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2026/10/13

AI御三家が選んだLeitz(Leica)35mm判レンズの傑作

究極のベスト10 & AIによる解説つき

PART 1 OpenAI  ChatGPT (2026/10/13)

選定基準:光学設計の革新性・描写の個性・歴史的価値・実写での魅力を総合評価


第1位 Noctilux-M 50mm F1.2(1966年)

歴史を変えた超大口径レンズ

量産写真レンズにおける非球面レンズ採用の先駆的存在。開放では柔らかく幻想的な描写を生み、絞ると描写が引き締まります。単なる明るいレンズではなく、光学技術と表現力を結び付けた歴史的傑作です。

評価:歴史的革新性・希少性・独特のボケ

第2位 Summilux 35mm F1.4(1961年登場 初期型)

スナップ写真の表現を変えた銘玉

自然な遠近感と広い画角を持ち、人物・街並み・環境を含めたポートレートに優れます。開放付近の柔らかさ、光のにじみ、絞ったときの描写の変化が魅力。特に非球面化以前の初期世代は、現代のレンズとは異なる個性を楽しめます。

評価:描写の個性・スナップ適性・歴史的影響

第3位 Summicron 50mm F2(1950年代)(沈胴型・初期型)

ライカ標準レンズの理想形

コンパクトさ、解像力、階調再現、自然な立体感を高い水準で両立した系譜です。初期の沈胴型は取り回しの良さとクラシカルな描写が魅力。現代のデジタル機で使っても、光の表現や階調の豊かさを味わえます。

評価:総合性能・携帯性・標準レンズとしての完成度

第4位 Elmar 50mm F3.5(1920~30年代の代表的レンズ)

ライカの小型化を象徴する名レンズ

沈胴構造によってカメラを小さく持ち運ぶというライカの思想を体現。現代的な大口径レンズとは違い、軽快さ、落ち着いた描写、逆光や光の条件による表情の変化を楽しむレンズです。ライカの歴史を語るうえで欠かせません。

評価:歴史的意義・小型軽量・クラシックな描写

第5位 Summilux 50mm F1.4(初代)

柔らかな階調と大口径の魅力

大口径標準レンズの名作。初代はしっとりとした描写や独特の柔らかな雰囲気で知られ、ポートレートや自然光撮影に向いています。後世の高解像度レンズとは異なる、描写の味わいを重視する方に薦めたい一本です。

評価:人物描写・階調・造形美

第6位 Hektor 73mm F1.9(1930年代)

ポートレート用ライカレンズの古典

標準レンズより少し長い焦点距離と大口径を組み合わせた、人物撮影向けの歴史的レンズ。現代のレンズのような均質な解像力よりも、柔らかな描写とクラシックな雰囲気を求める場合に魅力があります。

評価:ポートレート表現・歴史的価値・希少性

第7位 Summaron 35mm F2.8(1950年代)

実用広角レンズの優等生

35mmという使いやすい画角に、コンパクトさと自然な描写を備えています。街角、旅、人物を含む風景など、幅広い撮影で活躍。極端なボケや超高解像度ではなく、画面全体を落ち着いて描く古典的な広角レンズとして評価したい一本です。

評価:実用性・携帯性・自然な描写

第8位 Thambar 90mm F2.2(1930年代)

ソフトフォーカス表現の傑作

シャープさを追求する一般的なレンズとは逆の方向性を持ち、ハイライトのにじみや柔らかな輪郭によって幻想的なポートレートを作ります。現代のレタッチでは簡単に置き換えにくい、光学的なソフトフォーカス表現が最大の価値です。

評価:独創性・芸術表現・希少性

第9位 Summicron-M 35mm F2 ASPH.(1990年代以降)

古典的な35mmを現代水準に引き上げた一本

小型で携帯性に優れながら、優れた解像力、コントラスト、画面全体の描写を実現。スナップから旅行まで幅広く使える実用性が魅力です。古典レンズの描写の味とは異なり、撮影結果の安定性を重視する場合に高く評価できます。

評価:光学性能・小型化・現代的な実用性

第10位 APO-Summicron-M 50mm F2 ASPH.

