おしらせ


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2018年7月16日(祝・月)オールドレンズ写真学校@目黒・百段階段。募集開始から10分で定員オーバーになってしまい、本当に申し訳ありません。現在はキャンセル待ちのみの受付とのことです。

2018/04/27

KMZ PO(RO)-series cinema movie lenses part 3:KMZ PO4-1(RO4-1) 35mm F2




レニングラード生まれ、クラスノゴルスク育ちの
35mmシネマムービー用レンズ  PART 3
広角レンズとして使用できる
コンパクトなオールドシネレンズ
クラスノゴルスク機械工場 PO4-1M(RO4-1M) 35mm F2
PO2、PO3に続き、今回はPOシリーズ3兄弟の末っ子PO4-1Mに登場してもらいます。手のひらサイズのコンパクトな鏡胴なので、軽量ミラーレス機と組み合わせればスナップ撮影で大活躍してくれるでしょう。
レンズは35mmシネマフォーマット(35mmフィルムのハーフサイズ)で使用することを前提に設計されており、APS-Cセンサーのデジタル一眼カメラで用いるのが画質的に最も相性の良い組み合わせです。その場合には標準レンズ相当の画角となります。一方でイメージサークルには余裕があり、フルサイズ機での撮影においてもケラレは極わずかなため、広角レンズとして使用することも充分に可能です。なかなか使い出のあるレンズではないでしょうか。
フルサイズ機で使用すると本来は写真に写らない余白部分を使用することになり、写真の四隅で収差と光量落ちが顕著に目立つようになります。その甲斐あってか立体感に富んだ画作りが可能で、こうしたレンズの特性(副産物)を利用し素晴らしいポートレート写真を撮る若手写真家がいます[1]。
PO4-1MはもともとはレニングラードのKINOOPTIKAファクトリーが1945年に発売したのが始まりで、3本のレンズをターレット式にマウントできるKS-50BというカメラにおいてPO2-2MやPO3-3Mと共に使われました。また、レンズを単体でマウントするロシア版アイモのAKS-1やエアクラフト用のAKS-2というミリタリーカメラに搭載された状態で市場に流通していることもあります。1947年にはレニングラードの生産設備がモスクワのKMZ(クラスノゴルスク機械工場)に移設され、このレンズの生産は1948年からKMZが担当しました[2]。KMZから登場した初期の製品は真鍮製の鏡胴で、ガラスに薄いブルーのコーティングが施されたモデルとノンコートモデルの2種があります。1951年にはガラス面にPコーティングが施されたKMZ製の2代目モデルが発売されます。また、ごく少数ですが1950年代後半にLENKINAPファクトリーが製造したノンコートモデルもありました。Pコーティングのモデルについてはコーティングに何種類かのバリエーションがあるようです。アンバーコーティングのモデルならば温調、ブルーコーティングのモデルならばクールトーンに転ぶ発色傾向があります。
設計構成はこのクラスのシネレンズが一般的に採用している4群6枚の準対称ガウスタイプで、口径比F2の明るさが無理なく実現されています。シネレンズの場合は広角から望遠まで交換レンズ間で口径比が統一されているケースが大半です。これはフィルムのロールスピードを一定に保つためで、レンズを交換し直ぐに撮影に取り掛かれるよう配慮されているのです。
なお、兄弟レンズのPO2とPO3は1957年からロシア版アリフレックスのKONVASにも供給されました。しかし、KONVASに対するPO4の供給はなく、代わりにレンズエレメントを1枚増やし開放からシャープな像が得られるようになったPO56 35mmF2が供給されました[3]。レンズの生産は1960年代も続けられましたが、1971年にPO4の改良モデルといわれるHelios-33が登場し生産中止となっています。Helios-33の試写記録をこちらに掲示しましたので合わせてご覧ください。開放での描写はHelios-33の方がシャープです。やわらかい写真、雰囲気を重視するならPO4がよいでしょう。

PO4-1M(左)とHelios-33(右)の構成図:文献[3]に掲載されていたものからのトレーススケッチ(見取り図)です。上が前方、下がカメラの側となっており、双方とも設計構成は4群6枚の準対称ガウス型です。Helios-33の方が設計は新しく平らな曲率面は少なくなっています





