1993年12月に刊行された朝日カメラ(別冊)「郷愁のアンティークカメラIII」にはレンズによって表現される「味」や「におい」と呼ばれるものをテーマにした松井満氏の記事があり、今でいうオールドレンズファン達の嗜好に触れている[文献1]。記事の一説を要約すると「写真は事物の単なる記録的再現ではなく、心理的な印象を捉えるべきものである。冷たい鮮鋭なレンズが退屈になり、自分の作画に何かが欠けているのにありきたりなく思っているアマチュアが今後ますますふえてゆくことに間違いあるまい。彼らはカメラのレンズが『良すぎる』ことに不満なのである」と述べ、さらに次のように続けている。「彼らは昔のカメラ(レンズ)が持っていたグラマー(うっとりさせる魅力)を自分の作画に盛りたがっている。具体的な例をあげればフォクトレンダーのヘリアーである」
グラマーな写りで世の肖像写真家達を魅了した
伝説の妖玉ヘリアー
Voigtländer HELIAR 7.5cm F3.5
Heliar(ヘリアー)はカメラメーカーとして世界最古を誇るVoigtländer(フォクトレンダー)社が戦前の高級カメラに搭載したフラッグシップレンズである。柔らかいながらも芯のある描写には肖像写真を美しく格調高い作品に仕立てる効果があり、職業写真家達から絶大な称賛を得ていた。レンズを開発したのはフォクトレンダー社のHans Harting(ハンス・ハーティング)博士[注1]で、トリプレットの前玉と後玉を貼り合わせのダブレットに置き換えることで1900年に初代Heliar F4.5を完成させている[文献2]。この置き換えにより中間画角から最大画角にかけての画質(いわゆる写真の四隅の画質)が改善し、トリプレット同等の明るさを維持しながら比較的広い実用画角を達成している。ただし、貼り合わせダブレットが球面収差を補正できないことからフレア量はむしろ多くなり、被写体を柔らかい収差のベールで包み込むHeliarならではの美しい描写力を生み出している。Heliarがポートレート用レンズとして絶大な名声を得たのは、この妖力があっての事に他ならない。
[注1] Carl August Hans Harting・・・1889年に数学、物理学、天文学で理学博士となり1897年から2年間ZeissでAbbeの助手を勤める。1899年にVoigtländerに移籍し31~32才の時に初代Heliarを完成させるが、1908年にドイツ特許庁に移籍しレンズ設計者としてはここで一線を退いている。第二次世界大戦後は東独VEB Zeiss社に招かれ戦後の復興に尽力した。[文献3]の「人物略伝」にHartingついての詳細な解説がある。
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【構成図の系譜】:HeliarはVoigtländerのHarting博士が1900年にトリプレットの前・後群を貼り合わせレンズに置き換えることで完成した[文献2]。この置換により前・後群の外側表面の曲率を緩めることができ、中間画角から最大画角にかけての画質(非点収差の補正効果)が改善、包括画角をトリプレットよりも広い50°まで広げることが可能となっている。追加した貼り合わせダブレット(イエナガラスを用いた「新色消し」)が球面収差を補正できないことから結像は柔らかく階調も軟らかい描写となり、雰囲気のよくでレンズとして大変な評判となる。初代Heliarの設計は前・後群が完全対称であったがHartingは1902年に同一構成ながらも対称性を崩しペッツバール和の抑制と非点収差の補正強化を実現した第2世代の改良版Heliarを世に送り出している[文献4]。また、同年に登場したZeiss Tessarの後群接合部が正曲率であることによる重要な効果に気づき、Heliarにもこのアイデアの導入を試みた[文献3]。こうした着想を経て1902年に新型レンズを設計し1904年にDynar(ダイナー)の名で登場させている[文献5]。Dynarは開放F値がHeliarより一段暗いF5.5/F6で製品化されHeliarより安く売られたが、本来はHeliar同等以上の明るさにも対応できる光学性能があり、非点収差を除く全ての収差特性でHeliarを上回る好成績をたたき出していた[文献3]。そこで、第1次世界大戦後の1921年にRobert Richter(ロバート・リヒター)博士の手により再設計され、1925年頃に第3世代の新生HeliarとしてF3.5/F4.5の明るさで再登場することになる[文献6-8]。私が入手したHeliarもF3.5の明るさを持ちRichterの手で生み出されたDynarからの改良版で、シリアル番号を辿ると1930年代に製造された製品個体である。このシリーズも包括画角50°前後をカバーし焦点距離は2cmから30cmまで製品化されていた[文献12]。HeliarはH.Deser(デセール)による1933年の再設計でF2.8の明るさにも対応している[文献9]。ただし、性能的に厳しかったのか特許申請のみでF2.8の口径比では製品化されなかった。第二次世界大戦終戦後はSchneider社からの移籍で加入したA.W.Tronnier(トロニエ)がカラーフィルムに対応できる後継モデルのColor-Heliar(カラー・ヘリアー)F3.5をRichter版Heliarの構成で再設計し、中版カメラ用レンズとして製品化させている[文献10]。1999年からは日本のCosina(コシナ)がVoigtlanderブランドの商標使用許諾を取得しHeliarブランドを継承、2001年に101周年記念の復刻モデルとしてHeliar 50mm F3.5(ライカLマウント)を限定生産を実現している。また、2009年にはCosina版Bessaの発売10周年を記念して、Heliar 50mmF2(Lマウント)と50mm F3.5(Lマウント)を限定生産、また現行モデルとしてHeliar 40mm F2.8(ライカMマウント)を登場させている。現行のHeliar 40mmには光学系中央部に非球面レンズが用いられ、たいへん高性能なレンズとなっているそうである。いずれもRichter版Heliarの設計構成を踏襲した改良レンズである。いつか機会があれば、これらも取り上げてみたい |