現代ライカの光学技術を代表する傑作

色収差の抑制、精密な描写、高い解像力を追求した現代的な標準レンズ。古典レンズの個性的な収差を味わうというより、被写体の細部や微妙な階調を忠実に記録したい場合に適しています。

評価:光学補正・解像性能・現代的な完成度



PART 2   Claude (2026/10/13)

「傑作」の基準は人によって違いますが、ここでは光学的な到達点・描写の個性・歴史的意義・評価の定着度を総合して選びました。

第1位  Summicron 35mm f/2 第1世代(通称「8枚玉」、1958年)

6群8枚の球面設計です。柔らかさとシャープさが共存し、トーンが滑らかで、モノクロでの階調表現は伝説的です。「ライカの描写」を語るときの代名詞といえる一本です。

第2位 Noctilux 50mm f/1.2(1966年)

手研磨の非球面レンズを2枚使った、世界初の量産非球面レンズの一つです。製造数が少なく、開放での独特な滲みと立体感から、歴史的価値・描写ともに別格の存在です。

第3位 Summicron 50mm f/2 第1世代(沈胴/固定鏡胴、1953〜)

戦後ライカの光学的飛躍を象徴するレンズです。解像力と美しいボケを高い次元で両立し、M型ライカの標準レンズの基準を作りました。

第4位 APO-Summicron-M 50mm f/2 ASPH.(2012年)

現代ライカの光学技術の頂点で、「世界最高の50mm」と評されることも多いレンズです。開放から収差がほぼ完璧に補正されています。

第5位 Summilux 35mm f/1.4 第1世代(1960年)

開放ではフレアとハロが出る「夢のような」描写で、絞ると一転してシャープになります。二面性を持つ個性派として根強い人気があります。

第6位 Elmar 50mm f/3.5(1925年〜)

バルナックライカとともに35mm判写真の時代を開いた原点のレンズです。テッサー型の素朴で端正な描写をします。歴史的意義を重視すれば1位に置く人もいるでしょう。

第7位 Summilux-M 50mm f/1.4 ASPH.(2004年)

開放から実用的にシャープで、ボケも美しく、万能性が非常に高いレンズです。現代の大口径標準レンズの完成形の一つです。

第8位 Thambar 90mm f/2.2(1935年)

球面収差を意図的に残したソフトフォーカスレンズで、専用のセンターフィルターを使います。唯一無二のポートレート描写を持ち、2017年に復刻されたことでも再評価が進みました。

第9位 Summilux-M 35mm f/1.4 ASPHERICAL(1990年、通称「AA」)

研削非球面レンズを2枚使った初代非球面ズミルックスです。生産数が少なく、のちのASPH版より柔らかい独特の描写で、コレクターズアイテムになっています。

第10位 Super-Angulon 21mm f/3.4(1963年)

シュナイダー設計の対称型広角レンズです。歪曲が極めて少なく、シャープで硬質な描写をします。ライカ広角レンズの名作として定評があります。

惜しくも選外: Elmarit 28mm f/2.8 第1世代(9枚玉)、Summilux 75mm f/1.4、Summarit 50mm f/1.5、APO-Telyt-M 135mm f/3.4、Hektor 73mm f/1.9 など。



PART 3   google Gemini (2026/10/13)

エルンスト・ライツ社(現ライカ)がこれまでに生み出してきた数々のレンズは、独自の描写性能や歴史的背景、そして光学設計の美しさから、今なお多くの写真家やコレクターを魅了し続けています。

第1位 Elmar 50mm F3.5

 ライカの原点にして、小型軽量を極めた伝説の沈胴レンズ

ライカの創始期を支え、天才設計者マックス・ベレックによって生み出された3群4枚(テッサー型変形)の標準レンズです。非常にコンパクトに収納できる沈胴式で、絞り込んだときの圧倒的な芯のあるシャープさと、オールドレンズ特有の情緒ある階調表現が特徴です。

第2位 Summicron 50mm F2 ── 固定鏡胴・前期型(通称:リジッド・ズミクロン)

世界のレンズ評価基準を変えたといわれる驚異の解像力

1950年代に登場した初代ズミクロンの固定鏡胴(リジッド)モデルです。当時の空気をも写し込むと称されたほどの極めて高い解像力と、豊かな階調表現(階調のライカ)を両立しています。レンズに使われた硝材の質や鏡筒の工作精度の高さも含め、オールドズミクロンの最高峰とされています。

第3位 Summicron 35mm F2 ── 初代(通称:8枚玉)

 スナップショットの頂点に君臨する、レンジファインダーの至宝

1958年に登場した、6群8枚の対称型構成を持つ広角レンズです。絞り開放では周辺光量が落ち、どこか幻想的で柔らかい描写を見せますが、一段絞ると一気に現代レンズにも通じる鮮烈なシャープネスを発揮します。コンパクトなサイズ感も含め、ストリートスナップにおいて今なお神格化されている銘玉です。

