狭いラボから外の世界へ解き放つ
Wollensak Optical Company(ウォーレンサック社)は1972年まで存在していた米国ロチェスターの総合映像機器メーカーだ。大判カメラ用レンズ、シネマ用レンズ、プロジェクター用レンズに加え、工業用、軍事用、核実験記録用にレンズを供給していた。他にもテープレコーダーや双眼鏡の製造で知られる。古くはボシュロム社で絞り機構付きシャッターを設計していた機械工のAndrew Wollensakが、Union Brewing Companyの元社長S.Rauberの支援を得て1899年に創業したRauber and Wallensak社を起源としている。その2年後にRauberが死去したため、社名をWallensak Optical Companyへと変更した。翌1902年にはカメラ用シャッターに加えレンズの生産も開始、1905年にはRochester Lens Companyを買収するなど事業を拡大していった。会社としての最盛期は1950年代であり、この頃の従業員数は千人を超えた。ベル研究所が発明したプリズム回転式ハイスピードカメラの原理を採用し、1秒間に10000フレームの撮影を実現したWollensak FASTAXはハイスピードカメラの草分け的存在として人々の記憶に残る映像アーカイブを数多く残している。同社は後にリビア・カメラ社や3M社など幾つかのメーカーに買収され、1972年に企業活動を停止している。Wollensak社が生産したレンズのブランド名にはAmaton, Optar, Raptar, Verito, Velostigmatなどがあり、米国のムービーカメラブランドには同社のVelostigmatが多く採用された。また、Raptarは同社の最上級ブランドに位置付けられており、軍や研究所に納入された工業用レンズに多く見られる。
左がOscillo-Amaton 1.9/75(改造済)で右がOscillo-Raptar 1.9/75。両者は鏡胴長や前玉/後玉径が異なる。フランジバックはOscillo-Amatonの方が長くNikonの一眼レフカメラにも適合するほどだが、Oscillo-Raptarはかなり短いため一眼レフカメラには適合しない
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★M42マウントへの改造
幸いにもこのレンズはバックフォーカスとフランジバックが長く、Nikonを含む大半の一眼レフカメラに補正レンズ無しでも適合する事がわかった。後群側のレンズ鏡胴をグラインダーで研磨すると別途購入したM52-M42ヘリコイドユニットにピッタリと収まるので、このままエポキシ合体!!!。見事にM42マウント化してしまった。しかも、後玉の出っ張りがないので、フルサイズセンサー機でもミラー干渉の心配がいらない。せっかくだからNikonのフルサイズセンサー機で使うことにした。
★入手の経緯
F1.9?, F2.8?? Nikon D3 コントラストは良好で色のりも良い。
もうすぐ七夕です。娘はパンダに会えますようにとお願いをした
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F2.8 Sony NEX-5 digital 少し絞るだけでビシッとこんな調子。近接撮影時でも細部まできっちり解像する。花の発色がしっかり出た感じで、とても濃厚だ。ときどき色飽和もある
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F4 Nikon D3 digital: こちらも解像力が高く、緻密な描写である
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F4 コントラストは現代のレンズに比べれば平凡だが、オールドレンズとしては悪くない。諧調変化もなだらかで黒潰れも回避されている。背景にジャギーが見えるのはアウトフォーカス部に網戸が入っているため
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カメラ本体
Nikon D3+ M42-Nikon adapter(補正レンズ無し)
Sony NEX-5+ M42-NEX adapter
UFOレンズの姉妹品Oscillo-Raptar。
こちらの方が後群の鏡胴が太く、 フランジバックとバックフォーカスが 短いので改造の難易度は高い。 このままでは、死蔵レンズになって しまう。どうしましょ |