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2011/02/17

Carl Zeiss Jena TESSAR 50mm/F2.8 and Carl Zeiss Oberkochen TESSAR 50mm/F2.8

時代が引き裂いた2本のZEISS TESSAR(4枚玉)。その名の由来はギリシャ語4を意味するテッサレスとされている。左奥は東ドイツ産で右手前は西ドイツ産だ
かつて利権を争った東西ツァイスがテッサーで対決
 「おのれ。貴様、何者だ!」「お前こそ何者だ!」 

Carl Zeissは第二次世界大戦後のドイツの東西分断によって東ドイツの人民公社Carl Zeiss Jenaと西ドイツのZeiss Opton(現Carl Zeiss)社に分裂し、1990年に西側ツァイスが東側を吸収するまでの間、2社による独立した企業活動を展開していた。今回取り上げるTESSAR(テッサー)はSONNAR(ゾナー)と並び、戦前からのツァイスを代表する主力ブランドであり、分裂後も東西両社から後継品が次々と生み出されていた。
M42マウントのTESSARが登場したのは戦後の1940年代末頃からである。東側のZeiss JenaがPractika(1948年~)やCONTAX S(1949年~)などの一眼レフカメラに搭載する交換レンズを供給し、50mm/F2.8はモデルチェンジを6回も繰り返した。なお、Exaktaマウント用(50mm/F2.8)は戦前の1936年から登場している。

★東独TESSAR(M42マウント)のモデルチェンジと製品概要
登場時期、デザイン、バリエーション、スタンプマークなど
●1948年 アルミ鏡胴 40mm/F4.5,50mm/F2.8(T)
●1949年 アルミ鏡胴 50mm/F3.5
●1950年代前期 アルミ鏡胴 40mm/F4.5, 50mm/F2.8(T /1Q) 12枚羽
●1950年代中期 アルミ鏡胴 50mm/F2.8 (1Q) 8枚羽
●1960年代初頭 黒鏡胴(ローレット部に合皮) 50mm/F2.8(1Q)
●1960年代後期 ゼブラ柄鏡胴 50mm/F2.8 8枚羽
●1970年代前期 黒鏡胴 50mm/F2.8 DDR(東独製)が明記
●1970年代中期 黒鏡胴 50mm/F2.8 DDR 6枚羽
●1978年 50mm/F4 200本のみの生産 詳細不明

一方、1960年代半ばに起こったPENTAX SP(旭光学/1964年発売)の世界的な大ヒットなどによりM42マウントレンズの需要が増すと、1966年から1972年にかけて西側のZeissもM42マウントのTESSARを発売した。同一マウントで同一仕様(50mm/F2.8)の2種のTESSARが東西のツァイスで生産され、それらが市場に共存するという異様な事態に至っている。「おのれ。貴様、何者だ!」「お前こそ何者だ!」。
今回私が入手したのは東西両社が1970年代に生産した最後継モデルとなる2本のTESSARである。製品仕様だけを見れば東独TESSAR(以下ではJena Tessarと略称)の方が重量は20%も軽量く、最小絞りはF22までと1段分深く、最短撮影距離は10cm短いなど西独TESSAR(Oberkochen Tessarと略称)よりも優れている印象を抱くかもしれない。しかし、写真用レンズの価値や優劣はそれだけで決まるものではない。東と西の「パラレルワールド」に分かれたTESSARブランドが、やや異なる世界でどのように成長していったのか、以下では描写における2本のレンズの差異を見出してみたい。
CARL ZEISS JENA DDR TESSAR (写真左側): 東独製, 重量(実測) 168g絞り羽 5枚, 最短撮影距離 0.35m, 絞リ値 F2.8--F22, コーティング色はブルー焦点距離 50mm, フィルター直径 49mm, 本品はM42マウント, 自動/手動絞り製造ナンバー407927(1975年頃製造)