第4位 Summilux 35mm F1.4 ── 初代(通称:スチールリム)

 開放の「聖なる滲み」と絞ったときの劇的な変化を愉しむ一本

1961年に発売された、当時世界最速の超大口径広角レンズです。絞り開放(F1.4)ではフレアや収差による特有の「光の滲み」と極めて柔らかなボケ味が現れ、「球面収差の芸術」と称されます。しかしF2.8以降に絞り込むと歪曲のない極めて現代的でシャープな像を結ぶという、二面性を持つ傑作です。

第5位 Summilux 50mm F1.4 ── 第1世代・前期

艶やかなオールドの質感。ライカを代表する大口径標準レンズ

ズマリット50mm F1.5の後継として1959年に登場しました。気品のある美しい外観デザインから「貴婦人」の愛称で親しまれています。開放では太くも柔らかい線を肉感的に描き出し、ポートレートにおいて肌の質感や質感を艶やかに表現できるため、数ある50mmの中でも特別な存在感を放ちます。

第6位 Noctilux 50mm F1.2 ASPH. ── 初代

世界初の非球面レンズを採用した、夜を支配する漆黒の魔術師

1966年に登場した、人間の目を超える明るさを目指した超大口径レンズです。職人が1枚ずつ手作業で非球面ガラスを研磨して製造されたため、生産数が極めて少なく伝説となっています。光量のない闇の中で被写体を浮かび上がらせ、背景を水彩画のようになだらかに溶かす独特のボケ味(インプレッショニスト・ボケ)は唯一無二です。

第7位 Summaron 28mm F5.6

ディープな被写界深度と、強烈な周辺減光が生み出すシネマティックな世界

1955年に登場した、全長わずか2cmにも満たない極小の広角レンズです。F5.6という控えめな明るさだからこそ得られる深い被写界深度と、パンフォーカスでの速写性はストリート写真に最適です。周辺光量落ちがドラマチックに発生し、白黒・カラー問わず映画のワンシーンのようなノスタルジックな描写をもたらします。

第8位 Thambar 90mm F2.2

計算されたソフトフォーカス。光のベールを纏わせるポートレートの傑作

1930年代に誕生した伝説のポートレートレンズです。あえて球面収差を残す設計にしており、専用の「センタースポットフィルター(中央に黒い点があるフィルター)」を装着することで、芯を残しながらも周囲に柔らかい光のアウトライン(光暈)を発生させます。現代のデジタル補正では絶対に再現できない、絵画的な美しさを持っています。

第9位 Super-Angulon 21mm F3.4

シュナイダー社設計による、全盛期のM型を支えた超広角のマスターピース

ライカの広角伝説を語る上で外せない対称型の超広角レンズです。画面の隅々まで直線が直線として写る見事な歪曲収差補正と、中心部の剃刀のようなシャープさが強烈なインパクトを与えます。フィルム時代に多くのルポルタージュや建築写真で傑作を生み出しました。

第10位 APO-Summicron-M 50mm F2.0 ASPH.

ライカの光学技術が到達した「地球最強の標準レンズ」

近年の現代ライカを代表する絶対的最高峰です。色収差を限界まで排除するアポクロマート補正と非球面レンズ(ASPH.)を融合させ、絞り開放から画面の周辺部に至るまで、歪みも滲みも一切ない極限の解像度とコントラストを叩き出します。オールドレンズとは対極にある、ライカの「技術の到達点」としての傑作です。


