こんなに小さいカッサリート
無骨なデザインが魅力
シュタインハイル社の極小レンズ
じつは私の頭には物欲センサーが生えている。時にこれが私を支配し、家族には内緒で夜な夜な新しいクラシックレンズを調達してしまう。困ったセンサーだ。まぁそんなことはどうでもよいのだが、 私がクラシックレンズを選ぶ際の決め手は(1)デザインがレトロでオシャレであること。(2)描写に個性や味があること。(3)できれば希少性が高いこと・・・である。ちゃんと写るならベンチマーク的な描写性能は二の次なのだ。そんなわけで、今回はシュタインハイル社のカッサリートである。レンズ名の由来は創業者のC.A.Steinheilの頭文字(C+A+S)を由来としている。
シュタイハイル社は1855年に物理学者シュタインハイルが設立した西ドイツ・ミュンヘンの光学機器メーカーである。日本ではあまり馴染が薄いメーカーだが、ドイツではイスコ、シャハト、ローデンストックとともに中堅名門メーカーの一角を担っている。今回とりあげるカッサリートは開放F値が2.8とスペック的には地味であるが、コンパクトな鏡胴と迫力のある大きなゼブラ柄のデザインが魅力の50mm標準レンズである。レンズの構成は収差(サイデルの5収差)を十分に補正するために必要な最低限の3群3枚で、トリプレットとよばれる設計である。トリプレットはシンプルな構造による画質面での優位性と製造面での低コストを両立させた的を得た設計といえる。本品はM42マウントであるが、他にマクロカッサリットという名のExaktaマウントが存在する。
私にとっての極小レンズはルードビッヒ・メリター50/2.9とエンナ・リサゴン35mm/2.5に次ぐ3本目である。口径の小さなレンズは癖玉が多いというイメージが頭に焼き付いて離れないが、はたしてカッサリートはどうなんだろう。
じつは私の頭には物欲センサーが生えている。時にこれが私を支配し、家族には内緒で夜な夜な新しいクラシックレンズを調達してしまう。困ったセンサーだ。まぁそんなことはどうでもよいのだが、 私がクラシックレンズを選ぶ際の決め手は(1)デザインがレトロでオシャレであること。(2)描写に個性や味があること。(3)できれば希少性が高いこと・・・である。ちゃんと写るならベンチマーク的な描写性能は二の次なのだ。そんなわけで、今回はシュタインハイル社のカッサリートである。レンズ名の由来は創業者のC.A.Steinheilの頭文字(C+A+S)を由来としている。
シュタイハイル社は1855年に物理学者シュタインハイルが設立した西ドイツ・ミュンヘンの光学機器メーカーである。日本ではあまり馴染が薄いメーカーだが、ドイツではイスコ、シャハト、ローデンストックとともに中堅名門メーカーの一角を担っている。今回とりあげるカッサリートは開放F値が2.8とスペック的には地味であるが、コンパクトな鏡胴と迫力のある大きなゼブラ柄のデザインが魅力の50mm標準レンズである。レンズの構成は収差(サイデルの5収差)を十分に補正するために必要な最低限の3群3枚で、トリプレットとよばれる設計である。トリプレットはシンプルな構造による画質面での優位性と製造面での低コストを両立させた的を得た設計といえる。本品はM42マウントであるが、他にマクロカッサリットという名のExaktaマウントが存在する。
私にとっての極小レンズはルードビッヒ・メリター50/2.9とエンナ・リサゴン35mm/2.5に次ぐ3本目である。口径の小さなレンズは癖玉が多いというイメージが頭に焼き付いて離れないが、はたしてカッサリートはどうなんだろう。

★入手の経緯
このレンズはeBayなど海外のオークションにはめったに出品されない。しかし、何故かヤフオクには度々出品されている。本品は2009年6月にヤフオクで5000円の値をつけていた。過去に13500円で落札されていたので、この値段は魅力的であった。他に入札者が1名いたが、いつものように入札締め切り15秒前に8000円を投じ、5750円で競り落とした。
★ピン押しタイプのマウントアダプターには要注意
カッサリートには鏡胴の側面に「自動絞り(ピン連動)/手動絞り」の切り替えスイッチがついている。この機能がくせもので、使い方次第では故障の原因となる。今のマウントアダプターには改良が施され、ピン押しタイプのものが多く出回っている。これを用いて、常時ピンを押しこんだ状態のまま先の切り替えスイッチを使用すると、レンズの内部で切替スイッチの状態を絞り羽に伝えるレバーが、絞り羽の上に設けられたストッパーから外れてしまう。その結果、絞り込みができなくなってしまう(いわゆる故障)。こうなった場合には、以下の4つのステップを踏んで機能を回復させてやる必要がある。
- 鏡胴についているレリーズチューブの取り付け部を外し、中の制御棒を引き抜いておく。取り付け部はねじ込み式になっているので、マイナスドライバーで簡単に外れる。
- マウント部近くのゼブラリングについている3本のねじ止めをマイクロドライバーを使って外す。
- 撤去したゼブララリング内の鏡筒の側面に空いた穴にマイクロドライバーを突っ込み、絞り羽上のストッパーを引っ掛けて動かし、絞りが閉じた状態にする。
- スイッチの動力を伝えるレバーをマイナスドライバーで立ち上げ、先ほどのストッパーにはめる。あとは逆の手続きで状態を元に戻して修復終わり。
★試写テスト
カッサリートの描写性能についてまとめると、- ボケは自然で綺麗。グルグルボケや2線ボケは出ない。
- 晴天下に屋外で使うとコントラストがかなり低下する。
- 晴天下では紫と緑がだいぶ淡くなる。
- 鮮やかでもなく渋くもなく平凡。
★撮影環境: Steinheil Cassarit 50mm/F2.8( M42 mount) + EOS Kiss x3
昼間・晴天下での撮影結果
本来は濃い紫色なのだがだいぶ淡くなってしった。現物とは全く異なる色だ f5.6


夕方から夜にかけて、又は室内での撮影結果
フレアが出にくい条件下ではコントラストの向上が期待できる
フレアが出にくい条件下ではコントラストの向上が期待できる

夜のカッサリートはコントラストが向上しボケも上々


霧の夜。雰囲気が良く出せた f5.6
★撮影環境(オマケ): Steinheil Cassarit 50mm/F2.8( M42 mount) + PENTAX MZ-3 + リバーサル-ISO100
周辺画像の乱れをチェックするため銀塩カメラで何枚か撮影した。

私にとって、極小レンズは癖玉の代名詞だった。ルードビッヒ・メリター50mm/2.9はコントラストが低すぎてフォトレタッチでも救いようの無いレベル。エンナ・リサゴンは赤や紫が淡くなり、カメラ本体の補正機能とフォトレタッチでリカバーできるもののボケが癖気味。カッサリートはどうかというと、発色についてはカメラの補正で何とかなるレベルであった。なによりもボケが綺麗なので、もしかしたら使えるレンズなのかもしれない。カメラのセッティングを極め、今後もう少し詳しくテストしてみたい。