ネットオークションで購入した中国製のEXAKTA-EOSマウントアダプター。材質は左がアルミニウムで右は真鍮。どちらの製品もeBayの商品解説では無限遠方のピントを拾うことを保障しているが、著者が購入しテストした品では合焦不可能だった
本ブログではeBayやヤフオクからM42マウント用レンズを入手して紹介しているが、代わりにEXAKTAマウント用レンズで代用することがある。この時に活躍するのがEXAKTA-EOSマウントアダプターで、その名のとおりEXAKTAマウント用レンズをキャノンEFマウントに変換し、EOSのカメラ本体に装着するための道具だ。そもそも、EOSのフランジバック(レンズのマウント面からフィルム面や撮像素子面までの距離)は44mmであるのに対し、EXAKTAのフランジバックは44.7mmと若干長いことから、アダプターを用いて0.7mmの厚みを埋めてやれば、EXAKTAマウント用レンズがEOS本体でも使用できるというわけ。ちなみにEOSのレンズをEXAKTAのカメラ本体で使用するという逆の操作は物理的に不可能だ。
さて、0.7mmの厚みを持つマウントアダプターを製造するのは耐久性の観点からかなり難しい。このため市販されている多くのアダプターは0.7mmよりもやや厚めに設計されている。つまり、無限遠方まではピントが合わないのだ!。どうにか無限遠方のピントを拾うダプターを探し出すことはできないものかとeBayをあてもなく徘徊し、やっと見つけることができた。
EXAKTA-EOSマウントアダプターは中国製の品が多く流通しており、日本製の品もKindaiインターナショナルから発売されている。素材は耐久性の高い真鍮製(銅+亜鉛の合金)のものと、アルミ製の2種類があり、値段も安いものでは18㌦程度から揃っている。その幾つかは無限遠点への合焦を保障しているので、「ホンマかいな?」と保証品を片っぱしから購入し検査してみた。その結果、衝撃の事実が判明したのだ。高い剛性を誇る真鍮製のアダプターでは、どれ一つとして無限遠のピントを拾うことがなかった。中には何と約3m先までしか合焦しない品もあり、そんな品が「無限遠までピントが合うことを保障します」と明記され、普通に売られているのだ。勿論、製造精度からくる個体差という可能性もあったのかもしれない。ちなみにkindaiインターナショナルのアダプターも真鍮製だが、この品の説明書には、やや無限遠が出ないため絞り込んで撮影してくれと明記されている。焦点距離ごとに何㍍先までピントを拾うのかが詳しく記されていた。中国製のNG商品に対して出品者に問い合わせ、返品の要請と無限遠が出ないことを告げると、レンズの側の問題の可能性を指摘してくる場合があった。手元にある焦点距離35mm、40mm、135mmのレンズの全てで無限遠が出ないと抗議すると、すんなり返品に応じてくれた。こうして、しばらくのあいだ購入と返品を繰り返していたところ、市販品の中に無限遠の出るアダプターを見付け出すことができた。前述の3種類のエキザクタマウント用レンズに対して、EOS kiss x3においてきちんとピントを拾ってくれたのだ。
こちらが無限遠までのピントを拾うことに成功したマウントアダプター。eBayでは30㌦程度の安価な値段で売られている。35mm, 40mm, 135mmの3種類のレンズで合焦に成功した |