Carl Zeiss (Oberkochen) Tessar (写真右側): 西独製, 重量(実測) 212g絞り羽 5枚,最短撮影距離 0.45m, 絞り値 F2.8--F16, 焦点距離 50mm, コーティング色はパープル, M42マウント, 製造ナンバー7343329なので、フォクトレンダーの台帳と照合すると1970年製造ということになる。M42マウント, ULTRON同様にフィルター部がねじ込み式ではなくバヨネットタイプなので純正フードやフィルターしかつかない。本品はZeiss Ikon社の一眼レフカメラであるIcarex 35S TM用の交換レンズとして供給された
TESSARはPLANARを開発したカールツァイス社45歳の技士Paul Rudolph(パウル・ルドルフ)と、彼についた24歳の助手で後にBIOTESSARを開発するErnst Wandersleb(エルンスト・ヴァンデルスレブ)によって1903年に生みだされた3群4枚の単焦点レンズだ。ルドルフが1890年に開発した2群4枚のProtar(プロター)の後群部と、プロターを基に1899年に開発した4群4枚のUnar(ウナー)の前群部を組み合わせることで発明された。Unarから来た凸形状の空気間隔が球面収差の補正に有効に働き、解像力の向上に貢献している。凹凸レンズの構成枚数比が2:2と光学系のバランスが非常に良く、ペッツバール和を小さく抑えられることから、像面湾曲と非点収差の補正が有利に働き、優れた周辺画質を実現している。Proterから来た後群の貼り合わせによって色収差の補正もできる。ただし、テッサーの後群の貼り合わせには元来、分散が同じで高い屈折率差のある硝材が用いられていたようで、色消しのためではなくペッツバール和を抑制するためのものであったことが、テッサー初期型に対する分析から解明されている。シンプルな設計によって全ての収差が合理的かつ良好に補正できたことからTESSARの人気は非常に高く、1920年にツァイスの特許が切れると各レンズメーカーからコピーレンズが次々と造られるようになった。Leitz Elmar, Schneider Xenar, Lzos Industar-61, Kilfitt Makro-Kilar, Schacht Travenar, Isco Westar, Kmz Industar 50, Agfa Solinar, Rodenstock Ysar, Kodak Ektar, Leidolf Lordnar, Meyer Primotarなど例を挙げだしたらきりがない。Tessarタイプの光学系を持つレンズのブランド名には、語尾に"-AR"がつくという共通ルールがあるようだ。なお、東独Zeiss Jenaの機関誌Jena Revew(1984/2)によると、戦後に登場したCarl Zeiss JenaのTessar F2.8はBiometarやFlektogonの設計者として知られるハリー・ツェルナーにより1947年から1948年にかけて再設計されたとのことである。ツェルナーは同社のW.メルテが戦前の1931年に設計したTessar F2.8を再設計し新種硝材を導入、コマ収差と球面収差を大幅に向上させることに成功している。
   TESSARはレンズの構成枚数が少なく内面反射光が内部に蓄積しにくい設計により、メリハリのきいたハイコントラストな描写が得られるという長所を持つ。一方で同時にそれは、このレンズの短所にもなっている。撮影シーンによってはコントラストが高くなりすぎてしまい、その反動で中間階調が奮わないのだ。こうした事情からモノクロ写真の分野では古いテッサーを好む写真家が数多くいるらしく、古いものほど階調表現がなだらかで質感に富んだ好ましい描写を示すのだという。また、同じ理由からなのかツァイスは1970年代中期にflektogonやbiometar, pancolar,sonnarなどすべてのモデルを黒鏡胴化した新しいラインナップの中で、テッサーに対してのみ反射防止膜のマルチコート化を見送っている。今となっては設計こそ古い光学系だが、シンプルでコンパクトな利点を生かし、最近でもWEBカメラやコンパクトカメラ、携帯電話搭載用のデジタルカメラなどにテッサー型レンズが採用されている。2002年には現在のCarl ZeissからTESSAR誕生100周年記念モデル(45mm/F2.8でCONTAX/RTS用)が限定生産された。

★入手の経緯
東独製のJena Tessarは2010年9月にeBayを介して英国の中古カメラ販売業者から70㌦の即決価格にて落札購入した。オーバーホール済みのMINT(新品同様)状態という触れ込みで販売していた品だ。送料込みの総額は107㌦(9100円位)もしたので、総額で換算すれば国内で美品を買う際の相場価格と同じになってしまった。ちなみにeBayでの通常の相場は60~80㌦程度であろう。届いた商品はオークションの記述どうりのMINT品であった。
続く西独製のOberkochen Tessarは2011年1月にeBayを介してポーランドの大手中古カメラ販売業者のフォトホビーから落札購入した。レンズの状態はmint-と簡素なものであり、写真を見る限り光学系は綺麗、外観には大きな問題もなく、まずまずの品であった。商品ははじめ160㌦の即決価格にて販売されていたが、値切り交渉を受け付けていたので130㌦での購入を提案したところ、即私のものになった。なお、送料が40㌦と高かったので総額は170㌦もした。東独Jena Tessarに比べると西独Oberkochen Tessarは生産されていた当時の世評が低く、あまり売れていなかったと言われている。中古市場での流通量が少なく、現在はJena Tessarよりも高値で取引されている。届いた商品には光学系に軽微な拭き傷が1本、鏡胴側面のレバーにも不調があった。まぁフォトホビーなんでしょうがないかと妥協した。

★TESSARの画づくり
今回は2本のTESSARに描写面での差異を見出すことを主眼としている。TESSARの描写力については他のブログや書物など多くの場所で語られているので、本ブログで述べるまでのことではないが、比較実験の前に軽くおさらいしておく。
TESSARはレンズの構成枚数が少なく内面反射が蓄積しにくいという設計により、メリハリのきいた極めてコントラストの高い(鋭い)描写が得られるという長所を持つ。解像力(緻密さ)はそこそこ高いので、シャープなイメージを求める際には好都合なレンズといえるだろう。また、バランスの良い光学系の構造が功を奏し、非点収差が生まれにくいため、グルグルボケ(サジタルコマフレア)を心配することなく像面湾曲をガッチリと補正できる。端部まで均一な優れた画質が得られ、クッキリ鮮やかな色とともに癖のない優れた画質を実現できる。切れ味のよい硬質な描写から「鷲の目」などと呼ばれていたことも過去にあった。しかし、それは同時にこのレンズの短所にもなっている。撮影シーンによってはコントラストが高くなりすぎてしまい、その反動で中間階調が奮わないのだ(黒つぶれ注意!)。また、設計的に大口径化が難しいこともあり表現力が今一歩足りないというのがこの種のレンズに対する大方の見方であろう。人の顔に例えるならば10代の若者がたまに見せる、やや表情に乏しい端正な顔立ちといたところか。万人受けする優れた描写力を揶揄し、「よく写って当たり前」などと冷たく酷評されることがしばしばある。
 
