幻のレンズHeligonは
中間色の発色の良さが魅力
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海外のあるレンズ収集家はブログ上で、M42マウントのHeligonについて「eBayで7年間も購入の機会を待ったが、出品されたのはたったの2件だった」と嘆いている。Heligon 50mm/F1.9は中判カメラの名門Rodenstock社が1959年に僅かに製造した標準レンズである。私は見たことがないが、エギザクタマウント用も存在するようだ。姉妹品として本ブログでも過去に取り上げた広角レンズのEurygon 30mm/F2.8が存在する。いずれも市場での流通量が極めて少なく、知る人ぞ知る隠れ玉とされ指名手配されている。無骨なデザインは人それぞれ好みが分かれるようだが、私はかなり好きだ。ガラスに光を当てると紫色に輝くのもお洒落。デザインはEurygonによく似ているが、フィルター枠の周りが銀色の二重線でカラーリングされているなど、こちらの方が若干凝っている印象を受けた。WEB上での情報が極めて少ないため、今回入手できたのを機会に少しばかり正体を明らかにしてみたい。
フィルター径52mm 開放F値1.9 最短撮影距離0.6m M42-mount 鏡胴の側面に絞り開放レバーがついておりピント合わせの際に重宝する。レンズ名はギリシャ語の「太陽」を意味するHeliosに「角」を表すGonを組み合わせたのが由来である。
Pentax MZ-3への装着例
★入手の経緯
2009年6月にeBayに出品していたロスのカメラ業者から即決価格610㌦(6万円弱)にて落札した。この業者(ケビンさんが経営する"ゴー・ケビン・カメラ")は品揃えが極めて豊富でレアな商品を多数扱っているため私のお気に入りだ。価格は少し高めであるものの、日本の相場よりはいくらか安めの設定。本品の日本での相場は全く不明だが、ドイツ版eBayでの相場は1000㌦近い値であった。この業者からは過去にAngenieux 35mm/F2.5(M42)を購入した。商品の状態については、Minty/Rare (98% Mint)とあり、ほぼ新品同様品とのこと。実際に届いた商品は解説通りであった。それにしても、ケビンさんの商品調達能力は凄い。
2009年6月にeBayに出品していたロスのカメラ業者から即決価格610㌦(6万円弱)にて落札した。この業者(ケビンさんが経営する"ゴー・ケビン・カメラ")は品揃えが極めて豊富でレアな商品を多数扱っているため私のお気に入りだ。価格は少し高めであるものの、日本の相場よりはいくらか安めの設定。本品の日本での相場は全く不明だが、ドイツ版eBayでの相場は1000㌦近い値であった。この業者からは過去にAngenieux 35mm/F2.5(M42)を購入した。商品の状態については、Minty/Rare (98% Mint)とあり、ほぼ新品同様品とのこと。実際に届いた商品は解説通りであった。それにしても、ケビンさんの商品調達能力は凄い。
★試写テスト
開放絞りでは解像度が落ち、やや甘い描写になる。また、暗部が若干明るくなるなどコントラストの低下もある。1~2段絞ればシャープになりコントラストは充分に高くなる。発色は僅かにクールトーン調で落ち着いており、姉妹品の広角レンズEURYGONと傾向が良く似ている。青や赤およびこれらの中間色がしっかり出てくれるのが魅力だ。このレンズの場合、開放絞り時の収差が大きいようで、ボケの暴れっぷりは凄い。二線ボケやグルグルボケが強く出る。1960年頃のレンズはどれも収差の補正が未熟なようで、大口径レンズの場合、ボケ癖の無いものに出会ったことがない。開放絞りにて近景を撮影する際には、背景のシーン選びに注意し、心配ならば少し絞ったほうが無難だろう。
アジサイの色は難しい中間色であり、きちんと再現できればかなり優秀なレンズだ。過去にLithagon35mm/3.5とPANCOLAR50mm/1.8で挑んだが、ともに淡くなり、だいぶ白っぽい色合いになってしまった。Heligonは見た目に近い色を再現した。F4開放絞りでは解像度が落ち、やや甘い描写になる。また、暗部が若干明るくなるなどコントラストの低下もある。1~2段絞ればシャープになりコントラストは充分に高くなる。発色は僅かにクールトーン調で落ち着いており、姉妹品の広角レンズEURYGONと傾向が良く似ている。青や赤およびこれらの中間色がしっかり出てくれるのが魅力だ。このレンズの場合、開放絞り時の収差が大きいようで、ボケの暴れっぷりは凄い。二線ボケやグルグルボケが強く出る。1960年頃のレンズはどれも収差の補正が未熟なようで、大口径レンズの場合、ボケ癖の無いものに出会ったことがない。開放絞りにて近景を撮影する際には、背景のシーン選びに注意し、心配ならば少し絞ったほうが無難だろう。
開放絞りで近景を撮影すると、背景に二線ボケやグルグルボケが強く発生する。収差が大きくボケ癖が強いようだ F1.9
少し絞っておけばこのようにボケは綺麗に整いコントラストも向上する F4
PANCOLAR(50mm/F1.8)のテストの時と同じ被写体を同じアングルで開放絞りにて撮影した。撮影時期が1週間程後のため前回の撮影時よりも花が萎んでしまった。気のせいかPANCOLARよりもボケが強い気がする。EURYGON 30mmの時にも30mmにしてはボケが強いなと感じた。絞り開放で球面収差が大きいのだろうか?背景のコンクリート部分を比べるとわかるがコントラストはPANCOLARのほうが高い。一方、花びらの発色を見比べれば中間色の再現性はHeligonの方が上である。 F1.9開放から一段絞るだけで、このように大変シャープになる 。Heligonの絵づくりは中間色の再現性に優れており、ピンク色がしっかりと出ている。PANCOLAR 50mm/1.8で撮影したコスモスのサンプル画像と比較して欲しい。
こちらもPANCOLAR50/1.8と同じシーンを写した。なかなか優れた発色だ f2.8
発色が優れているとはいえ金色(輝光色)の再現はさすがに難しい。銀色っぽくなってしまう(現代のレンズでもまともに写りません・・・。レンズの問題なのかどうか?)
★撮影環境 Rodenstock Heligon 50mm/F1.9(M42-mount) + EOS Kiss x3 + PETRI HOOD
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