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以上を第1位(10点)、第2位(9点)、第3位(8点)、・・・、第10位(1点)と配点し、合計をとった総合ランキングが下記となります。
👑 総合ランキング一覧
• 第1位:Summicron 50mm F2(第1世代 / 沈胴・固定鏡胴) ── 25点
(ChatGPT: 8点 / Gemini: 9点 / Claude: 8点)
• 第2位:Noctilux 50mm F1.2(1966年 / 初代) ── 24点
(ChatGPT: 10点 / Gemini: 5点 / Claude: 9点)
• 第3位:Summilux 35mm F1.4(初期型 / 初代スチールリム) ── 22点
(ChatGPT: 9点 / Gemini: 7点 / Claude: 6点)
• 第4位:Elmar 50mm F3.5 ── 22点
(ChatGPT: 7点 / Gemini: 10点 / Claude: 5点)
• 第5位:Summicron 35mm F2 初代(通称:8枚玉) ── 18点
(ChatGPT: 0点 / Gemini: 8点 / Claude: 10点)
• 第6位:Summilux 50mm F1.4(初代 / 第1世代・貴婦人) ── 12点
(ChatGPT: 6点 / Gemini: 6点 / Claude: 0点)
• 第7位:Thambar 90mm F2.2 ── 9点
(ChatGPT: 3点 / Gemini: 3点 / Claude: 3点)
• 第8位:APO-Summicron-M 50mm F2 ASPH. ── 9点
(ChatGPT: 1点 / Gemini: 1点 / Claude: 7点)
• 第9位:Hektor 73mm F1.9 ── 5点
(ChatGPT: 5点 / Gemini: 0点 / Claude: 0点)
• 第10位:Summaron 35mm F2.8 ── 4点
(ChatGPT: 4点 / Gemini: 0点 / Claude: 0点)
• 第11位:Summaron 28mm F5.6 ── 4点
(ChatGPT: 0点 / Gemini: 4点 / Claude: 0点)
• 第12位:Summilux-M 50mm F1.4 ASPH.(2004年) ── 4点
(ChatGPT: 0点 / Gemini: 0点 / Claude: 4点)
• 第13位:Super-Angulon 21mm F3.4 ── 3点
(ChatGPT: 0点 / Gemini: 2点 / Claude: 1点)
• 第14位:Summicron-M 35mm F2 ASPH. ── 2点
(ChatGPT: 2点 / Gemini: 0点 / Claude: 0点)
• 第15位:Summilux-M 35mm F1.4 ASPHERICAL(通称:AA) ── 2点
(ChatGPT: 0点 / Gemini: 0点 / Claude: 2点)

3つのAIすべてで上位に選ばれた 「初代ズミクロン50mm」 と 「初代ノクティルックス50mm」 がワンツーを飾る結果となりました。また、GeminiとClaudeで最高評価(1位・3位)を受けた 「8枚玉ズミクロン」 も、ChatGPTの選外でありながら5位にランクインしています。


2026/08/11

Ernst Leitz Wetzlar THAMBAR 9cm F2.2(Leica L39)

 

理想よりも独自性を選んだ

ソフトフォーカス界の異端児

Ernst Leitz Wetzlar THAMBAR 9cm F2.2(L39)

タンバール(Thambar)は、ライカ(Ernst Leitz社)が1935年に発売した、ポートレート撮影用のソフトフォーカスレンズです。ソフトフォーカスレンズと聞けば、収差に由来する滲みを積極的に活用し、柔らかく幻想的な描写を生み出す特殊なレンズ、というのが一般的なイメージでしょう。しかしタンバールは、その滲みの生み出し方が他の同種レンズとは異なっており、この独自性こそが、タンバールを特異な存在にしています。

一般的なソフトフォーカスレンズは、球面収差を補正不足側に大きく振ることで滲みを得ています。ところがタンバールは逆方向、すなわち過剰補正側に大きく振ることで滲みを作り出しているのです。この違いは、ピント面そのものよりも、ピント面から外れた部分の結像——つまりボケ味——に大きな差を生みます。一般的な補正不足型のソフトフォーカスレンズでは、被写体の背後は柔らかく、なだらかにボケるのですが、反対に被写体の前方は硬くゴワゴワとしたボケ味になります。背景のボケ味を重視するポートレート撮影において、これは理想的なボケ味と言えます。

ところがタンバールでは、この前後関係が逆転します。背後のボケがむしろ硬い結像となり、バブルボケや二線ボケを伴います。これこそが、このレンズの作風を決定づけていると言えるでしょう。「理想」を捨てたタンバールだけがたどり着ける描写表現の境地は、同時に、多くのソフトフォーカスレンズには到達できないものでもあります。

タンバール特有の滲みやフレアを活かした描写は、現代のポートレートやアート写真の領域でも根強い支持を集めています。その独特な表現の系譜は、ソフトフォーカス界の本流にこそなりませんが、「タムロン SP70-150mm SOFT」や清原光学の「清原ソフト」といった後世の製品にも受け継がれています。

フィルター径 48mm, 重量 500g, 最短撮影距離 1m, 絞り羽 20枚構成, 絞り F2.2-F6.3, ライカLマウント,製造期間 1935-1942年, 製造本数 約3500本, 設計構成 3群4枚ヘクトール型, 設計者 Max Berek

