部屋の片づけをしていたら、古い箱の中からロシア製の引き伸ばし用レンズが4個も出てきました。これは以前、EBAYでロシア製レンズを買ったときに、ついてきてしまった製品個体です。せっかくなので、ヘリコイドにのっけて写真撮影に転用してみました。
ロシア製 引き伸ばしレンズを使う
LZOS VEGA-11U 50mm F2.8
(Enlarging lens)
フルサイズミラーレス機の登場によりエンラージングレンズ(引き伸ばしレンズ)の活躍の場は大きく広がりました。この種のレンズには、テッサー型のようにバックフォーカスが長いモデルに加え、クセノタール型やダブルプラズマート型といった比較的短いバックフォーカスを持つ高級モデルも存在します。前者のテッサー型は一眼レフカメラにも適合しやすく、古くから撮影用に転用されてきました。しかし後者は、50mmの標準画角において一眼レフには装着できず、長らく用途を失った「死蔵レンズ」として扱われてきたのです。こうした背景のもと、フルサイズミラーレス機の登場は、これまで活かされることのなかったこの種の標準レンズ群に新たな可能性を切り拓いています。しかも、人知れず静かに・・・。
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| VEGA11Uの構成図:4群5枚の変形クセノタールタイプで、第1群の正負の順番が通常のクセノタールタイプとは逆の関係になっています |
今回ご紹介するVEGA-11Uは、ロシアのリトカリノ光学ガラス工場が1980年代から1990年代に製造した変形クセノタール型の光学系をもつ35mm判の引き伸ばし用レンズです(上図)。ただし、1970年のGOIカタログには焦点距離54mm F2.8で既に登場しています。設計から発売までの間に仕様変更があったのかもしれません。なお、アゾフ光学機械工場(Azov Optical Mechanical Plant)で製造された同一設計の個体や、ミンスク機械工場(MMZ)製で54mm F3の個体もあるなど、規格がバラバラです。中古市場では用途がないなどの理由から値段がつかず、日本の市場で売買されることは多くありません。しかし、近年流通し始めた市販の薄型M42ヘリコイドに乗せSONY Eマウントで使用してみたところ、なんと無限のフォーカスをギリギリ拾うことができました。使えるではないですか・・・。出番が来るのを、ずっと隠れて待っていたかのようです。少し写真を撮ってみましたので、報告します。
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| レンズのマウント部はM39ネジになっており、市販のパーツの組み合わせのみでSONY Eマウントにできます。用意した部品はM42ヘリコイド10-15mm, M42-SONY Eスリムアダプター, M39-M42変換リング |
撮影結果
もともとの用途から考えると、リバースリングなどで逆向きにマウントすれば、近接撮影に向いたレンズとなるようですが、本レンズにはフィルターねじがついていませんので、リバースマウントはできません。普通にカメラにマウントして使いました。
とてもシャープに写りますが、本来の使い方ではないためか、思ったほど解像力は高くはありません。ただし、画角特製は良好で、四隅まで安定感のある均一な画質です。開放でもスッキリと写り、コントラストも良好です。背後のボケは硬めの結像でザワザワとしたボケ具合です。
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| F4 (Wb: 日陰) |
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| F2.8(開放) (WB:日陰) |
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| F2.8(開放) (WB:日陰) |
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| F2.8(開放) (WB:日陰) |






