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オールドレンズ写真学校12月ワークショップ
今月は12月17日(日)の予定です。まもなく正式な発表と申し込みの開始が始まります。

2010/11/01

ENNA München TELE-ENNALYT 135mm/F3.5


うーん・・・
デザインが良いから許します。ハイ

Enna社は戦後の旧西ドイツで廉価なレンズを生産していた新興メーカーだ。センセーショナルな製品を世に送り続けてきた元気の良い企業として知られている。1953年に西ドイツでは初となるレトロフォーカス型広角レンズのLithagon 35mmを発売すると、1955年には驚異的な光学性能を持つ大口径中望遠レンズのEnnaston 85mm/F1.5(後にEnnalytに改名)や、東西ドイツで初となる焦点距離28mmの一眼レフ用広角レンズUltra-Lithagon 28mm/F3.5を送り出し話題となった。Ennastonは希少価値が極めて高く、現在の中古相場では3000㌦以上の高額で取引されることもある。続く1958年に発売した9枚玉のSuper-Lithagon 35mm/F1.9は開放絞り値がズバ抜けて明るく、世界で最も明るいレトロフォーカス型広角レンズとして注目を集めた。また、1961年に当時としては解放F値が極めて明るい巨大な望遠ズームレンズのTELE-ZOOM 85-250mm/F4を発売しモンスターの愛称で呼ばれた。このようにEnna社は派手な光学性能を持つレンズを次々と発表し、存在感のあるメーカーに成長した。
今回入手したTele-Ennalyt 135mm/F3.5は同社が1955年に発売した単焦点望遠レンズのブランドである。光学系は1949年に登場したたシュナイダーのTele-Xenar 135mm/F3.5(ゾナーから発展した4群5枚構成)に大変良く似た設計で、Tele-Xenarが持つ第2群目の張り合わせ構造を分離した5群5枚の設計となっている。初期のものはアルミ製の鏡胴であるが今回入手したゼブラ柄の個体は60年代初頭に行われたモデルチェンジによって世に出た第二世代の製品で、M42マウントとEXAKTAマウントに対応する2種が供給されている。なお、1963年代には本品を更に大口径化させたF2.8の開放絞り値を持つモデルも追加されている。デザインは存在感たっぷりのゼブラ柄で、安価な価格とともに消費者へのアピール度は充分である。ひとつ残念なのは絞りリングの制御をヘリコイドの繰り出し機構と分離させなかった点であろう。製造コストを安く抑えるために構造を単純化させたとはいえ、絞り値の設定時にもう片方の手を使いヘリコイドリングを押さえおかないとピントがずれてしまう。同様の難点は広角レンズのLithagonにも見られる。
焦点距離135mm/絞り値F3.5--F22, 最短撮影距離1.5m, フィルター径52mm,重量(実測)266g(フード込みで294g), 光学系は5群5枚で絞り羽根は12枚構成、絞り機構はフルマニュアル。M42マウントとEXAKTAマウントに対応する2種が存在する。OEM供給された同一品がTele-SandmarやTele-Ennastonなどの名で発売されている。ただし、これらはEXAKTAマウント用のみである