タンバールを設計したのは、エルマーやズマールの設計を手掛けたライツ社の光学技師、マックス・ベレーク(Max Berek: 1886-1949)です。ベレークは本レンズの開発にあたり、光学的欠陥の原因と補正に関する豊富な知見を活かしながら、あえて一定量の球面収差を残すという道を選びました。ベレクが本レンズの開発に寄せた設計思想は、「本来ならシャープに設計し得るレンズにおいて、球面収差を意図的かつ精密に調整することで、コントロールされた望ましいソフトフォーカス効果を生み出す」ということだったと言われています。それは、当時の光学設計における新たな境地を切り拓く試みでもありました。

タンバールは1935年に発売され、生産終了となる1942年までの間に3500本が生産されています。なお、レンズの名称は、ギリシャ語で「ぼやけた」を意味する「タンボ(thambos)」に由来しています。

Thambarの構成図(左が被写体側):同じ3群4枚のHektorをベースに球面収差をコントロールすることで設計された



レンズの相場

製造個体数は3500本とあまり多くありません。このため比較的高値で取引されています。ただし、流通量はそれなりにあるようで、ネットオークションなど、中古市場では常時見かけるレンズです。ガラスに大きな問題のない個体であれば、現在は40〜45万円程度からが国内ネットオークションでの取引相場となります。ただし、センターフィルターが欠如している場合には、これよりも安くなる傾向があります。

今回ご紹介する個体はlense5151さんからお預かりした個体です。強い光を通すと微かなクモリがありましたが、通常に撮影には影響のないレベルでした。


参考文献・資料

[1] R. Kingslake "A history of the photographic lens"

[2] アサヒカメラ ニューフェース診断室『ライカの20世紀』朝日新聞社

[3] Thambar instruction booklet

[4] Thorsten Overgaard's Leica

[5] camera wiki: Thanmar 9cm

[6] Green Mountain Camera

[7] Puts Pocket Pod


 

撮影テスト

強い過剰補正型のレンズであるため、開放ではピント面に滲みが生じ、特にピント位置より手前側でその量が増していきます。このソフト効果は奥行きのあるシーンで前ボケの質感として現れやすいのが特徴です。一方で背景のボケは形状を保ったままザワゾワと硬めに描写され、点光源はバブルボケに変わります。これらの傾向は開放からF2.6付近まで続きますが、それ以上に絞るとフレアが急速に収まり、ピント部は細密でシャープな像へと変化します。

フレアの効き具合はF2.2〜F2.6の間で調整できますので、被写体との距離や求める質感に応じて絞りを使い分けると良いでしょう。

バブルボケを狙う場合は、どうしても逆光気味のシチュエーションが多くなります。そのため、ハレーションを抑えてコントラストを確保するには、深めのレンズフードを装着することが欠かせません。描写の安定性を保つうえでも、フードの有無が仕上がりに大きく影響します。

F2.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰)


F2.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰)






F2.4 Nikon Zf(WB:日陰)
F2.4 Nikon Zf(WB:日陰)
F2.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰)
F2.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰) AAZ
F2.2(開放) Nikon Zf(WB:Auto)

F2.2(開放) Nikon Zf(WB:Auto)

F2.2(開放) Nikon Zf(WB:Auto)

F2.2(開放) Fujifilm GFX100S(WB:Auto)
















































































F2.5  Fujifilm GFX100S(WB:日光, 35mm mode)
















F2.5  Fujifilm GFX100S(WB:日光, 35mm mode)

































































F2.2(開放) Nikon Zf(WB:日陰)











2025/12/28

LEITZ Canada ELCAN 3inch F2


















冷戦期を見つめた眼  PART1

ライツ・カナダ社の航空偵察レンズ

LEITZ Canada ELCAN 3inch F2(AERIAL LENS)

Leitz Canada社の ELCAN 3inch F2 は、英国Vinten社の航空機用カメラ F.95(Mk.6型)に搭載され1970年代に用いられた中判6x6cmフォーマット対応のレンズです。カメラの方は1950年代半ばより英国空軍(RAF)所属の航空機グロスター・ミーティア、ホーカー・ハンター、スーパーマリン・スウィフト、さらにイングリッシュ・エレクトリック・キャンベラPR3・PR7・PR9などに搭載され、冷戦期における戦術偵察の主力装備として広く用いられました。ただし、ハンターとスゥイフトは1970年までに退役していますので、実際にELCANレンズが搭載された可能性のある機体はキャンベラとグロスター・ミーティア(1970年代は訓練/連絡機として運用)です。

英国空軍のカメラにドイツ系光学技術が組み込まれた事例は極めて稀で、地上目標の識別精度を高める事が最優先された特殊偵察任務において、解像力を重視するというNATO軍の要求に応えるために、ELCANレンズが採用されたのです。欧州の政治的な問題から距離を置くことのできるカナダ製のライツレンズはNATO軍の装備として好まれたようです。