今回私が取り上げるモデルはRobert Richter(ロバート・リヒター)博士による1921年の再設計でF3.5の明るさとなった第3世代の改良版Heliar(1925年頃に登場)である[文献6]。Richterは後に航空撮影用レンズとして有名になるTopogon(Carl Zeissが1933年発表)を設計した人物で、Voigtländerに在籍した1914年から1923年の間にHeliar, Repro-Heliar(リプロ・へリアー), Apo-Skopar(アポ・スコパー), Collinear(コリニア)の再設計を手がけた[文献7, 文献11]。1923年にGoerz(ゲルツ)社に移籍した後、GoerzがZeiss Ikon社の設立母体としてCarl Zeiss財団に吸収合併されたため、1926年からはZeissのレンズ設計士となっている。私が入手したRichter版Heliarには1902年にハーティング博士が設計したDynar(ダイナー)の構成が採用されており、初代/2代目Heliarに比べるとシャープに写るレンズとなっている。これ以降Voigtländerは一部のモデルを除き収差的に高性能なDynarの構成にHeliarのブランド名を継承させている。
Heliarは一般にトリプレットからの発展形と紹介されることが多いが、途中でテッサーの血が入り、Richter版Heliar(1921年設計)以降ではテッサーの形質が優位に出ていることがわかる。初代/2代目HeliarはRodenstockのソフトフォーカスレンズImagonと比較されることが多く、そういう意味でも3代目以降とは比較にならないほどソフトなレンズだったのであろう。そうした視点で見ると第二次世界大戦後のColor-Heliarや現行のコシナ製Heliarは初代Heliar(トリプレット)とは別系統で、Dynar(テッサー)の血統を汲むレンズであると捉えるほうが、より自然な解釈のように思える。
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重量(実測) 113g, 絞り羽 15枚構成, フィルター径 29.5mm, 最短撮影距離 0.7m, 絞り値 F3.5(F4.5)-F22, ヘリコイドつき, 光学系は3群5枚構成のDynar型でノンコート仕様, シリアル番号より1937-1939年に製造された製品個体と判別できる。メーカー推奨イメージフォーマットは中判4.5x6cm |
文献1: 朝日カメラ(別冊)「郷愁のアンティークカメラIII」レンズ雑学辞典 1993年12月
文献2: 初代Heliar特許, US Pat. 716035, DE Pat. 124934
文献3: Rudolf Kingslake, A History of the Photographic Lens/キングスレーク著「写真レンズの歴史」朝日ソノラマ
文献4: 2代目Heliar特許, DE Pat. 143889
文献5: Dynar特許, US Pat. 765006, DE Pat.154911, 124934, 143889,
文献6: 3代目Heliar F3.5, DE Pat.354263
文献7: Arne Cröll, View Camera May/June 2005, Voigtländer Large Format Lenses from 1949-1972 (Revised in Nov.17,2012)
文献8: New Heliar(3代目)広告, B.J.A 1925,p.359
文献9: Heliar(F2.8), DE Pat. 636166
文献10: Color-Heliar特許, US Pat. 2645156, DE Pat. 888772
文献11: Matthew Wilkinson and Colin Glanfield, A Lens Collector's Vade Mecum
文献12: Voigtlander レンズカタログ 1927年文献13: クラシックカメラ専科No.8: スプリングカメラ特集
文献14: 小西六本店 PR誌 昭和3年(1928年)3月
★入手の経緯
2014年11月にドイツ版eBayを介してドイツのレンズ専門セラーから競売の末に落札購入した。レンズは特製アダプターを用いてM42マウントに変換されていた。オークションの記述は「M42マウントに変換したフォクトレンダー・ヘリアー75mm F3.5で、フォクトレンダーによって1930年代後半に造られたマスターレンズ(ムービー用の試作)である。ヘリコイド冠に距離指標がない。小さく軽いうえ、あらゆる用途に使用できる万能性を備えた実用的な焦点距離である。とても良いコンディションでフォーカスリングと絞りリングは良好に動作する。ガラスは素晴らしい。フォーカスレンジは0.7mから無限遠である。アダプターを用いれば殆どすべての一眼レフカメラで使用できる。このレンズはフルサイズフォーマットよりも広いイメージフォーマットを包括している」とのこと。写真を見る限りかなり綺麗な鏡胴でガラスの状態も良さそうである。この出品者からはシャッターユニットをもたない珍しいHeligon 80mm F2.8やKinoptikの高級レンズも同時に出品されており、やはり特性アダプターでM42マウントに変換されていた。スマートフォンの自動スナイプ入札ソフトで最大額を設定し放置したところ15人が入札し、翌日になって214ユーロで私が落札、ラッキーなショッピングであった。ただし、届いたレンズには若干の汚れが見られたのでメンテナンス業者に持ち込んで軽く清掃してもらった。メンテ料1万4000円を含めると4万5千円程度の出費となっている。
