おしらせ


2015/03/24

【続】Schneider Kreuznach Xenotar 80mm F2.8 撮影テスト第2弾(中判6x6フォーマット編)

Xenotarは開放からシャープでヌケが良く、四隅まで解像力があり、背後のボケにユラユラとした不思議な特徴のでるレンズである。リンホフやローライフレックスなど一部の高級カメラにのみ供給されていた経緯もあり、マニア層を中心に熱狂的な愛好者がいることでも知られている
清涼感のある上品な写りが魅力の高性能レンズ
Schneider Kreuznach XENOTAR(クセノタール)80cm F2.8
Lens Test by Medium format CAMERA
3年前に書いたXenotarのブログ記事ではレンズの撮影テストに35mmフォーマットのデジタルカメラと銀塩カメラを用いたが、今回はいよいよ中判カメラによる撮影テストである。このレンズは推奨イメージフォーマットが中判フィルム(6x6フォーマット)に指定されており、規格どうり用いると35mm版換算で焦点距離43mm相当の標準レンズとなる。また、口径比F2.8は画質的に無理がなく、35mm換算でF1.5相当の大きなボケ量が得られるなど表現力も充分である。中判カメラで用いればレンズの潜在力を存分に引き出すことができるであろう。
 
Compur #1マウント, 重量(実測)184g,  S/N: 115*****(1970年に製造された157ロットの中の1本), フィルター径 49mm, 絞り羽 19枚, 絞り値 F2.8-F22(手動絞り機構), 構成は4群5枚のクセノタール型。このレンズはシャッターを内蔵していない仕様のため、おそらくフォーカルブレーンシャッターを持つフォールディングカメラ(Speed Graphic等)に搭載され使用されていたのであろう

今回、レンズをはじめて中判カメラで用いたところ、自分の知っているシュナイダーらしい色味がこのXENOTARでも顕著にみられるようになった。それは、ほんのりと青味がのり上品で清涼感のあるクールトーンなまとまり方をする描写のことである。この描写傾向はシュナイダー製レンズではクセノンの戦後型にもよく見られる。上手く使いこなせば見慣れた日常のワンシーンを良く晴れた日の清々しい朝の風景に変えてくれるに違いない。階調描写は中判カメラで用いる方がなだらかで軟らかく、35mm版カメラで用いる方が鋭くシャープな写りであった。では、写真作例を見てみよう。
  
撮影機材
CAMERA: BRONICA S2(中判6X6フォーマット)
FILM(ブローニー判・銀塩カラーネガ): FUJIFILM PRO160NS / KODAK PORTRA 400
露出計: SEKONIC Studio Delux L-398
クセノタールのフランジバックはブロニカ本体の規格より短いため無限遠のフォーカスを拾うことはできず、撮影は近接域のみとなる。無限遠のフォーカスを拾うにはレンズをカメラ本体の内部に沈胴させるかテレコンを使うなどの工夫が必要である。沈胴させる場合は鏡胴の細い前期型のみ可能で、鏡胴の太い後期型ではブロニカのマウント開口部に収まらない。
F5.6, 銀塩撮影( Fujifilm Pro160NS, 6x6)+Bronica S2:マクロ域にもかかわらず解像力は良好で四隅まで安定感のある写りである。階調はなだらかに推移しており暗部には締りがある



F5.6, 銀塩撮影(Fujifilm Pro160NS, 6x6)+Bronica S2:全体的にほんのりと青味がのり美しい仕上がりになっている。このネガフィルムは本来はノーマルな発色で知られているものの、クールな仕上がりとなった




F2.8(開放), 銀塩撮影( Fujifilm Pro160NS, 6x6) +Bronica S2:開放で近接域にも関わらず、収差的に安定しており、滲みの付け入る隙がない




F8, 銀塩撮影( Kodak Portra 400, 6x6)+Bronica S2:近接域に限定した撮影では一般に収差変動の結果からボケ味はどの作例でも柔らかくなる。Xenotar本来のボケ味を見るにはポートレート域で撮影しなければならないが、今回はその願いはかなわなかった。ポートレート域ではもう少しザワザワするものと思われる




35mm版カメラでの作例
2年前に撮影した35mm版カメラによる撮影結果も参考までに少しだけ示しておこう。1枚目が銀塩カラーネガによる作例、2枚目がデジタルカメラによる作例である。
F5.6 Black model,銀塩撮影(Fujicolor Superior 200, pentax MX) : やはり35mm判カメラでは、より鋭くシャープな写りになる印象をうける
F4, Compurシャッター搭載モデル, Nikon D3 digital, AWB: 一段絞るだけで衣類の質感やホコリなどが細部までしっかりと解像されている

2015/03/13

Handsome Optical engineer 紙上アンケート:決定!ハンサム設計士ランキング

美しい世界の光学エンジニアたち!
今年も恒例の紙上アンケートを実施する時期になりました。テーマは「ハンサムなイケメン設計士」です。今も昔もその地味な存在のため、ほとんど認知されることのなかった光学エンジニア達ですが、中には絶世の容姿をもつとんでもないイケメンがいるとの情報を各方面からいただきました。そこで、あらかじめノミネートしたハンサムな男性エンジニア10人の中からアンケート方式で決選投票をおこない、ハンサムのなかのハンサムを決めるという何の役にも立たない投票企画を実行することにしました。エンジニア達の容姿にスポットライトをあて、カメラやレンズに対する認識を更に深めてみたいと思います。本当に深まるのか?