Jena Tessar(F5.6)による作例。銀塩Fujicolor S400: 鋭い描写だ。TESSARには現代のレンズにも引けをとらない優れた描写力が備わっている
Jena Tessar @ F4:sony NEX-5 digital(AWB) :こんどはデジカメによる撮影結果。色のりは大変良い
Oberkochen Tessar@F2.8 銀塩撮影(Fujicolor Pro800Z): テッサーはボケが硬いといわれているが、これが階調描写の硬さによるのか、テッサー特有の結像によるのか。たいへん関心のあるテーマだ
Oberkochen Tessar(F11)によるデジタルカメラsony NEX-5 digital(AWB)での作例。日差しの強い晴天下で撮影すると、このようにシャドー部が黒潰れしやすい。いかにもテッサーらしい描写だ

★描写の比較
2本のレンズはほぼ同じ設計なので極めて良く似た撮影結果になるのは当然のことでろう。しかし、仮にレンズの光学系の設計が合同であるとしても、コーティングやガラス硝材(屈折率)が異なれば色味や階調表現、解像力などに差が出る余地はあるはずだ。2本を撮り比べる意味はある。以下に比較例を示す。

Sony NEX-5 digital(AWB) 開放絞り(F2.8)における両レンズの比較。両者の緻密さや解像感に大差はない。収差の補正に余裕がないためか、近接撮影ではアウトフォーカス部の結像がザワザワと煩くなる。両者のボケ味は乱れ方も含めてそっくりだ。階調表現は硬めで影の部分は暗部に向かってストンと落ちる傾向が出ている。両レンズの発色は良く似ており、背景の土の色や芋の皮の表面色に目を向けるとJena Tessarの方が赤みや黄みが強く温調で、Oberkochen Tessarの方が僅かに白っぽい発色であることに気付く。ただし、これらの差は極僅かだ

F5.6 sony NEX-5 digital(AWB) 今度は人工光での発色の比較だ中央ポスターの岡本太郎氏の顔を拡大したのが下の写真となる

顔色や柱の色はJena Tessarのほうが明らかに黄色みが強い。ちなみにCMYK数値のY(イエロー)成分で見ると、柱の付近はJena Tessarが87/100前後であるのに対し、Oberkochen Tessarでは80/100前後、顔の額の色はJena Tessarが46/100前後であるのに対し、Oberkochen Tessarは38/100前後となり、やはりJena Tessarのほうが黄味が強い


F2.8  Sony NEX-5 digital(AWB) 周辺部の口径蝕も良く似ている。芝生の色はJena tessarのほうが極僅かに黄味が強い。ちなみに手前の物体・・・うんちではございません

2本のレンズを撮り比べた結果からは残念ながら大きな差異が得られなかった。レベル曲線は全輝度域でほぼ一致し、階調表現は極めて良く似ていた。ボケ味やシャープネスにも大差はなかった。色味についてはJena Tessarの方が僅かに黄味が強くなる傾向があるが、それ以外については期待していた程の明確な差が出ず、ちょっとガッカリした。

★撮影機材
カメラ本体:
デジタル Sony NEX-5 / 銀塩 Pentax MZ-3
フード:
CZ TESSAR・・・フォクトレンダー純正S56ラバーフード
CZJ DDR TESSAR・・・Pentacon metal hood 49mm径



西独ツァイスからはレンジファインダー用に供給したもっと古いモデルのテッサー(Zeiss-Opton製)がある。一方、東独産Tessarは本モデルよりも発色が更に温調で黄味が増してくる。古いTESSARで比較実験をやり直せば、東西の製品間にもっと大きな差を見出せるのかもしれない。

2011/12/12

Carl Zeiss Jena BIOMETAR 80mm F2.8, M42/P6(Pentacon-six) mount


四隅までシャキッと写る驚異の5枚玉
PART 1: Biometar(ビオメタール/ビオメター)
 前群にガウス、後群にトポゴンのレンズ構成を配し、奇跡的にも両レンズの長所を引き出すことに成功した優良混血児のことをBiometar/ Xenotar型レンズと呼ぶ。この型のレンズ設計は戦前からCarl Zeissによる特許が存在していたが、製品化され広く知られるようになったのは戦後になってからである。他のレンズ構成では得がたい優れた性能を示したことから1950年頃より一気に流行りだし、東西ドイツをはじめとする各国の光学機器メーカーがこぞって同型製品を開発した。この種のレンズに備わった優れた画角特性(広角部の画質)と解像力の高さは、後に圧倒的な性能によって日本の主要な光学関係者達を震撼させた銘玉Xenotar (クセノタール)の存在からも明らかで、開放時に中央部で180Line/mm以上、周辺部でさえ50Line/mmを超える高い解像力は当時のダブルガウス型レンズの倍以上の性能を誇り、テッサーも遠く及ばないと讃えらた程である。良好なコントラスト性能や広角から望遠まであらゆる画角設計に対応する万能性、マクロ撮影への適性など数多くの長所が評価され、テッサータイプ、ゾナータイプ、ダブルガウスタイプといった優れた先輩達が乱立する中において一定の地位を築くまでに至っている。本ブログでは数回にわたりBiometar /Xenotar型レンズを特集してゆく。
左からガウス型レンズ(Biotar) / Biometar / トポゴン型 (Topogon)の光学エレメント