★Bronica S2へのマウント
Heliarのフランジバックは75mm程度であるのに対しBronica S2のフランジバックは101.7mmと長いので、この差を切り詰めるにはカメラにレンズを沈胴させるしかない。今回もレンズを前玉フィルター側からマウントし、カメラの内部へと沈胴させて使用することにした。詳しいマウント方法が知りたい方はRoss Xpresを扱った前回のブログエントリー(こちら)に参考情報を掲載したのでご覧いただきたい。ここではレンズをマウントするのに用いた部品のみを列記する。全て市販で手に入るものばかりである。若干オーバーインフになる組み合わせを試行錯誤の末に実現した結果なので、もっと少ない部品数で済ませることも可能なのかもしれない。あくまで参考程度にしてほしい。
- 29.5 - 37mmステップアップリング:レンズのフィルター径を汎用的なネジ径に変換
- 37 - 46mm ステップアップリング:フランジ調整用
- M42(P1) - 46mmリバースカプラー(リバースリング): M42ネジへの変換用
- BronicaマクロエクステンションチューブNo.1: フランジ調整用
- Bronica M57 - M42(P1)アダプター: レンズをブロニカ本体にマウントするためのアダプター
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M57-M42アダプターの前方にM42(P1)-58mmリバースカプラーと58mm綱手リング(八仙堂のプロダクト)を装着しレンズのフロント側を58mmのフィルターネジに変換しフードの装着を可能にしている |
★撮影テスト
戦前のフォクトレンダー社が大判撮影用のCollinear(コリニア)と共に最高級レンズに位置付けていたのがヘリアーである。開放では結像が柔らかく階調も軟らかいためソフトフォーカスレンズに近い写真となるが、ソフトとは言ってもこのレンズの場合には解像力を捨てたわけではなく、モヤモヤとした美しいフレアの中にピント部の緻密な表現がしっかりと残り、線の細い繊細な描写を維持している。少し絞れば、なだらかな階調を保ちながらコントラストが向上、深く絞ればスッキリとヌケの良い写りへと変化する。ポートレート写真のあるべき姿を写真レンズの描写設計にどう盛り込むのか、戦前のフォクトレンダーの出した答えがこのヘリアーなのであろう。コントラストは低くカラーでの発色も地味だが、階調の推移がなだらかなため、かえってそれが作画に深み(しっとり感)を与え、主張しすぎないフレアと相まって、写真を見た者に味や匂いを呼び起こさせる特殊効果のような働きをしている。ボケは美しく、四隅まで乱れることなく整っており、適度な柔らかさで拡散している。ソフトフォーカスレンズの美味しいところを少し分けてもらうことで雰囲気の良く出る開放描写を実現しているのだろう。現代のレンズに通じるクリアで雑味のない、「CDで聴く音楽」のような作画もよいが、このヘリアーの魅力はそこではない。
★デジタルカメラ(Sony A7)による写真作例
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F3.5(開放), Sony A7(AWB): |
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F3.5(開放), Sony A7(AWB): |
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F3.5(開放), Sony A7(AWB): |
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F5.6, Sony A7(AWB): |
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F4.5, Sony A7(AWB) |
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F4.5, Sony A7(AWB) |
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F8, Sony A7(AWB): |
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F8, Sony A7(AWB): 絞ればこのとおりのにヌケは良い |
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F8, Sony A7(AWB): 絞っても階調が硬くなることはない |
★カラー・ネガフィルム(6x6 format)での写真作例
Camera: Bronica S2
Film: Fujifilm Pro 160NS, Kodak Portra 400 ブローニー・カラーネガ
露出計: セコニック スタジオデラックス
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F3.5(開放), 銀塩撮影, Fujifilm Pro160NS (6x6 format) + Bronica S2: |
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F3.5(開放), 銀塩撮影, Fujifilm Pro160NS (6x6 format) + Bronica S2: |
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F3.5(開放), 銀塩撮影, Fujifilm Pro160NS (6x6 format) + Bronica S2: |
