おしらせ


MAMIYA-TOMINONのページに写真家・橘ゆうさんからご提供いただいた素晴らしいお写真を掲載しました!
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2015/07/08

Schneider Kreuznach Cine-Xenon 25mm F1.4 Arriflex Standard mount

駆け足でプチ・レポート 1 Schneider Kreuznach Cine-Xenon 25mm F1.4
オールドレンズ写真学校の生徒さんに頼まれeBayでお買い物・・・。購入したのはドイツのSchneider(シュナイダー)社が生産したシネマ用レンズのCine-Xenon(シネ・クセノン)である。入札を代行し購入を手伝ったご褒美に1日だけ試写させてもらえる事になった。Xenonにはスチル撮影用からプロジェクター用まで実に様々なモデルが存在するが、今回紹介するのは映画(シネマ)撮影用レンズでドイツのARRI社が生産した16mm映画用カメラのArriflex(アリフレックス)に搭載する交換レンズとして供給されていたモデルである。撮影した映像は大画面のスクリーンに投影されるため、この種のレンズにはスチル撮影用を遥かに凌ぐ高い性能が求められていた。シリアル番号をたどると本品は1960年頃に製造された個体であることが判る。レンズ構成は4群7枚でダブルガウスからの発展型である[文献2]。
Arriflex Cine-Xenon F1.4の光学系。構成は4群7枚のズミタール型で、前玉が色消しの張り合わせ(たぶん旧色消し)になっている。分厚い前玉の第1レンズのおかげで、かなりの明るさを稼いでいるようだ。絞りに接する両側のガラス面の曲率差(曲がり具合の差)でコマ収差を補正している。文献2からのトレーススケッチである
最短撮影距離 0.35m, 重量(実測) 147g, フィルター径 49.5mm前後, 絞り値 F1.4-F22, レンズ構成 4群7枚(文献1,2参照), 絞り羽 5枚構成(形状は6角形), Arriflexスタンダードマウント。本品はシリアル番号6144888(1960年前後製造)の前期モデルである。1000万番あたりから後ろの後期モデルではM4/3機での使用時にケラれが顕著に目立つそうである
参考
入手の経緯
レンズは2015年6月5日にデンマークの個人出品者から落札購入した。この出品者は写真機材ばかりを取り引きしており205件の取引でポジティブ・フィードバック100%の優秀な成績を残していた。オークションの解説は「中古だが、とてもよいコンディションで、フォーカス機構、絞り機構は良好に機能している。アダプターを用いてデジカメで使用可能」とのこと。スマートフォンの自動スナイプソフトにて最大額を約40000円に設定し放置したところ30500円+送料3000円で落札することができた。届いたレンズは外観がパーフェクトでガラスも小さなクリーニングマークが1本あるのみと経年品にしては良好な状態であった。

撮影テスト
シネマ用に設計されたモデルと言うだけのことはあり、少し絞ってからの解像力は圧倒的で、スチル撮影用レンズとは別次元の高密度な描写を体感することができる。イメージサークルは16mmシネマ用フィルムを想定したサイズにデザインされているが、少し余裕がありマイクロフォーサーズ機で用いても四隅が僅かにケラれる程度で、実用性に大きな支障はない。解像力は非常に高く、コントラストや発色は良好で、とてもシャープな像が得られるレンズである。収差設計はやや過剰気味で、その反動のためポートレート域で人物などを撮ると背後のボケがやや硬くザワザワと騒がしくなり2線ボケも出る。一方、前ボケは柔らかく、近接域で草花を撮影する場合には背後のボケも柔らかい。開放付近ではややグルグルボケも発生するが、これはイメージサークルを目一杯まで活用しているためである。少し絞れば全く目立たなくなる。
F4, Pen E-PL6(AWB): 解像力が高く緻密な描写である。中央部を拡大したのが下の写真



上の写真の一部を大きく拡大し切り出しているにも関わらず依然としてギッシリとした密度感が保たれている。スチル撮影用レンズとは別世界の圧倒的な解像力に開いた口が塞がらない・・・

F2.8, Pen E-PL6(AWB): コントラストや発色は良好でXenonらしい清楚な写りだ。マクロ域でのボケ味は柔らかい


F2.8, Pen E-PL6(AWB): 開放から2段絞るだけでかなりシャープな像である。やはり解像力はとても高い。ポートレート域になると背後のボケはザワザワと騒がしく、被写体の種類によっては2線ボケ傾向もみられる。中央を拡大したものが下の写真である


上の写真の拡大。高解像だ。怖いもの見たさの真剣な眼差しに将来は大物になる予感のするワンショットだ



絞りは不明, Olympus Pen (AWB): 最近は多重露光にも少しハマりだした。この写真はオールドレンズ写真学校の撮影会での1コマ。作例が不足していたので現所有者からも提供していただいた

F1.4(開放), Olympus Pen(AWB):  これもオールドレンズ写真学校の撮影会での1コマで、レンズの現所有者から頂いた写真だ。ちなみに被写体は




2 件のコメント:

  1. ご無沙汰しております。
    凄い…!こういう解像感ってフォビオンセンサーなんかの特権だと思ってました。
    ジャギーが出ちゃうまで拡大しても滲みが見当たりません。
    レンズ次第なんですね。開放描写もとても素敵です。

    *全くもって無関係な内容で恐縮ですが、
    このほど新属・新種のサンゴを記載した論文がやっと出ましたー!

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    1. 論文完成おめでとうございます。
      分野にもよりますが、1本出すことの大変さは
      身に染みる程共感できます。

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