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2012/09/23

Leitz Wetzlar Colorplan 90mm F2.5 M42改(modified M42)


ライツのスライドプロジェクター用レンズ1
名設計者が開発したプロジェクターレンズ
COLORPLAN 90mm F2.5

  Colorplan(カラープラン) 90mm F2.5はドイツのLeitz(ライツ)社が1959年7月に開発し、スライドプロジェクターのPradoシリーズやPradovitシリーズに搭載された大口径レンズである。同社がそれまで市場供給していたElmaronやHektorの後継品として1960年に発売された。1970年代にはポルトガルのLeitz社が生産を引き継ぎ、MTF特性を更に向上させたSuper-Colorplanという名の後継品をリリースしている。レンズを設計したのは何とWalter Mandler博士とErick Wagner博士である。Mandler博士はSummicronやElmarit、Noctiluxを開発したことで知れる名設計者である。
  用途から考えた場合、このレンズに必要とされる描写設計は高解像で高コントラスト。撮影距離(投影距離)が3~4mの辺りで最高の画質が得られるように収差が補正され、ヌケが良く、像面は限りなく平坦でボケ味は問わないといったところであろう。こうした要求を満たす光学設計としてLeitzが選んだのは、4群5枚Unilite(ユニライト)型である(下図参照)。LeitzにはMandler博士らが設計したElmarit-R(エルマリートR) 90mm F2.8というほぼ同一構成のレンズがあり、Colorplanにはこのレンズの開発で培われた設計技術のノウハウが生かされているのである。

Colorplan 90mm F2.5の光学系。構成は4群5枚のUnilite型で、後群にお碗型の凹メニスカスレンズ(右から2枚目のレンズ)を持つのが特徴だ。この凹メニスカスを薄くしてゆくと画角特性(広角部の画質)の強いXenotar(クセノタール)型と呼ばれる光学系になる。プロジェクター用レンズにはXenotar型のものも存在するが、90mmという長い焦点距離(狭い画角)を考慮した場合にはXenotar型よりもUnilite型の方が適当と判断さてたのであろう。ちなみに凹メニスカスを厚くするユニライト型では非点収差の補正効果(画角特性)が弱まるものの、球面収差の補正効果は強化されるようだ
Colorplanはプロジェクターのスペアパーツとして単体で売られており、eBayなどの中古市場には今でも数多く流通している。絞り機構が省かれていることもあり、値段は100ドル以下とLeitzのレンズにしてはかなり手頃である。名設計者が開発したレンズということで、海外のマニア層の間では一昔前から写真用レンズに転用する試みが繰り返されてきた。このレンズはフランジバックが50mm前後と長く、適当なヘリコイドアダプターを用意してやれば一眼レフカメラでも問題なく使用できるのである。700ドルもかけてElmarit-R 90mm F2.8の中古品を入手するよりは遙かに手頃である。

Colorplanが搭載されたLeitz社のスライドプロジェクターPradovit color 150/250[同社のカタログより引用]。ColorplanはLeitz社のPradoシリーズやPradovitシリーズに搭載されていた
Colorplanのレンズユニット(右)と特製のM42ヘリコイドアダプター(左)。ヘリコイドを近接側に回しすぎるとレンズユニットがヘリコイドから外れポロンと脱落する

入手先
2012年5月にドイツの写真機材業者からレンズヘッドと特製M42ヘリコイドアダプターのセットで58ドルと激安価格で入手した。送料はドイツポストでたったの10ユーロ弱と安く、総額も6000円以内で済んだ。オークションには「前玉のコーティングに問題がある」と解説されていたが、届いた品をみたところガラスに油脂が付着しているだけであり、軽くクリーニングしたら完全に綺麗になった。ただし、後玉には実写には影響のないレベルの薄いクリーニングマークが数本あった。レンズそのものよりもヘリコイドアダプターの方に価値があるので、非常にラッキーな買い物だった。これさえあれば、プロジェクター用のHektorやElmaronでも遊ぶことができる。ColorplanはeBayでレンズヘッドのみがパーツとして売られており、相場も70ユーロ程度から買える。

重量(実測) 光学ユニット260g/ヘリコイド ユニット 102g, 光学系 4群5枚(ユニライト型),  焦点距離 90mm, 口径比 F2.5, 最短撮影距離 40cm,  絞り機構は付いていない

