おしらせ


MAMIYA-TOMINONのページに写真家・橘ゆうさんからご提供いただいた素晴らしいお写真を掲載しました!
大変感謝しています。是非御覧ください。こちらです。

2009/05/27

Carl Zeiss Flektogon 35mm/F2.8 (M42)
フレクトゴン広角3兄弟の長男

このブログエントリーは2016年11月に刷新されました。
こちらをどうぞ。


野山でのスナップ撮影は
これ1本で何とかなる
 
 Flektogon(フレクトゴン)は東独VEBツァイス社の広角レンズにつけられたブランド名であり、同社の設計士Harry Zöllner(ハリー・ツェルナー)とRudolf Sorisshi(ルドルフ・ソリッシ)がContax版広角レンズのBiometar 2.8/35をレトロフォーカス化させ一眼レフカメラに適合させるという方針で開発した。ちなみに、ZöllnerはBiometar(1948-1981)を設計した人物でもある。1950年から製造された初代・アルミ鏡胴のタイプ、1950年代後半から1960年代にかけて製造されたシングルコーティング仕様の2代目・革巻きタイプと3代目・ゼブラ柄タイプ(写真参照)、1975年から1980年まで製造されたマルチコーティング仕様の4代目・黒鏡胴タイプが存在する。2代目と3代目には35mm 20mm 25mmの3種が存在し、「フレクトゴン広角3兄弟」の愛称で親しまれている。
Flektogon広角3兄弟。左から20mm/F4, 35mm/F2.8, 25mm/F4(M42)

この時代のレンズには鏡胴が金属製で重厚な作りのものが多い。マウントのバリエーションはM42用、エギザクタ用、ペンタコン6用の3種である。フレクトゴン35mmのゼブラ版は後玉が飛び出ているためEOS 5Dのミラーに干渉するとのこと。20mmと25mmのタイプはセーフ。 後継モデルの黒鏡胴MCフレクトゴン35mmはセーフのようだ。

フィルター径49mm, 重量230g, 35mm/F2.8
今回テストするFlektogon 35mm/F2.8(M42マウント)の特徴は風景撮影に適した広角設計であることと、被写体に18cmの距離まで寄ることができる高い近接撮影能力である。花や虫がアップで撮影でき、野外で大活躍するレンズである。1960年頃のレンズには美しいゼブラ柄が流行し、多くのレンズメーカーがこの種のデザインを採用した。この縞々は鏡胴が金属だから栄えるわけで、プラスティック製の今のレンズでは実現できないデザインなのだ。

入手の経緯
本品は2008年5月にeBayにて71㌦でイギリスの業者から落札した。出品時の解説には、ガラス・外観・機械動作ともにエクセレントとあるだけ。新品同様(MINT)との記述なら安心だが、この程度の製品評価の場合、eBayでは危険な賭けになる。予想どうり入札価格は高騰しなかった。幸いなことに届いた実物は新品同様のレベルであった。国内相場が2万円程度なので、たいへんラッキーな買い物だ!。

試写テスト:長野・白馬の高原にこれ一本でゆくフレクトゴン35mmは癖の無い自然なボケ味、ピントの合った部分のシャープな切れ味、柔らかい描写に定評がある。マルチコーティング処理が施された現代のレンズに比べ、逆光時の安定感(コントラスト)が劣るものの、この時代のモノコート仕様のレンズの中では抜群の描写性能である。良い意味でツァイスらしくない落ち着いた渋い発色は、その後に銘玉と呼ばれる後継モデル・MCフレクトゴン35mm/2.4の到来を予感させる。近接撮影能力は人間の目の能力を超えており、ギリギリまで接近して花や虫を大きく撮影すると、見たこともないような凄い写真が撮れ、思わずため息がでてしまう。私たちを非日常の世界に連れて行ってくれる素晴らしいレンズだ。


手乗り蝶。塩分をなめているのだろう・・・離れようとしない
美しい桃色の花。絞り開放での撮影であるがハイライト部にハロは出ていない
ボケ味も煩くない。やわらかい描写だ

もともと広角レンズであるため風景撮影もこのとおり
 
最後に一句
ゼブラって やっぱり格好 いいよなぁ 
しみじみ思う SPIRAL
撮影環境: 
PENTAX *ist DS2
Carl Zeiss FLEKTOGON 35mm/F2.8








★こちらは愛媛・松山でのサンプル: FLEKTOGON 35mm/F2.8 EOS Kiss x3(400D) + HAKUBA rubber hood

ISO100, 絞り値F8  愛媛県松山市

ISO100, 絞り値f5.6
ISO 100, 絞り値f5.6

9 件のコメント:

  1. tsukanetです
    小生てもとにハンガリーから25mm(¥30000送料込み)フレクトゴンが届きました。20mmと比較するとレンズに移りこむ蛍光灯の光が25mmは青くマルチコートっぽく、20ミリは黄色でノーマルなのでしょうか。

    Fリングを動かすとスカスカ感があり、以前100円ショップで購入した注射器でグリス(田宮のグリス)を注入しようとしましたが、隙間が無く針が入りませんでした。
    良く見るとネジもIリングに1つしかなく、抜き取ってみましたが思いのほか長いネジに驚きそれ以上触れません。

    どおにかグリスを補充する方法御存知でしょうか。

    取りとめも無いコメントで申し訳ございません。。。

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  2. tsukanetさん

    > 小生てもとにハンガリーから25mm(¥30000送料込み
    >)フレクトゴンが届きました。

    興味深いリポートありがとうございました。
    フレクトゴンは20mmのゼブラのものでも最低350㌦はしますので、
    レアな25mmが30000円とは、かなりお買得だったのではないでしょうか。

    > 20mmと比較するとレンズに移りこむ蛍光灯の光が25mmは
    > 青くマルチコートっぽく、
    > 20ミリは黄色でノーマルなのでしょうか。


    tsukanetさんの25mmは青く光りましたか!