重量(実測)135g, 絞り羽  8枚構成, 絞り値 F2-F16, 構成 4群6枚ガウスタイプ, フィルターネジ無し


入手の経緯・マウント改造
このレンズにはマウントアダプターの市販品が存在しませんので、デジタル一眼カメラで使用するには、はじめから改造された個体を探すか、オリジナルマウントの個体を入手しマウント改造を施す必要があります。改造品の流通量はPO3に比べると極わずかですが、日本ではレンズの改造を専門とする工房から手に入れることができ、価格は35000円程度からです。オリジナルマウントの製品個体についても流通量こそ多くありませんが、eBayには常時数本は出ており、入手は困難ではありません。入手時の相場は送料込みで15000~20000円程度でした。
私が入手したのはオリジナルマウントの個体ですが、2017年9月にeBay経由でウクライナのレンズセラーから手に入れました。オークションの記載は「カビ、クモリ、キズ等の問題はなく、非常に良好なコンディション」とのこと。届いたレンズは埃の混入も少なく、充分に良好なコンディションでした。
マウント改造の手順は、まずオリジナルマウント(上の写真のシルバーの部分)からレンズヘッドを分離します。続いて下の写真・左に示すようにレンズヘッドに適当なサイズのステップアップリングをエポキシ接着し、末端を42mm径のマウントネジに変換します。このままM42直進ヘリコイド(17-31mm)に搭載し、最後にカメラの側の末端にM42-SONY Eスリムアダプターを装着すれば完成です。部品構成を少し変えれば、FUJIFILMのFXマウントやマイクロフォーサーズマウントにも改造できます。
Sony Eマウントへの改造例。ほぼ同じパーツ構成でFUJIFILM Xマウントにもできます。その場合にはM42-M39ヘリコイドとM39-FXスリムアダプターが必要になるでしょう




参考文献・資料
[1]オールドレンズポートレートのすすめ フォトテクニックデジタル 2018年3月号 玄光社
[2] PO2-2, PO3-3, PO4-1に関するKMZ(ZENIT)の公式資料: КАТАЛОГ фотообъективов завода № 393 (The catalog of photographic lenses of the plant № 393) 1949年
[3]Catalog Objectibe 1971 (GOI); Catalog Objectiv 1970 (GOI): A. F. Yakovlev Catalog,  The objectives: photographic, movie,projection,reproduction, for the magnifying apparatuses  Vol. 1, 1970

撮影テスト
開放からF2.8まではフレアをともなう柔らかい描写のため、人物のポートレート撮影で大活躍してくれます。また、コントラストが抑え気味で発色も淡くなるため、露出を持ち上げハイキー気味に撮影すれば、ふんわりとした軽い仕上りになります。カラーバランスはコンディションに左右されながら適度にコケてくれるため、いい味が出るでしょう。中間部の階調は豊富に出ており、明暗差のある場所でもトーンに厚みのある写真が撮れます。
2段絞ったあたりからはキリッと引き締まったクッキリとした像になり、発色も鮮やかなものに変わります。センサーサイズの一回り大きなフルサイズ機で用いてもケラレは極僅かで十分に実用的です。被写体を1m~3mくらいの距離でとらえれば、ピント部の四隅で顕著にみられる像面湾曲とボケが立体感に富んだ画作りを可能にしてくれます。この種の立体感には写真の平坦性を打ち破り中央の被写体をドラマチックに演出する効果があります。
ボケは四隅でやや流れる程度で、グルグルボケまでには発展しません。開放で発生するフレアのためか、背後のボケはどのような条件においても、癖の目立たない素直なボケ味でした。


F2.8, SONY A7R2(WB:日光) フルサイズ機で用いると立体感に富んだ画作りを楽しむことができます

F5.6 sony A7R2(WB;日光) 室内などの明暗差の大きい場所では、光量落ちがやや目立つようになります

F2(開放)SONY A7R2(WB:日光)  カラーバランスは適度にコケてくれるので、いい味が出ています。階調には厚みがあり発色が濃厚なのは古いガウスタイプならではの性格です
F2.8, SONY A7R2(WB:auto) ガウスタイプなので画質的に近接撮影にも十分に対応できます
F2(開放) SONY A7R2(WB:日光) 逆光時にシャワーのようなハレーションを出すことも可能です

F2(開放) sony A7R2(WB:日光) オールドシネレンズらしく、色乗りは十分

F2.8 SONY A7R2(WB:日光)




















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