おしらせ


2019/02/09

試写記録:E.Krauss Planar 4cm F3.6(No.6)

F3.6(開放) sony A7R2(WB:日陰)  
F3.6(開放) sony A7R2(WB:日陰) 

F3.6(開放) sony A7R2(WB:日陰) 

F3.6(開放) sony A7R2(WB:日陰) 

F3.6(開放) sony A7R2(WB:日陰) 

F3.6(開放) sony A7R2(WB:auto)ポートレート用ということもあり、このくらいの距離ではコマフレアがよく抑えられています
F3.6(開放) sony A7R2(WB:auto)
F3.6(開放) sony A7R2(WB:auto)近接域はシャープにうつります


試写記録:E.Krauss paris Planar(プラナー) 4cm F3.6(No.6)
知人から珍しい焦点距離40mmのポートレート用プラナー(初期型) F3.6をお借りしたので、試写結果をこちらにも追加しました。カール・ツァイスがフランスのE.Krauss社にライセンス生産させた製品です。シリアル番号は5万番台なので1903年から1907年の間につくられた個体ですが、シャッターは新しいものに置き換えられています。このレンズにピッタリの古いダイアルコンパ―00番を探しているところです。
イメージサークルは30mmx30mm(カタログ記載)で対角線長43mmのフルサイズセンサーをジャストサイズでカバーしています。ただ、建物の陰など暗い場所で撮影する場合のみ光量落ちが目立つようになりました。雰囲気が出るので全く問題ではありません。ピント部には絶妙な柔らかさがあります。解像力は現代のレンズのようにはいきませんが、品のある写りはやはりツァイスのレンズならではのものです。開放絞りでの作例をどうぞ。

2019/01/20

Roeschlein Kreuznach TELENAR 90mm F3.8 (Braun Paxette M39 mount)




プリモプランの設計者が興した
レンズ専業メーカーの交換レンズ 後編
ビハインドシャッターへの適合が生んだ
ソフトテレポート
Roeschlein Kreuznach TELENAR 90mm F3.8 (Paxette mount)

ロシュライン特集の後編は中望遠レンズのTELENAR(テレナ90mm F3.8です。このレンズはBraun社のPAXETTEというレンジファインダー機に搭載する交換レンズとして、1954年に約4000本が供給されました。F3.8とやや口径比が暗いのはPAXETTEに搭載されたビハインドシャッターの狭い光路にどうにか光を通すためで、後玉径を大きくすることができなかったことによります。しかし、高感度特性の良好な現代のデジカメで使う分には、これが弱点になることはありません。ISO感度を高めに設定しておけばシャッタースピードは十分に稼げますし、ボケ量についても焦点距離が長いので50mm F2相当と十分です。デジカメの性能の進化がTELENARを魅力あるレンズに変えたのです。
小さな後玉とは対照的に前玉はかなり大きく、前群側にかなり大きな屈折力の偏りがあるように思えます。レンズ構成を調べてみると4群4枚の変形テレ・ゾナーで、テレ・ゾナーのはり合わせ面をはずし空気間隔を設けた形態なので、構成内容だけでみれは凹レンズをテレゾナー並みに分厚くしたエルノスター型とも言えます。線が太くコントラストの良好な力強い画作りを想像していましたが、これがロシュラインの手にかかると一体どういう味付けになるのか、とくと拝見することにしましょう。
Braun社のPAXETTEに搭載したTELENAR 90mm F3.8




重量(実測)148g, フィルター径 40.5mm, 絞り羽の構成枚数 10枚, 最短撮影距離(規格) 1.5m, 絞り F3.8-F16, フランジバック44mm, paxette M39マウント