撮影テスト 
Camera: Nikon D3 digital
Lens: Leitz Wetzlar Colorplan 90mm F2.5

Colorplanはスライドプロジェクター用に開発されたレンズであり、3~4m程度の撮影距離(投影距離)で最高の画質が得られるよう設計されている。写真撮影に転用する場合、ポートレート用には適した距離であるが、更に遠景ではかえって解像力が落ちる。絞り羽の開閉機構が省かれているため、収差の補正タイプは完全補正型となっている。常に開放状態のまま使用するわけだが、それでも解像力は非常に高く、ピントの山は驚くほど掴みやすい。ハロやコマフレアなどコントラストを低下させる要因は一切見られず、スッキリとヌケの良い撮影結果が得られる。発色は癖も無くノーマルで、色ノリはコッテリでもあっさりでも無い。こういう写りを無個性と言うのかもしれないが、プロジェクター用レンズには必要な性質である。とても優秀なレンズなのであろう。ただし、後ボケがやや硬く、距離によっては像が煩くなる傾向があり、周辺部が僅かに流れる事もある。アウトフォーカス部の画質が全く考慮されていないプロジェクター用レンズなので、この点は仕方ない。
F2.5, Nikon D3 digital, AWB:  このとおり、とてもシャープな写りだ
F2.5, Nikon D3 digital, AWB: 解像力が高く、頭頂部までしっかり解像されてしまった・・・ゴメンナサイ
F2.5, Nikon D3 digital, AWB: ハイライト部からもハロやコマフレアは殆ど出ず、すっきりとヌケの良い写りである。逆光にはやや弱いようでフレアは結構出る




F2.5, Nikon D3 digital, AWB: コントラストは良好で、色ノリも良い
F2.5, Nikon D3 digital, AWB: ピント部は四隅まで高解像だ。右側の子。なんで寝てるの・・・



F2.5, Nikon D3 digital, AWB: 発色は癖など無くノーマルだ。階調が硬くなりすぎない点はオールドレンズならではの性格といえる。おかげでゴーヤ表面のデコボコ部が丁寧に表現されている
F2.5, Nikon D3 digital, AWB: ボケは硬く、癖が強いが、アウトフォーカス部の画質を問わないプロジェクターレンズなので、これは仕方のない事だ
F2.5, Nikon D3 digital, AWB: 発色はコッテリしすぎず、あっさりでもない



F2.5, Nikon D3 digital, AWB: ボケには独特の癖があり、距離によっては穏やかとはいかない

ピント部のキレについてはとても素晴らしく、さすがにSummicronの設計者というだけのことはある。プロジェクター用レンズに必要な描写力として、力をいれるべき箇所とそうでない箇所が明確に棲み分けられており、一流の設計者の手で生み出されたレンズはやはり一味違うものだという印象を受けた。



5 件のコメント:

  1. spiralさん、さすがに的確な観察力、洞察力です。
    レンズとしての性能では、やはり遠景には無理があるようですし、ボケ味なども決してきれいとは言えません。

    それでもご指摘の通り、近距離の中心部はまさに優れた描写のようですし、レンズがヘリコイドから脱落するくらいマクロ的に使うと、解像力が落ちてこれまた面白い。

    クセ玉好きにはたまらない一品かと思いますが.....。

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  2. lense5151さん
    コメントありがとうございました。近接が面白いのですね。気づきませんでした。ということは私よりももっと、このレンズを楽しまれたようですね(笑)。

    lense5151さんも似たようなポロンと落ちるヘリコイドをお持ちのようですが、ヘリコイドはどこで入手されたのでしょうか。私の入手したヘリコイドは特製のようですが良くできています。このレンズに惚れ込んだだれかが、適当な数を供給したのでは、なんて勝手に想像を膨らませています。

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  3. はっはっは!
    私が使っていた >ポロンと落ちるヘリコイド は多分Pradovitについているプラスティック製のものをはずしたものでしょう。
    カタカタして使いにくかったのですが、とにかく良く伸びました。

    spiralさんのヘリコイドは川西鏡玉病院院長もお褒めで、かなり使いやすそうです。
    しかもですよ、多分溝が同じような【ヘクトール】がありますから、手放すのはもったいないような気がしておりますが.....。(笑)

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  4. >川西鏡玉病院院長もお褒めで・・・

    そんなに良いものとは知らず、
    いつもの癖で、手放そうとしていたところです!
    今、ヤフオクの棚から下ろしました。

    まだ入札が入っていませんでしたので、
    危うく売却するところでした。

    HektorやElmaronでも遊んでみようと思います。
    ありがとうございます。

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  5. よかった、良かった。

    実は私もヘクトールの写りを見たかったわけです。
    それを代行していただければ、この上ない幸せです。(笑)

    感謝!

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