ELCAN構成図(文献[1,2]の掲載図からトレーススケッチ)

光学設計は上図のような5群7枚構成のELCAN型で、ガウスタイプの絞り直後に薄い凸メニスカスレンズを配置しています。ちなみに、この構成はライツSUMMILUX 35mm F1.4(1958年設計) と同一のものです。レンズの設計を手がけたのは、ライツ・カナダ社のウォルター・マンドラー(設計部長)とエリック・ワグナーで、1958年に設計されたとの記録があります[1,2]。マンドラー博士はマックス・ベレークから直接指導を受けた最後の弟子とされ、ライカ在籍時に45を超えるレンズを設計、ライカM/Rマウント交換レンズシステムの構築に大きく貢献した名設計者として知られています。

ミーティア(上図・左)は英国航空機メーカー、グロスター・エアクラフト社が開発した連合国軍側初の実用ジェット戦闘機で初飛行は1943年。70年代へ第一線では用いられませんでしたが、訓練機や連絡用機として運用されていましたので、ELCANが搭載された可能性があります。キャンベラPR.9(上図・右)は英国航空機メーカー、イングリッシュ・エレクトリック社が開発した英国空軍のジェット軽爆撃機で初飛行は1958年。70年代も第一線で活用されていました。2008年に退役しているので、この機体にはELCANが搭載されていたと予想されます





レンズのフォーマットは6x6cm(2¼インチ)のスクウェアフィルムに対応しており、中判フィルムカメラとの相性が良さそうです。今回はレンズをM65直進ヘリコイドに換装し、カメラ側をM65-GFXカメラアダプターで末端処理することで、Fijifilm GFX100Sで使用してみることにしました。ちなみに、海外のオンラインショップにはM65-SONY EアダプターやM65-Nikon Zアダプターなど、いろいろありますので、部品の組み合わせを変えれば、フルサイズミラーレス機でレンズを使用することも可能です。

参考文献・資料

[1] R. Kingslake "A history of the photographic lens"

[2] US Pat. 2975673(1958);  UK Pat. 867266(1958)

[3] Leitz Photographica Auction: LOT235 (2017)

M65直進ヘリコイドに換装し、Fujifilm GFXマウントに変換するための部品セット。すべて市販の部品です


  

 入手の経緯

この種のレンズは、市場に出回る機会が非常に少ないため、明確な相場が形成されにくいという特徴があります。海外オークションや eBay などの取引事例を参考にすると、おおよそ 2,000〜3,000ドル(現在のレートで約30〜45万円) がひとつの目安といえます。ライツ公認のオークションサイトLEITZ PHOTOGRAPHICA AUCTIONではこちらのコンディションA/Bの個体に対し、2017年11月に2000-2400ユーロの評価額が示されており、3600ユーロで落札された記録があります。日本の中古市場の出品はきわめて稀で、ヤフオクやメルカリなどに姿を見せることはほとんどありません。

今回紹介しているレンズは、約10年前にeBay にて即決価格で手に入れたものです。シャッターユニットはなく、レンズヘッドの状態で出品されていました。届いた個体にはわずかなホコリの混入が見られたものの、カビやクモリはなく、ガラス自体は良好な状態を保っていました。

Leitz Canada ELCAN 3inch F2: フィルター径 77mm, 絞り F2-F22, 設計構成 5群7枚ガウスタイプ発展型(エルカン型),  絞り羽 10枚構成,フォーマット 6x6cm(2¼インチ・スクエア)フィルムに対応, レンズヘッドの側面部には2.5inchネジが刻まれている


 

撮影テスト

中判カメラ用レンズとしては卓越した解像力を備えており、Fujifilm GFXシリーズやフルサイズ機といった小さなイメージフォーマットのカメラに装着しても、性能不足を感じる場面はありません。ただし、この種の航空写真用レンズはどれも無限遠での解像度を最適化しており、近接撮影時には像がやや甘くなります。開放ではわずかにフレアが見られるものの、中央から中間画角にかけては密度の高い像が得られ、線の細い繊細な描写が際立ちます。一方で四隅にはわずかな甘さが残ります。またデジタルカメラで使用した場合、開放では色収差が目立ち、白っぽい被写体を等倍で確認すると輪郭に色づきが現れます。しかし、これらはほんの少し絞るだけで完全に解消し、画面全体がすっきりと整った描写へと変化します。良像域も四隅まで広がり、全体として緻密で安定した画質が得られます。なお、絞り込んでもトーンが硬くなることはありません。

