おしらせ


おしらせ

2018年6月13日(水)~6月24日(日)にナダールで行われる「オールドレンズ 女子・男子展」に
オールドレンズ女子部からも4名が出展します。

2018年6月30日
オールドレンズ写真学校@多摩動物公園
ただいまキャンセル待ちのみ受け付けているそうです。

2018/01/11

AIRES H CORAL 4.5cm F1.9



アイレスカメラの高速標準レンズ part 1
クセノンを手本につくられた
アイレスのメインストリームレンズ
AIRES Camera TOKYO, H CORAL 4.5cm F1.9
アイレス写真機製作所(Aires Camera)は当初レンズの開発部門を持たない二眼レフ専門のメーカーとしてスタートし自社のカメラに搭載するレンズはニコンやオリンパスなどから供給を受けていたが、1953年末に東京・世田谷にあった昭和光機のレンズ研磨部門を吸収し、レンズの自社生産に乗り出している。1954年6月に発売したAIRES 35Iを皮切りに主力製品を35mmレンズシャッターカメラにシフトすると、これ以降のカメラには自社製レンズのコーラル(CORAL)を搭載している。1955年10月発売のAIRES 35IIIに搭載したHコーラル(H CORAL) 4.5cm F2はレンズシャッター機に搭載された国産初のF2級大口径レンズということで話題を呼んだ。このレンズはシャープな描写で知られるドイツ・シュナイダー社のクセノンを手本に設計されており[文献1]、自社のカメラにはシャープな大口径レンズを搭載したいという理念があったようである。
今回紹介するH CORAL 4.5cm F1.9は同レンズF2からの改良としてAires 35IIIL(1957年10月発売)、Aires IIIC(1958年3月発売)、レンズ交換のできる最高級機のAires 35V(1958年10月発売)、Aires Viscount (1959年6月発売)、Aires Radar-Eye(会社倒産前の1960年5月に発売)など数多くのカメラに搭載されたアイレスカメラを代表する標準レンズである。レンズ名の頭につくHのイニシャルは数の接頭語HEXAから来ており、レンズが6枚玉のガスタイプであることをあらわしている。他のコーラルも4枚玉にはQ(Quad)、5枚玉のP(Panta)、7枚玉のS(Septa)など設計構成に応じたイニシャルを冠した。Hコーラルには口径比が更に明るくなったF1.8のモデルもあるが、市場に供給された数はF1.9の方が圧倒的に多い。
では、Hコーラルの写りはクセノン的なのかと言われると、これが全くそうではないところが興味深く、面白いところなのだ。ピント部は開放でフレアが多く、ソフトな味付けで、明らかに収差レンズのカテゴリーに入る製品と言える。F2前後の標準レンズには堅実な写りの製品が多いので、これは貴重な1本と考えてもよい。勿論、設計ミスなんかではない。

Aires H CORAL 4.5cm F1.9の構成図:米国向けのチラシからのトレーススケッチ(見取り図)。設計は4群6枚の準対称ガウス型 

入手の経緯
交換レンズを手に入れたければAires 35V用に供給された個体を探せばよく、アダプターもミラーレス機用がeBayのレア・アダプターズから市販されている。ただし、このカメラやレンズは米国での販売実績が大半だったので、日本の中古市場を探し回っても見つかることはまずない。やや希少なためかカメラ本体はeBayで350~400ドルもの高値で取引されている。本品は故障したAires Viscountから救出した個体である。ガラスには4~5本程度の薄い拭き傷とコーティングに1mm程度の無色のシミがみられたが、実写には影響のないレベルであった。M52-M42直進ヘリコイド(17-31mm)に移植し、末端をソニーEマウントに変換して使うことにした。

Aires H Coral 4.5cm F1.9(改造SONY Eマウント): フィルター径 43mm,  絞り F1.9-F16, 設計構成 4群6枚 準対称ガウス型, シングルコーティング, テッサータイプのQコーラル4.5cm F2.8と並ぶアイレスカメラの代表的なレンズであり、同社の数多くのカメラに採用された実績をもつ


参考文献
[1] クラシックカメラ専科 No.22 朝日ソノラマ

撮影テスト
一般にF2前後の開放F値をもつ戦後の標準レンズは設計に無理がなく、収差が十分にコントロールされている製品が多い。こうしたレンズは端正でシャープな描写のため、色味やボケ味などに特徴を見出すしかないが、その点からいえば今回のレンズは全く心配はいらない。クセノンのようなスッキリとしたヌケの良い描写との接点はなく、開放ではフレア(コマ収差由来のフレア)が顕著に発生する。滲みを伴うしっとりとした味付けで、雰囲気の良くでる写真に仕上がる。もちろん絞ればスッキリとしたヌケの良い描写で、シャープネスやコントラストが向上する。オールドレンズがブームとなり、収差レンズに対するかつてない評価と需要が高まる中、本品は再評価されてもよい1本と言えるであろう。

F1.9(開放) sony A7R2(WB:曇天)  開放では被写体をコマフレアが覆い、柔らかい雰囲気となる

F4, SONY A7R2(WB:日光): 少し絞ればスッキリとした、ごく普通の写りとなる

F4, SONY A7R2(AWB): 高伸長な直進ヘリコイドに搭載したので、だいぶ寄れるようになった
F2.8, SONY A7R2(AWB):ボケは距離によらず、安定している

F1.9(開放), SONY A7R2(WB:照明1) このレンズを使うからには、基本的に絞り全開でいきたい

F1.9(開放), SONY A7R2(WB:Auto): 雰囲気を楽しむレンズに違いない。現代レンズと一緒に使ってみては、いかがであろうか


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