初回は旧東ドイツ人民公社Carl Zeiss Jenaが1950年から1981年まで生産していたBiometarである。ドイツ語ではビオメタール、英語ではビオメターと読む。このブランドは同社が中口径レンズの主力製品として力を入れ、広角の35㎜、中望遠の80mm、望遠の120mmと3種のモデルを生産した。中でも焦点距離80mmのBiometarは中判撮影の常用レンズとして最も多く生産され、30年以上にもわたるロングセラーを記録している。レンズを設計したのは1946年にフォクトレンダー社から移籍してきたHarry Zöllner(ハリー・ツェルナー)博士(1912-2008)である[Patent US2968221]。Zöllner博士はフォクトレンダー時代にSkoparを設計した人物で、Zeiss Jenaへの移籍後もFlektogonシリーズやPancloarシリーズなど人気ブランドを手掛け、戦後の東独ツァイス・イエーナを支えた名設計者の一人である。1965年に退職し、2008年にJenaで死去。長寿を全うしている。
左からBiometar 80mmF2.8 / Xenotar 80mmF2.8 / Unilite 50mm F2の光学系。後群の凹型メニスカスレンズ(赤で着色したエレメント)の厚みにレンズの設計理念が表れている

Bimoetar/Xenotarタイプの設計理念
後群に配置された凹型レンズの厚みを調整することで、Gauss型レンズの性質とTopogon型レンズの性質の比重をコントロールすることができる。凹レンズの厚みを増せば、Gaussレンズの特徴が優位に強まり画像中央部の解像力と色収差の補正効果が向上、大口径化が容易に実現できるようになる。このタイプのレンズの典型には英国Wray(レイ)社が1944年に発売したUnilite(ユニライト)というブランドがあり、F2を切る比較的大きな口径を実現していた。逆に厚みを減らせばTopogonレンズの特徴が優位に強まり、非点収差と歪曲収差の補正効果を高めることができる。口径比はやや控えめになるが画角特性(周辺部の解像力)が改善するため、広角レンズや引き伸ばし用レンズ、高い均質性を実現したレンズの設計が容易になる。Carl Zeiss JenaのBiometarやSchneider社のXenotarはこの種のレンズ設計の代表格である。Unilite型をBiometar/ Xenotar型と一括りで同一視している文献もあるが、画角特性よりも大口径化に比重を置いたUnilite型レンズの設計理念は全く異質であり、両者は似て非なるものである(「レンズ設計のすべて」辻定彦著参照)。

プロトタイプの登場から製品化まで
Biometarは1950年から1981年にかけて31年間も生産されたロングセラーである。東独ZEISSの生産台帳によると、1949年から様々なマウント規格を持つプロトタイプ(試作品)が造られている。その第一号は1949年8月で、生産本数は3本。焦点距離は80mm、開放絞り値はF2.8であった。また、次の年の1950年2月にはプロトタイプモデルの第2号が90mm F2.8の仕様で6本登場している。焦点距離が僅か10mm違うだけの2種のレンズがなぜ試作されたのか、真相は明らかではないものの、夏の間に80mmと90mmの両製品の比較検討が行われ、最終的には80mm F2.8が製品化されることになった。このモデルは1950年秋に登場し、まずはRolleiflex用に6x6cmのミディアムフォーマットをカバーする製品が供給された。1952年には光学系を一回り小さくした35mmフォーマットのM42マウント用とExaktaマウント用が登場している。これと平行し東独Zeissは1950年1月から焦点距離35mmのBiometar 2.8/35(35mmフォーマット)を発売している。この広角Biometarはプロトタイプによる性能テストもなしにいきなり登場しているが、実は東西両Zeissが共同開発した戦後型Contax IIa/IIIaにおいて、戦前のBiogon 3.5cmF2.8が使えない緊急事態に対応するための製品であった。しかし、直ぐに西独ZEISSが戦後型ビオゴン35mm F2.8を登場させたことによって需要が低下し、僅か1614本を製造したところで生産中止となっている。一方、東独Zeissはこれに代わる広角Biometarの後継製品をすでに用意していた。Biometarをレトロフォーカス化し一眼レフカメラに適合させた新型広角レンズを開発し、Flektogon (フレクトゴン)の名で1952年にデビューさせている。
1952年に登場したFlektogon 2.8/35および2.8/65の光学系。設計したのはHarry Zöllner(ハリー・ツェルナー)とRudolf Sorisshi(ルドルフ・ソリッシ)。後群側(黄色)は紛れもなくBiometar型レンズである。これに最前群(赤色)のレンズエレメントが追加され、一眼レフカメラに適合するようレトロフォーカス化されている。周辺部まで切れ味のよい高解像な描写力を示し、マクロ撮影並の高い近接撮影能力を実現しているなど非常に性能が良く、一眼レフカメラのブームとともに人気を博した。Biometarの優れた描写特性を最大限に生かす製品コンセプトを考えると、接写に強い広角レンズに至るのは、ごく自然なことなのであろう
 1951年から1952年にはBiometarを大口径化する計画が持ち上がったようで、F2の口径比を持つプロトタイプ5種(50mm, 58mm, 50mm, 80mm, 120mm)が試験的に製造されている。しかし、この口径比では十分な性能が得られなかったのか製品化には至っていない。1954年から1958年にかけて、今度はF2.8よりも口径比を控えめに抑えたF3.5とF4のプロトタイプ(3.5/80, 3.5/105, 4/80, 4/85)が試験的に造られている。これらは引き伸ばし用レンズとしての可能性を模索するものか、あるいは同じ時期にライバル製品(XenotarやPlanar)が口径比をF3.5に抑えた廉価品を出してきたことに対抗する動きであったと思われる。しかし、いずれも製品化されることはなかった。続く1956年からは口径比F2.8の製品ラインナップを拡充する計画が持ち上がり、4種類の焦点距離を持つプロトタイプモデル(40mm, 50mm, 105mm, 120mm)が試作されている。このうちの焦点距離120mmを持つ望遠モデルは1958年から製品化されている。1962年にも焦点距離を拡充させる案が持ち上がり、標準画角を持つ55mm F2.8の製品と中望遠の77mm F2.8の製品の2種のプロトタイプモデルが試作されている。しかし、同時期に登場しているPANCOLARの性能が良かったためであろう。こちらも製品化には至っていない。後者の77mmのモデルが80mmの現行品に対してどのような位置づけで試作されたのか、さっぱり想像できない。ツエルナー博士がZeissを退職した1965年以降、試作品の開発は行われていない。