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F8, 銀塩撮影, Fujifilm Pro160NS (6x6 format) + Bronica S2: |
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F4.5 銀塩撮影, Kodak Portra 400 (6x6 format) + Bronica S2 |
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F5.6, 銀塩撮影, Kodak Portra 400 (6x6 format) + Bronica S2 |
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F3.5(開放), 銀塩撮影, Fujifilm Pro160NS (6x6 format)+ Bronica S2: |
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F4.5, 銀塩撮影, Fujifilm Pro160NS(6x6 format) + Bronica S2, 黒絞め(階調補正を適用): |
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F4.5, 銀塩撮影, Fujifilm Pro160NS(6x6 format)+ Bronica S2, 黒絞め(階調補正)を適用: |
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F4.5, 銀塩撮影, Fujifilm Pro160NS(6x6 format) + Bronica S2: |
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F3.5(開放), 銀塩撮影, Fujifilm Pro160NS(6x6 format) + Bronica S2: |
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F3.5(開放), 銀塩撮影, Fujifilm Pro160NS (6x6 format) + Bronica S2: |
ヘリアーと言えば昭和天皇ご夫妻の御真影(ごしんえい)にも採用されたことから日本では別格視されるようになり、昭和時代には写真館などで家宝のように大切に扱われてきたそうだ[文献13-14]。このレンズの描写は見たままの姿を忠実にとらえ再現するだけでなく、被写体の美しさを引き立て、格調高く仕立てる効果があり、御真影に採用されたのもそのためであろう。時代的に撮影に使用されたのはDynar型の3代目ヘリアーだったであろうと思うが、こういう歴史の舞台や映画の名作などで活躍したレンズに思いを寄せ、伝説と共に写真撮影を楽しむのも、オールドレンズの魅力の一つと言える。以下ではBessa66判のへリアーを最新のデジタル中判センサーを搭載したFujifilmのGFX100Sでも使用してみた。
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Heliar 7.5cm F3.5 (Bessa66用): 前玉回転式, 最短撮影距離 1m, F3.5-F16, 絞り羽10枚, 重量(外部ヘリコイド除く) 75g |
まずはスタジオ撮影の写真を何枚かどうぞ。スタジオのライティング光ではどうもレンズの特徴である柔らかさがうまく出せないのか、思っていた以上にスッキリとしてシャープで、解像感の高い現代的な写りとなった。背後のボケには安定感があり、グルグルボケが目立つことはなかった。
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F3.5(開放, 外部ヘリコイドで合焦) Fujifilm GFX100S(AWB,NN,Color:-2) |
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F3.5(開放, 外部ヘリコイドで合焦) Fujifilm GFX100S(AWB,NN,Color:-2) |
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F3.5(開放, 外部ヘリコイドで合焦) Fujifilm GFX100S(AWB,NN,Color:-2) |
続いて屋外での写真を何枚か提示する。自然光で撮影すると被写体の表面を微かなフレアが覆っていることがはっきりと見え、しかも、シャープネスには大きな影響を及ぼさない程度の絶妙なフレアだ。トーンはやや軟調気味で雰囲気のある写りとなる。GFXの中判デジタルセンサーで使用する限りだが、四隅でもしっかりとピントが合い、解像感はピント部全体にわたり均一であった。本来のイメージフォーマットはもっと広い中判6x6なので四隅まで端正に写るのはごく当たり前なのであろう。前玉回転で合わせるとポートレート域で少しグルグルボケが目立つことがあった。
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F3.5(開放, 前玉回転で合焦) Fujifilm GFX100S(WB:⛅, NN) |
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F3.5(開放, 前玉回転で合焦) Fujifilm GFX100S(WB:⛅, NN) |
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F3.5(開放, 前玉回転で合焦) Fujifilm GFX100S(WB:⛅) |