なお、回答者が男性であるか女性であるかは集計結果に大きな相違を生じさせる可能性があります。これはハンサムな男性に対する女性側の価値観と男性側の価値観が一致する保障がないためでです。

そこで、今回は回答者を性別ごとにわけアンケートを実施することにしました。それぞれの集計を独立に行うことで、男女間の趣味嗜好の差異についての理解にも迫りたいのです。本ブログの訪問者は男性で、しかもマニア層が多いので、本来ならばその特殊性を考慮しなければならないのですが、回答者がマニアであるか否による美意識や価値観、ハンサムな男に対する反応度の差異までは考慮しません。

ハンサムな光学エンジニアを発掘する

エントリーNo.1 ハリー・ツェルナー(H. Zöllner) 1912-2007
参考:Marco Cavina's Home Page, where the photo is supplied by Larry Gubas
ドイツ人。カールツァイスのレンズ設計士。ビオメタールやフレクトゴン 2.8/35,  パンコラー 1.8/50などを設計した。新種ガラスを導入しテッサーF2.8の性能を大幅に向上させたのも彼の著しい功績です
 
エントリーNo.2 ハインツ・キュッペンベンダー(H. Kueppenbender) 1901-1989
参考:Zeiss Historica, Zeiss Historical Soc.
ドイツ人。ツァイス・イコン社のカメラ設計士。オーバーコッヘンに移ってからコンタックス開発のプロジェクトのリーダーとしてカール・ツァイスの再建に尽力、西ドイツのツァイスの社長も務めた。ゾクッとする甘いマスクに釘付けか!?
 
エントリーNo.3 エルハルト・グラッツエル(E. Glatzel) 1925-2002
参考:Arndt Müller, Legendäre Objektive und ihre Konstrukteure / Dr. Glatzel und das Zeiss Planar 50mm/f0.7, Samstag, 6. August 2011
ドイツ人。カール・ツァイスのレンズ設計者。コンピュータを用いたレンズの自動設計方法(グラッツェル法)を確立し、レンズ設計の可能性の新たな境地を築いた。ホロゴン、ディスタゴン、カラーウルトロンなどを設計した。笑顔が素敵
 
エントリーNo.4 アルベルト・ウィルヘルム・トロニエ(A.W. Tronnier) 1902-1982
参考:Frank Mechelhoff's Home page: Rollei Rolleiflex 350
戦前はシュナイダーでクセノン、クセナー、アンギュロンを設計。戦後はフォクトレンダーに移籍しノクトン、ウルトロン、ウロトラゴン、カラーへリアー、カラースコパー、テロマーなど数々の名玉を残した謎の多いレンズ設計士。カラーウルトロンや凹ウルトロンの開発時はツァイスに協力もした。ダブルガウス型レンズを実用域まで高め、現代の明るいレンズの基礎を築いた人物。天才設計者の象徴的存在
 
エントリーNo.5 トーマス・ダルマイヤー(T. Dallmeyer) 1859-1906
参考: Wikipedia: Thomas Rudolphus Dallmeyer
ドイツ系英国人で老舗レンズメーカーDallmeyer社の創始者ジョン・ダルマイヤーの長男(あと継ぎ)。立派なお髭です。パパのお髭も立派です
 
エントリーNo.6 フーゴ・マイヤー(H. Meyer) 1863-1905
参考: Wikipedia: Meyer-Optik
ドイツ人。マイヤー光学(フーゴ・マイヤー)社の創始者。レンズとしては、アリストスティグマートを開発しヒットさせるが42歳の若さで世を去る。ジャニーズ系の容姿です
 
エントリーNo.7 シャルル・ルイ・シュバリエ(C.Chevalier ) 1804-1859
参考: Wellcome Images
フランス人。光学機器商のシュバリエ商会を運営し、レンズの製作にも取り組んだ。19世紀にフランスで絶頂期を迎えたフランスの光学機器産業を語る際には必ず登場する人物。名前がステキ
 
エントリーNo.8 ウィリー・ウォルター・メルテ(W.W. Merte) 1889-1948
参考: Rudolf Kingslake, A History of the Photographic Lens, Academic Press 1989
ドイツ人。カールツァイスのレンズ設計士。ビオター, ビオテッサー , テレテッサー,オルソメタールなどを開発。バンデルスレプとともにテッサーの高速化にも貢献した。眼が生き生きしてる
 
エントリーNo.9 ピエール・アンジェニュー(P.Angenieux) 1907-1998
参考: 「アンジェニューの歴史1907-1950」 nac image technology web site
フランス人。ズームレンズやレトロフォーカスレンズの開拓者として知られている。フランス映画界とも深いつながりのあった人物
 
エントリーNo.10 オスカー・バルナック(O.Barnack) 1879-1936
参考: Wikipedia:オスカー・バルナック
ドイツ人。いわずと知れたライカの生みの親。カリスマ性は抜群です

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では投票に移りたいと思います。

あなたがハンサムだと感じる光学エンジニアを選択肢から最大3名まで選び投票して下さい。1~2名でもかまいません。

Please choose, in the following sheet, camera/lens designers you feel handsome up to a maximum of 3 people.   Note that the left side sheet is for women and the right side is for men.


結果発表
約半年間の投票で45名(男性35名・女性10名)の方から投票をいただきました。ありがとうございました。予想していたことですが男性と女性では結果が異なるようです。投票結果の集計は以下の通りです。

男女を問わずハンサムであると評価された光学エンジニア

 トロニエ(男女計20票)、マイヤー(男女計20票)

男性からのみハンサムであるという支持を得た光学エンジニア

 T.ダルマイーアー(35%の男性がハンサムであると回答、女性は14%)

 アンジェニュー(26%の男性が支持、女性は12%)

特に女性からのみハンサムであるという支持を得た光学エンジニア

 バルナック(46%の女性がハンサムでると回答、男性は12%)

 ツェルナー(42%の女性がハンサムであると回答、男性は9%)
 
とても面白い結果です。