焦点距離35mmではよくみつかりますよね。20mmではまだ見たことがありません。

      削除

匿名での投稿は現在受け付けておりませんので、ハンドルネーム等でお願いします。また、ご質問を投稿する際には回答者に必ずお返事を返すよう、マナーの順守をお願いいたします。