M52-M42ヘリコイド(左)とM42-M42ヘリコイド(右)。どちらもマウント側(カメラ側)はM42ネジとなっている。M52-M42ヘリコイドの方が内径が広いためマウント側で大きくすぼんでいて、いわゆる土手にあたる部分の面積も広く造られている |
太いヘリコイドによる照り返しの軽減効果を検証する
M52-M42フォーカッシング・ヘリコイド
今、私の中で一押しのホットなアイテムになるつつあるのがM52-M42直進ヘリコイドです。これまで用いてきたM42-M42ヘリコイドに比べ、①内径が広く、②カメラ側(マウント側)の出口が大きくすぼんでおり、③出口の土手に当たる部分が薄く造られているというのが構造上の特徴です。このためイメージサークルの大きなレンズを長丈ヘリコイドに搭載する際に懸念されていた「内部での照り返し」が緩和され、コントラストの悪化を防止できます。強い光を前方から当てると効果の差がよくわかりますので、早速見てみましょう。
下の写真の上段はM42-M42ヘリコイド、下段はM52-M42ヘリコイドをカメラのマウント側からみたものです。いずれもヘリコイドは丈の長い36-90mmのモデルで、前方に中版用レンズ(6x6フォーマットをカバーできるヘリアー)を搭載し、その前方から強い光を当てています。角度をいろいろ変え、照り返し光が一番きびしい(強い)状態を写真に収めました。双方の結果にかなりの差があることがわかります。M42-M42ヘリコイドによる結果では内部の側面と出口の土手にあたる部分で明るい光の反射がみられます。これに対し、M52-M42ヘリコイドは内部の側面までの懐が深く、土手も薄いため、顕著な光の反射はみられません。このような照り返し光はハレーションの発生原因となり、コントラストや発色などの写真画質に甚大な影響を及ぼします。M52-M42ヘリコイドの方が好ましい結果であることは一目瞭然です。同様の観測を35mm版レンズを搭載した場合でも試しましたが、この場合は双方のヘリコイドとも側面での顕著な照り返しはみられませんでした。したがって、ここでの結果はM42-M42ヘリコイドを貶めるものではなく、使用上の注意があることを明らかにしているだけです。中判用レンズや大判用レンズを丈の長いヘリコイドに搭載する機会がありましたら、ご参考になさってください。主に長丈ヘリコイドに頼る機会の多いミラーレス機での用途において発生する問題になろうかと思われます。
M42-M42フォーカッシング・ヘリコイド36-90mm(上段)とM52-M42フォーカッシング・ヘリコイド36-90mm(下段)における照り返し光の比較。搭載したレンズはHeliar 7.5cm F3.5(6x6 medium format)です。 |
M52-M42ヘリコイドのカメラ側は52mmネジ(1mmピッチ)になっていますので、ここにレンズを搭載するには工夫がいります。今回用いた中国製のヘリコイドには52mm-42mmのフィルター用ステップダウンリング(ネジピッチ0.75mm)の装着が可能です。また、このステップダウンリングの先にはレンズのマウント改造によく用いられるM42(ネジピッチ1mm)リバースカプラーも装着可能でした。中国製のアイテムはいずれもネジピッチの工作精度が悪いので公証規格が合わなくても装着できてしまいます。ある意味スバラシイと思えるファジィなアイテム達です(笑)。なお、M52-M42フォーカッシング・ヘリコイドは現在eBayから入手可能です。
Vantablack(可視光吸収率99.965%)のコーティングにより、光学系の格段の迷光(Stray Light)制御が可能になるそうです。CNN.co.jp 2014.07.18
返信削除参考書:Stray Light Analysis and Control (SPIE Press PM229) 2013
凄い素材があるのですね。ナノチューブ内で光が熱に効率的に変換されるという原理のように思います。最先端素材のようでしょうから、簡単に入手はできなそうですね。それにしても真っ黒なのには驚きました。面白い情報、ありがとうございます。
削除こんにちは。
返信削除これは良さそうですね。
お写真を拝見すると光り方が違うのが一目瞭然です。
迷光の解消・解決へ、大きな一歩を踏み出したのではないでしょうか。
ナイスアイテムだと思います。
実写結果も良好で、「このレンズ、こんなにコントラスト良かったかな?」と首を傾げる変貌ぶりでした。この一つ上にもM58やM65ヘリコイドがありますので、選択に幅があるのが嬉しいですよね。
削除凄い発見で勉強になりました。
返信削除!(^^)!
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