モデルチェンジと製品概要
初期(1950-1958年)のBiometarはアルミ製の鏡銅であり、焦点距離80mmと35mmの2種が存在した。1958年からは新たに焦点距離120mmのタイプが加わりデザインも変更、ローレット部に合革の装飾が施されたアルミ鏡銅と黒鏡銅の2種のバリエーションが用意された。1962年になるとローレット部に突起のある奇妙なデザインのモデルが登場するが、不評だったのか数年でデザインが変更され、1965年頃からゼブラ柄の鏡銅に変わっている。ここまでの製品は全てシングルコーティング仕様の製品であるが、1970年代前半からはガラス面にマルチコーティング処理が施された黒鏡銅モデルにモデルチェンジしている。レンズの生産は1981年まで続けられた。以下にBiometarのバリエーション、デザイン、外観の特徴等を大まかな年代ごとに列記しておく。

生産期間 デザイン 設計仕様 マウント スタンプマークなど
-------------------------------------------------------------------------------------------
1950-1958頃 アルミ鏡胴  2.8/80  M42/Exakta用 T 1Q
1950-1959年 アルミ鏡胴 2.8/35 CONTAX IIa/IIIa用 T-coating 1959年製造終了
1958-1962年 ローレット部が革デザイン(アルミ/黒鏡胴)2.8/80,2.8/120 P6/Exakta/M42, 1Q
1962-1964頃 ローレット部が突起状のデザイン(黒鏡胴) 2.8/80, 2.8/120, P6/Exakta/M42
1965-1970頃 ゼブラ鏡胴 2.8/80, 2.8/120, P6/Exakta/M42, 輸出用はaus Jena銘, 1Q
1970年代前期から中期 黒鏡胴 2.8/80,2.8/120,  MC(赤字), P6/M42
1970年代中期から1981年 黒鏡胴 2.8/80,2.8/120, MC(白字), P6/M42

数は少ないがRolleiflex用、Praktina用、Bronica用(Zenzanon銘)のBiometarも生産されている。なお、後期型の黒鏡銅モデルではP6マウント用とM42マウント用の光学系を同じものにすることで生産ラインの合理化を図っている。M42マウントの黒鏡銅モデルはP6マウントの上からZeiss純正のマウントアダプターが被さっているだけである。

入手の経緯
M42マウントのアルミ鏡胴モデル(Biometar-M42-silverと略記)は2011年8月にeBayを介してドイツ・フランクフルトの中古カメラ業者「カメラジェントルマン」から195ユーロ(21500円)+送料の即決価格で落札購入した。この業者は取引件数5621件でポジティブ・フィードバック99.8%とかなり優秀。鮮明な写真を大量に提示し、商品解説がしっかりしていた。商品の状態に対しショップ独自のランクがつけられており、駆動系が最高ランク、光学系も最高ランク、外観は中と控えめだが写真を見る限りでは良い状態であった。前後のキャップがつくとのこと。ジェントルマンという名を信じて購入に踏み切った。同品の海外eBay相場は250-300ドル前後。ヤフオクでは30000-35000円程度であろう。届いた品は極僅かにホコリの混入があったが、ガラス面には拭き傷のない大変良好な状態であった。

Biometar 80mm F2.8(M42マウント アルミ鏡胴モデル(35mmフォーマット)。本ブログではこれ以降、Biometar-M42-silverと呼ぶことにする: フィルター径 49mm, 重量(実測) 254g, 絞り値 F2.8-F16, 絞り羽は12枚構成, 絞り機構はプリセット,最短撮影距離は0.8m, 鏡胴素材はアルミ合金, コーティングは単層(シングルコーティングでアンバー色と紫色の複合)


続くP6マウントのアルミ鏡胴モデル(Biometar-P6-silverと略記)はeBayを介し欧州最大の中古カメラ業者フォトホビーから2011年10月に購入した。商品ははじめ160ドル+送料45ドルの即決価格で売り出されていたが、値切り交渉を受け付けていたので130ドルでどうだと提案したところ私のものになった。オークションでの商品の記述は「ガラスに傷、カビ、クモリはない。外観は写真で判断するように」と、いつものように簡素であった。しかし、届いた品にはガラスに傷があり、樹状の小さなカビもあったので、仕方なく返品した。カビは撮影に影響のないレベルであったが、成長すると他のレンズに伝染するので隔離保管するしかない。EMSによる返送代金は自己負担という取引規定なので、いくら相手に責任があるとはいえ仕方がない。その代わりに7日以内に返品するという取引規定を最大限活用し少し試写させてもらった(レンタル使用料のつもり)。フォトホビーからは済まないと謝罪の連絡があり、次回買うときには送料をタダにしてくれるとの嬉しい知らせをいただいた。ありがたい。ただし返金はいつものように遅く、商品が相手のオフィスに届いてから2週間も待たされた(フォトホビーはいつも返金が遅いのだが確実に返してくれるので、eBayの問題解決センターに経過報告だけはしっかり残して気長に待つべし)。