    私の場合、25mmは黄色く輝き、20mmのほうが
    青く光っています。tsukanetさんとは逆ですね。

    25mmのフレクトゴンは早い段階で製造中止となり
    姿を消した製品ですので、黄色いコーティングは古いタイプ、
    青(紫)のコーティングは新しいものかと思っていました。

    tsukanetさんのフレクトゴンは私の逆の関係ですので、
    そう単純ではないみたいですね。興味深いです。

    ちなみにシングルコーティングの個体にも
    青く光るコーティングのものがありますので、
    25mmの個体はMCではないそうです。


    > Fリングを動かすとスカスカ感があり、以前100円ショップで
    > 購入した注射器でグリス(田宮のグリス)を注入しようと
    > しましたが、隙間が無く針が入りませんでした。


    私も20mmを自分で分解清掃しようかと思った時がありました。
    以前、黒鏡胴の35mmMCフレクトゴンを分解したときは
    ドライバ一本で簡単にばらせたからです。
    しかし、20mmと25mmのゼブラ柄フレクトゴンは後期型の
    黒鏡胴MC版よりも分解が難しいとWEBに情報があり
    ましたので、この時は思いとどまりました。

    今年の春に20mmのフレクトゴンのオーバーホールを
    業者に依頼しました。

    中古の古い個体なので、埃がたまるとか、絞り羽根の開閉に
    粘りがでるなどいろいろあるかと思いますが、
    支障がなければこのまま使用し、
    定期メンテ時に業者の力で改善していくのが
    一番なのかと思います。

    クラシックレンズを愛用している方って、どれくらいの間隔で
    メンテやオーバーホールをなさっているのでしょうかね?

    書き込みありがとうございます。

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  3. そうですか~
    OLDレンズは奥が深いですね~
    分解はあきらめます。

    SPIRALさんはかっこいいレンズばかり集められていてすごいです!

    色々おしえていただきありがとうございます!
    深謝!

    返信削除
  4. tsukanetさん
    また、面白い話をいろいろ
    お聞かせくださいね♪

    spiral

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  5. SPIRAL さま、はじめまして!
    検索してましたらこちらの素晴らしいサイトにたどり着きました。古い記事にコメント付けて申し訳ありません。

    初めてM42マウントのレンズを購入しようと思っております。どうせなら!と、Carl Zeiss Jena DDR Flektogonのゼブラを探しているのですが、本当にDDRなのかレンズの縁の刻印が確認できない状況です。唯一確認できるのはFlektogon 2.8/35 シリアル番号なのですが、Flektogonの前にはVEBマークがあります。VEBマークが刻印されている、Carl Zeiss Jena "DDR"と刻印レンズなんてあるのでしょうか、何かご存じでしたらご教授ください。よろしくお願いいたします。

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  6. 紺さん
    こんばんは

    VEBの刻印ですか。珍しいですね。
    東独VEBツァイス社が正式な企業名称ですので、
    そこから来ているのだと思います。

    ちなみにDDRのイニシャルは旧東ドイツを意味していますので、
    DDRが刻印されていようとなかろうと、
    製品自体に差はありません。

    東ドイツ国内向け製品と、外国への輸出向け製品で
    刻印等、若干異なるようですので、
    いろいろなバージョンのものがあっても
    おかしくは無いと思います。

    ご参考までに

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  7. お返事ありがとうございました!
    そういうものなんですね、あまり気にせず状態の良さそうなものを探そうと思います。

    前回質問し忘れてしまったのですが、M42のマウントアダプタを使われる際、レンズの位置が正しくなるようにお気に入りのレンズはそれぞれ専用のアジャスタブルなマウントアダプタにしたりするものでしょうか?

    もし、そうした方が良いなら安価なのをいくつか購入と思ったのですが、マウントアダプタもピンキリのためeBayの安いのでも構わないのか、それとも国内で購入した方が良いか悩んでます。(完全な国産以外、国内のも中国製みたいですが)

    それにしても、他のレンズも拝見し、とても参考にさせていただいております。オールドレンズの雑誌を購入しなくても十二分な内容です。相場なども大変に参考になります。SPIRALさんや他ブログでも購入された金額を書かれている方を見ましたが、ミラーレスカメラなどもとても賑わってきているためか、私がただ単に乗り遅れているだけか、球数は少なく価格も割り増し傾向です。

    ただ、そういう中で巡り逢えるから愛着が湧いたりするのかなと思いました。少しずつ、お気に入りのを探したいです。

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  8. >M42のマウントアダプタを使われる際、レンズの位置
    >が正しくなるようにお気に入りのレンズはそれぞれ
    >専用のアジャスタブルなマウントアダプタにしたり
    >するものでしょうか?

    ミラーレス機用のアダプター場合の中にはネジ1本でレンズの位置を微調整できるものがあります。薄いアダプターの場合はそういう機構がないものがほとんどで、オーバーインフ気味につくられていますので、レンズの指標が真上に来ない場合が多くあります。私は気にせずに使っていますが・・・。

    >それとも国内で購入した方が良いか悩んでます。
    >(完全な国産以外、国内のも中国製みたいですが)

    国内製アダプターは頑丈です。私は最近、
    中国製のものばかり使っていますが・・・。

    返信削除
  9. すっかりミラーレスという私の状況を説明してなく申し訳ありませんでした。しかし、そこをご理解くださってのご説明ありがとうございました。とりあえず中国製のを注文してみました。

    FlektogonとPancolarが購入できました。そのうち届くのでとても楽しみです!届くまで、いろいろ情報収集してノンビリ待ちたいと思います。教えていただき、ありがとうございました。

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