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F3.5(開放, 前玉回転で合焦) Fujifilm GFX100S(WB:⛅) |
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F3.5(開放, 前玉回転で合焦) Fujifilm GFX100S(WB:⛅) |
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F3.5(開放, 前玉回転で合焦) Fujifilm GFX100S(WB:⛅, NN) |
初めまして。昨年こちらに伺い そのディープな内容に驚き、爾来興味を持って拝読させていただいております。ヘリアタイプのレンズ構成は現在のコシナ社製品に受け継がれておりますが、ニコンとペンタックスでも過去に同種のレンズ構成を持つレンズを出していたことがあります。ニコンではマイクロニッコール105ミリf4、ペンタックスもマクロタクマー100ミリf4と奇しくも中望遠タイプのマクロレンズです。オールドヘリアとは異なる硬質な描写傾向ですが、ヘリアタイプ構成の描写の可能性を示すものとしては参考になるかもしれません。貴ブログの趣旨からは M42マウントのマクロタクマー100ミリf4の方が合うかもしれませんね。
返信削除猿画堂さん
削除こんばんは。へリアタイプは各社とも作っていたようですね。戦後はガラスのバリエーションが増え、貼り合わせレンズ(新色消し)へのガラスの選択肢が増えたため性能が飛躍的に伸び、球面収差の補正もうまくゆくようになったのであろうかとおもっています。日本製品を見るとヘリアーも高解像でシャープなレンズに変化していったことをうかがい知ることができるということですよね。コメントありがとうございました。
ブログ拝見しました。すごい情報量ですね、とても参考になります。ところで、フィルムからのデジタル化がとてもきれいなのですが、差し支えなければスキャンの機種や設定などお教えください。
返信削除自分ではスキャンしていません。現像時に業務機(ノーリツ3501)でのスキャンを一括でお願いしCDに書き込んでもらっています。家庭用スキャナとは比べ物にならないほど、きれいにスキャンできますよね。
削除初めまして、ずっと楽しみに拝見しております。
返信削除こちらは伺う度にそのレンズ欲しくなりますね。
ROM専でいましたが書き込ませていただきました。
ヘリアー型で私が唯一持っていてとても気に入っているのが
コダックメダリストのEKTAR 100mm/f3.5です。
620フィルムを使う上にごつく重いということであまり人気ありませんが、
鍔を一寸削れば巻き直しをせずとも使えますのでしばしば持ち出しております。
こちらは軍用にも使われたとか使われなかったとか諸説ありますが、
6x9版では珍しいプリズムのみの高性能距離計とセルフコッキングもあって
かつてアメリカンライカと謳われたこともある素晴らしいカメラだと思ってます。
Flickrで作例リンクさせていただきました。
ところでコダックのコーティングにLumenized(ルメナイズド)というのがありますが
こちら詳細わからず、お伺いする次第です。
戦中戦後、丸にLが明記されたものがそうですがどういったものかご存じありませんか?
Tコーティングなど他とは何かちがうところがあるのか名前だけなのか。
図々しい書き込みついでに
マキナのアンチコマーについても書き込んでしまいます。
6x9版の100mmf2.9というのは35mm換算でも大口径ではないかと素人考えですが
テッサーというのは構造上大口径化は難しいのではなかったのでは?
名前の由来もコマ収差のないという意味なのかコマは日本語だからそれは間違いかとか
いろいろ不思議に思ってますが、
性能はともかくこの赤のところは赤しか写らず青のところは青しか写らない
描写がとても気に入っております。
https://www.flickr.com/photos/83823034@N06/13096761684/in/set-72157636971960355
https://www.flickr.com/photos/83823034@N06/13382813325/in/set-72157636971960355
eraplatonicoさま
削除書き込みありがとうございました。
コダックメダリストIIを拝見しました。美しいカメラですね。
ついつい見入ってしまい、昼休みが短くなってしまいました(笑)。
> コダックのコーティングにLumenized(ルメナイズド)というの
> がありますがこちら詳細わからず、お伺いする次第です。
> 戦中戦後、丸にLが明記されたものがそうですがどういった
> ものかご存じありませんか?
ご期待にこたえられず、すみません。
コダックのコーティングは全く無知です。
Tコーティングは1930年代にZeissに籍を置くウクライナ人物理学者が開発し、戦中からZeissのレンズに導入されましたが、米国でも1920年代にはコーティングの独自研究が進んでおり、1920年代後半には世界初のコーティングつき市販レンズが米国Goerzもしくは、その親会社B&J社から出ていたと記録があります。米国でコーティングを開発したのは物理の学位を持った女性(おそらく南カリフォルニア大出身)だったそうです。
参考サイト:Jo Lommen's site
http://lommen9.home.xs4all.nl/index.html
Burke & James History:
http://lommen9.home.xs4all.nl/Burke/page2.html
> 図々しい書き込みついでに
> マキナのアンチコマーについても書き込んでしまいます。
> 6x9版の100mmf2.9というのは35mm換算でも大口径ではないかと
> 素人考えですがテッサーというのは構造上大口径化は難しいのでは
> なかったのでは?