Biometar 80mm F2.8 (P6マウント アルミ鏡胴モデル)。本ブログではBiometar-P6-silverと呼ぶことにする。右はP6-M42マウントアダプター(Zeiss純正): フィルター径 58mm, 絞り値 F2.8-F22, 絞り羽枚数 8枚, 絞り機構は自動絞り,  最短撮影距離 1m, 鏡胴素材はアルミ合金, コーティングは単層(シングルコーティング)で表面がマゼンダ色、内部に一部アンバー色が入っている





MC Biometar 80mm F2.8(P6マウント 黒鏡胴モデル)。本ブログではMC Biometar-P6-blackと呼ぶことにする。右はZeissの純正P6-M42マウントアダプター。このアダプターはさすがに純正品というだけのことはあり、頑丈にできており精度もよさそうだ: フィルター径 58mm, 重量282g, 絞り羽は8枚構成, 絞り値 F2.8-F22, 絞り機構は自動絞り, 最短撮影距離 1m,絞り羽枚数 8枚, ガラス面にはマルチコーティングが蒸着されている

 最後の3本目は珍しいM42マウントの黒鏡胴モデル(Biometar-P6-Black)である。M42マウントとは言っても、光学系はP6マウント版と同じで、これにZeissの純正P6-M42アダプターがついてM42マウントになっているだけである。後期型のモデルはこの方法で製造ラインが一本化されているようだ。こちらはポーランドのフォトホビーからeBayを介して2011年3月に購入した。商品は235ドル+送料40ドルで売り出されていたが、205ドルでどうかと値切り交渉し手に入れた。送料が高いので交渉は欠かせない。オークションの記述は毎度おなじみで「ガラスに傷、カビ、クモリはない。外観は写真で判断するように」とのこと。届いた品は綺麗な光学系であった。フォトホビーはレアな商品を多数出品する魅力的なセラーだが、商品解説が怪しく、先のシルバーモデルのようなことがよくあるので、写真をよくみて慎重に判断する必要がある。この製品のヤフオク相場は20000-25000円程度であろう。

撮影テスト
どんなレンズだって開放絞りで撮影し周辺画質を覗き込めば、解像力やコントラストは中央部よりも明らかに低く、程度の差こそあれ歪曲収差やコマが目に付く。画質の低下が中央部よりも顕著なのはレンズの設計理論からすれば当然のことだ。しかし、トポゴンの血を引くBiometarには優れた画角特性が備わっており、メインの被写体を四隅に置いたとしても不安感は全くない。Biometarの大きな特徴はピント面の均一性が非常に高いことなのである。インターネット上にはBiometarやXenotarで撮影した作例が数多く公開されている。その中には妙な迫力を感じるものが少なくない。その多くに共通する構図はメインの被写体をアップで撮るというものであり、ハッとするほどシャープな被写体が四隅まで画角いっぱいの大きさで広がり、背景のボケが生み出す立体感とともに、言葉にはできない圧倒的な迫力が生み出されているのである。こうした作例を生み出せるカメラマンは、才能は勿論のことだが、この種のレンズの性質をよく理解した上で使用しているに違いない。
Biometarの描写設計は球面収差をわざと残存させるオーバーコレクション(過剰補正)タイプである。この補正テクニックは球面収差の膨らみを小さく抑え、その代償として開放絞りで球面収差をやや多く残存させるというものである。絞りを1-2段閉じるところで解像力を最高に高めることができるが、その反動として開放絞りにおける像がやや甘くなる。Zeissの描写設計が一流と褒め称えられるのは、開放絞りにおいても解像力の低下を感じさせない絶妙なセッティングができるところにある。Biometarの描写にもその高度な技術は生きており、鋭い階調変化による見た目の解像感が柔らかさの中に芯を生み、像の甘さを全く感じさせない。開放絞りから一段閉じるF4では解像力が大幅に向上し、コントラストも向上。スッキリとして締まりのある像となる。2段閉じるF5.6ではコントラストが更に向上し、解像力も周辺部が顕著に改善する。総合的なシャープネスは非常に高いレベルに達する。被写体を細部まで緻密に描き、階調変化の鋭いシャキッとした描写になる。ただし、シャドー部がカリカリに焦げ付いてしまうことはなく、階調はなだらかさを維持しながら丁寧に変化している。被写体を中央部に置く構図ならばF4、隅々までシャープに写したい構図ならばF5.6が最もおいしい絞り値といえるだろう。発色はモノコート時代の前期型の方が温調で黄色が強く、ガラスにMC(マルチコーティング)が施された後期型では青みがやや増しクールトーン気味になっている。どちらも色のりがよく素晴らしい発色である。グルグルボケは非常に弱いながらも開放絞りで僅かに出る。しかし、ガウス型レンズのように顕著なレベルではなく、これによってボケが大きく乱れることはない。
万能なBiometarにも欠点はある。一般に球面収差の過剰補正はボケ味が硬くなるという副作用を引き起こす。絞り開放ではアウトフォーカス部の像の輪郭にエッジが残り、場合によっては滑らかさを欠いた煩いボケになる。Biometarもその例外ではない。また、細かいことをいえば、最近の高性能なデジタルカメラで用いた場合に色収差(軸上色収差)を拾い、被写体の輪郭部がハッキリと色づくことがある。拡大表示さえしなければ気になることはないだろう。以下にフィルム撮影とデジタル撮影による作例(無修正・無加工)を示す。