空撮用レンズには、地上撮影時に微妙な濃淡差を拾えるよう、意図的にコントラストを抑えた設計のものがあると聞きますが、このレンズもまさにその思想に沿った描写傾向を備えているようです。トーンを丁寧にすくい上げ、黒つぶれしにくい豊かな階調表現が特徴的です。歪曲収差も良好に補正されています。特筆すべきは逆光耐性で、太陽光を画面内に入れてもコントラストの低下は最小限に抑えられ、発色も十分に鮮やか。逆光耐性は現代レンズにも引けを取らないレベルで、コントラストが過剰にならず、逆光でも落ち込まず、どのような条件下でも揺るぎない安定感を保ちます。海の青は深く、濃く、実に美しく描写されます。軍需用途として供給された背景の詳細は不明ながら、あえてドイツの光学技術が選ばれた理由は、このレンズの性能そのものが雄弁に物語っています。

それでは、まずは摩天楼を見下ろす空撮カットから、続いてポートレート撮影へと進んでいきましょう。撮影日は快晴予報だったものの、実際には曇天で、わずかに霞がかかってしまったのが惜しまれます。

F5.6  Fujifilm GFX100S(WB: 曇空)さて、ロケ地はどこでしょう?
f4  Fujifilm GFX100S(WB:曇空)ロケ地はこちら。東京スカイツリーです
F2(開放) Fujifilm GFX100S(WB:曇空)



































 

開放F2と絞りF5.6の空撮による画質比較を見てみましょう。

F2(開放) Fujifilm GFX100S(WB:曇空)中央はたいへん高解像で、rowデータではビルの各部屋のベランダの様子や屋外機のデザインまでクッキリと判別できます。一方で四隅の像は厳しめ。開放ではフレアが出ていますが、等倍近くまで拡大しないとわからないレベルです

F5.6 続いて絞った写真がこちら。四隅までしっかりとした画質です。フレアは全くなく、高解像。見事な描写力です。
F2(開放) Fujifilm GFX100S(WB:曇り空)
F5.6 Fujifilm GFX100S(WB:曇空) カヌーを漕いでいる人がいます。GFX100Sの一億画素でrowデータでみると着ている服のデザインまで判別できます


  

続いてスナップ写真も何枚か。普段の使い方ではどうでしょう。

F2(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光) コントラストはかなり良く、発色も鮮やかです。コーティングの性能が非常に良さそう

F4  Fujifilm GFX100S(WB:日光)開放と比べてもコントラストはあまり変化しません

F2(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光)

F2(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光)

F2(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光) やはり無限遠で最高の画質になるよう設計されているようで、このくらい近い場合は絞らなければ解像力が落ちます

F2(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光) 逆光には非常に強いレンズです

F5.6  Fujifilm GFX100S(WB:日光)

F2(開放) Fujifilm GFX100S(WB:日光)











2025/11/18

Leica Leitz APO-MACRO-ELMARIT-R 100mm F2.8

 


ライカRシステムの象徴的マクロレンズ

Leica Leitz APO-MACRO-ELMARIT-R 100mm F2.8(Leica R mount)

ライカ APO-Macro-Elmarit-R 100mm F2.8(通称 AME)は、1987年から2009年まで製造されたライカRシステム屈指の高性能マクロレンズで、無限遠から近接撮影まで対応する中望遠レンズとして初めてアポクロマート補正を導入した画期的な製品です。発表当時、その描写性能は衝撃的であり、瞬く間に画質の基準として広く認識されるようになりました。マクロ撮影における性能はもちろん、中望遠レンズとしてポートレート撮影でも優れた表現力を発揮します。

堅牢な鏡胴と組み込み式フード、そして光学的完成度の高さから、現在でも写真家や研究者の間では「Rシステムの憧れの一本」として長く愛用されています。ただし、設計の世代交代に伴い、近年ではインナーフォーカス方式とフローティング機構を備えた新世代のマクロレンズが登場し、徐々に新しい光学設計に追い抜かれつつあります。全群繰り出し方式を採用しているため、軽量化やコンパクト化には不利で、本体重量は760gにも達します。気軽に持ち歩ける携帯性よりも、画質と操作感を優先した「本気で撮るためのレンズ」と言えます。