想像になりますが、
F値固定でも長焦点化(大口径化)しますと球面収差もそれに比例して
大きくなってしまうのでしょうから、6x9の大きなフィルムの墨まで
フィルムの性能を引き出しきれるかどうかが問題になるのでしょうが、
テッサーの場合、もともと解像力が非常に高いレンズというわけではあり
ませんから、性能のマージンが小さく、大口径化には対応できないので
はないかと思います。
アンチコマーもヘリアー同様に味のある描写で人気のあるレンズのよう
ですよね。自分も100mm F2.9が気になっています。
>名前の由来もコマ収差のないという意味なのかコマは日本語だからそれは
>間違いかとかいろいろ不思議に思ってますが、
「コマ収差が無いから」という解説が
「カメラ名の語源散歩」(新見嘉兵衛著・写真工業出版社)
という本を手に出ています。
>性能はともかくこの赤のところは赤しか写らず青のところは青しか写らない
>描写がとても気に入っております。
1枚目はきれいな赤みが乗っていて、とてもいい雰囲気につながっていますね。
2枚目の背景の青みはまさにフィルムならではの発色といいますか、
デジカメでは色再現の難しい色ですよね。
写真ありがとうございました。
こんなに早く丁寧なご返信ありがとうございます。
削除うかつに聞いたコーティングについてもリンクのようなお答えをいただけたり
テッサーやコマについても解釈を伺えたり嬉しいです。
なお、コマは日本語と仰ったのはあの早田さんです(笑)
http://www.photobazar.jp/column/140414_column.html
余談ですが私は持っていないので
ksmtさんのところの記述からだけですが
http://www.ksmt.com/eos10d/classic2.htm
http://www.ksmt.com/eos10d/eos_nikki_body36.htm#091003
Roll-OPのアンチコマーについてはテッサータイプでは無く
ヘクトールタイプっぽいそうです。
私はデジカメでは撮らないので
フィルムだと絵みたいなアンチコマーが
デジタルだとどう写るのか見てみたいです。
人様のリンクばかりで恐縮でした。
では。
削除comaは彗星の意味の英語だと思いますが、
早田さんはとても知識の豊富な方ですから
何かお考えがあるのかもしれません。
Anticomar F2.8の構成はHektorなのですね。面白いです。
貴重な情報ありがとうございました。ますますほしくなりました。
追記すみません。
返信削除今見返したら拙作例は基本的にLightRoomでアンダー気味、ローコントラストに振っているので参考にならないかもしれなかったです。特にメダリストの最初の方は意識してそうしてました。なので公開に不備ありましたらスルーしてください。すみません。
ローコントラストがいい雰囲気をかもし出していますが、補正の件、承知しました。
削除写真はどれも素晴らしいですね。
本来はきちんと高いコントラストと豊かな階調がある立派なレンズです。
削除何年か前たまたま見かけたこの1枚で惚れ込んだというところです。
https://www.flickr.com/photos/chrispics57/8476282908/
なだらかで心地の良い階調描写ですね。
削除とても好きな写りです。
素晴らしい描写ですね。大変興味深く拝見いたしました。
返信削除特に「めめ猫妖怪」さんの1-2枚目の妖艶な描写に驚きました。解像はシャープですが,開放の為かハイライト部の肌がツヤをもって輝くような独特の立体感を感じます。私もヘリアー105/4.5を持っていますが,昔のハーティングが設計したタイプ(1923年頃製)だと思います。開放ではここまでシャープに映らないと思います。
ヘリアーは開放時に,背景の像(後ろボケ)が芯を残しながら周囲から「蕩ける」ようにフェイドアウトする描写に私は魅力を感じています。この理由の一つは,球面収差がアンダーコレクションになっている為ではないかと思います。無一居さんのサイトの球面収差図を見ると,ヘリアー(エクター)100/4.5は割と大きいアンダーコレクションを示しています。一方,新しいF3.5は開放側でフルコレクションに近い。時代と共にヘリアーの収差と描写がどう変化してきたかにも興味を感じます。
めめ妖怪さんを撮った写真の色艶のあるお顔を見て、自分のなかのへリアー感がちょっと覆ってしまいました。