★★銀塩(フィルム)撮影★★
使用機材 Pentax MZ-3 + 焦点距離70mmメタルレンズフード
フィルム Kodak Pro Foto XL100 / Fujicolor V100
F8 Biometar-M42-silver, 銀塩撮影(Fujicolor V100): 前期モデルは発色が温調なのが特徴だ。オールドツァイスの典型的な発色が得られている


F8 MC Biometar-P6-black, 銀塩撮影(Kodak ProFoto XL 100): 後期型はガラス面にマルチコーティングが施されており逆光耐性が高いため、こういった作例においても力を発揮する。ただし、暗部はストンと黒潰れを起こしてしまう






★★デジタル撮影★★
使用機材 Nikon D3 digital(AWB) + 焦点距離70mm用メタルフード
F5.6; MC Biometar-P6-Black on Nikon D3 digital(AWB):  隅々までこれだけキッチリと写るのだから大したものだ。開放絞りにおける比較画像をこちらに掲示するが、細部がややソフトで柔らかい描写になっている
F8 Biometar-M42-silver on Nikon D3 digital: このBiometarは最短撮影距離こそ0.8mだが、本来は近接撮影に強いレンズである。接写でもシャキッという切れ味は衰えない



F8 Biometar-M42-silver on Nikon D3 digital: モノコート版のBiometarは撮影条件が悪いとコントラストが低下しやや淡い色になる。この作例でも紅葉の葉がやや淡くなっているが、この性質は悪いことばかりではない。暗部が持ち上がり木の幹の黒潰れが回避されている
F4; Biometar-P6-silver on Nikon D3 digital(AWB): こちらもモノコート版のBiometar。階調表現は丁寧で暗部にも粘りがある。逆光でも黒潰れは回避されている




F5.6  MC Biometar-P6-black on Nikon D3 digital(AWB); F5.6でコントラストが最高潮に達し解像力も周辺部まで非常に高いレベルに達する。ここまでカッチリと写ればメインの被写体が四隅にいても不安はない
F2.8 MC Biometar-P6-black on Nikon D3 digital(AWB):  このレンズの短所はボケ癖の悪さである。上の作例のように絞り開放ではボケが硬く、像の輪郭にエッジが残る
F2.8 MC Biometar-P6-black on Nikon D3 digital(AWB): こちらも滑らかさを欠いた煩いボケだ。極僅かではあるがグルグルボケが出ることもある

最適な画質を得るための絞り値
画像中央部Aと周辺部Bにおいて充分な画質を得るために必要な絞り値を評価した。撮影対象はマンションの壁面で、1.5m離れた位置から面に対して垂直に撮影している。光軸合わせは画像中央部と、その左右端部の3点で同時にフォーカスエイドが点灯するように行っている。なるべく領域Aと領域Bの差がハッキリ出て欲しいので、検査にはイメージサークルの小さいM42マウントのBiometar-M42-Silverを使い、フルサイズ機のNIKON D3で撮影している。


上の写真のAの領域(中央部)とBの領域(周辺部)を拡大表示し、絞り値ごとに並べたのが下の写真だ。画像をクリックすると拡大表示される。ブログの標準ビュアーが邪魔して写真が十分に拡大されない場合があるので、右クリックから画像をいったんPCに保存してご覧いただくのがよい。

この手の画質評価は本ブログでも過去に何度か行っており、毎度お馴染みのものだ。今回のBiometarに関しては予想どうりに、周辺部Bの画質が非常に良い結果となった。
中央部Aは開放絞りで細部の結像が甘いが、コントラストは良いため解像感は良好に保たれている。1段絞るF4では解像力が大幅に改善し細かい凹凸までしっかり解像している。ただし、F5.6まで絞っても中央での解像力の向上は僅かなので、メインの被写体を中央部に置くならF4まで絞れば十分であろう。周辺部Bは開放絞りで像がモヤッとし、コントラストと解像力の低下がみられる。ただし、コマ等による像の流れはみられず歪みも検出できない。過去に行った他のレンズに対する同様のテストの結果と比べ、画質は高いレベルで安定している。1段絞るF4ではコントラストと解像力が急激に改善する。F5.6まで絞ると更に画質は向上し、このあたりで、ほぼ最良の画質になる。メインの被写体を写すのに画像周辺部を用いる場合には、F5.6まで絞るのがよいであろう。

今回入手した3本のBIOMETARのうち最もシャープな像が得られたのは不思議なことにP6マウント版の2本ではなく、35mmフォーマットの銀鏡胴(M42マウント)初期型であった。マルチコーティングのP6用がコントラストがよいものと思い込んでいたので、予想外の結果におどろいた。おそらく、P6レンズのイメージフォーマットにカメラが適合していないからで、アダプターの内側で反射がおこり、これがコントラストを下げているものと考えられる。

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BIOMETAR/XENOTAR型レンズは世の中にどれほど存在するのだろうか。私が掴んでいる情報を以下に列記しておく。他にも多数あるのだろうけれど、できることならば全て知りたい。