設計構成は下図のようなガウスタイプをベースとする6群8枚で、色収差と歪みを徹底的に抑制、開放から極めて高い解像力とコントラストを誇ります。近接撮影性能を高めるため、ガウスタイプの後部に専用の光学群を追加しています。この追加群は近距離での描写を向上させる一方、遠距離撮影時には光学性能に一定の制約をもたらします[1]。とはいえ、マクロ域とポートレート域の描写力を向上させることに特化した、卓越した光学系と捉えるべきでしょう。レンズを設計したのは1981年から1990年までライツ社の光学設計部門を率いたフォルフガング・フォルラートというエンジニアです[3]。時代的にはコンピュータを援用した設計であると考えて間違いありません。

焦点距離100mm・開放F2.8というスペックは、マクロ撮影時での適度なワーキングディスタンスと取り回しの良さに加え、中望遠レンズとして理想的な画角を提供します。最短撮影距離は45cm、最大撮影倍率は1:2。専用のELPROクローズアップレンズを併用すれば、等倍撮影も可能です。

レンズは1986年から2005年の間に20000本が生産されていますが、2005年から2009年の間はデータがありません[2]。

レンズの構成図(トレーススケッチ):ガウスタイプを起点に、後部に正レンズと負レンズを追加した6群8枚構成です









 

参考文献・資料

[1] Erwin Puts – "Leica-R Lenses"

[2]  Camera wiki Leica forum: 100mm f/2.8 APO-Macro-Elmarit-R

[3]  日本オールドレンズ協会・写真展「ライカの望遠レンズ」の山田さんの展示解説を参考

中古相場・アダプターでの使用

販売は2009年に終了しています。当時の新品価格は27万円程度だったそうです。現在は中古品のみが市場に流通しており、相場は16万円~25万円程度と言われています。今回手にした個体は私自身で購入したわけではなく、写真光学研究会の会員の方からお借りしました。代々木の中古カメラ店が店をたたむ際に、安く譲っていただいたものだそうです。レンズはフランジバックの長いライカRマウントですので、アダプターを介して35mm一眼レフカメラとミラーレスカメラで使用できます。ただし、ライカMマウントを経由すると、中判デジタル機のGFXシリーズではアダプターの間口でケラれてしまいますので注意がいります。


重量(カタログ値) 760g, 最短撮影距離 0.45m, 製造年 1987-2009年, フィルター径 E60(60mm), 設計構成 6群8枚, 絞り F2.8-F22, 絞り羽根 7枚構成, フード組み込み, ライカRマウント
 
 

 

 

写真作例 

MTF曲線を見ても明らかですが、絞り開放でも、画面全体にわたって高いコントラストと均一な解像力・解像感が得られます[1] 。中心から周辺まで、非常に細かいディテールが鮮明なエッジ、微妙な階調の陰影によって精緻に再現されます。周辺光量の低下は開放でも小さく、絞りをf5.6まで絞ると画面全域の照度が完全に均一になります。驚いたことは、こうしたピント部の画質が絞り開放時とF5.6まで絞り込んだ時で、見た目には殆ど変化しないことです。

絞り込むことでコントラストは僅かに向上し、微細な質感がより明瞭に描写されます。また、f5.6まで絞り込んでもフォーカスシフトもほとんど認められません。深く絞り込むと、回折のため中心部のコントラストや解像感が僅かに低下するあたりは、多くのマクロレンズに共通する性質で、このレンズも例外ではありません。ただし、回折の影響はかなり改善しており、影響は他のレンズに比べ小さく感じます。デジタル撮影時にもパープルフリンジは全く見られず、歪曲収差はほぼゼロ。グルグルボケや放射ボケなどについても全く出ません。

発色は寒色寄りに転ぶという見解を作例付きでよく目にします。カラーバランスの補正を決めるコーティングの味付けがそのように設定されているためでしょう。ここはメーカーごとの匙加減により決まります。


F2.8(開放) まずはマクロ撮影のお手並み拝見。開放なのでピントは薄く、右側が被写界深度から外れてしまいましたが、中央と左側はしっかり被写界深度内に収まっています。素晴らしい結像性能です

F2.8(開放) Nikon Zf(WB:日光)

F2.8(開放) Nikon Zf(WB:日光)

F2.8(開放) Nikon Zf(WB:日光)














F2.8(開放) Nikon Zf(WB:日光)

F5.6  Nikon Zf(WB:日光)

F2.8(開放) Nikon Zf(WB:日光)

F5.6 Nikon Zf  (WB:日光)  強い逆光のためグレアが出ています

F2.8(開放) Nikon Zf(WB:日光)


F2.8(開放) Nikon Zf(WB:日光)

F2.8(開放) Nikon Zf(WB:日光)



F2.8(開放) Nikon Zf



F4 Nikon Zf