削除昔のへリアーF4.5は球面収差がアンダーコレクションなのですね。たしか、これだと開放でフレアが抑えられコントラストはかえって良好になるのでしたよね。
へリアーは奥が深いレンズです・・・。
ヘリアーは確かに奥が深いですね。製造された期間も個数も膨大です。
削除開放で解像度が一番高くなるのは,球面収差の場合フルコレクションだと思います。大きなアンダーコレクションだとフレア(ハロ)が出て画質が甘くなる。ただ中望遠のポートレートレンズの場合,球面収差をあえてアンダーに設計するという考えがかなり以前からあったようです。
この考えは,カメラ部TVのダイさん(元企業レンズ設計者)のYouTube動画で知りました。球面収差がアンダーだと,合焦面の背景側の後ろボケがなだらかにフェイドアウトする。逆にオーバーコレクションだとリングボケ(輪郭強調)や2線ボケが出る。前ボケはアンダーコレクションでリングボケになるが,前ボケは後ろボケより大きくボケるので気にならないのだという説明です。レンズの「ボケ味」が球面収差だけで説明できるとは思いませんが,大事な要素の一つと思います。
後のユニバーサルヘリアーやアポランター,テロマーはこの点を考慮して設計されていたような(?)気がします。(どれもトロニエ博士の設計です。)
貴重なご意見、情報、ありがとうございます。
削除>開放で解像度が一番高くなるのは,
>球面収差の場合フルコレクションだと思います。
はい。同感です。
ただ、フルコレクションで最高になるのは絞りの中間部(輪帯部)での球面収差の膨らみが全くない理想値なレンズの場合(ありえへんレベルの超高性能レンズ)なので、実際にはやや過剰補正にして、この膨らみを減らす方が、解像力は高くなるみたいで、多くのレンズが過剰補正なのはこのためだと認識しています。
。
>大きなアンダーコレクションだとフレア(ハロ)が出て画質が甘くなる。
同感です。大方のソフトフォーカスレンズがこの設定ですよね。
>ただ中望遠のポートレートレンズの場合,
>球面収差をあえてアンダーに設計するという
>考えがかなり以前からあったようです。
度が過ぎなければオーケーなうえ、バックのボケが綺麗
なので、この方がポートレート撮影にはいいのでしょうね。
同感です。
レンズ設計の本には、若干アンダーの方がコントラストには
有利だという記載が見つかります。アサヒカメラのニューフェース
診断室の記事です。オリンパスの標準レンズや
ゾナーなんかは、そんな設計の典型だそうです。
>合焦面の背景側の後ろボケがなだらかに
>フェイドアウトする。逆にオーバーコレクション
>合焦面の背景側の後ろボケがなだらかにフェイド
>アウトする。逆にオーバーコレクションだとリング
>ボケ(輪郭強調)や2線ボケが出る。
はい!賛成です。頭の中で感覚的に考えても、
そうなっています。
>逆にオーバーコレクションだとリングボケ(輪郭強調)や2線ボケが出る。
背後にですよね。賛成です。バブルボケレンズや
タンパールの球面収差がこの典型ですよね。
タンバールは確かに、後ろボケが硬く出ますシバブルも出ます。
ん?!。ユニバーサルヘリアーは
トロニエでしたでしょうか?
早速のコメントをありがとうございます。
削除> ただ、フルコレクションで最高になるのは絞りの中間部(輪帯部)での球面収差の膨らみが全くない理想値なレンズの場合(ありえへんレベルの超高性能レンズ)なので、実際にはやや過剰補正にして、この膨らみを減らす方が、解像力は高くなるみたいで、多くのレンズが過剰補正なのはこのためだと認識しています。
これは全く同意見です。球面収差はやや過剰補正の方がシャープになると思います。F値を無理に明るくした後期型のテッサー(Y/C,45/2.8)はかなり大きな過剰補正だったと思います。この場合,画像は一見シャープに見えるけど,絞りを変えると合焦面の位置がズレる。開放で合焦させて絞り込んで撮影すると酷いピンボケ(後ピン)になるという話を聞いたことがあります。過剰補正は後ろボケも荒れるので,あまり好みではないですね。
> 背後にですよね。賛成です。バブルボケレンズやタンパールの球面収差がこの典型ですよね。
そうですね。でも,バブルボケは対象によっては面白い描写なので好む人も多いと思います。
> ん?!。ユニバーサルヘリアーはトロニエでしたでしょうか?