Biometar/Xenotar type lens list
●旧東ドイツ製
Carl Zeiss(Jena)
Biometar 2.8/35
Biometar 2.8/80
Biometar 2.8/120
●旧西ドイツ製
SCHNEIDER
xenotar 2.8/210, 2.8/150, 2.8/105(LINHOF), 2.8/100, 2.8/80
xenotar 3.5/135, 3.5/75
xenotar 4/100
Tele-Arton 4/85, 4/90(DKL)
Tele-Arton 5.5/180, 5.5/240, 5.5/270, 5.5/360
Componon-S 50mm F2.8(前期型金属鏡胴; 後期型プラ鏡胴はオルソメタール型)
Carl Zeiss(Oberkochen)
Planar 3.5/100(Hasselblad)
Planar 1.8/50(Rollei SL35) 1st model
Leitz
Elmarit-R 2.8/90 (1st version)
Focotar 50mm f4.5の後期型
●ロシア製
KMZ
Vega-3(Zenit-4/5/6)
MMZ/Belomo/AOMZ
Vega-5U 4/105(Enlarging,M42, end of 1960-)
Vega-5U 4/75(Enlarging,M42, end of 1960-)
ARSENAL
Vega-12B 2.8/90(P6/Kiev 60)
MC Vega-28B 120/2.8(P6/Kiev 60)
●チェコスロバキア製
MEOPTA社
Meogon 2.8/80
●日本製
NIKON
Auto Nikkor-P 2.5/105
Micro Nikkor C 3.5/50
Micro-Nikkor 3.5/5cm(Nikon S)
Micro Nikkor 3.5/55
Micro Nikkor 5/70
Macro Nikkor 4.5/65
Nikkor 2.8/75(Bronica)
KOWA
Six 2.8/85
OLYMPUS
Zuiko Digital 2.8/25 前後逆転型
Zuiko Macro 3.5S  3.5/50
Zuiko Auto-Makro 4.5/135(Bellows Macro lens)
MAMIYA
Macro-Sekor 2.8/60(TOMIOKA OEM)Rikenon 60/Yashinon 60と同一
Fujifilm
EBC X-Fujinon 55mm F1.6
RICOH
Rikenon 2.8/60(TOMIOKA OEM)
YASHICA
Yashinon 2.8/60(TOMIOKA OEM)
Yashinon 2.8/45
Yashikor 2.8/50(Leica-L) Yashinon 2.8/45と恐らく同一の光学系
COSINA
Cosinon 2.8/35(CX-2)
KOMINE
Elicar(Vivitar) 2.8/55
Meyer
Orestegor 4/200
FUJIFILM
Fujinon L 2.8/50
Fujinon 2.8/45(Fujica 35M用)
PENTAX
Macro(FA) 3.5/100
SANKYO
W-Komura 3.5/35
Komura 100/2.8(Bronica S)
CANON
Canon 2.2/50(向井二郎氏設計)
Canon 1.8/85(Leica L/ Canon FX/ Canonflex)
TOPCON
Macro-Topcor 3.5/58
メーカー名?
Panagor 3/55

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●変形Biometar/Xenotarタイプ
(Modified Biometar/Xenotar type)
Carl Zeiss(Oberkochen)
Planar 2.8/80, 3.5/75
Planar T* /135(1975? Early model for Contax, 5 elements/5 groups)
Carl Zeiss(Yashica-Contax)
Planar 2/135 (5 elements in 5 groups)
Planar 2.8/100 (Linhof, Inverse Unilite type, 4E in 5G)
Voigtlander
Dynarex 3.4/90(5 elements in 4 groups)
Dynaron 4.5/100(5E in 4G)
Ultragon 5.5/115(変形逆Biometar/Xenotar型)
NIKON
Nikon AiS Nikkor 2/85(5-elements in 5-groups)
AiS Nikkor 1.8/105(5-elements in 5-groups)
MICRO Nikkor 5.6/150(6 elements in 4 groups)
W-NIKKOR 1.8/35(Leica-L)
Ai Nikkor 4/200(5-elements in 5 groups)
Leitz
Apo-Summicron 2/90(5-elements in 5 groups)
PENTAX
SMC PENTAX A 50mmF2(5群5枚)
SMC PENTAX M 50mmF2(5群5枚)
KONICA
HEXANON 2/35(Leica-L)
HEXANON 3.5/200(KONICA F)
UC-HEXANON 35/2(Leica-L)
Avenon MC 28/3.5 Leica-L(6 elements in 4 groups;4群目ダブレット;KOMURA系統)
GOI
VEGA-1 2.8/52(4群5枚, 2+1+1+1,プロトタイプ, Leica-L)
KMZ
VEGA-1 2.8/50(4群5枚, 2+1+1+1,Zenit-M39、プロトタイプ)
ARSENAL
MC VEGA-28 2.8/120(5群6枚)
LZOS/MMZ/AOMZ
Vega-11U/11UR/11U2 2.8/50(Enlarging, 4群5枚、恐らくVEGA-1と同一設計, 1968-)
Agfa
Color-Terinea 4/135(5-elements in 5 groups)
Meyer
Domigor  4/135(5-elements in 5 groups)
Canon
Canon FD 2.5/135(5-elements in 5 groups)
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●Uniliteタイプ
Wray
Unilite 2/50
Cine-Unilite 2/35
Cine-Unilite 1.9/25, 1.9/50, 1.9/150
Leitz
Colorplan 2.5/90
Canon
Canon 1.8/85(Unilite?; Leica-L; 向井二郎氏設計)

以上、皆様のご協力で拡大増殖中です!(上記リストの参照と利用は自己責任でお願いします)

他にもご存じのレンズがありましたら、掲示板等でご教示いただければ幸いです。参考にさせていただきチャンスがあれば5枚玉特集に編入したいと思います。

♥謝辞 acknowledgment ♥
情報提供に感謝いたします。
JYさん、マイヨジョンヌさん、Mr Keyser Soze、lensmaniaさん