ENNA社は1964年までに累計400万本ものレンズを生産している。しかし、同社の製品が高いブランド力を獲得することはなかった。1965年頃からはOEM生産が主体となりドイツ国内外を問わず様々なバイヤーズブランド名でレンズを供給した。この頃の製品は製造コストの削減が優先され、絞り機構がフルマニュアルへと退化し、鏡胴の素材にはプラスティックが使われるようになっている。同社は1990年代までレンズやスライドプロジェクター等の光学機器の生産を続けていたが、現在はカメラ用レンズの生産から撤退している。Enna社の製品や歴史についてはFriedrich-W.Voigt著の"ENNA TASCHEN BUCH"(1965 Heering-Verlag)に詳細な情報が記されている。
★入手の経緯
本品は2010年6月にeBayを介し、中古レンズを専門とするギリシャのトップセラーstill22から落札購入した。オークションでは「12枚の絞り羽根、パーフェクトなボケ」との触れ込みで、「鏡胴はEXCELLENT++コンディション。鏡胴には少し使用感がある。前玉コーティングにクリーニングマークがあるが撮影結果に影響はない。他のレンズエレメントはクリアー。各部の動作、絞りは精確かつスムーズに動く。フォーカスリングの動作もスムーズかつ精確。」と解説されていた。オークションの締め切り間際に最大落札価格を102㌦に設定して入札したところ61㌦であっさりと落札できた。送料込みでの総額は84㌦であった。この業者にはこれまでも良い品を売っていただき、だいぶお世話になっている。商品に対する記述が的確で過去に一度も裏切られたことがない。今回も勿論、記述どうりの商品が届いた。
★撮影テスト
がんばれENNAと言いたいところだが、描写力については廉価製品らしさが滲み出ている。ボケ癖や周辺画像の流れなどはなく素直な結像が得られるが、シャープネスは平凡でコントラストも高くない。
Tele-Ennalytの光学系は5群構成であり、当時の135mm望遠レンズの大半が3群ゾナー型や4群の設計を採用したことを考えると異例の構成群数となる。5群というのは大方のレトロフォーカス型広角レンズと同じ群数で、光の反射防止膜の進歩によって当時ようやく実用的な画質を維持できるようになった敷居の高い構成だ。わざわざ無理をして5群構成に踏み切った経緯はわからないが、その反動が撮影結果にハッキリと出てしまっているのではないだろうか。ちなみに本ブログで過去に取り上げた5群構成のLithagonもコントラストの低いレンズであった。本レンズを屋外で使用する際にはしっかりとフードでハレ切りをしておかないとフレアが発生しやすく、暗部が浮き気味でメリハリのない軟調な撮影結果に陥りやすい。また、開放絞りでは残存球面収差が大きいようで鮮明感は高くない。被写体の輪郭部に弱いハロが生じることもある。いずれも深く絞れば問題ない。カラーバランスには癖はなく自然な色の出方である。細かいことではあるが、解像度の高いデジタル一眼につけて使用すると開放絞り付近で軸上色収差による色滲みを拾い、ピント合わせの際にピント面近くにある像の輪郭部が前ピンで赤、後ピンで青に色付いて見えることがある。また、ハイコントラストな撮影シーンに対して中間階調が省略気味になる点も気になる。ベンチマーク的な性能は平凡なわけだから、描写面でもう少し個性が欲しいところだ。
F3.5(開放絞り) NEX-5 digital, AWB: 開放絞りではあまり解像力が高くない。コントラストも低め

F8 NEX-5 digital,AWB:   あまりシャープなレンズとは言えないが絞ればこれくらいは鮮明になる。コントラストのつき具合も良好だ

 ★撮影機材
Sony α NEX-5 + ENNA Tele-Ennalyt 135/3.5 +純正メタルフード
このレンズは描写力に期待するよりも、派手なゼブラ柄のデザインを楽しむというのが正しい付き合い方のように思える。まぁ、こういうレンズもありだと思う。


2 件のコメント:

  1. Tele-Ennalyt 135mmはソッケルマウントのものを所有していますが、描写等は同じ傾向と感じました。Ennaレンズは往々にしてコントラストが低めですが、広角系は最短撮影距離が短く、重宝しますね。ソッケルマウントは広角から望遠までヘリコイドが共通なので楽しいです。

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    1. ゾッケル版も同じ時代なので、光学が同じである可能性は大いに考えられますよね。

      カラー・エンナリートの50mm F1.9は求めにくい価格になってしまいましたが、
      ゾッケル版の標準レンズ50mm F1.9は、まだ入手しやすく穴場だと思います。

      コメントありがとうございました。

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