 
入手の経緯 
eBayでのレンズの取り引き相場は200~250ユーロあたりです。本品は2018年9月にeBayを介し、ドイツのレンズセラーから落札しました。オークションの記載は「マウント部はライカとは異なる規格のM39スクリューマウントである。コンディションは良好で、動作も問題ない。APS-C機で撮った写真作例もつけるので見てくれ」とのことで問題はなさそう。ところが、届いた品には絞りの直ぐ後ろのガラス面に僅かなクモリ(汚れ)があり、検査落ちでした。ただし、後群全体が鏡胴にねじ込まれているだけの簡単な構造だったので光学系を開けることなく清掃ができ、問題の個所を少し拭いたところクリアになりましたので一件落着です。

SONY A7へのマウント方法
このレンズの規格であるPAXETTEスクリューマウントはライカと同じM39のスクリューマウント(ネジピッチ1mm)ですが、フランジバックが44mmもありライカとは異なります。SONY A7で使用するためのマウントアダプターの作成方法を一つをご紹介します。
まずM39-M42ステップアップリングを用いてレンズをM42ヘリコイド(25-55mm規格)に搭載します。あとはヘリコイドのカメラ側にM42-SONY Eスリムアダプターをつけるだけです。部品は全て市販品なので、誰でもできる改造でしょう。望遠レンズは伸長率の高いヘリコイドのほうが使いやすいので、伸長率の低いヘリコイドていったんライカマウントにするよりも、ダイレクトにソニーEマウントにするほうがよいとおもいます。


撮影テスト
なにしろテレ・ゾナータイプのレンズですから、線の太い、高コントラストな描写を想像していましたが、予想は完全に外れました。いかにもオールドレンズっぽい、雰囲気を重視した画づくりのできる貴重なレンズです。開放ではモヤモヤとしたフレアが画面全体を微かに覆い、柔らかい雰囲気に包まれます。解像力は明らかに低くシャープネス(解像感)も低いのですが、そんなことは大きな問題ではないことを教えてくれます。少しハイライト気味に露出を持ち上げ軽いトーンに仕上げると、浮遊感が強調され、このレンズの持ち味が引き立ちますので、ふんわりとした画作りを好むカメラ女子が使いこなしそうなレンズです。逆に引き画で細部まできっちりと写したり、質感を重視する物撮りのような使い方には向いていません。発色は落ち着いていて、あっさり気味な大人のテイスト。モノクロにも合いそうです。
このレンズは前玉が大きいわりに後玉がとても小さく作られています。ビハインドシャッターの光路に光を通すことを念頭に設計されたので、無理をしたのでしょう。これによる反動が柔らかい描写傾向を生み出しているものと思われます。フレアっぽさを活かした描写表現を堪能できるレンズです。
 
F3.8(開放) sony A7R2(WB:auto) このとおり、いいかんじです。テレ・ゾナーらしからぬフレアっぽい柔らかい描写で、雰囲気のよくでるレンズです
F5.6  sony A7R2(WB:auto) 少しハイライト気味に撮影するのがレンズの良さを引き出すポイントかな?
F3.8(開放) sony A7R2(WB:auto) 
F5.6 sony A7R2(WB:auto) 
F5.6 sony A7R2(WB:auto) 
F5.6 sony A7R2(WB:auto) 



F3.8(開放) sony A7R2(WB:日陰) 屋外での写真も参考までに・・・軟調です
F3.8(開放) sony A7R2(WB:auto) 

続いて近接撮影の写真作例です。いずれも絞って撮っていますが、やはり絞ればシャープに写るレンズであることがわかります。

カメラ:SONY A7R2
クリエイティブスタイル→パートカラー(イエロー)で撮影

F5.6 sony A7R2(WB:日光、クリエイティブスタイル:パートカラー、多重露光)
F5.6 sony A7R2(WB:日光、クリエイティブスタイル:パートカラー)
F8 sony A7R2(WB:日光、クリエイティブスタイル:パートカラー) 



F5.6 sony A7R2(WB:日光、クリエイティブスタイル:パートカラー)
F8 sony A7R2(WB:日光、クリエイティブスタイル:パートカラー)

F8 sony A7R2(WB:日光、クリエイティブスタイル:パートカラー)