あ,済みません。ユニバーサルヘリアーは別の人だったかもしれません。カラーヘリアーがトロニエ博士だったので,勘違いして書いてしまいました。
お詫びして訂正いたします。
ありがとうございます。
削除フルコレクションよりも若干アンダーにする方がコントラストには有利だとするアサヒカメラの記載は感覚的にもわかりにくいですが、実情を考えると確かみたいで、たとえば宮崎光学のバリオプラズマには球面収差をコントロールする機能がありますが、フレア量についての記載が取説にあり、オーバーコレクションではフレアがたっぷり出て、ふんわりソフトな写りとなり、アンダーではフレア少なめでコントラストにはいいとのことです。
そう言われてみると、若干アンダーでコントラストのいいレンズ、いろいろ思い当たります。
ユニバーサルヘリアーの件、承知しました。リプライありがとうございます。
今週末はローライSLアンギュロンと、ローライディスタゴン持って娘とドライブしてきます。良い週末をお過ごし下さい。
早速にありがとうございます。
削除> オーバーコレクションではフレアがたっぷり出て、ふんわりソフトな写りとなり、アンダーではフレア少なめでコントラストにはいいとのことです。
球面収差の補正がオーバーでもアンダーでも,焦点位置がズレることによるフレア(ズレたボケ像の重なり)は出ると思います。問題はそのボケ像が輪郭強調か中心強調かだと思います。一般的なレンズでは前者は弱い過剰補正に出やすく,後者は弱いアンダー補正に出やすいのではないか(?)と予想しています。前者(輪郭強調)の場合,少ないフレアなら一見シャープに(線が太く)見えるが,後者(中心強調)だとなだらかにフレアが出るので解像度が高く(線が細く)見えると思います。その意味で,若干アンダーの方が良さそうです。ただ,非点収差やコマ収差による影響もあるので総合的に考える必要もありそうです。
> 今週末はローライSLアンギュロンと、ローライディスタゴン持って娘とドライブしてきます。
これはいいですね。ローライのアンギュロンとワイドのディスタゴンは憧れのレンズです。
どうぞ楽しい週末をお過ごし下さい。
私も日曜はテヒニカ+ロテラーで田園風景(彼岸花と稲穂)を撮りにいこうかと考えています。
>球面収差の補正がオーバーでもアンダーでも,焦点位置がズレることによるフレア(ズレたボケ像の重なり)は出ると思います。
削除ですね。同感です。
>問題はそのボケ像が輪郭強調か中心強調か
と思います。
なるほど。
>一般的なレンズでは前者は弱い過剰補正に出やすく,後者は弱いアンダー補正に出やすいのではないか(?)と予想しています。
背後のボケの話ですよね。一方で前ボケは
逆の関係になりますよね。
>前者(輪郭強調)の場合,少ないフレアなら
一見シャープに(線が太く)見えるが,後者
(中心強調)だとなだらかにフレアが出るので解像度が高く(線が細く)見えると思います。
なるほど、刺激のある面白い見解です。とてもお詳しいので、
ためになります。ありがとうございます。
自分のここの見解はちょっと違っていて、
過剰補正側ではレンズの中心側を通る光線での
球面収差がゼロなのでピントには芯があり、
解像力のある線の細い描写になると
思っています。つまり、
線が太い描写とは逆の立場。
ただ、おっしゃる通りに
レンズの外周を通る光線は焦点から
外れてしまいますので開放ではフレアの
供給源になると思います。
レンズ設計をしているわけではないので私のは
机上の空論ですが。
ローデンのロテラーはエキザクタ用を持ってますがまだ
使ったことがないです。そういえば、もう彼岸花の季節ですよね。
天気怪しいですが、楽しんできてください!
いろいろと貴重なコメントを有り難うございます。
削除> 自分のここの見解はちょっと違っていて、過剰補正側ではレンズの中心側を通る光線での球面収差がゼロなのでピントには芯があり、解像力のある線の細い描写になると思っています。
なるほど。これは確かにそうですね。
一般に球面収差の補正はアンダーからオーバーへ変化するので,途中に収差がゼロになる場所が必ずできる。この部分は確かに平均的な解像力の向上とピントの芯に貢献すると思います。昔のRF用の大口径レンズの球面収差を過剰補正にした理由は,平均解像度を稼ぐ為だったのかもしれないですね(旧ゾナー50/1.5や旧ズミルックス35/1.4等)。でもそれらは絞りによる合焦位置の移動が大き過ぎて,SLRの時代に淘汰されてしまった。
でも昔も球面収差をアンダーに留めたレンズがあったはずで,私はそんなレンズにも魅力を感じます。(アポランターやスーパーアンギュロンでしょうか。)
SLRが要求するピント精度により淘汰されてしまったとすると残念なことではありますが、まだそれが許された時代の写りを堪能するというのは、とても贅沢なことですね。
削除アポランターは一度手にしてみたいレンズです。